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【秋空模様の】鈴仙奮闘記36【仏蘭西人形】


[841]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/06/28(火) 00:55:35 ID:???
早苗が去り、静葉とアリスさんが自然と反町から離れたため、待合室は暫くの間、反町と穣子の二人きりになった。
沈黙が場を支配する中、口火を切ったのは穣子だった。

穣子「考えてくれたんだよね。色々と……」

反町は何も言わなかった。しかし、その無言はこれまでのような嫌な無言ではない。
彼はフランスでの修行で、言いたい事を言わずとも自分の意思を伝えられる術を身に着けていたのを、
静葉や早苗のお蔭で思い出していた。

反町「――――」

ぎゅっ……。

穣子「ふ、ふええっ!?」

だから反町は、穣子の呼びかけに答える代わりに、彼女の手を握った。
手を握った事は初めてでは無いし、それ以上の事をした経験だってある。

反町「………!」

じっ……。

反町は次に、穣子の瞳をしっかりと見た。
絶対に離さない。だけど、絶対に後悔しない。後悔させない。
彼の無言のメッセージは、穣子にも確かに伝わっていた。

穣子「――無理だよ。私達、きっとずっとは幸せになれないよ……。
    幻想の世界と現実の世界とは決して交じり合えないんだよ、やっぱり……」


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