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【サッカーも】キャプテン岬3【ゲームも好き】


[293]キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/04/29(水) 14:55:54 ID:m5u4zQgk



『さて女王は、そんなお追従に耳をかしたり、音楽を聴きいたりしているけれど、その実お客の誰だれ一人にだって、目もくれないの。
六つの大窓が、上から下まで、天井から床ゆかまで、すっかりあけ放たれて、
その外には、大きな星くずをちりばめた暗い夜空や、大きな木々の茂しげった暗い庭があります。女王は、その庭に見入っているの。
そこには、木立こだちのそばに噴水があって、闇やみの中でも白々しらじらと、長く長く、まるで幻まぼろしのように見えています。
女王の耳には、人声や音楽の合間々々に、静かな水音が聞えるのです。女王は、闇に見入りながら、こんなことを考えるの――
皆さん、あなた方はみんな、貴い生れで、賢くて、お金持です。
あなた方は、わたしを取巻いて、わたしの一言一句を重んじて、わたしの足もとで死ぬ覚悟かくごでいらっしゃる。
つまりわたしは、あなた方の生死を、わたしの手に握っているわけです。
……ところが、あの噴水のそばには、あのさわさわと鳴る水のそばには、
わたしの愛する人、わたしの生死をその手に握っている人が、たたずんで、わたしを待っているのよ。
その人は、おごった衣裳も着ていないし、宝石もつけてはいず、誰もその名を知る人はありません。
けれど、その人はわたしを待ち受けているし、また、わたしがきっと行くものと信じきっています。
――ええ、わたしは行きますとも。
一旦わたしが、その人のところへ行って、一緒になろうと思ったら最後、
わたしを引留めるほどの力は、この世のどこにもありはしない。
そこでわたしは、あの人と一緒に、あの庭の暗がりへ、木立のそよぐもとへ、
噴水のさわさわ鳴る陰かげへ、姿を消してしまうの……』





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0ch BBS 2007-01-24