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【影の役者】鈴仙奮闘記30【天才の相棒】


[108]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/07/05(日) 00:17:22 ID:Sp+SD2e2

これまでの遠大な岬の行動の意図の全てはまさにそれだった。
自分は途中で神子に捨てられるであろう事は、何となく分かっていた。
しかし、自分は神子に対し社会的な弱みを大量に握られている。だから、そう簡単には裏切りは出来ない。

そのために岬は、神子の命に従いながら、命に従う範囲内で少しずつ『保険』を積み重ねて来た。
ひとつひとつは僅かでか細い保険であり、実際の危機に際して効果があるかどうかは不明。
今回にしても、中山が岬を擁護しない可能性も高かったし、仮にそう動いても当の神子本人に止められる可能性もあった。

岬「(……中山。君はもう少し、自分の立場を考えるべきだったね)」

だが、今回の計画――中山の実直さを利用し、進退の危機に立った際、岬を擁護させる――
を立てるにあたり、岬には何となくのこれが成功するとの確信があった。

岬「(中山政男。――君はあの八雲紫から幻想郷を脅かす者として、危険視されている。
何故なら君は大きな力があるからだ。
目には見えないけれど伝播しやすく、僅かに触れただけで、その者の在り方を変えてしまう、大きな力が。
僕は君と言うよりは、君の持つ強大なその力を、利用させて貰ったんだ。
そう―――君や森崎、そして今や君のチームメイト達が持つ、大いなる『希望』の力をね)」

岬は目を閉じて審判の裁定を待つ。
果たすだけの手はこれまで打って来た。そしてそれを実らすための振る舞いにも心がけて来た。
それでも、審判の裁定は覆らない可能性はある。しかし、今や岬はそれを恐れていない。

岬「(これで少なくとも、僕が豊聡耳神子の完全な言いなりになったとは見なされない筈だ。
そして、神子にしても、公然と裏切り行為を働いていない僕を罰するのは、建前上難しい筈。
……どうだ。聖徳太子。これが僕の……詐欺師としての、持てる全力だ)」


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0ch BBS 2007-01-24