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【早苗】鈴仙奮闘記28【サッカー好きか?】


[558]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/05/15(金) 23:38:02 ID:???
魔理沙は霊夢のパスを受け、再度『ファイナルスパーク』ではなく『マスタースパーク』を放った。
この時点で、魔理沙だけで無く針妙丸や天子、
稀に霊夢のミドルシュートを幾度と受けていたさとりは疲労していたため、
今大会全体ではややパッとしない威力の『マスタースパーク』でも、充分有利な勝負という事は明らか。
そのため、運でも気力でも何でもなく、さとりがこうして吹き飛ばされるのは必然だった。

――ピィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッ!
ピッ、ピッ。ピィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッ!!

魔理沙「……うん、よし。 ……やったぜぇぇぇぇっ!!」

4点目のゴールと試合の終了を告げるホイッスルが鳴り、
魔理沙は彼女らしからぬ小さな声でそう呟いた後、大きく叫び直した。
その顔は一瞬だけ曇っていたが、すぐにいつも通りの傍若無人で大胆不敵な満面の笑みに変わっていた。
魔理沙のこの微妙な表情の変化は、あまりに一瞬だったが――それに気付かぬ者も居ないでもない。
その一例が、魔理沙のすぐ近くで無表情ながら敗北感を噛みしめていた、覚妖怪の少女だった。
さとりは魔理沙から比較的近くの距離でゴールを守っていたため、彼女の心の一端を読む事ができていた。

さとり「……魔理沙さん。貴女は今ゴールを決めた時、嬉しそうではなかった」

魔理沙「………」

さとりは魔理沙とすれ違いざまにそれだけ伝えた。魔理沙は黙って何も答えなかった。
その明るくも虚ろな目線の先には、先程自分をアシストしてくれた巫女の姿が映っていた。
彼女の姿を見て、この金髪の小柄な少女は何を想ったか。

さとり「(『私は、霊夢と並び立ちたかったのに……』――ですか。
彼女にとってはやはり、あの努力の成果である『ファイナルスパーク』こそが、大きな心の拠り所だったようね……)」

さとりは敢えて、魔理沙が何を想っていたかを口に出すのは避けるようにした。
それを伝えたら、彼女の中の何かが修復不可能なまでに壊れてしまうような気がしたからだ。
そのまま、さとりは敗者に相応しくとぼとぼと自チームの控室へと戻って行った。


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0ch BBS 2007-01-24