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【秋空模様の】鈴仙奮闘記36【仏蘭西人形】


[524]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/05/29(日) 02:51:42 ID:???
穣子「違うよ……一樹君は、そんな事。本当は思ってない」

穣子は虚ろな反町に対してそう断言した。

穣子「一樹君はずっと私達の事を想ってくれていた。でも、それだけじゃない……!」

反町「…………」

反町は泣きながら必死になって何かを伝えようとする穣子の綺麗な顔を静かに見つめていた。見つめる事しかできなかった。

穣子「……一樹君は、本当は自分も輝きたいって思ってる。日向くんや森崎くんや翼くん。ピエールくんみたいに、
   私達だけじゃなく、みんなを守れるような強い男になりたいって思ってる。
   でも、一樹君は賢いから、自分がそんな事を言うのはおこがましいってハッキリ認識しちゃってる。
   だから、今みたいにすぐに諦めちゃうの。言いたい事を誤魔化して、これが自分の意思だって言い聞かせて……」

反町「それは……」

違う、とは言えなかった。その理由が何かを思いつかないでいる間に、穣子は不意にこう切り出した。

穣子「――あのね、一樹君。神様と、普通の人間とか妖怪との違いって、何だと思う?」

突然の質問に対し、反町は過去に彼女から同じような質問を受けていた事を思い出しながら答える。

反町「……人間や妖怪は、肉体もしくは精神的な『自身』さえあれば成り立つ。だけど、神はそうじゃない。
   自分以外の誰かからの『信仰』があって初めて、神は神たりえる……」

かつて反町は信仰を失い、自らを失いかけた秋姉妹の境遇を見て来た。それは、愛情等を抜きにしても間違いなく、
反町が彼女達を救いたい、守りたいと思ったきっかけだった。そして、それは今も変わっていない。
だが、穣子が反町の答えを聞くと僅かに首を振り、少しだけ訂正を加えた。


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0ch BBS 2007-01-24