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【行く風に】鈴仙奮闘記8【夏を知る】


[565]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2013/08/25(日) 17:39:47 ID:rzy11rDM
若島津「ならば……これはどうだッ!」

そこで若島津は数に頼った攻撃を止め、一歩後ずさりして精神を集中させる。
心の無き状態では相手を倒せないという事実は、
機械の力に頼り続けた結果、敗北を重ねた過去の自分の体験から痛い程理解していた。
若島津は『相手を斃す』それだけに意識を向けて、今までのどの攻撃よりも鋭い一撃を放つ。

若島津「(これまでの妖怪の山での修行で、俺は相手を斃す『牙』の極意を身に付けたんだ!
これが心というならば―――)俺の全力…受けてみろおおおお!!」

ギュウ……ウウウウウン!!

華扇「(―――む。これはっ…!?)」

攻撃そのものは先ほどとは変わらぬ正拳。しかし、その一撃には明確な殺意が籠っていた。
それは確かな若島津の『心』。決して機械では表現出来ぬ精神の一撃。
その拳は華扇の心臓を穿とうと突き進み―――。

華扇「(成程。 この力は今までの貴方には無かったもの。ですが――)まだまだ…甘いッ!!」

ウウウ…ン。  ――――ガシイイイイッ!!

若島津「な……にィ……!?」

若島津の拳を――華扇はその胸の手前で見事に止めて見せたのだった。


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