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【前略】鈴仙奮闘記19【向日葵仮面より】


[966]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/08/12(火) 23:34:27 ID:nPamTkE+
――紫の真の目的。
それは、チルノという特例レベルに強力な妖精のカリスマによって形成されつつあった、
妖精達の強く固い『種族主義』を、緩和させるという物だった。
つまり、強力な人間をチームに加入させる事による勝利と引き換えに、
彼女達の当初掲げていた『妖精だけで勝ち抜く』だとか、
『妖精の地位向上』というイデオロギーを曖昧な物にする必要があると、紫は考えていた。
如何に妖精が脆弱で愚かであっても、結束した場合の脅威は計り知れないからだ。
(また一方で、来生は人間でありながら、あまりに妖精に近過ぎる存在であるために、
 彼の加入は彼女達のイデオロギーに影響しないと紫は考察していた)

紫「(幻想郷は全てを受け入れる。 本来ならば彼女達の結束もまた、認められるべきなのでしょうけど。
――内外からの脅威に曝された今の幻想郷にあっては、僅かのイレギュラーも許されてはならない)」

紫が危険視する、中山=鈴仙を中心とした爆発的な現象とは異なり、
チルノ達のこの結束は偶発的な物である上に、その影響力は遥かに劣る。
普段の紫ならば、寛容に推移を見守る場面であったのだが――。

紫「……貴方の在り方。 ロリコンとノーマルとの境界を、少しだけ弄らせて貰うわね」

……今の彼女は違う。普段なら児戯に近い感覚で行う境界の僅かな操作を、
全神経を集中させ、妖力を丁寧に手繰り寄せるように行っている。
今の彼女には、失敗は許されていなかった。


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