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【だから武流乃は】ミサト監督の挑戦8【悪くない】


[192]地獄のミサト ◆lHjY1XBi4o :2016/02/01(月) 20:04:24 ID:???
アルバトロスの寮では、奥山と氷野が食堂から動かなかった。
どちらからともなく話す事は、今日の試合についてだ。
どうやればもっと上手くやれたか。どうすればもっと上手くなれるか。
そして…
奥山「…今日ほどサッカーを怖いと思った事はない。」
氷野「ああ。…心細くて、物凄く不安だった。」
苦しい時は、誰もがひとりぼっち。それはピッチの中でも変わらない。
自分達がプロとして生きていくには、乗り越えなくてはならない壁。
奥山「…僕は、パートナーがいた。その相手は今は違う奴と組んでいる。」
目に浮かぶ、苦い敗戦。
奥山「いつかまた、と何度も思ったし、僕にない才能を持つトシに嫉妬したりもした。
でも…今はそんな事はどうでもいいと思っている。
僕は僕だ。それは、直人や皆が教えてくれた。僕は…アルバトロスの司令塔、奥山良だ。」
芽生えた自覚は、奥山にとっても自信となったようだ。
氷野「僕は…マーマと会える位に強くなりたかった。
僕は、私生児だけど…父親の意向で施設にいた。偶に来てくれるマーマが心の支えだった。」
沢山いた腹違いの兄弟。彼らが今何をしているかは知らないし、興味もない。
氷野「僕一人がうまくやれば、きっと上手く回ると思っていたけど…そうじゃないとペトレスクが教えてくれた。」
個人主義的だった氷野が一皮剥けたのは、ペトレスクの指導だった。
氷野「結局…僕は甘かった。僕だけじゃ何も出来ない。我儘を言っても何もならない。
マーマに会う為でなく、マーマから会いに来るような存在にならないと、僕はずっと父親の影を追うことになる。
僕は…ちがう方法で父親を越える。そして…」
そこからの言葉は、奥山にとって意外なものだった。

氷野「僕を導いてくれたペトレスクを越えたい。ペトレスクが安心していられるような後継者に、僕はなる。」

そうか、と奥山は言うと…食堂から立ち上がる。氷野もだ。
越えたい存在がいる。自分は自分として戦う事を教えてくれた人がいる。
部屋に戻る二人の背中は、試合前よりもひと回りもふた回りも大きく見えたのであった。


0ch BBS 2007-01-24