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【秋空模様の】鈴仙奮闘記36【仏蘭西人形】


[840]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/06/28(火) 00:54:20 ID:???
早苗は挨拶の代わりに、反町の頭をぺちんと叩いた。
本気で殴られた訳では無いので痛みはないが、それでも不意を突かれた事にびっくりして後ずさる。
そんな反町を見て、早苗は笑顔で、一言だけ言いたい事を言う事にした。

早苗「言いたい事を言わずとも、言葉は伝わる。貴方が教えてくれた事ですよ、反町君?」

早苗はこれまで反町の無言の言葉に感銘を受け、刺激され、そして教えられてきた。
神や妖怪では無く、同年代の少女だからこそ、早苗は反町に対して等身大のエールを送れた。
そして――ここで漸く、バス内での静葉の視線が、あの時から見ていた夢が、これまでの自分の人生が、
目の前に居る少女の淋しげな後ろ姿へと繋がった。

反町「……穣子さん」

穣子「一樹、君……」

だから、早苗が去ってからすぐに、反町は意を決して穣子に声を掛けた。
穣子は一瞬だけ目を見開くも、その後反町の意志を察して真剣な表情を作った。

静葉「(――分かってくれた)……アリスさん。私達ちょっと外しましょうか」

アリス「え? 何で?」

静葉「(この人、悪い人じゃないのは充分分かったけど、本当に空気が読めないのね……)
    ――良いから、行きましょう。フランスみやげで、 しゃぶしゃぶ とか一緒に買いましょう」

アリス「え!? 一緒にお買い物!? それってあの、『リアルが充実している人』のみが体験できるという、
    恍惚めいた神聖体験の事……!? 行く、是非行くわ!」

静葉「――そう、良かった(……『皆』ももうすぐ来る事でしょうし。頑張るのよ、反町君……)」


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0ch BBS 2007-01-24