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【早苗】鈴仙奮闘記28【サッカー好きか?】


[376]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/05/04(月) 19:57:00 ID:???
ピエールは心底、この眼前の神に翻弄され続ける哀れな少女を想って、最後にそう言い切った。
それは金持ちの家の息子として、フランス一のサッカー選手として、
周囲の遠大な損得感情に翻弄される自分自身への問いかけにも近かった。
早苗はポカンとして、ピエールが暴露した内容を全て聞いていて、暫く黙っていた。

ピエール「……この事を君に話したのは、完全に俺のエゴだ。
君はこの事を知らなかった方が、きっと幸せだったに違いない。
でも、……俺は見てみたかった。純真な君が、神の残酷さを知ってどう感じ、どう行動するのかを」

早苗はどうするだろうか。これまで信じていた神に裏切られたと知り、復讐を決意するだろうか。
そうで無くとも、これまでの自身の行為の無価値さを知り、改めて自立に向かうだろうか。
結果から言うと、早苗の反応はピエールが考えていたどの反応とも違っていた。
彼女はあっけらかんとした口調と表情で、少年に対してこう言ってのけた。

早苗「……実は。何となくそうなんじゃないかって、思ってました。その時は余裕が無かったですけど。
でも、関係無いです。私は神奈子様がたの意志がそんな残酷だったとしても。
――私は、やっぱりあの方々に、信仰を注ぎ続けます」

ピエール「えっ……?」

次に驚いた表情を魅せるのはピエールだった。
彼にとって早苗の言ってのけた言葉――神奈子達の黒い意図を知っても尚、自分は神を信じ続ける――が、俄かに信じがたかった。

ピエール「な、何故だ! あの女性たちは、君に対して間接的にとはいえ、むごい仕打ちをしたじゃないか!
家族としての情愛を大事にしたいという、君の気持ちも分かる。
だが、それは良く無い事だ! 君には君としての人生がある筈なんだ! 君は、自分自身を大事にすべきだ!」

早苗「……ねぇ、ピエールさん。こんな話、知ってますか」

自分自身を疎んずるような早苗の言葉に、ピエールは思わず感情的になってしまう。
しかしそんなピエールを遮るように、早苗は人差し指をピンと上に突き出して話を始める。


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0ch BBS 2007-01-24