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【深遠なる】鈴仙奮闘記24【蒼きフィールド】


[146]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/12/19(金) 00:07:25 ID:???
鈴仙「――こ、これは……!?」

さとり「……気を付けて下さい。 ――どうやら私達……彼のトラウマに、取り込まれつつあるみたい……!」

ブウウ……ン! ブウウ………ッ……ン、ンン……!!

つまり、松山の記憶の鼓動は、さとりの瞳から溢れる程に強烈だった。
また、他者の精神の波長を読み取るらしい鈴仙の狂気の瞳と、さとりの第三の目とに親和性があった事も災いした。
さとりによって読み取られた松山の記憶は、鈴仙によって波を描いて周囲に拡散し、
やがて牢獄の暗闇をスクリーンに、映像として投影されていく。

――冬の大地。降り積もる雪。夏のラベンダー畑。色彩豊かなパノラマ。学校。仲間。サッカー。試合。敵。敵。地獄。
断片的な単語がビジョンとしてその場に展開されては消え、しかし次第にそのビジョンは暗闇にこびりついていき――。

松山「う、あ……うあぁぁあァァァァアアアアアアアアアアァァァァァァァァアアァァァァァァアァアァァ!」

バァン! …………ザワザワ。 ワーワー……。 キーン、コーン、カーン、コーン……

鈴仙「さ、さとり、さん……? 一体、私達に何が……?」

松山の絶叫と何かが破裂する音を聞いて、意識を一瞬失った鈴仙が再び目を開けると、そこは既に地霊殿の地下牢獄では無かった。
少年少女達の話し声や笑い声が聞こえ、チャイムの音が響き渡るコンクリート製の建物の広い廊下がどこまでも続く。

さとり「…………」

鈴仙の傍に居たさとりは、茫然とした様子で周囲を見回していた。
どうやら、人の心を読む彼女ですら、こうした状況に陥った事が無いらしい。
普段の無表情が随分と崩れ、年相応の少女らしい焦りと怯えを抱いている様子だ。
さとりは諦めたように溜息を吐くと、鈴仙に向かってこう言った。

さとり「鈴仙さん。 どうやら私達は――松山君の心象世界に、閉じ込められてしまったようです」


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0ch BBS 2007-01-24