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【秋空模様の】鈴仙奮闘記36【仏蘭西人形】


[617]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/06/05(日) 01:44:50 ID:xzJA8fMk
実況「ボールをフォローしたボルン選手、そのまま前方へとボールをクリア!
    これには先程のワンツーにより陣形を乱したピエール選手、早苗選手に代わって、
    比較的手の空いていた岬選手がフォローに向かいます!」

岬「……僕はかつて、自分の知恵や立ち回りが馬鹿らしく思える位に優秀な人物の下で働いて来た。
  そこでは色々な経験をした。煮え湯を飲まされた時もあって、考え方を改めた事も多かった。
  だけど、それでも決して変える気が無い考え方が一つある。それは……」

静葉「――『人間の感情とは即ち、損得勘定の上に成り立っているに過ぎない……』かしら?
   それなら、ここまでの貴方の一連のプレーを見ていて理解出来たわ」

岬に並んでボールカットへと向かうのは、先ほどの得点チャンス時に、やや後ろ目の地点で待機していた静葉だった。
ふと独り言ちた岬の言葉に応じながら、彼女は最後の可能性を捨てずに走っていた。

岬「正解さ。……ただ、ひとつ誤解をしないで貰いたいのは、決して僕は人の感情を軽視している訳じゃない。
  僕は君たちの怒り、悲しみ、そして『愛』とやらが厄介な代物であると理解しているし、それを馬鹿にする気持ちも一切ない。
  あくまで、その感情っていうのは、皆が思う程そんなに綺麗な物じゃないと言いたいだけさ」

静葉「……私を揺さぶっているつもりかしら?」

岬「まあね。君達が言う反町君への『愛』やら『信仰』とやらも、きっとそうなんじゃないかと思って。
  結局は、自分を良い気分にさせてくれる。自分の神格を確固たるものにしてくれる……。
  そうした即物的な利益のやり取りこそが、愛や信仰の真実の姿じゃないかってさ。
  ――ねえ君。正直に言ってごらん。……二回もゴールを外した反町君の動きを見て、君。ガッカリしたんじゃないかなぁ」

静葉「……!」


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0ch BBS 2007-01-24