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【影の役者】鈴仙奮闘記30【天才の相棒】


[429]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/07/28(火) 00:45:55 ID:FwGPTSVM
――敵チームの選手すらもが、訝しげに鈴仙を見ている。
一番悔しかったのが、あの小物っぽい高杉が鈴仙の心情に一番近い答えを導いていた事だろうか。
ともかく、鈴仙は最後の引き金。てゐに自分まで『エンシェントデューパー』を撃って貰うよう頼む事ができないでいた。

鈴仙「(な、何が『佳歩を信じる』よ……! 何が『真実の友情〈インビジブルデューパー〉』よ……!
あれだけクヨクヨして、あれだけ慰められて。その結果がこれなの……!?)」

感情が理性に鞭を撃つが、理性は石のように動かない。てゐの足元へ布都と岸田が迫っている。
鈴仙は考えるのをやめ――。



『……ても良いと思う。そうやって割り切れないのが、あなたの良い所だしさ』


鈴仙「……?」


――心の中から、どこか懐かしい声が聞こえた。
その声の主は誰だっただろうか。旧年来の親友だったか、それとも最近仲良くなった誰かか。
暖かい『誰か』の波長は、固くなった鈴仙の心に罅を入れた。


『……裏切られる事を怖がっても良い。ううん。むしろ、裏切られる事を怖がれない人に、人を信じる資格なんて無いよ』


誰かは鈴仙の恐怖を受け入れ、それでもなお、信じる気持ちは大切だと説く。
その声には自責の念があるようにも鈴仙には思えた。
傷つくのが怖くて、それで仲間を信じられずに逃げ出した自分自身に対する自責が。


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