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【松山の魂】俺inキャプ森4【はためく鉢巻】


[89]森末(仮):2014/03/06(木) 00:38:49 ID:???
こうして板野が若島津らと別れていた頃、会場を後にした藤沢は母親と共に空港へと無事に到着をしていた。
途中でホテルに寄り、着替えをしていた為に時間は取ってしまったが、出発予定時刻までの余裕は十分。
というよりも、もしも今日ふらのが勝利をしていたら、母はこの予約していたチケットをどうしたのだろう。
そんな事をおぼろげに考えながらも、藤沢美子は母の後をついて出発ゲートをくぐろうとしていた。

藤沢母「美子、急いで」
藤沢「はい……」

これから自分は、遠くアメリカの地へと引っ越しをしなければならない。
父親の仕事の関係上、今まで何度も別れを繰り返してきた藤沢であったが、
やはりこの友達と別れるという寂しさは何度繰り返しても慣れるものではなかった。
それになによりも、藤沢の心残りは――。

藤沢「(松山くん……)」

このふらの中学での3年間、サッカー部という活動を通して一緒に過ごした彼を、藤沢は想っていた。
それは周囲からしてみればはっきり言ってバレバレであり、藤沢と松山との関係にやきもきしていたのは町田と板野だけではない。
しかし、藤沢の引っ込み思案で自分を押しとどめがちな性格故か、それとも松山が鈍感過ぎる為か。
両者は結局くっつく事はなく、こうして別れの時がやってきてしまった。

藤沢母「美子、パスポートは持ってるわね?」
藤沢「…………」
藤沢母「美子?」

ドン

物思いに耽りながらパスポートを手に持ち、前を向いた瞬間――藤沢は手に提げていたカバンを手落とした。

松山「藤沢」
藤沢「松山くん……」

つい先ほどまで――否、これまでずっと思い続けていたその相手が、ユニフォーム姿のまま目の前に立っていたからだ。


0ch BBS 2007-01-24