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【不屈の心は】鈴仙奮闘記40【この胸に】


[543]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/10/21(土) 00:06:39 ID:???

コーチ「ゴホッ! ゴホゴホッ! ……ウグッ。ウウウウッ……」

ボタリ。ボトッ、ドバアァァァァッ……。

咳き込むと赤黒い血が手から漏れる。この程度ならば、最近では日常茶飯事だったので驚かない。
しかしその直後、吐き気を覚えて大量の血液を地面にばら撒いた直後では、覚悟せざるを得なかった。
――自分はもう、見る事が出来ないのだと。
彼が晩年愛した義娘が、ブラジルサッカーの大舞台で活躍し、その理想の第一歩を踏み出す、その瞬間を。

コーチ「(もう……時間、切れか……)レイ、セン。……悩む事は無い。そして……先に、進めよ。
     お前一人じゃあない。仲間と。それと……道を違えた友人とも……。お前なら、上手く、やって、いけ……」

……バタリ。

彼女がその声を聴く可能性など万に一つも無い。しかし老人は、そう口にせずには居られなかった。
人知れず去りし老兵など気にせず、天下を取って欲しい。そして、理想を実現して欲しい。
彼は倒れる前に簡単な『工作』を施して――そして、安心しきった表情で彼女を見送った。



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0ch BBS 2007-01-24