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【紅い満月】鈴仙奮闘記11【永遠の夜】
[30]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ
:2013/10/11(金) 23:59:04 ID:xD+nCyao
―――そして、鈴仙が咲夜と永琳との会談を眺めている頃。
中山「――森崎。 食べ物は大事にしろよ……」
森崎「…なんだよ。 シケた病院に閉じこもっているって聞いたから、
こうした味に飢えているんじゃないかと思った、俺なりのいじらしいメッセージだったのによ」
既に喧騒の冷めた妖怪の山モリヤスタジアムの裏手にて、中山は、友人と久しぶりの再会を果たしていた。
夏の夕暮れの涼しい空気を浴びながら、そういえば前に森崎と会った時もこんな場所だったかと中山は想いを馳せていた。
中山「――語りたい事。 突っ込みたい事。 純粋に聴きたい事。
……色々あるが、森崎。 俺の我儘をまず先に聞いてくれるか」
森崎「良いけど、貸し1だからな?」
中山「構わないさ、安いもんだ。 じゃあ、森崎――」
中山は小脇に抱えていたボールをポイ、と森崎に投げつけて落とす。
森崎はすぐにその意図を察し、ニヤリと意地の悪い笑みを浮かべる。
森崎「……フッ。 絶望しても知らんぞ? この俺様の圧倒的ドリブルテクにな」
中山「試してみたいんだ――今の俺が、お前を前にしてどう在れるかを。
そして……もしもあの時の! あの時の勝負がもう一度出来たとしたら
――結果はどうなるのかを、試してみたい!!」
中山の我儘。それは忘れもしない中学最後の試合。大友中学対南葛中学との決勝戦の再現だった。
試合の終盤、浦辺からボールを奪い、猛然と追撃をかける森崎。それを止めに走る中山。
その際中山は、森崎の高い能力を前に――為す術なく敗北したが、
しかし、中山にとって、あの瞬間こそが自分の選手としての絶頂と信じて疑わなかった。
あの瞬間を、もう一度味わいたい。
それは中山が生死の間を彷徨い、リハビリを繰り返し、幻想郷へとやって来た時からの長年の夢であり、希望であった。
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