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【深遠なる】鈴仙奮闘記24【蒼きフィールド】


[108]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/12/16(火) 22:57:52 ID:tDklXAvE
★地獄の兄→ ダイヤ5 ★
ダイヤ→松山「はぁっ……はぁっ……! だ、誰だ、お前は……!?」鈴仙「あっ、この姿は試合の時の……!」

松山「はぁっ……はぁっ……! だ、誰だ、お前は……!?」

鈴仙「(……あれっ。 矢車じゃあ……無い! これはサッカーをしていた時僅かに出ていた、矢車の正体……!)」

――鈴仙の予想に反して、その牢獄で苦しんでいたのは矢車では無く。
その矢車よりは幾分幼くは見えるが、しかし実年齢以上の労苦を重ねた表情が印象的な白髪の少年。
烈しいタックルと地を這うシュートで、永遠亭ルナティックスと互角以上の勝負をした――松山光だった。

松山「誰だ……俺の許可無く兄貴の名を呼んだのは……? 恥知らずのサトリ妖怪の女か……?」

鈴仙「……違います。 通りすがりの――うん、心のメイクアップアーティスト……そう呼んでくれても良いわ」

松山「……何だそれは。 そんなんで俺と兄貴の地獄を邪魔する気か……?」

――会話が通じないのは予想通りだったため、鈴仙はそれで動揺する事は無かった。
しかし、矢車という殻に守られていない状態の無防備な松山は、まるで羽化したての成虫のように脆く見える。
死人のように止まった波長を描く矢車と異なって、今の松山が描く波長は生まれたての赤子のように混沌。

鈴仙「(……う〜ん。 矢車の方がまだ話は通じそうとは思ったんだけど、この松山君は……やっぱりまだ混乱している感じね。
まるで、彼の言う兄貴――矢車君以外の全てが、この世界の敵だと勘違いしているみたい。
ちょっと扱いがめんどくさそうだけど……ただ、行動に対する反応はこっちの姿の方が良いかもしれないわね)」

――しかし、純粋に彼の放つ波長が気になった鈴仙にとっては、こちらの姿の方が都合が良い。
単なる殻に過ぎない矢車と違い、松山が相手ならば、鈴仙の狂気の瞳も有効である。


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