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【影の役者】鈴仙奮闘記30【天才の相棒】


[598]鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/09(日) 19:47:19 ID:fbshiDjU
ウサギB「……ところで、鈴仙さま。一つお願いがあるんです」

鈴仙「え、お願い?」

だから、そんな一人でも何とかしてくれそうなウサギBにお願い事があると聞いた時、
鈴仙は少し驚いた。

ウサギB「はい。……とは言っても、大した事では無いんですけど。
仕事をするにあたって、私にも個としての名前が欲しいんです。
これまでは何とかなったけど、やっぱり、手を広げる際には、名前という信頼が必要って事もあって」

鈴仙「い、いや……別に良いけど。凄い理由ね」

ウサギB「私は今でこそ、探偵やスパイみたいな事しかやってないですけど。
将来は、自分の名前の新聞を世に出したいって思ってるんです。
天狗や人間のためだけじゃない。もっと色んな人や妖怪の為になる新聞を、作ってみたいんです。
そして。そのためにはやっぱり、私の、私としての『名前』が必要になるんです」

ウサギBは切実な瞳で鈴仙にそう訴えかける。その言葉に嘘は無いように思えた。

鈴仙「なるほど。あんたの新聞やデータに懸ける気持ちは分かったわ。
――でも、私なんかで良いの? 貴女の名付け親になるなんて……」

ウサギB「はい。鈴仙さまのお蔭で私は自分に自信を持てるようになりましたし。
それに、データだけでは測れない事象が世の中には沢山あるって事を、教えてくださいました」

額まで綺麗に切りそろえられた真っ直ぐな短髪を揺らして、
純朴そうながらも知性の煌めきを秘めた瞳を鈴仙へと向けるウサギB。
元気そうなイメージの佳歩と外見的な年齢はさして変わらないが、
ウサギBからは、どちらかと言えばインドアな雰囲気を感じる。


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