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【早苗】鈴仙奮闘記28【サッカー好きか?】


[405]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/05/05(火) 15:28:00 ID:???
再び室内がざわついた。とはいえそれは先程の無礼な口調に対する憤りでは無い。
部屋の連中はこぞって、自分達の目論見を一瞬で看破した、射命丸の明晰な頭脳と冷静な判断力に驚いていたのである。
射命丸は天狗社会での出世には興味は無かったが、決して無能な訳では無い。
むしろ、彼女さえその気になれば、今真正面で苛立たしげに鼻をこする小人の天狗をも出し抜き、
出世街道を突っ走る事すらあながち不可能では無いのだ。

射命丸「……まあ。とはいえ私は依然弱い立場です。これ以上の譲歩を引き出すのは難しいのでしょう。
――ですから、私はどの道この条件を呑むしかないんです。
だから今のは万年主任な私の、負け犬の遠吠えだと思っててください。
次長様課長様がたにこれ以上、無礼な発言をしてはいけませんからね」

鼻高天狗は何か言いたそうにしていたが、冷や汗を垂らしながらも気丈な射命丸の抗弁を前に、
最初のような高圧的な口調をする事が出来なくなっていた。
彼は射命丸が自身の条件――次の紅魔スカーレットムーンズとの試合に勝利すれば、チーム及び射命丸には手を出さない――
を呑んでくれた事で一応満足し、彼女を部屋から退室させた。

山伏天狗「……あれが射命丸文か。確かに、彼女は現体制にとって脅威だろうよ」

委員会の中で珍しく鼻高天狗で無い老人――新聞の印刷業をかつて管理していた山伏天狗の少丞はそう呟いた。
彼だけは『射命丸って案外大したことなくね?』というフレーズを聞いた時も、下卑た笑いを浮かべて居なかった。

山伏天狗「現状の権力に擦り寄らず、人間や妖精と言った、かつて我々が見下し侮っていた種族とも交流を深めている。
あの委員長や今の大天狗様のような保守派にとっては、射命丸文はさぞ不気味な存在だろうよ」

かつて守矢神社が山に建った事で、博麗の巫女が予告なく妖怪の山に立ち入った時、
かつての大天狗が、並み居る白狼天狗の剣豪や鼻高天狗の高級事務官を寄越さず、
万年主任の無能記者である筈の射命丸文をみずから指名して、監視と足止めに向かわせた事を彼は思い出す。

山伏天狗「(……結局の所、サッカーチームの低迷だとかは取ってつけた言い訳にすぎん。
今の無能な事務連中は、何としてでも自分達の秩序を乱しかねん射命丸文を消したいんじゃろうな)」


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0ch BBS 2007-01-24