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【早苗】鈴仙奮闘記28【サッカー好きか?】


[605]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/05/22(金) 00:46:16 ID:???
岬は素直な気持ちで自嘲的な笑みを浮かべつつ、まずは鈴仙にこう問いかけた。

岬「シュレーディンガーの猫の話については、勿論知っているよね」

鈴仙「まあ、その位は。一匹の猫を、50%の確率で致死性の毒ガスが出る装置のついた箱に入れる。
そうなると、私達の誰かがその箱の中を観測するまでは、箱の中の猫は50%生きていて、50%死んでいるような。
そんな重なりあった状態で世界に存在しているとか。そんな感じの話ですよね」

岬「そうそう」

岬はのどかに頷いて、観客席にゆっくりと座りなおした。
岬は鈴仙を見てから、自分の隣の座席を指し示したが、鈴仙はそれを無視して立ち続ける。

岬「……まあ、中学二年生なら誰でも知ってる、量子力学の観測問題の分かり易い問題提起だ。
だけど、今回の話はどっちかと言えば多世界解釈の次元かな」

鈴仙「コペンハーゲン的な話? 世界は一つで無い。波のようにゆらぎながら、観測される数だけ無数に存在する……みたいな。
――それが、師匠の真意とどう関係があるのかしら?」

岬「それについては、……話を箱の中にある猫に戻させて貰おうか。
さっきの話は50%で死ぬ装置を箱に取り付けたという話だったよね。その延長で考えて欲しいんだ。
――もしも、70%で死ぬ装置が、箱に取り付けてあったら?
――もしも、99%で死ぬ装置が、箱に取りつけてあったら?
――もしも、99.999999999999999999999999999999999999999999……%で死ぬ装置だったら?
その場合でも、箱の中の猫は、50:50で存在していると思うかい?」

鈴仙「……まあ、敢えてシュレーディンガーの猫風に言ったら。その箱の中の猫は、
99.999999999999999999999999999999999999999999……%死んでるんじゃないかしら。
殆ど虫の息と言っても良い気がするわね」

岬「そうだよね。だけど事実には虫の息の猫は100%存在しえない。死んだ猫か、元気な猫がいるだけだ。
――さて、ここで問題。もしもこの箱の蓋を開けた時、猫が奇跡的にも生き残っていたら……どうなる?」


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0ch BBS 2007-01-24