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【不屈の心は】鈴仙奮闘記40【この胸に】


[492]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/10/17(火) 00:59:07 ID:jjq+ybng
……無軌道なノイズから意識を外して、鈴仙の夢は先に進む。
鈴仙は何時の間にか走っていた。周囲のライバルや、新しい仲間達には目もくれず、
彼女は一目散にある女性の背中を追いかけていた。
そして、表の月面のようなモノクロの地平線の果てに――その女性は居た。
長い銀髪を束ねて、赤と青の対照的な服を纏い、鈴仙の遥か前を進む彼女を、鈴仙は呼び続けた。

鈴仙「――師匠。……ししょおっ!」

何故、自分が呼んでいるのか分からない。振り返って欲しいのか、そのまま無視して欲しいのか。それすらも分からない。
それでも彼女は、ひたすらに師匠の――八意永琳の名を繰り返し呼び続けた。
……そうして呼び続けている間に、何故自分がそうしているのか、思い出した。

鈴仙「私は。鈴仙は……じきに貴女の背中に並び立ちます!
    私は、貴女の後ろには居たくない。貴女に並び立ち――そして、追い越します!」

……そう、だった。それこそが、鈴仙の原初の目的。
鈴仙は、内向きでプライドばかりが高くて、だけど結果を出せない惨めな自分が嫌で。
それで、永琳に並び立てるような、強い自分になりたいと思い――実際に、彼女は強くなった。

鈴仙「だけど……私の目的は今や、それだけじゃない」

強くなったからこそ、鈴仙の世界は大きく開け――そこで、気付く。いや、思い出す。
今の自分の目的は、永琳の背中を追う事だけではなくなっていたのだと。


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