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【SSです】幻想でない軽業師


[335]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/05(月) 01:01:29 ID:???
椛「本当に自分で良かったんスか? やっぱ白蓮さんとかの方が……」
佐野「もう決まった事だろ、似合ってんぜキャプテンマーク?」
椛「わ、わふ……」
ぬえ「(っていうか別に試合じゃないのにつけてるあたり、なんだかんだでこの天狗もキャプテンになれてうれしいんじゃない?)」

その腕に締めた腕章を見て、佐野が言うと椛は照れたように頭をかき……。
しかし、小さくだが溜息を吐いた。

椛「(嬉しいのは嬉しいんスけど……本当に、いいんスかねぇ……。
   自分はやっぱりあの試合でも勝てなかったどころか、ろくすっぽ活躍すら出来なかったッス。
   ……キャプテン。 いや、佐野くんはもう立ち直って次の道を見据えてるッスけど……)」

出番を求めて命蓮寺へとやってきて、かつてオータムスカイズにいた時よりは大きく成長をして。
更には魔界へまで行って、そこでも大きく成長をして。
――それでも尚、敵わない。いや、敵わないどころか――勝負にすらなっていなかった、反町一樹との対決。

今、こうして佐野はすっかり立ち直り、前向きに留学に行くことに思いを馳せていた。
今よりも更に強くなり、今度こそ勝って見せるという強い気持ちを持っていた。
それはきっと彼の心が強く、そして実際に反町と相対する事が少なかったが為なのだろう。
ただ椛の場合は違う。彼女はDFであり、反町はFW――次に戦う時も、直接相対する関係だ。
その時自分は勝てるのか。この命蓮寺として大会に出て――本当に彼がいるチームに、勝てるのか。

椛も決してネガティブな性格をしている訳ではない。
だが、ここまで積み重なった敗北。練習をし、努力をしてもそれ以上のスピードで離れていく強者たちの背中。
何よりも一切満足のいく結果を出せていないにも関わらず、キャプテンに就任した焦りと、それでも感じてしまう歓び。
努力だけは認められたが、果たして今の自分にそれに見合う実力はあるのか。生真面目であるが故に、椛の悩みは尽きなかった。

椛「(自分にも佐野くん程の強い心か……反町さんみたいな他者を圧倒出来る才能でもありゃいいんスけどね……)」
佐野「ま、後は頼むぜ椛!」
椛「わふ……はいッス」

それでも辛うじて、そういった悩み――苦しみを周囲に出さなかったのは椛なりの意地だった。


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0ch BBS 2007-01-24