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【不屈の心は】鈴仙奮闘記40【この胸に】


[581]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/10/23(月) 00:11:53 ID:???
震えを隠しながら、妖夢は自分に言い聞かせる。自分は、強いと。
全幻想郷選抜大会で実感した、絶望的なまでの自分の弱さを実感して。
そして、血の滲むような鍛錬の結果、望み通りの力を得る事で……自分は変わった筈なのだ。

妖夢「(私のFWとしての能力は、この大会の誰よりも――ザガロ君よりも、ストラット君よりも、ネイ君よりも優れている。
     攻撃力と突破力だけで言えば、翼君やカルロス君よりも優れている。……もちろん、鈴仙よりもだ。
     だから、何も恐れる必要は無い、筈なのに……ッ!)」

妖夢は幾ら考えても、コリンチャンスの試合を前にして、自分がどうしてここまで震えているのかが分からない。

新田「あ、姉御……大丈夫ですか」

妖夢「(新田君……私を、心配してくれてるんだ)」

そんな彼女の内心を察する事が出来たのは新田だけだった。
妖夢の力に憧れ、また他のチームメイトの中で一番多くの言葉を交わしていた新田は、
彼女のちょっとした仕草に違和感を覚え、そう気遣ってくれる。
――そう、彼は純粋な想いから、妖夢を心配して声を掛けてくれているのだ。

妖夢「(駄目だ……。新田君を心配させちゃいけない。彼は、強い私を慕ってくれているんだから。
     私が、こんなに弱い事を考えているなんてバレたら……きっと、彼は失望する。それは嫌だ……!)」

にも拘わらず、今の一人で追い詰められた彼女には、そんな優しさすらも届かない。
妖夢は新田が差し伸べてくれた手を振り払い――。



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