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【秋空模様の】鈴仙奮闘記36【仏蘭西人形】


[325]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/05/04(水) 01:37:49 ID:CE7B1vVk
――そんな平穏な日々は、反町一樹にとってまさしく理想郷だった。
東邦学園での詰め込み教育でも無い、日向による恐怖政治でも無い、
森崎による極端な競争社会でも無い、自由で独立した学生生活。
フランスの自由で合理的な気風は、反町に非常にマッチしていた。

穣子「どうしたの〜、一樹君? そんなにニヤニヤしちゃって」

反町「……あ、ああ。うん。良かったなぁと思って、フランスに来れて」

ある日の放課後、誰も居なくなった教室で、反町は穣子と二人きりで話をしていた。

反町「自由だけど秩序を大事にしている気風も良かったし、
    サッカーの練習設備もしっかりしているし、それに……自分に自信を付ける事ができた、気がするし」

穣子「自信ってもしかして、文化祭でナポレオン君に勝っちゃった時の事がきっかけ?
   あのときの一樹君、とってもカッコ良かったよ〜。一樹君、まるで騎士様みたいだったもん」

反町「あはは……。まあ、そうだけど。穣子さんを守りたいという一心で、何時の間にか運よく勝ってたというか……」

穣子「……あれは運じゃない。一樹君の、強さだったよ。自分を信じる強さ。
   それが強かったからこそ、一樹君は持てる力の全てを発揮できた。
   ――人間は、信じる力があれば、変わる事ができるんだよ」

反町「穣子さん……」

反町はふと隣に座る穣子の顔を見る。
いつも通りの元気で明るくて、何もかもを受け入れてくれそうな、温かな笑み。
普段は当たり前のように見ているそんな笑顔は、とても尊いものだと反町は気付く。


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