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【秋空模様の】鈴仙奮闘記36【仏蘭西人形】


[525]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/05/29(日) 02:54:41 ID:???
穣子「うん。それで大体あってるけれど、正確には違うんだ。神様と、そうじゃない人間や妖怪達。
    この二つの違いはね……本当は、そんなに変わらないの。
    肉体を持った人間だって、他者からの信仰を受ければ現人神になれるし、
    精神に依拠する妖怪も、強い信仰によって仏神になったりもする。
    ――だから、要するに。神様ってのは、私やお姉ちゃんだけじゃなくって……」

穣子は反町の手を握る。その手はすべすべとして柔らかい――文化祭で握った時と同じだった。
そして、彼女は反町に対して自分が伝えたい事を言いきった。

穣子「一樹君は、私にとっての神様なの。私に、神様として生きる勇気と希望を与えてくれた……!
   私は、一樹君の事を信じてるの。――だから……私の信仰に答えて。
   今みたいな絶望的な状況の中でも、私達を、皆を守ってみせるって、言いたい事を、言ってみせて……!!」

反町「……俺、は……!」

ここまで言われて、はっきりと分かった。
――反町は言いたい事を言えないのみに留まらず、自分が言いたい事が何であるかすらを、
心の底に封じ込めて分からないようにしていたのだ。

反町「(――俺は。本当は日向に憧れていたのかもしれない……)」

そして、反町の心は初めて自分自身に対して素直になった。
これまでの自分を回顧し、今自分にできる事が何かを謙虚に模索し続ける。

反町「(……いや。憧れていたのは、日向だけじゃない。穣子さんの言う通り、森崎や翼やピエールみたいな、
    いつも皆の中心であるような、そんな選手達に対して、強い憧れと、劣等感を持っていた……。
    自分もこうなりたかった、でもなれなかった。そんな想いが、ずっとあった……)
    でも……だからって。俺は今すぐ、ピエールにはなれない」

穣子「……分かってるよ。だけど――一樹君には。ううん。私達と一樹君にしかできない事って、きっとある筈だよ」

反町「俺と、穣子さん達でしか、できない事……?」


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0ch BBS 2007-01-24