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【早苗】鈴仙奮闘記28【サッカー好きか?】


[387]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/05/05(火) 01:37:14 ID:???
鈴仙「(まあ……不確かな事を新聞に書く訳にもいかないしねぇ)」

鈴仙はそこまで思って、いつか永遠亭にも来ていた、もう一人の天狗の事がふと脳裏によぎった。
真面目で礼儀正しそうな物腰、清楚さを感じさせる長めな黒のボブカット。
しかしその実はかなり俗悪的かつ慇懃無礼、プライドが高く配慮の無い山師。
好感を覚えるタイプではまずない。鈴仙の中において、射命丸文とはそんな人物だった。

鈴仙「(はたてじゃなくてあのブン屋だったら、喜びいさんで何でも書いてそうだけどね。
……まあ、ある意味あのずうずうしさとかは羨ましくはあるけどね。
私だったら体面やら何やらが怖いから、記者なんて絶対できないなぁ……。
何か仕事をやるなら、内勤の事務職員が良いかしらね。 ……いや、それも向いてないか)」

偉くさった上司にお茶を淹れようとして中身をブチかます自分の姿を想像しながら、鈴仙は新聞記事を読み返す。
聖徳ホウリューズに関する情報は無かったが、それでも一応記事はこまめにチェックしている。

鈴仙「(――あれ。噂をしたら影、って言うけれど)」

どうでも良い天狗内の勢力争いしかない政治欄に、たまたま鈴仙の脳裏に思い浮かんだ人物に関する記載があった。
その記事は小さな枠に囲った数行の短い物だったが、他のどんな記事よりも鈴仙の興味を引いた。
記事のタイトルには、こう書かれていた。

−妖怪の山FCキャプテン、追放か 〜苦境に立たされるサッカー政策〜−

鈴仙「(妖怪の山FCキャプテン……って、射命丸の事よね。それが……追放?
追放ってどんだけヤバイのか良く分からないけど、やっぱり天狗社会も大変なのね……)」

――この記事を見た鈴仙は、ほんの少しだけ射命丸に同情したが。
彼女を詳しく知らない部外者である上、天狗社会にも疎い鈴仙には到底全てを理解出来なかった。
即ち。射命丸文がこの数行の中で、如何に追い詰められ苦しんでいたかについてを。


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0ch BBS 2007-01-24