※人気投票開催中※
01/17(日)00:00-01/30(土)23:59
第二回鈴仙奮闘記キャラ人気投票
※新板できました※
ダイス創作物語板
ブログ 現行スレ 投票 最新20

1- レス

【追う蜃気楼は】鈴仙奮闘記39【誰が背か】


[205]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/05/10(水) 00:24:44 ID:???

さとり様の方も、いつまで経っても気圧されてはいない様子。
改めて心を読み取ったのか、彼女の意図と悪意を理解したようで、
今度は暗いながらも凛とした、真剣な視線をメイドに向けている。
そして、僅かにあたいの方に目配せしてから、こう言った。

「――分かりました。貴女の依頼とやらに乗りましょう」

わなわなと震えるさとり様の背中を見やる。それは相手に手玉に取られた事への屈辱だろうか。
心を読む術のないあたいには、あの方の本当の気持ちが分からない。
こんなにも近しくて、いつもは軽口を叩き合える中であっても、言葉が無いと完全に分かり合えないなんて。
何となく、疎外感を覚えてしまう。だから、

「――お燐。一度しか言わないからよく聞いて」

さとり様が純粋にあたいを信用して、恐らくあのメイドから読み取った情報を即座に小声で伝えてくれたのは嬉しかった。
訝しむ屋敷の住人達を尻目に、さとり様はこう続けた。

「あのメイドは私達を知っている者の変装です。彼女達は……、こいしの居場所を知っていると」
「そう……でしたか」

――最初から知っていた。さとり様が異国の地で探偵稼業を始めた理由。
それは、大会が終わってずっと行方不明だった妹様――こいし様の情報を少しでも得る為だって。
いくらなんでもイギリスには行ってねぇだろってツッコミもあるにはあるが、幻想と現実との境界が失われた今、
無意識に偏在するこいし様はヒトの存在するどの地点に居てもおかしくはない。
だから、あたいはここでは驚かない。驚いたのはこの次だった。戦慄を隠せないままに、さとり様はこう告げたのだ。


「彼女の依頼人は……かつて地霊殿の牢に住んでいた矢車君。
 そして――彼はどうやら、こいしに命を狙われているそうです」



名前

E-mail



0ch BBS 2007-01-24