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【SSです】幻想でない軽業師


[430]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/22(木) 01:13:11 ID:???
マンチーニ「………………」
佐野「あ、あの、マンチーニ? あいつは……あいつは、何者?」

思わず佐野が近くにいたマンチーニにそう問いかけてしまったのも無理は無い話であった。
これを受けてマンチーニは、やや言いにくそうにしながらもメガネをクイと上げつつ……やはり歯切れ悪く口を開く。

マンチーニ「彼は……うん。 実力自体は、決してそこまで低い訳じゃないんだ。 ……高い訳ではないけど、
      それでもセービング技術に関してはうちでも1番のキーパーなんだ」
佐野「そ、そうなのか?」
マンチーニ「ただその……判断力がね」
佐野「そういう問題じゃない気がする……」

確かに思い返せばDF達の指示から含めて、ブルノの判断は全て裏目ばかりであった。
が、そもそもゴールバーに上るだとか、あまつさえそこから飛び出してクリアーボールをブロックしてしまうだとか、
果たしてそれは『判断力が悪い』という事だけで片づけてしまっていいのか。
佐野の疑問はもっともだったが、マンチーニはそれっきり口を閉ざしてしまい答えは聞けなかった。

佐野「(……え? こんなトンデモが正GKだったの?)」
ブルノ「ぐ、くそっ! まさかこの俺のセービングを掻い潜ってうまくボールをゴールに押し込むとはな!!
    見た目とは違って中々切れるようだな! だが次はそうはいかんぞ!!」
佐野「(え? なんでこんな真っ当な、いかにも俺がライバルでございみたいな口調で話しかけてきてんの?)」

そして当のブルノはといえば、佐野が自身を掻い潜りシュートを放ってボールを当て、
その反動でゴールを決めたと盛大に勘違いし、露骨に悔しがりながらそう息巻いていた。
実際の所はお前がクリアーボールを止めたせいでそれがゴールに入っただけだ、と言いたかったが……、
そんな事を言う気力すら、今の佐野には沸かなかった。


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0ch BBS 2007-01-24