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【秋空模様の】鈴仙奮闘記36【仏蘭西人形】


[832]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/06/27(月) 00:36:10 ID:???
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……気付けば反町は、ひらり、はらりと紅葉の舞う場所に立っていた。
どこかで見た事があるような、しかしどこにも無いような幻想的な空間に独り居るにも関わらず、
不思議と孤独感や不安感は覚えなかった。

??「――ねぇ。キミ、寒くないの?」

そこには気付けば、一人の少女が立っていた。
銀杏を落とした川のように、さらっとして綺麗な金色の髪。
大きな鳶色の瞳は瑞々しい果実で、すらりと伸びた手足は稲の穂のようにしなやかだった。
反町はその少女を知っていた。

反町「穣子さん。……俺は、本当に貴女の事が好きだったのでしょうか……?」

反町が幻想郷で一番最初に親しくなり、そしてそのまま恋仲まで発展した収穫と豊穣の神。
神にも関わらず素性はとても純朴で愛らしい穣子を、今や反町は直視できなかった。

穣子「……大丈夫。あなたは、昔からずうっと私を信じてくれました。
    ありがとう。ずっと、ずっと……会いたかった」

――穣子は、優しく反町に語り掛けた。
普段の子どもっぽい口調とは違う、穏やかで大人びた佇まいは、
本物の女神のような(本物の女神なのだが)を想起させた。

反町「昔から……?」

穣子「ええ。だから、私達は巡り合えた。そして、きっとこれからも……」

穣子はそれだけを言い残すと、秋の色に解けていった。
――決して終わる事の無い紅葉の雨が降り注ぎ、永遠の豊穣を喜ぶ楽園の中。
反町は再び孤独に取り残された。


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