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【道は】鈴仙奮闘記41【違えど】


[781]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/08(月) 02:27:54 ID:???
数時間経って包帯を替える時、改めて両目を開こうとしても、世界は暗黒に包まれたままだった。
敗戦や魅魔の来訪等があり、忘れかけていた”失明”という事実が、少しずつ鈴仙にのしかかっていく。
そして、暗く後ろ向きな不安が頭の中にもたげる。……本当に、このままでサッカーを続けられるのか? と。

鈴仙「(確かに、私は普通の人間と違う。妖力を兼ね備えた、妖怪兎だ。
    だから、肉体による視力に頼らなくても、妖力――精神力に依存する気配察知術を活用すれば、
    たぶん、大体今までどおりにサッカーをする事は出来る……と、思う。訓練すれば。
    でも、それはあくまで大体にしか過ぎない。どうしても視力に頼っていた面もあるし、何より。
    ――これまで私を支えていた、『狂気の瞳』が、全く使えなくなっている)」

鈴仙が持つ、『狂気を操る程度の能力』の源泉である瞳が破壊された今、その能力は使えない。
サッカーの試合においても役立つ場面が多く、この能力によって勝利に導いて来た実績があるだけに、
その能力を喪失したという事実は、これまでに積み上げて来た自信が揺らぐ結果に繋がっていた。

鈴仙「(私は最初、魔界カップの存在を皆に教えて。出来れば、皆と一緒にこの大会に賭けたいと思って、
     この病室に皆を呼んだ筈なのに。私が一番後ろ向きになってるかも……)」

もしも鈴仙が、森崎のような根っからの野心家であるならば、敗戦や多少のハンデがあろうとも、
この魔界カップを最高の好機として、自らの天下取りの新たなる礎としてやろうと思えただろう。
また、中山のようなストイックな努力家であるならば、そもそも余計な事は一切考えず、自らの身が滅びるまで、
目の前にある戦いに身を投じ続けられるだろう。鈴仙は、そのどちらでも無かった。

コーチ「……そいで。鈴仙よ。お主は結局、どう思っとるんじゃゾイ?」

――そんな鈴仙の内心を察してか、沈黙が続く状況を見かねてか。
後方で静観していた老コーチが、鈴仙に対して助け船を出した。

鈴仙「――えっと。私は……」

鈴仙の視界は包帯で塞がれており見えない。しかし、仲間達の視線が自分に集中している事は、何となく分かる。
自分は今、何を思っており、どうしたいと考えているのか。
鈴仙自身だけではない。彼女を案じる者達にとっても、それは重要な問題なのだ。


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0ch BBS 2007-01-24