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【秋空模様の】鈴仙奮闘記36【仏蘭西人形】


[814]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/06/23(木) 00:47:51 ID:3ryHKINg
C:「…………」敢えて言いたい事を語らない。それでピエールも分かってくれる筈だ。

反町「(……いや。雄弁が必ずしも良いとは限らない。俺は、俺らしくいよう)」

反町は言いたい事を言わなかった。

反町「(普通の漫画とか小説の主人公だったら、ここで熱血に、ピエール横っ面を叩いてやったのかもしれない。
    あるいは、仲間と一緒に和解を求めるのかもしれないし、説教をしてみせるのかもしれない。
    ――だけど、それを俺が今ここでやる必要は無い。誰かが、代わりにやってくれる)」

反町が至った境地は、一見してこれまでの小市民然とした事なかれ主義と変わらない。
しかし、その内心において大きく異なる。権力や周囲の雰囲気に萎縮し、やむなく言いたい言葉を封じるのではなく、
今の彼は、確固たる自信の下、言いたい事を敢えて言わない事を『選択』していた。
そして、そんな反町の選択は正しかった。

ナポレオン「テメェ、どの面下げて突っ立ってるんだ、ああん!?」

バシイッ!

ピエール「……ハハ。悪いな、ナポレオン。俺は少し、どうかしていたようだ」

ナポレオン「どうかしていただと? ふざけんなよオイ。お前がちょっと気を違えたくらいで、
       意味不明な試合の片棒を担ぐなんてあり得ねえんだ。どういう事情かは敢えて訊かないでやるがよ。
       もうちょっと仲間に相談でもしたらどうだったんだ!?」

ピエール「だったら。俺が相談していたら助けてくれてたかい、ナポレオン?」

ナポレオン「バーカ。誰がテメエなんて助けるか。悩みなら自分で解決しろ。それが不良の世界の常識だ。
       ――ま。暫く練習に付き合ってやる位なら、したかもしれねえがな」


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0ch BBS 2007-01-24