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【紅い満月】鈴仙奮闘記11【永遠の夜】


[646]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2013/11/05(火) 23:56:03 ID:nNnufrYk
そして、人里へと戻った中山と鈴仙は暫しの時を飲み屋や公園で過ごし…
周囲の人々も徐々にその静けさを増してくる。そうして、どこの店も閉店だからと
真っ暗な人里を歩いている内に、中山は外界から持って来た愛用の腕時計をチラリと覗き。

中山「―――午前…二時か。 いよいよやって来たな。 ――丑三つ時が」

時を知らせる鐘の音一つ無く、静かにその時が訪れた。

鈴仙「暗い――わね。 中山さん、私から絶対離れないようにね。
肩と肩を合わせて、背後を取られぬよう警戒するのよ。 
――こんな暗さじゃあ、何かが起きても責任をとれないかもしれないから
(それでも無理やり責任を取らされるのがいつもの私だけどね……)」

鈴仙は必要以上に警戒を強める。
本来人里は守られているため、夜でもそう滅多に凶悪な妖怪は入り込んだりはしない。
むしろ凶悪な人間の方が恐ろしいくらいではあるが――流石の鈴仙も、
大方の生身の人間相手には圧倒的に優位、ごく一部の人間相手でも優位を取れるだけの実力はある。
しかし、今回の鈴仙は中山を守る必要がある。 その上に今回は、謎の妖怪が跋扈している可能性があるのだから、
余計に油断は出来ない。そして、鈴仙の不安を体現するかのように――。

スッ。

中山「あっ…!」

鈴仙「な、なななな! 何!? 何か居たの!? ――って、あっ…!」

仮面を被った男「………」

仮面を被った聴衆が一人、二人、三人。
まるで始めからそこに居たかのような錯覚すら覚える程自然に発生し、
それはやがて大きな渦巻きとなる。その渦巻きは一定の指向性を持ち、
まるで光に群がる羽虫のように、ゆっくりと、しかし意思を持ってある方向へと這い寄る。


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