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【行く風に】鈴仙奮闘記8【夏を知る】


[581]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2013/08/25(日) 20:33:52 ID:rzy11rDM
そうして練習を終えたパスカルは、改めて来生に礼を告げる。

パスカル「…助かったよ、キスギ」

来生「ん? どうしたよ急に?」

パスカル「…実は、この練習で俺は君の技術そのものというよりも。反応を見ていたんだ」

来生「反応? よく分からんぜ。 サッカーなんて感性でやるんじゃねーの?」

パスカル「俺の友人も似たような事を言っていたよ。 だけど、俺は凡才だから。
現代に名を残す、多くの天才とは違った事をしないと並べ立てないと思っている。
だから、君を利用させて貰った。 ――すまないね」

来生は、パスカルはてっきり自分の才能に惚れこんで練習を申し出ていたのだと勘違いしていた。
しかし、実際のパスカルの心境としてはそれは当然間違いであり。
悪い言い方で言えば…『利用』していたのだ。自分の新たな能力の開発の為だけに。

パスカル「(勝手に練習を申し出て、都合が良くなれば切り捨てるんだ。 …恨まれても仕方ないか)」

来生はこれを聞いて――やはり不愉快になるだろうと思った。
パスカル自身、よく見て来たからだ。 天才にあやかろうと寄り付き。
そして、都合が悪くなればさっさと手を引く数多の都合の良い大人たちを。


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