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【影の役者】鈴仙奮闘記30【天才の相棒】


[696]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/08/18(火) 01:00:10 ID:???
森崎「(……く、くそっ! しまった! 身体が一瞬引き攣ってしまった。
あのシュートを食らえばバラバラになる。たったそれだけの恐怖に引きずられて、動きが鈍った!)」

森崎はレミリアのシュートに対し、万全の体勢でセービングに行けなかった。
威力自体は今の『バイシクルレッドサン』も、先ほどの『ダイレクトレッドサン』も、劇的な差は無いにも関わらず。
だからこれはある意味では偶然だったし、もしかしたらこれまでのセービングによる疲労が遠因かもしれない。
ただ、兎にも角にも、森崎はこのシュートへの動きが遅れた。
そして、超一流クラスにおいてその遅れは命取りだった。

森崎「(同じだ。シュナイダーの『バイシクルレッドサン』と……! 殆ど、同じだ!)」

森崎は恐ろしくも気高いレミリアの横顔に、圧倒的な技巧とパワーにかつてのライバルを想起した。
それが現実逃避であると分かっていても、そうしてしまうだけの力が今のレミリアにはあった。

森崎「(……ポスト! ――は期待出来ん。シュートコースは正面下!
枠外やバーも期待は出来んだろうし、そこにぶち当たるようなしょっぱいFWじゃない、あいつは。
だから――要するに、俺が防げないと、負ける! 点をとられちまう!)」

万事休す。森崎の脳裏にそんな単語がよぎった。
世界一の負けず嫌いで弱気が存在しない森崎すら、今のこのシュートはお手上げだった。

―――――――――――――ゴッ!

強い風が吹き抜ける。いや霧だったか、それとも雲か。雪かもしれない。
それはレミリアのシュートが空を切った際に生じたつむじ風だったろうか。
森崎の意識はその風を受けて、ほんの一瞬だけ飛んでしまっていた。


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0ch BBS 2007-01-24