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【早苗】鈴仙奮闘記28【サッカー好きか?】


[567]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/05/16(土) 22:12:35 ID:???
そして結論から言うと、鈴仙の財布は簡単に見つかった。
さっき座っていた観客席に、柔らかい黒髪の、屈託のない少年が鈴仙を待っていてくれていた。
その片手にボロボロになった、人参柄の財布を持って。

少年「――やあ。待っていて良かった。落としていましたよ、これ」

鈴仙「……。待ちなさい。貴方は、いや、あんたは………!!」

その少年はまるで天使のように爽やかに笑う。
先程ぶつかった時は全く印象が無かったが、鈴仙は彼の顔を知っていた。
少年は丁寧に鈴仙の古サイフを差し出して、こう挨拶をした。

岬「既にこの僕――岬太郎の事はご存知のようだね、鈴仙・優曇華院・イナバさん。遭いたかった。
貴女については、妖夢さんから色々と話を聞いているよ」

彼の名は岬太郎。聖徳ホウリューズを率いる豊聡耳神子の片腕として暗躍する、笑顔と策謀のアーティスト。
天性的な詐欺の才能で多くの人間のファンを幻想郷にも作りつつ、
その裏では鈴仙のマスターたるパチュリーを負傷させた張本人。
また、妖夢の才能を見出し、神子が主宰する『ハイパーカンピオーネ』計画のスカウトを行った人物でもある。
そんな彼が今突然、鈴仙の眼前に姿を現したのだった。

鈴仙「……そりゃあどうも。ありがとうございます」

流石の鈴仙も、妖夢やパチュリーの発言から彼の素性を幾らか知っているため、
如何に彼が柔和な姿勢で語り掛けて来たとしても油断はしない。
鈴仙は敢えてぶっきらぼうに応じるが、予想通りの態度だったためか、岬は全く怯まずこう返す。

岬「やあ。そんな怯えた表情をされても困るな。僕は単純に、君の落とした財布を拾っただけなんだから。
……もっとも、ついでに立ち話も出来れば、とは思っていたけどね」

――どう考えても、後者の方が本題である事は明白に思えた。
岬のペースに惑わされぬよう、鈴仙はゴクリと唾を呑みこんで、強く彼を睨む事にした。


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0ch BBS 2007-01-24