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【早苗】鈴仙奮闘記28【サッカー好きか?】


[487]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/05/10(日) 02:12:43 ID:???
〜回想シーン〜
−???−

――私は物心ついた時から、自分自身こそが物語の主人公だと信じて疑っていなかった。
実際、私には溢れた才能があると思っていた。
里の子ども達でも中心的存在だったし、ほんの些細なレベルだけど魔法もどきの退魔術も使えた。
もっとも、子ども間の人間関係なんて流動的だし、退魔術くらい、
陰陽師とかの子どもだったらある程度使えても不思議ではなく、むしろ自分より上もゴロゴロいた。
勉強はそこそこだったし、スポーツも上の下くらい。
要するに、客観的に見て幼少時の私はどこまでも『普通』に過ぎなかった。
そして、それにも関わらず、私は自分が間違い無く特別な存在だと信じていた。

……だから、家を勘当され魔法の森で住み込む事になっても後悔はないし、
むしろ普通じゃない境遇が重なった自分は、間違い無く主人公なのだという確信を強めてくれた。
途中で深い夜のローブを纏った足の無い魔女に師事し、昔から興味のあった魔術の力を強めた。
師匠は厳しかったが、周囲にライバルが居なかった事もあり、自分は師匠を除けば最強の魔法使いだと思っていた。
あの時、私は途方も無くバカだったけれど。その代わり、途方も無く幸福だったと今では思う。
そんな夢のような幼年期が終わり、辛い現実に曝されたのは何時だったろうか。

「……邪魔よ! どいて!」

「――ふふっ。あのお方の所には行かせないよ。貴女にはここで少しばかり遊んでて貰うわ。
 もっとも、あたいがあんたをアンタを倒しちゃっても良いんだし……キャハハハハッ!!」

――ああ、間違いない。黒歴史だ。
その当時の私は師匠の命令を受け、今ではおよそ考えられないバカ笑いで、
自分と同い年くらいの亀に乗った少女を一撃で焼き尽くそうと算段を立てていた。


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0ch BBS 2007-01-24