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【行く風に】鈴仙奮闘記8【夏を知る】


[430]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2013/08/20(火) 23:07:48 ID:/8VMpBnE
中山「だが俺は…今、悩んでいる」

パスカル「……現状ではモリサキに追いつけないから、かい?」

中山は静かに首肯する。

中山「俺は―――永琳さんのお陰で負傷を克服し、そしてブランクからも立ち直った。
しかしそれでも…満足できないんだ。 もっと上を目指さなくては、森崎や翼には追いつけない。
もっと鍛錬を重ねなくては、俺は昔の栄光を取り戻せず堕落するのではないか、と。
そう思ってはいるんだが――『方向性』が見つからないんだ。
森崎に並び立つのは良い。昔の栄光を取り戻すのは良い。 …では、そのために俺は何をすべきか?
現状は――欲張りな性格だからか、つい何でもやろうとしてしまい、中途半端になっているような気がする。
俺はどんな力を手に入れ、どう役に立つべきなのかが分からないんだ」

決して暗い表情でも、打ちひしがれている様子もない。
中山は純粋に、自らの足らざるを分析し、それを足らして行くか。そこを貪欲に考え尽くしているのである。
そして中山は確信していた。パスカルならば、自分の望む答えのヒントを持っているという事を。

パスカル「――読めてきたぞ」

パスカルはそんな中山の意図に気付き、顔を緩ませる。

パスカル「ナカヤマ、君は恐らく俺の方向性を参考にしようとしているな?
最初からディアスの能力を高めるサポーターたらんとし、その方向で分析を続けている俺の方向性を」

中山「――パスカルは器用だと思う。 その反面…俺は不器用だ」

中山は質問には答えずに、そう言ってのける。


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