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【深遠なる】鈴仙奮闘記24【蒼きフィールド】


[61]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/12/15(月) 23:45:06 ID:???
***

試合が終わって暫く経ち、午後の部までには時間がある。
観客は帰り、選手もまた疲れた身体を休めていた頃。
――サッカーコートを出てすぐ、人の出入りが少ない路地裏には二人の少年が居た。

岬「……申し訳ないが、僕は少し忙しくって。 君との再開は本当に心待ちにしていたんだけど――」

一人は中性的な顔つき、魅力的な笑顔を絶やさぬ好青年にして稀代の詐欺師・岬太郎。
間一髪で首を繋いだ彼は、内心で酷く苛立ち―――そして疲れていた。

謎のサッカー少年「……落ちぶれたな、岬太郎。 ――残念だ」

そして、彼の疲労の原因を正確に突いてくる、地味なのっぽの少年の言葉は、
今の岬にとって最高に腹立たしく、そして屈辱的なものだった。

岬「あ、あはは……。 やっぱり、君もそう思うよね?
でも僕だって本当はあんな卑怯なプレー、やりたくなかったんだよ?
だけど、あの仙人達に脅迫されて仕方なく――」

岬は駄目元で通らない筈の方便を試してみる。
神の目線から見たら言い訳にもならない、詰まらぬ責任転嫁ではあったが、
それでもこの限定された場において、それなり以上の説得力と切迫感を与える彼の才能は本物だった。
もしもこの場にいたのが凡庸な若者であれば、この言い逃れですら7〜8割方の成功率を誇っていただろう。
しかし――。

謎のサッカー少年「……俺はお前の抜け目ない機転・知恵――まさしく『マリーシア』は昔から凄いと思っていた。
しかし、今日の試合のお前は単なる小悪党。 品の無い『マランダラージ』に過ぎなかった。
――長期的な利得に目を奪われ、周囲の好感を切り売りしている。
……昔のお前は、長期的な利得も、短期的な好感も。 両方を抜け目なく得ている印象だったんだが」


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0ch BBS 2007-01-24