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【鈴仙のいいところ】鈴仙奮闘記12【見てみたい】


[553]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2013/12/11(水) 23:09:59 ID:YFB4J3Ds
―――ヘルナンデスが思索に耽る間も、時間は進んでいた。
マリーニョとゴルバテのブロックは確かにその軌道を変えるまでは敵わなかったが、
その速度と変化を僅かに落とし…だが正確に、イタリアのゴールの右端を狙っていた。

ヘルナンデス「(……この命題に対して、様々な名GK達はどう答えてきただろうか。
分かるのは、俺が…『それだからこそ、自分の存在が試合を左右しているという自負がある』だとか…。
そうした優等生的回答を出来る程には自信家でも無ければ、天才でも無い…と、言う事くらいか)」

ヘルナンデスは思考しつつも……決してシュートから目を離さなかった。
鈴仙の狂気の瞳の影響か、ボンヤリとした頭を抱えながらも、その身体はいつも通り正常に動く。
それだけを持って充分と判断したヘルナンデスは、

ヘルナンデス「(そもそも、こんな問いかけに真っ当に応える事自体ナンセンスだ。
今の俺に出来る事と言えば、結局一つしかないんだと結論が出た筈なのに。
……そう。 孤独だとか試合を左右だとか、後から付いて来る物に対して、もとから評価をする必要なんてないんだ。
何故なら今求められている事は、そして最も重要なのは! この目の前のシュートを―――!)」

バアアッ! グワアアアアアッ!!

とてつもない跳躍力を持って、イタリアJr.のゴールポスト際。
鈴仙のシュートコースへと割りこんで。

ヘルナンデス「     ―――必ず、止める!!」

       ギュウウウウウウッ! ブウウウウウン!
                             …………ガシイイイッ!!

大きく鎌を振りかぶるように右腕を振り回して、そして……ボールを掬い取る。
言葉にしてみれば非常に単純で基本的な動作。
しかし極限までに鍛えられた力と技が両立しなければ不可能な動作。
ヘルナンデスは、ただ自然体に自らの実力を発揮して見せたのだ。


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