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【行く風に】鈴仙奮闘記8【夏を知る】
[431]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ
:2013/08/20(火) 23:13:07 ID:/8VMpBnE
中山「パスカルは明確なビジョンを実現させる為の方法を練るのが非常に上手だと思うが。
かたや、俺は広く行動をしてみて、そこから自分の目標とする姿に近い物を選別していくやり方を好む。
自分でこのやり方を絶対に悪いとは思わないし、むしろこの不器用さを死ぬまで愛するつもりだ。
―――だけど、たまには様々なタイプの選手と、関わり合いを持ちたいものだから。
だから、敢えて悩んだような風に話してしまった。 心配を掛けたなら、謝るよ」
淀みの無い中山の様子に、パスカルは畏敬しつつ肩をすくめる。
パスカル「全く。ナカヤマは折れないな。 まるで大樹のように固く、しっかりとした幹と根を持っている。
それで枝を伸ばそうというならば――俺のような葦は、ひとたまりもないぜ」
中山「パスカルはやっぱり、考える葦なんだな。 随想録でも書いたらどうだい?」
パスカル「ははっ、中山もジョークを言うんだな」
中山「いや…悪いね。 久しぶりにこんなに長く話をしたものだから、つい口が」
そこから二人は、サッカーを極めるに当たっての方法、視点、考え方について互いに語りあった。
不器用ながらも、力を籠めて努力を重ね続け、やがては壁を壊し道を創る中山。
才能の欠如を器用さでカバーし、自分の持つ物の良さを正確に理解し実践するパスカル。
真面目な努力家タイプの二人であるが、その『方向性』は大きく異なる。
パスカル「(ナカヤマ…お前は強い。 だけど――俺は少し不安だ。
こんなにも強いお前が、何かの間違いで負けてしまったとしたら、一体どうなってしまうのか…)」
中山が寝静まった後。パスカルは、『方向性』の異なる友人に対して心強さを抱きながらも、一抹の不安を覚える。
それは奇しくも、彼と良く似た少女――鈴仙の抱いた不安と全く同じものだった。
しかし、それは非常に小さな物であり。不安は明け方になりようやく感じた眠気と共に飛んで行ってしまっていた。
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0ch BBS 2007-01-24