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【秋空模様の】鈴仙奮闘記36【仏蘭西人形】


[834]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/06/27(月) 00:40:45 ID:???
5人掛けのコンパートメントで、反町の隣に静葉は座っていた。
向こうには穣子がアリスさんと早苗の隣、反町とは斜め正面の位置で押し黙っている中。
――反町の『悩み事』を知る静葉は、穣子に悟られないような小さい声で、不意にこう囁いた。

静葉「この前の試合を思い出してみて。貴方は、貴方が思っている以上に力を持っている。
   それを正しく認識して使う事が出来るなら。……だから、自分自身を信じて。一樹君」

反町「静葉、さん……?」

静葉「――本当は、私に出る幕なんて無かったもの。貴方は優しいから色々と考えるでしょうけど、
    今だけは考えなくても良い。……だから、フランスを発つまでに、あの子に答えを示してあげて」

反町「静葉さん、待ってください。俺はまだやっぱり分からない。答えって一体……!」

静葉「あ〜。楽しい学校生活ももう終わりかぁ。これからウン十年間も社会の歯車になるくらいなら、
   もう人生終わりにしちゃおうかなぁ〜♪」チャキッ

穣子「え!? お姉ちゃんまた死んじゃうの!? いやー、死なないでぇー!?」

反町が静葉の真意を聞こうにも、これ以上は許さないとカッターナイフを振り回されて分からない。
ただ一つ確かなのは、静葉が反町と穣子との間に抱える問題を知り、理解した上で。
――自らの想いを押し殺してでも、二人が幸せになれる方法を考えてくれているという事だけだった。


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