キャプテン森崎 Vol. II 〜Super Morisaki!〜
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【真・東洋の】キャプテン森崎36【守護神】

1 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/27(土) 12:17:08 ID:thPpn4g/
キャプテン森崎は、高橋陽一氏作のサッカー漫画「キャプテン翼」の二次創作です。
大空翼に代わって主人公になった森崎有三を読者の投票によって操作していき、
他のキャラクター達と交流を深めながらサッカー選手として大成するのが目的の
読者参加型企画です。いわゆるゲームブックを想像して頂ければ分かり易いかも。

基本は毎回出る選択肢の中から読者が投票によってどれかひとつを選ぶ事によって
森崎の各数値が上下したり結果が分岐し、その結果によって森崎が活躍したり
しなかったりして物語が進んでいく…といった展開です。例えば敵にシュートを撃たれたら、
森崎の能力値+ある程度のランダム要素によってゴールを守れたり守れなかったりします。

投票や判定では2ch式(注:似ているだけで2chとは別サーバー)の掲示板で
ID付の投票書き込みを行ったりスクリプトでカードやダイスを引いてもらったりします。

過去スレのログはこちらのまとめページで見られます↓
http://www32.atwiki.jp/morosaki/pages/11.html

ミス指摘、質問以外の雑談は下のURLの雑談スレでお願いします。
本スレでも更新毎に30レス程度までの反応レスなら問題無しとしています。
尚、30レスを超え雑談スレへの誘導が始まったら速やかに誘導に従って下さい。それがルールです。
http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1266421492/l50
2ちゃんねるとは別の場所の板なので、ブラウザによっては外部板登録が必要です。
なんらかの理由で雑談スレが落ちている時は、本スレでも遠慮なく雑談をどうぞ。

【前スレまでの簡単なあらすじ】
第一回フランス国際Jrユース大会でMVPとなった若き日本サッカー界の星、森崎有三!
サッカー王国ブラジルのプロへの登竜門と言われる大会、リオカップへ挑んだ彼は
宿敵大空翼率いるサンパウロFCに1−4と言う大敗を喫してしまった。森崎はリベンジの為に
全日本ユースに合流しジャパンカップで強敵ウルグアイユースを撃破し決勝戦に駒を進める。
しかし決勝戦の相手は翼とサンパウロFCではなく、彼らを倒したハンブルガーSV!
森崎の怨敵若林源三が守るゴールを破れず、全日本ユースは前半30分0−1で苦戦中。
…こんな感じで話は進んでいます。

401 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/03/28(日) 17:10:40 ID:4lF08ZKu
得点直前まで行ったデルタツインシュートは様々な反応を呼び起こした。

観客「惜しい〜〜〜っ!!」「大丈夫だ、通じるって事だ!もう一回撃てーっ!」

観客は今までの鬱憤が晴れる予感に大喜びで騒ぎ出した。

全日本メンバー「(いける…!)」「(コーナーキックだ!このチャンスは絶対物にする!)」

全日本の選手達はようやく攻撃出来た実感で興奮した。



パチパチパチパチ!

クライフォート「ハッハッハッハッ!これは良い!素晴らしいショーだ、尊敬するぞ全日本!
これが日本に伝わる伝統芸”サルマワシ”か!一度に二匹も躍らせてみせるなんて豪華じゃないか!」



全日本メンバー『な…なにィ!?』

ドタッ!
ゴロゴロゴロゴロ…

カイザー「なんだあれ!なんだあれ!面白すぎるぜ畜生!」

ドールマン「ブハハハハ!あまりに面白すぎて思わずゴールさせてあげたくなったぞこの野郎!」

そしてオランダユースは…爆笑した。盛大に拍手しながら高笑いをしてみせた
クライフォートの後に続くかの様にカイザーとドールマンが腹を抱えて地面を転がる。

402 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/03/28(日) 17:11:23 ID:4lF08ZKu
政夫「ギギーッ!(てめえら笑うんじゃねえ!)」

和夫「ギャッギャッ!(ぎりぎり防いだだけのクセして!)」

レンセンブリンク「ブフォッ!」

イスラス「くくくくく…い、いかん。真剣勝負の場で笑うなど無礼の極み…」

クリスマン「いや、これは笑って欲しいんだろう!わざわざ猿の鳴き真似までしているし!」

ディック「ガハハハハハ!こんなに笑えるなんて、日本に来て良かったぜ!」

リブタ「もう一回!もう一回やってみせてくれ!アンコールを頼む!」

激昂した立花兄弟が思わず猿言語で叫びだすといよいよオランダユースの面々はあからさまに笑い出した。
ある者は吹き出して口を押さえ、またある者は拳で地面を何度も叩いて喜ぶその様は
観客席からでも分かる程の爆笑ぶりであり、そこに焦りや危機感は全く無かった。

観客「あ、あれ?あいつら…笑ってるぞ?」「そりゃあまあ、立花兄弟のあれは笑えるかも知れんが…」
「傍目から見ているんならともかく、あいつら当事者だろ?」「もう一度撃たれたら入るかも知れないんだぞ?なんかムカつくな」

放送「こ、ここでオランダユースが笑い出しました。どうやら立花兄弟のデルタツインシュートを見て
大喜びしている様です。え〜、確かにサッカーの常識に捕らわれないスペクタクルなプレイなので無理も無いでしょう」

森崎「あ〜あ、笑われてやんの。あの二人の技じゃ珍しい事じゃねえが」

シュナイダー「確かにアレは非常識だからな…」

フライハイト「妙な技だな…だがオランダを警戒させられる程の物ではない」

403 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/03/28(日) 17:11:51 ID:4lF08ZKu
オランダユースの態度は当然観客と実況の戸惑いを買い、それ以上に全日本ユースを怒らせた。

早田「てめえら笑ってんじゃねえ!」

中山「反則じゃない限りどんな技でも技は技だ!失礼だと思わないのか!」

石崎「そうだそうだ!もしゴールされていたら笑えなかったクセによ!」

葵「ムカつくーっ!もっとマジメにやれよ!」

バッ。

三杉「…皆、落ち着け」

全日本メンバー『三杉!』

三杉「ここは彼らのリクエスト通り低い浮き球でデルタツインシュートのアンコールと行こう。
それで同点弾を奪えば彼らはもう二度と笑えなくなるさ」

全日本メンバー『おう!!』

次藤「(ん?三杉の奴が怒っちょるっちゃ珍しかのう)」

乱闘すら起きかねない程の形相で迫ってもニヤニヤし続けるオランダユースの面々には
三杉すら怒りを隠さなかったが、それでも彼はチームメイトを抑えCKに向けた指示を出した。
オロオロし始めていた審判もこれ幸いと位置につく事を両陣に促しようやく試合が再開される。

三杉「次藤、キッカーは君に頼む。葵はシュート要員になってくれ」

葵「はい!」

次藤「ワシか?まあ良かね(こいつ、ひょっとして…)」

404 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/03/28(日) 17:12:04 ID:4lF08ZKu
クライフォート「ハハハ…そうだ、もう一度笑わせてくれ!(無様に罠にかかってな!)」

ボールを持って右コーナーに向かう三杉と次藤を見るクライフォート達は嫌らしい笑みを更に深めていた。
自分達の狙い通り立花兄弟が怒りに任せてデルタツインシュートを撃ってくれると確信して。

ドールマン「(さっきは驚いたが…今度はらく〜にキャッチしてやるぜ。俺まで届いたら、だがな)」

ディック「(来ると分かっているシュートならよっぽどの威力が無い限り簡単に対処出来るぜ)」

リブタ「(この程度の挑発に乗るなんて、やっぱりサッカー三流国だな)」

彼らの挑発的な態度はちゃんと目的に基づいた物だった。それは即ち、相手の攻撃パターンの単純化。
必死な所を嘲笑えば大抵の相手は怒り、冷静な判断が出来なくなる。
今の全日本ユースは直情的な視野に囚われ彼らの狙い通りバレバレの攻め方をしようとしていた。

三杉淳と次藤洋の二人を除いて。

放送「さあ前半中盤にやってきた本日初めてのコーナーキック!キッカーは次藤くんです!
強力なロングキックを出せる彼が弾丸性のクロスをゴール前の立花兄弟に上げてくれるのでしょうか!」

ピィイイイッ!

次藤「(本当にわりゃばりいじきたなか奴タイ、三杉)」

ダダッ!

政夫・和夫『来い、次藤!!』

リブタ「バカめ!」

ディック「効く訳ないだろう!」

405 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/03/28(日) 17:12:17 ID:4lF08ZKu
ダダダダダダッ!!

次藤が助走を始めると同時に政夫、和夫、リブタ、ディックの4人は走り出していた。
前者の二人はゴールバーを蹴って後ろに飛び退りツインシュートを撃つ為に。
後者の二人はそのツインシュートを撃たせてからブロックする為に。
彼ら4人は…否、次藤と三杉以外の20人は皆低いクロスがやってくると思っていた。

バコォオオオオオオオン!!

クライフォート「!!」

リブタ「な!?」

ディック「なんだと!」

バッバッ!
ガィイイイイイイイン!!

政夫・和夫『行くぞ俺達のくうちゅ…うってありゃ〜〜〜っ!?』

ヒュウウウウウウウウン!

だが次藤が蹴ったクロスはニアサイドへの低い物ではなくファーサイドへの高い物だった。
政夫、和夫、リブタ、ディックの4人の丁度中間の頭上を越えていくボールの先に待ち構えていたのは三杉だった。

クライフォート「まずい、飛び出せドールマン!」

ドールマン「おう!」

三杉「もう遅いよ」

406 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/03/28(日) 17:14:01 ID:4lF08ZKu
バッ!バッ!バッ!

三杉の得意のハイパーオーバーヘッド、クライフォートのオーバーヘッドクリア、
そしてドールマンの巨体に似合わぬ俊敏な飛び出しが一瞬で交差する。

バシュゥウウウウウウウウウウウウウウウウウッ!!
ヒュンッ!
バサアッ!

次藤「…敵ば騙すにはまず味方から、っちゃ良く言った物ばい」

勝者は三杉だった。次藤が呆れ半分感心半分で呟き、他の選手達が敵味方問わず
驚きに固まる中ゆっくりと立ち上がった彼は整った顔で爽やかな笑みをクライフォートに向けた。

パチパチパチパチ…

三杉「ナイスディフェンス、オランダユース。君たちが世界に誇るオランダ伝統の
トータルフットボールに基づいた全員守備、しっかりと堪能させてもらったよ」

クライフォート「………!!」

ピィイイイイイイイイイイイイイイイイ!!

放送「決まったァアアア!!ゴール!ゴールです!同点弾は立花兄弟のデルタツインシュートではなく
三杉くんのハイパーオーバーヘッド!これが上手く敵の守備を混乱させ難なくネットに突き刺さりました!
1−1!前半27分、全日本ユースが最初のチャンスをしっかりと物にして試合を振り出しに戻しました〜!!」



全日本ユース 1−1 オランダユース

407 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/03/28(日) 17:14:51 ID:4lF08ZKu
いったんここまで。

408 :創る名無しに見る名無し:2010/03/28(日) 17:50:15 ID:B3T3ocNi
うん。三杉と森崎が組めば天下取れるわ。

409 :創る名無しに見る名無し:2010/03/28(日) 18:25:40 ID:bCFobQc7
三杉の意図をしっかり理解していた次籐もよくやったぞ

410 :創る名無しに見る名無し:2010/03/28(日) 19:23:42 ID:RrBxLh84
三杉ルートの恩恵かな
松山か中山さんあたりを育ててた場合の展開を考えるとニヤニヤしてしまう

411 :創る名無しに見る名無し:2010/03/28(日) 19:48:08 ID:Cxuz2Xm+
なんで?

412 :創る名無しに見る名無し:2010/03/28(日) 19:51:31 ID:jlT8798g
かっこいいぜ三杉!!

しかし、これで今までは日本をなめていた(≒手を抜いていた)オランダが、
本気を出してきて虐殺ゲーム状態って可能性も・・・・

413 :創る名無しに見る名無し:2010/03/28(日) 20:04:15 ID:cVQDEPSb
それでも一点は一点、取れたのは大きい。
キャプテン代行の三杉がオランダ相手に一点取った
シュナイダーと同じ仕事したんだから。
森崎、三杉の評価が下がるにしても最低限ですむよ。


414 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/03/29(月) 16:24:34 ID:jeXBTP58
ワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!

観客「やったァ!同点だ!」「立花兄弟を囮に使って三杉で決める!良いパターンだったぜ!」
「ざまあみろオランダめ!日本をナメるとこういう目に会うんだ!」「みーすーぎ!みーすーぎ!みーすーぎ!」

弥生「(ああ…美しいです、ご主人様…)」

森崎「ほおお…やるじゃねーか三杉。まあこれ位はやってくれなくっちゃな」

シュナイダー「良いプレイだ。完全にオランダを手玉に取っていた」

大笑いした技を警戒していたオランダを罠に嵌めて得点すると言う展開に観客は大喜びした。
彼らは三杉が敵だけでなく味方まで騙したとは思わず、咄嗟のトリックプレイをチームワークによる連携だと思っていたのである。
無論実際はそうではなかった為全日本ユースの選手達はすんなりと三杉を褒める気にはなれなかった。

政夫「おい次藤!なんであんな高さで蹴ったんだよ!」

次藤「ワシは三杉に耳打ちされた通りに蹴っただけタイ」

和夫「なんだって!?なんでそんな事したんだよ三杉!」

三杉「フフッ、悪いね。オランダの挑発に乗ったフリをしたんだ。わざわざこっちを格下だと
見下して油断してくれていると、僕みたいな人間は利用せずには居られないよ」

早田「謝ってねえ!どんだけねじまがってんだテメェ!」

赤井「ま、まあまあ。作戦は見事に成功したんですから…」

中山「…監督の言った通りだな。悪知恵と度胸をオランダにぶつけたって訳か」

中里「正に勝てば官軍でゴザルな」

415 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/03/29(月) 16:24:59 ID:jeXBTP58
次藤「そう言う事けん、すっぺたこっぺた言うな立花」

政夫「チッ…」

和夫「俺たちゃ当て馬かよ!」

石崎「まあまあ良いじゃねえか、それより見ろよオランダの連中の顔!」

それでも同点ゴールを奪ったと言う実績、及びデルタツインシュートが一回防がれていると言う結果は
どうにも否定しようがない為に徐々に不満も静まり選手達の顔に笑みが浮かぶ。
特に今まで傲慢そのものの態度を取ってきたオランダユースが真剣な表情で沈黙していたのは大きかった。

オランダメンバー『……………』

政夫「ま、確かにあれを見ればスカッとするな」

和夫「へへっ、すっかり黙りこくってやんの」

三杉「僕らは彼らと同じ過ちを犯さない様にしよう。このまま油断せずに戦うぞ!」

全日本メンバー『おう!!』



クリスマン「…どうするんだ?クライフォート」

クライフォート「ああ。このままでも余裕で勝てるが、素敵なサプライズを見せてくれたお礼が
必要だ。万が一の為にオーダーメイドのプレゼントを用意しておいて良かったな」

ディック「え、あれやんのか?」

クライフォート「そうだ。40分になったら仕掛けるぞ。下手な情けはかけるなよ」

スルバラン「あ、ああ…」

416 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/03/29(月) 16:26:18 ID:jeXBTP58
同点ゴール後の全日本は目に見えて息を吹き返した。
ゲームの主導権は握られたままだったが堅守を保ちオランダにシュートを撃たせなかったのだ。

バシッ!

放送「三杉くんまたしてもパスカット成功!オランダのチャンスの芽を未然に摘み取りました!」

三杉「(よし。大分彼らのパスパターンを読める様になってきたぞ)」

特に目覚しい働きをしたのは三杉で、全日本ユースのメンバーの内ただ一人だけ
オランダのパスワークについていき大事な場面でのパスを次々とカットしていった。

バチィ!

中里「ぬわっ!」

ドカッ!

葵「うわあ!」

ただし、中里と葵のサイドアタックも全く通用していなかったので全日本ユースにも
チャンスは全くなかった。見ているだけの森崎にはじれったい展開である。

森崎「チッ。搦め手で一点取ったは良いが、元々の戦力差は変わらないな。
オランダも全然焦らってないし、ゆっくりじっくりいたぶるつもりか?」

シュナイダー「…そうだと良いんだが」

森崎「ん?何か心配なのか、シュナイダー?」

シュナイダー「ブライアン・クライフォートは…敵と味方をハッキリと分けるタイプだ。
あいつの傲慢さも確固たる信念に基づいた物だ。ミスギにゴールされた事はあいつにしてみれば
自分とオランダに泥を塗る失態だった筈。このまま何もせず普通に勝つだけでは良しとしないかも知れん」

森崎「…おいおい…」

417 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/03/29(月) 16:28:12 ID:jeXBTP58
いったんここまで。

418 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/03/29(月) 16:29:26 ID:jeXBTP58
誤字訂正:

× オランダも全然焦らってない
○ オランダも全然焦ってない

419 :創る名無しに見る名無し:2010/03/31(水) 00:15:53 ID:AvLkBAgZ
乙です。
これはまさか三杉がMに目覚めるフラグでは!?
弥生ピンチ!!

420 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/01(木) 18:07:30 ID:rpfx2XZy
シュナイダーの懸念は当たっていた。一度クライフォートと戦った事がある彼は
自分とは違うタイプの強さを持つ彼の性格を全日本ユースメンバーより把握していた。



パチッ!

クライフォート「”そろそろ本気を出すぞ皆”!!」

オランダメンバー『おう!!』



全日本メンバー「なにィ!?」「今まで本気じゃなかったってのか?」「ハッタリだ、惑わされるな!」

前半終盤突入直後、クライフォートは指を頭上で鳴らしながら高らかと宣言した。
待っていましたとばかりに大声で呼応するチームメイト達の様子に
全日本ユースの選手達もこれを警戒し、お互いを鼓舞しながら集中力を高める。
折角同点に追いついたまま耐えているのだからここでゴールさせてなるものかと。

だがクライフォートの目的はゴールを奪いに行く事ではなかった。
それはただの手段であり、結果でもあったが目的ではなかった。

クライフォート「(ミスギの位置は…よし、良いぞ。このタイミングとスピードだ!)イスラス!」

バコォッ!

ダダダッ!
バシッ!

三杉「………?」

421 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/01(木) 18:08:11 ID:rpfx2XZy
自陣側に走りこむ形でクライフォートのパスをカットした時三杉はなんとも言えない違和感を覚えた。
今までよりも読みやすくカットしやすいパスに見え、そしてその通り簡単にカット出来た事に。

放送「三杉くんまたしてもパスカット!全てを見通すかの様なナイスディフェンスの連発で
あれほど激しかったオランダの攻撃を不自由で不揃いな物に変えています!」

全日本メンバー「良いぞ三杉ー!」「中里だ、近くの中里に渡せ!」

だが彼にそれ以上を訝しむ余裕は無かった。キャプテンとしてチームを率いるだけでも
多大な重圧がかかるのにオランダユースのハイレベルなパスワークを必死に読み当てていた
今の彼は精神的にかなり消耗していた。無論肉体的な消耗も軽視出来ない域に達している。

葵「あっ!三杉さん前、前〜〜〜っ!!」

三杉「!?」

ドドドドッ!!

リブタ「オラァッ!」

ディック「さっきのお返しをしてやるぜ!」

ドガガガァッ!!

三杉「ぐわぁあああっ!!」

ドタッ!

この状態でオランダ陣側に向き直った瞬間目の前に迫ってきていたリブタとディックをかわせと言うのは無理だった。

422 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/01(木) 18:08:44 ID:rpfx2XZy
放送「あああ〜っとしかしここでリブタくんとディックくんが大胆にも二人がかりのオーバーラップ!
示し合わせたかの様なタイミングの二方向からのタックルで三杉くんを吹き飛ばしたァ!!」

弥生「キャアア〜〜〜!!(ご主人様〜!)」

観客「ああっ、三杉さんが〜〜〜!!」「な、なんでセンターバックが二人もあそこにいるんだよ!?」

森崎「あっちゃあ…やっぱりフィジカルが弱すぎるのを狙われ…ってなんでそれを知ってるんだ!?
いくら筋肉が足りてないっつっても初対面の試合中に見るだけで分かる程じゃねーぞ!」

フライハイト「答えは簡単だ。知っていたんだろう」

シュナイダー「クライフォートは相手の研究を怠る愚か者ではない」

森崎「な…なんだと?まさか…」

全日本メンバー「み、三杉がやられた!」「慌てるな、持ち場をしっかり守れ!」「ここを凌ぎきれば前半は終わりだ!」

今まで以上に積極的なDFの攻撃参加とそれによって三杉が当たり負けしたことで
動揺が走る中、ボールを奪ったリブタはそのまま自らのドリブルで中央から切り込んできた。

リブタ「オラッ行くぜ弱小国のDFども!俺がドリブルの仕方を教えてやる!」

赤井「なんだって!?」

早田「良い度胸じゃねーかコラァ!お返しに俺がタックルの仕方を教えてやらァ!」

無謀もしくは挑発的とも取れる中央突破に早田がいきり立ってタックルを仕掛けに行く。
強気な彼らしいアグレッシブさだったが、この場合は完全に裏目に出た。

423 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/01(木) 18:09:11 ID:rpfx2XZy
リブタ「良く覚えておけ!ドリブルをより良くするのは…パスと言う選択肢だ!」

ポンッ。

早田「なあっ!?て、てめえええっ!!」

リブタが軽くボールを浮かせる様に前方に蹴り上げた時早田は何も出来なかった。

放送「そのままリブタくんが前方へのループパス!これにレンセンブリンクくんと次藤くんが飛びつく!」

次藤「こ、このっ…!」

レンセンブリンク「うすのろ」

バッコォン!

放送「次藤くん完全に競り負けた!レンセンブリンクくんが逆側にはたいたボールはPA外でカイザーくんが拾いました!」

そしてレンセンブリンクのポストプレイからカイザーがボールを受け取った時、三杉の運命は決まった。

クライフォート「よしやれカイザー!お前のドリブルで追い討ちをかけろ!」

カイザー「了解だぜ!ヘヘッ、楽しいなァ!」

若島津「1対1を仕掛けてくるつもりか!?」

中山「そうはさせない!赤井気をつけろ!」

赤井「はいっス!…えっ?」

ダダダダッ!!

424 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/01(木) 18:09:35 ID:rpfx2XZy
カイザーは走り出した。全日本ゴールに背を向けて。
カイザーはドリブルで向かった。ようやく立ち上がりゴール前の守りに参加しようとしていた三杉に。

三杉「な…なにィ!?」

カイザー「も一回空中遊泳を楽しみなァ!」

ドガアアッ!!

三杉「し…まった…ぐああっ!」

ドタッ!
ガキッ!

日向も舌を巻くであろう程の強引なドリブルで吹っ飛ばされた時三杉は理解した。
オランダユースは接触プレイの連発で彼を潰しに来ている事を。そして自分は負傷してしまった事を。

カイザー「ハッハハハァ!すげーだろ俺!」

中里「笑止!」

葵「よくも三杉さんをーっ!」

ズザザザーッ!
バチッ!

カイザー「うお!?」

クライフォート「全く詰めの甘い奴め」

直後にカイザーは中里と葵にボールを零されていたが、これもクライフォートがフォローした事でなんの救いにもならなかった。

425 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/01(木) 18:09:55 ID:rpfx2XZy
放送「こ、これは一体…?ゴール前に切り込むと思われたカイザーくんが突如逆走し、
三杉くんを突破した後ボールをこぼされました!一体何の作戦なのでしょうかこれは?」

観客「な、なんだァ?」「さっきの絶好の得点チャンスだったよな?」「それより三杉は大丈夫なのか?」

実況と観客は分かっていなかった。オランダが三杉の弱点を狙い彼を潰しにかかった事を。

見上「まさか…!?」

岬「(容赦無いな…恐ろしいチームだ、オランダユース)」

全日本メンバー「また三杉が!」「くそっ、ラフプレイばっかりしやがって!」「クライフォートが来るぞ!」

全日本ユース側は程度の差はあれど気付きかけていた。オランダユースの狙いと恐ろしさを。

森崎「あいつら絶対に狙ってやがる!くそっ、油断していた様に見えたのはブラフか!」

シュナイダー「この試合、ミスギのゴール以外は全てオランダユースの手中にあったと言う事だ」

弥生「あ、ああ…ああ…!いやぁあああああああああ〜〜〜!!」

森崎と二人のドイツ人、そして三杉にもっとも近い少女はオランダの意図に気付いていた。
だが彼らに出来る事は何も無かった。

クラマー「(備えあれば憂い無し。ジュン・ミスギよ、恨むならサッカー後進国に生まれた自分を恨んでくれ)」

オランダメンバー『(よし、ミスギは負傷した!後はトドメだけだ!)』

クライフォート「ジュン・ミスギ!敬意の証に見せよう、このシュートを!」

当然オランダユース側は自分達の狙いを知っていた。前々から準備していた作戦だったからだ。

426 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/01(木) 18:10:25 ID:rpfx2XZy
                           ダダダッ!
                        グワァアアアアアアアッ!!

                         三杉「………!?」

           足の痛みを残り少ない意志力で堪えながら起き上がろうとしていた三杉が見た物は
                  自分の目前で大きく足を振り上げるクライフォートの姿だった。
       その時悲鳴を上げなかったのは彼のせめてもの抵抗だったのか、それともそれすら出来なかったのか?
        その時彼の顔は絶望と恐怖で誰にも見せたくない程歪んだ事を考えれば後者だったかも知れない。



                 クライフォート「このアキュートシュートで…貴様を貫く!!」

            バッギャァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!



                          ゴガァアアアアアッ!!

                胸部にボールを当てられた彼の体は木の葉の様に宙を舞った。

             この時も悲鳴は出なかった。叫べるだけの酸素が無かっただけだったが。

        薄まる意識の中で三杉はふと思い出した事があった。それは何時か誰かに言われたセリフだった。

     三杉「(そう言えば誰か言ってたな。プロの世界では技術や戦術だけでなく、精神力、スタミナ、フィジカル…
            全てが求められる。そして何か弱点があれば徹底的にそこを突かれるって…
          ハハハ…その通りだった。完全に大当たりだよ…でも誰に言われたんだっけ、これ…)」

427 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/01(木) 18:10:44 ID:rpfx2XZy
ギュゥウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウン!!
ドガアッ!ドガアッ!ドガアッ!

赤井「ぐわああっ!!」
石崎「ほげああっ!!」
次藤「ぬわーーーっ!!」

中山「(くそっ!ここで…ここで決めさせる訳には…!)」

バゴオオッ!ギュルルル…

中山「(決めさせる訳には…いかない…の、に…!)があああっ!!」

ルルル…ゴグワァアアッ!!

若島津「…チェストォオオオオオオオオオオオオッ!!」

ブンッ!
バギィイイイイイイイイイイン!!

若島津「(そんな…馬鹿な…!!)ぐ…がっ!?」

ビィイイイイイイイイン!!
バリイッ!

ピィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!



全日本 1−2 オランダユース

428 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/01(木) 18:12:47 ID:rpfx2XZy
いったんここまで。

429 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/01(木) 22:41:44 ID:rpfx2XZy
放送「ゴ…ゴ…ゴーーーーーールゥウウウ!!!クライフォートくんが放ったミドルシュートが
見た目通りの威力を発揮して三杉くんだけでなくDF達をあっさりと一掃!
若島津くんの正拳ディフェンスさえも力づくで腕ごと弾いたのに飽き足らず、
ゴールネットまで突き破ってしまいました!前半43分、オランダが2−1で再び日本を突き放しました!
決めたのは今までシュートを狙いに来なかったクライフォートくんです!!」

ギャァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!

観客「そ、そんな…あんなにあっさり!?」「畜生!後少しで同点のままハーフタイムに行けたのに!」
「おいおい…また冗談みたいな威力のシュートが出てきたぞ…」「なんでこうなるんだよ、クソッ!」

弥生「(ああ…ご主人様があんなに何回も地面に叩きつけられて…いやっ、そんなの見たくない!)」

一連のオランダの三杉潰しとそのフィナーレを飾ったクライフォートのアキュートシュートは
色んな者に様々なショックを齎した。ただ驚き嘆くだけで済んだ観客と実況はまだ幸運だった。

森崎「(畜生!あの程度のシュート、俺なら防いでやる物を!なんで俺は今あそこに居ないんだ!)」

シュナイダー「(あのシュート…俺達との試合では見せていなかった!まだ力を隠していたと言うのか!)」

フライハイト「(これが…ブライアン・クライフォートの本気…!)」

事前の情報が限られていた森崎はただフィールドに立っていない事に憤慨するだけで良かった。
以前からクライフォートを知っているシュナイダーとフライハイトはそうは行かず、
彼が今まで使わなかった技の存在を知った事で戦慄していた。

430 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/01(木) 22:42:10 ID:rpfx2XZy
松山「あ、あいつら…!監督!まさかオランダはわざと三杉を!」

見上「…そうだ。アップ無しですまんが出てもらうぞ松山。キャプテンもお前だ」

松山「…はいっ!くそっ、オランダめ!」

全日本ユースのベンチでは松山がオランダの戦い方に憤慨し、負傷した三杉の代わりに出ようとしていた。

岬「(代わりは松山か。敗戦処理を押し付けるにはうってつけの人材だね)」

滝「(つ、つぇええ…森崎も若林さんも居ないのにあんなの防げないだろ)」

井沢「(くっ…悔しいが、レベルがまるで違う…!大人と子供程に差がある!)」

来生「(こりゃ俺が出ていたとしてもダメだな。いくら得点しても味方がリードを守ってくれなさそうだ)」

高杉「(バケモノ集団だ。こんな奴らに勝てるチームなんてあるのか…?)」

新田「(くそっ!苦労してファルコンクロウを編み出したのに、まだ世界ではゴミレベルなのかよ!)」

山森「(明らかに実力で上回っているのに、更に相手の勝ち目を0にしてくるなんて…)」

反町「(日向みたいなパワーと戦術だ。ひょっとしてあいつは正しいんだろうか?)」

沢田「(あ、あわわわわ…日向さんも居ないのにこんなチームに勝てる訳ないよ…)」

見上「(やはり無理だったか。森崎か若林、それに翼と日向が居れば4:6程度の勝負にはなっただろうに)」

だが彼は気付いていなかった。ベンチ内で闘志を燃やしていたのは最早彼一人だけだった事に。

431 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/01(木) 22:42:26 ID:rpfx2XZy
石崎「ぐえええ…い、いてえ…」

赤井「だ、大丈夫ッスか皆さん…」

若島津「…俺はこの程度ではくたばらん」

次藤「ワシも平気ばい。ばってん三杉は…」

早田「三杉!」

そして今フィールドに居る全日本ユースの選手達は胸を抑えたまま苦しげに呻く三杉の周りに集まっていた。
中山に支え起こされても目を閉じ歯を食い縛ったままで、何も喋れそうにない。

中山「三杉、三杉…!」

三杉「ぐ、ううぅ…」

クライフォート「下手に揺らさん方が良いぞ。肋骨にヒビが入っているかも知れんからな」

中山「貴様…!」

彼らを見下しながら笑うクライフォートに敵意が篭もった複数の視線が突き刺さる。
そしてこのタイミングでタンカ要員と共に松山がフィールドに入ってきて皆の気持ちを代弁した。

松山「オランダユース!お前達はこんなサッカーをして恥ずかしくないのか!」

クライフォート「うん?何の事だ?」

松山「とぼけるな!さっきのお前達はわざと三杉にケガをさせる為のプレイを繰り返していた!
わざわざ逆走してドリブルをしていたのがその証拠だ!こんな物がお前達のトータルフットボールなのか!」

432 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/01(木) 22:42:41 ID:rpfx2XZy
松山は激昂していた。
彼がサッカーにおいて重要視するのは三つ。チームワーク、フェアプレイ、そして闘志である。
オランダユースがお世辞にもフェアとは言えない手段で相手の闘志を挫きに来た事、
そしてそれがつい先ほどまで彼を感銘させていた完成度の高い組織プレイで成された事実が許せなかった。

それに対しクライフォートは薄く笑っただけだった。

クライフォート「では問おう、トータルフットボールを持たない国の選手よ。お前達はどんな汚いマネを
してみせてくれる?トータルフットボールを持たないから卑怯な事をしていいんだろう?」

松山「なんだと…!何を屁理屈を言っているんだ!トータルフットボールを
持とうが持たなかろうが卑怯なマネをしてダメだと言うのは変わらないだろうが!」

クライフォート「矛盾しているぞ。その理屈なら俺達を批判するのにトータルフットボールを持ち出すな」

松山「フザけるな!トータルフットボールを実現したクライフも言っていたじゃないか、
美しく敗れる事を恥と思うな、無様に勝つ事を恥と思えって!」

クライフォート「フッ、ヨハン・クライフか…あの人は確かに偉大すぎる程偉大だ。だがあの人も
俺がこう言えば反論は出来まい。美しく負ける事は誇りになるが、美しく勝つ事は更に誇らしいとな」

松山「なっ…!?」

クライフォート「俺はクライフを超える。世界一になると言う形でな…
その為に美しいサッカーと勝つサッカーを両立させてみせよう」

サッカー選手としての信念を問いかけた松山は返ってきた答えに絶句した。
クライフォートの語った信念は彼が想像もつかない方向性の物だったからだ。

433 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/01(木) 22:43:20 ID:rpfx2XZy
クライフォート「理解できないか?ヒカル・マツヤマ」

松山「当たり前だ!相手をわざとケガさせるサッカーの何が美しいと言うんだ!」

クライフォート「ではもう少し詳しく説明してやろう。相手の負傷を集団で狙う。
確かにその行為だけでは美しいなどとは到底言えないだろう。
だがお前は俺達がそんな方法に頼らなければ勝てない程度の小悪党揃いのチームだと思っているのか?」

松山「…違う!お前達は本当に強い、それなのにわざわざこんな事をしたのが許せないんだ!」

クライフォート「それがそもそも間違いであり、お前達がサッカー三流国である証拠なんだよ。
気付かないのか?今お前は大差で負けると格好悪いから接戦で負けられる様に
うちのチームの選手が持っている弱点を突かないで下さいと敵に命乞いをしたんだぞ?」

松山「なにを、いっているんだ、おまえは…!」

クライフォート「先ほどから繰り返しているだろう。俺の目指すトータルフットボールは
ただ美しいだけのサッカーではない、美しいサッカーと勝つサッカーの両立…言わば機能美だ。
”美しいサッカーをした”事を負けた言い訳にさせない為のな!」

問答が進むにつれ松山はクライフォートが人の形をした別の生き物の様な気がしていった。
収まらない怒りと高まる嫌悪感に震えだす松山に構わずクライフォートは続ける。

クライフォート「美しいパスワークや芸術的な組織プレイもこの後たっぷりと見せてやるさ。
それともお前達は俺達に美しいプレイだけに徹し負けるリスクを増やす事を強要するつもりか?
クライフが敵DFのマークに封じられ負けた悲劇を繰り返させたいお前達は美しいのか?」

松山「………」

434 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/01(木) 22:44:15 ID:rpfx2XZy
言い返せなくなったのではなく、相手が何を言っているのか分からなくなった松山はぽかんと口を開けたまま黙ってしまった。
そして代わりに弱弱しい声を出したのは既にタンカに乗せられていた三杉だった。

三杉「彼は、間違って、いないよ…」

中山「み、三杉!」

三杉「クライフを超える為に、トータルフットボールを変える為に…美しいサッカーを敗因にしない…
その信念も…ラフプレイに弱いと言う僕の弱点を、容赦無く突くプロ精神も…間違ってはいない、さ…
ただ、トータルフットボールと言う先入観を、幻想を…僕たちが彼らに、勝手に抱いていただけ、だ…」

松山「…そんな…」

三杉「もっとも、クライフが認めるとは、思えないし…僕も、好きなサッカーじゃない、けどね…!」

クライフォート「フッ…頂点の目指し方は一つではないと分かっている分
お前は大した物だよ。それだけのセンスとメンタルを持ちながら
プロリーグの無い日本と言う国に心臓病と言うハンデ付で生まれたのが実に惜しいな」

早田「ちょっと待った!なんでてめえが三杉が昔心臓病だったって事を知ってんだ!?」

まさか三杉がオランダのやり方を認めるとは思って居なかった松山はまたもや絶句し、
代わりに今度はクライフォートの一言に驚いた早田が口を挟む。
それに答えたのはクライフォートではなくイスラスだった。

イスラス「お前達は俺達が傲慢だと感じている様だが…本当に傲慢なのは俺達が下調べを怠り
油断する様な無能だと見下しているお前達じゃないのか?タックル以外は何も出来ないソーダよ」

早田「な…なんだと…!?」

435 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/01(木) 22:47:25 ID:rpfx2XZy
クリスマン「油断しているフリを本当の油断だと思っていた様だな。俺達は実際はちゃんとお前達を研究してきたぞ」

カイザー「ハッハッハー、あっさり騙されてやがんの!」

レンセンブリンク「愚鈍め」

ディック「なんならこの場でお前ら全員の弱点を言ってやろうかァ?」

リブタ「よせよせ、どうせすぐに思い知らされるんだしさ」

そして場の雰囲気は完全のオランダ側に飲まれた。形としては松山が先に食ってかかった為
審判もどちら側を注意して良いか判断がつかず、不快な空気のまま三杉がタンカで運ばれていく。
ややあって松山がキャプテンマークを腕にはめながら再び口を開いた。

松山「…さっき言った事は謝る…理解も共感も全く出来ないが、
それでもお前達を否定するのは俺の考えを押し付けているのと変わらない…」

クライフォート「ほう…」

松山「…だがお前達が三杉にした事は許さない!この試合、勝たせてもらう!」

クライフォート「面白い、出来るならやってみろ…出来るのならな。フフフ…」



放送「あっと、ようやく試合が再開しそうです。先ほどまで三杉くんがクライフォートくんのシュートで
負傷させられた事に怒った全日本ユースがオランダユースと言い争っていた様ですが、
なんとか収まった模様。乱闘が起きなくてなによりでした」

森崎「汚え…訳じゃないんだよな(俺も結構手段を選ばないしな)」

シュナイダー「シュートで相手DFを負傷させて何が悪い?無論、反則なら話は別だが」

436 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/01(木) 22:55:54 ID:rpfx2XZy
今日はここまで。また明日お会いしましょう。

予想以上に賛否両論になったオランダユースの性格設定ですが、彼らはもともと
登場するタイミングと実力設定を特別編に準拠するとどう転んでも全日本にとっては
憎まれ役にしかならないので徹底して悪役チームになってもらいました。
さもないとただの「物語後半で当たるそこそこ強いけど印象が薄い敵チーム」で終わってしまいますしね。

どうやってもある程度は嫌われ者になってしまう存在なので受け付け辛い人も居る様ですが、
「魅力的な悪役」を描いていける様努力していきますので辛抱強くお付き合い頂けたら嬉しいです。

437 :創る名無しに見る名無し:2010/04/01(木) 23:10:47 ID:nH05hpCc
乙です
続き楽しみにしてますー

438 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/02(金) 14:17:25 ID:xYawRjUv
前半43分のオランダの追加点と三杉の負傷交代。
これを皮切りに松山達の絶望的な戦いが始まった。

松山「皆…前半終了間際だ。”アレ”を使うぞ」

中山「”アレ”…?あ!そうか!”アレ”はJrユース大会で使っていないな」

松山「ああ。そして俺も高校時代使っていない。奴らが俺達の事をいくら
研究していても、流石に”アレ”だけは予想していない筈だ」

政夫「よっしゃ、やろーぜ!」

和夫「まずは俺達が切り込んでやるぜ!」

クライフォート「(何か仕掛けてくるつもりの様だな。さて、どの程度の物か)」

ピィイイイイイイイイイイイイイ!!



松山「みんな上がれ!全日本のなだれ攻撃だ!」

松山がまず試したのはキックオフと同時のなだれ攻撃だった。



全日本メンバー『おう!!』

ドドドドドドドドッ!!

クライフォート「ん?」

439 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/02(金) 14:17:41 ID:xYawRjUv
放送「お〜〜〜っと、これは全日本ユースのキックオフ直後の全員攻撃!
先陣を切る立花兄弟を筆頭に雪崩の様にフィールダー全員がオランダ陣内に
押し寄せていく!これは松山くんが中学時代ふらので使っていたなだれ攻撃か!」

観客「おーっしゃ、良いぞ!」「三杉の仇を取りに行けーっ!」

政夫「もうお前らの好き勝手にはやらせねェぞ!」

和夫「一気に攻め込んでやる!」

パンッ!ダダッ!パンッ!ダダッ!

カイザー「しゃらくせーっ!」

レンセンブリンク「ここだ」

バチィッ!

スルバラン「よし!俺がフォローを…」

松山「いいや、まだ俺達のボールだ!」

バシッ!

スルバラン「なにィ!?」

ずっとベンチでオランダの戦い方を見ていた松山は一つの策を持っていた。
トータルフットボールの影響でセカンドボールを悉く押さえられるのなら、
同じくセカンドボールを確保する事を目的としたなだれ攻撃で対抗出来るかも知れない。
そしてその見込みは見事に当たり、松山はスルバランよりも早くボールに飛びつく事が出来た。

440 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/02(金) 14:17:57 ID:xYawRjUv
放送「立花兄弟突破ならず!しかしこぼれ球は松山くんがフォロー!
松山くんこれを右サイドの葵くんにはたきます」

松山「頼む葵!(それから中山、上がっておけ!)」

葵「は〜い!葵、いっきまーす!」

ダダダダッ!

クリスマン「そう易々と通すか!」

ザザッ!
バチィツ!

葵「わっ!」

中山「まだだ!」

バシッ!

放送「葵くんもクリスマンくんにボールをこぼされましたがすかさず中山くんがフォロー!
怒涛の勢いの攻め上がりによって攻撃権を維持し続けるなだれ攻撃が効果を発揮しています!」

クライフォート「(これは…フォローしやすいポジショニングを意識した全員攻撃か。
守備的なリスクを抱えてはいるが、悪くない連携だ。だが…)」

中山「中里ォ!」

バッコォオオン!!
ヒューン!

441 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/02(金) 14:18:12 ID:xYawRjUv
全日本ユースは運動量を増やしフォロー率を上げた事でこぼれ球をつかむチャンスを得た。
松山の目論見通りなだれ攻撃はトータルフットボールの優位性を打ち消す事が出来たのだ。

放送「ここで中山くん大きくサイドチェンジ!逆サイドの中里くんにボールを託します!」

中里「任された…ぬおっ!?」

クライフォート「何時まで逃げ切れるかな?」

スルバラン「これ以上はやらせんぞ!」

中里「ぬわっ…!」

ズザザザーッ!
バァアーーーン!!

全日本メンバー「またこぼれた!」「確保しろ!攻撃し続けるんだ!」
オランダメンバー「いい加減キープするぞ!「これ以上やらせるな!」

放送「しかし中里くんも攻め込めず!ボールはあらぬ方向に飛んで行き
両チームの選手達が狭い空間でぶつかり合い始めました!
時間は既にロスタイム、ここでキープ出来ればまだ攻撃できます全日本!」

しかしトータルフットボールを完全に打ち消すには到らなかったなだれ攻撃の本来の効果は発揮されず、
やがて中盤での混戦が発生し両チームの選手達がボールを奪い合う様になる。

442 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/02(金) 14:18:44 ID:xYawRjUv
イスラス「はっ!」
早田「だりゃっ!」

ガガッ!

ディック「どけっ!」
次藤「ふんがっ!」

ボゴッ!

全日本メンバー『く…くそおっ…!』

クライフォート「フッ、悪くない試みだったぞ」

バシッ!

そして最終的にボールを押さえたのはオランダだった。個人の能力のみならず
チーム全体の運動量とポジショニングが特に作戦が無くても自動的に高い域を維持している
トータルフットボール相手にはなだれ攻撃を中断された全日本ユースでは立ち向かえなかった。

松山「まだだ!ここでお前から奪う!」

ズザザーーーッ!

クライフォート「だが結局は実力の差を埋める事など出来まい!」

ダダッ、クルッ。ポンッ!

松山「………畜生!」

ピッ、ピィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!

最後にクライフォートが松山をクライフターンでかわした所で前半は終わった。
松山がこれしかないと言うタイミングで出した切り札もオランダを脅かすには到らなかった。

443 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/02(金) 14:20:53 ID:xYawRjUv
いったんここまで。

444 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/02(金) 17:31:55 ID:xYawRjUv
観客「くそっ、1−2か…」「三杉またケガしちゃったのかよ…」「大丈夫なのか?三杉無しで」
「なあに、松山や早田がやってくれるさ!」「守備は良いとして、攻撃が…日向何処行ったんだよ、全く」

ハーフタイムが始まった時、空は試合のこれからを占うかの様に雲が増え暗くなっていた。
それに影響された様に観客達の表情や雑談も重く暗くなっていき、
心配そうな雰囲気を空元気で吹き飛ばそうとする者達も出てくる。

森崎「ったく、そろそろ雨も降りそうだしいよいよ勝ち目は無くなったな。あーあ」

シュナイダー「そ、そうだな…」

森崎「ん?どうした、シュナイダー…とフライハイト」

空元気など出す必要は無い森崎はイライラと腕を組みながら毒を吐いていたが
ふと様子がおかしいシュナイダーが気になって横を向いた。
すると普段の彼からは想像出来ない程なくそわそわしているシュナイダーと
同じく今までとは打って変わって機嫌が良さそうにしているフライハイトが目に入った。

フライハイト「…来るんだ!」

森崎「へ?何が来るんだ?」

フライハイト「雨が来るんだ!雨が来るぞ!」

森崎「はあ?」

ポツ、ポツ、ポタポタポタ、パラパラパラパラパラ、サーサーサーサー…

森崎「あ、本当に降ってき…た、な…?」



フライハイト「雨だ!ああ、雨だ!素晴らしき雨よ、もっと降り注げ!」




445 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/02(金) 17:32:09 ID:xYawRjUv
シュナイダー「(だからこいつと一緒に居る時に雨が降ると嫌なんだ!)」

森崎「……………」

観客「な、なんだなんだ?」「なんか変な外人が喜んでるぞ?」「そんなに雨が珍しいのかしら…」

そしていざ雨が降り出すといよいよフライハイトはおかしくなった。
森崎が無遠慮に暗いと評した雰囲気は爛々と輝く瞳と満面の笑顔で影も形も無くなり、
両腕を広げながら天を仰ぐその様はなんらかの宗教の儀式と言われれば信じてしまいそうだった。

事前に知っていたシュナイダーは顰めた顔を背け、予備知識が無かった森崎は目が点になる。
無論周りの観客も何事と凝視し、怪しげな外人の奇行に遠巻きでギョッとする。
だがフライハイトは周りの反応など何処吹く風で弾んだ声を森崎にかけた。

フライハイト「雨は良い…命を潤す恵みの流れだ!そうは思わないか、モリサキ!」

森崎「え?あ、いや、その…」

A 「(おいシュナイダー、なんとかしろよ!)」
B 「まあ、そう言えなくもないかな、うん」
C 「俺は晴れている時の方が好きだぞ」
D 「済まん、試合が気になってそれどころじゃない」
E 「バカ何騒ぎ起こしてるんだお前は!」
F 「そんなに雨が好きなら日本に移住しろよ」

      http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1267790375/l50にて
            ☆2010/4/2 18:30:00☆ から投票期間を設けます。
    そこから  15  票カウントし、一番多く票が入った選択肢で続行します。引き分けの場合は
   その次の票をタイブレーカーに使います。どれか一つに確定した場合はその時点で投票を
         止めて下さい。尚、投票はageた書き込みのみを採用しています。

446 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/03(土) 08:32:26 ID:G+D4BlBJ
>F 「そんなに雨が好きなら日本に移住しろよ」

森崎「なんか良く分からんが…そんなに雨が好きなら日本に移住しろよ。
確か、日本は世界でもかなり雨が多い国の筈だぞ?」

フライハイトの様子にあまり深く突っ込みたくなかった森崎は当たり障りの無いセリフで
話を合わせようとした。少なくとも森崎は当たり障りの無いセリフのつもりだった。

だがフライハイトにはそうでなかったらしく、顎を撫でて真剣に考え出した。
隣のシュナイダーが今まで以上に狼狽するのも気付かないまま。

森崎「(…あれ?俺、何かとんでもない事しちゃった?)」
-----------------------------------------------------------------------------
【分岐】http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1267790375/l50にて
 !card と書き込むとランダムでトランプの絵柄が出るので、(!は半角)書き込んでみて下さい。
(ageでもsageでも構いませんが、★も含めて一回の判定の全文をコピペされてない場合は無効です)

先着(順番通りじゃない書き込みは無効)で
★俺の名は風雷拝徒→!card★
と書き込んで下さい。カードやダイスの結果で分岐します。

JOKER→フライハイト「そうだ!フィリピンなら日本よりも更に雨が…」 シュナイダー「HA!!」 ゴキャッ
ダイヤ→フライハイト「残念ながら、プロリーグの無い国には…」 シュナイダー「(ホッ…)」
ハート、スペード→フライハイト「残念だが、東ドイツが安定するまでは…」 シュナイダー「(安定したら行くのか!?)」
クラブ→フライハイト「…日本のサッカー協会に口利きをしてく」 シュナイダー「馬鹿者!貴様にゲルマン魂は無いのか!」

447 :創る名無しに見る名無し:2010/04/03(土) 12:37:21 ID:6NKWmD3Y
惜しいww

448 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/03(土) 16:50:46 ID:G+D4BlBJ
★俺の名は風雷拝徒→ ハート2 ★

ハート、スペード→フライハイト「残念だが、東ドイツが安定するまでは…」 シュナイダー「(安定したら行くのか!?)」
-----------------------------------------------------------------------------
フライハイト「魅力的な提案だな!しかし残念だが、東ドイツが安定するまでは…それは無理だ。
今回日本に入国するだけでも面倒な手続きが必要だったし、移住となると更に、な…」

森崎「そ、そうか(国籍まで変えても良いのかよ!?雨の為だけに!)」

シュナイダー「(安定したら行くのか!?ドイツよりもサッカーよりも雨の方が大事なのか?)」

少しの沈黙の後、フライハイトは実に残念そうな表情で森崎の話半分の提案を断った。
その様は心の底から惜しんでいるのが誰にも分かる程で、森崎が呆れたのは勿論
チームメイトであるシュナイダーはそんなにあっさりとドイツを捨てるのかと気が気でない。

フライハイト「本当に悔しい物だな。日本の降水量が心底羨ましくて堪らない。
ああ、何故雨はもっとドイツに微笑みかけてくれないのだろうか?
俺が住むミュンヘンでさえ世界の平均とほぼ同程度でしかない。
お前は雨に恵まれた国の人間だが分かってくれるかモリサキ?この胸のいた…」

シュナイダー「フライハイト!今モリサキは絶望的な戦いを挑まねばならない
自分のチームメイト達を見守っているんだ、話を元に戻そう!そうだろう、モリサキ!」

森崎「あ?ああ、そ、そうだな!悪いが雨の話はまた今度にしてくれ、フライハイト」

フライハイト「ん?そうか、そうだったな…仕方ない、今は試合に集中するとしようか!」

更にフライハイトは雨の素晴らしさについて語ろうとしたが、この話題を続けさせたくなかった
シュナイダーが強引に話を眼前の試合についてに戻し森崎もそれに乗る。
フライハイトも配慮し話題を元に戻してくれたが、雨によって上がったテンションは変わらなかった。

449 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/03(土) 16:50:59 ID:G+D4BlBJ
フライハイト「さて、前半を見てオランダユースの強さと恐ろしさは良く分かっただろうモリサキ!
攻守共にタレント揃いな上他のチームにはマネできない完成された連携でで非常に厄介なチームだ」

森崎「もう十分分かったっての。情けない話だが、三杉が抜けた今はもう点を取る事すら無理だろうな」

フライハイト「ああ。代わりに入ったマツヤマだったか?気分を悪くしないで聞いて欲しいが、
今の彼にはJrユース時代の存在感はまるで感じられないな。彼ではオランダ相手に何も出来まい」

シュナイダー「それは俺もジャパンカップの頃から気になっていたな。
マツヤマに限らずソーダ、ミサキ、ナカザトと言った全日本Jrユースの主力選手達は
皆伸び悩んでいた様に見えた。あれほどの強敵であったヒューガでさえ
俺の想像していた姿に比べると一回り劣っている。何故だ?モリサキ」

森崎「…日本にプロリーグが無いからだよ。参考に出来るレベルの高い試合も目標に出来る年上選手も
鍛えてくれるクラブチームも無い。これでも俺が合宿で実力差をみせつけて皆が必死になった結果なんだぜ?」

フライハイト「なるほど!国レベルの伝統と組織力が無ければ強い選手は生まれない。当たり前の事だな!」

シュナイダー「予想の一つが当たったな。お前とツバサはブラジルに行った事でそれを免れたのか。
しかしこのザマではお前とツバサの力で大陸予選を勝ち抜いたとしても、
ワールドユース本大会では”出場しただけ”のチームになりかねんぞモリサキ」

森崎「…チッ、耳に痛い話ばっかりしやがって。その通りだけどよ」

フライハイト「腐るなモリサキ!嫌な事から目を逸らしても現実は変わらないぞ!」

森崎「(こいつもうぜえ!ああ、面白くないな…ん?)」

代わりになった話題も決して愉快な物ではなく、冷徹に今の全日本ユースに
低い評価を下す二人のドイツ人に言い返せる材料が無い森崎は再び不機嫌になる。
そしてハーフタイムが終わり両チームの選手達が入場してくると彼の苛立ちは更に増した。

450 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/03(土) 16:51:18 ID:G+D4BlBJ
放送「ただいまハーフタイムが終わりました。逆転の期待がかかる全日本ユースの選手達が
雨に負けじと元気良く走りこみ、続いてリードしているオランダユースが…あ!?こ、これは…」

全日本メンバー「な…なにィ!?」「なんでだよオイ!」「フザけたマネしやがって!」

観客「あれ?オランダ、なんか変じゃね?」「クライフォートって奴が居ないぞ!」「あ、あそこだ!ベンチに居る!」

森崎「あ、あいつら…!とことんまで余裕かましやがって…!」

オランダユースがクライフォートを交代させてきたのだ。

放送「し、失礼しました!ただいま入った情報によるとオランダユースはキャプテンのクライフォートくんを下げ、
ギニャーサくんを投入しました。前半は見事なプレイでしたが、ケガでもしていたのでしょうか?」

森崎「ヘッ、あの展開でケガなんかするかよ。これでも十分って判断したんだろうよ…」

シュナイダー「妥当な判断だな。これは負けても問題ないテストマッチだ」

フライハイト「クライフォート抜きでも戦う練習に切り替えたか!抜け目が無い!」

松山「くっ…どこまで馬鹿にするつもりだ!それなら逆転勝利して後悔させてやるぞ、皆!」

全日本メンバー『おう!!』

当然いきり立っている全日本ユースがこれを喜ぶ筈も無く、彼らは松山が率いるままに怒号を上げた。
しかしそんな彼らの姿を見てもオランダユースの選手達の冷笑は深まるだけだった。

カイザー「聞いたか?向こうさんまだあんな事言っているぜ」

レンセンブリンク「愚かな」

クリスマン「俺達は何時でも全力だと言う事を分からせてやろう。体でな!」

451 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/03(土) 16:52:12 ID:G+D4BlBJ
いったんここまで。

452 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/03(土) 18:23:14 ID:G+D4BlBJ
そして後半は全日本ユースに取ってとても残酷な、オランダユースの一方的なペースに終始した。
全日本のキックオフで始まったにも関わらずボールはほんの数分で奪われ、
そこからクライフォートに代わってCMFになったクリスマンが使い出した連携に誰も太刀打ち出来なかったのだ。

クリスマン「行くぞレンセン、カイザー!」

レンセンブリンク「分かった」

カイザー「カモーン!」

パンッ!ポーン!ダダダダッ!バコォン!ダダッ!パンッ!

全日本メンバー「な、なにィ!?」「は、早ェエエ!!」「なんだよこれ!?」

松山「くっ…まだこんなコンビネーションがあったのか!?」

クリスマン、レンセンブリンク、カイザーの3人が絶えず走り続けながら行う
3人がかりの連続ノートラップパス。彼ら自身がトリニティブレイクと名付けた
この連携に圧倒された全日本は前半以上に攻撃権を取れなくなってしまう。

早田「レンセンブリンクだ!ポストプレイをしてくるぞ!」

レンセンブリンク「バカめ」

バッ!クルッ!
バシュゥウウウウウウウウウウウウウウウッ!!

若島津「な…こ、これは三杉の!」

中山「ハイパーオーバーヘッドだ!」

赤井「(やべっ、ビデオで見てたのに!)」

453 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/03(土) 18:23:31 ID:G+D4BlBJ
バスッ!
ピィイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!

レンセンブリンク「俺の武器はポストプレイだけではない」

そしてそのまま切り込まれた後半5分にレンセンブリンクのハイパーオーバーヘッドが決まる。



全日本ユース 1−3 オランダユース



スタタタタタタタッ!
パシッ!

政夫・和夫『あああっ…!』

イスラス「遅い遅すぎるぞもう見飽きたワンツーならもっと速くやれそれで速攻のつもりか!」

キックオフからのジェミニアタックもイスラスにあっさりとカットされた全日本は
それ以降完全に受身になり、自陣のゴール前をひたすら固めこれ以上の失点を
防ぐ事しか出来なくなった。そしてそれさえも満足に出来る事ではなかった。

カイザー「ほれほれほーれ、パスだぜー♪」

早田「畜生がァアアアアアアアアアア!!」

特に大きく響いたのはこれまで大活躍していた早田が悉くパスで翻弄され
何の役にも立たなくなった事だった。これは展開への影響以上に全日本の士気を下げた。

454 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/03(土) 18:24:27 ID:G+D4BlBJ
葵「くそーっ!まだ俺は諦めないぞ!」

ディック「早く楽になれよチビ!」

ズザザッ!
バゴオッ!

葵「ぎゃあ〜!」



中里「中の里が奥義が一つ、分身の…」

イスラス「スピードだけで勝てると思うな!」

レンセンブリンク「単純過ぎる」

バチイッ!

中里「なんと!?」

貴重な攻撃チャンスも敵陣にボールを運び込む事すら出来ない始末で、
頼みの綱の葵と中里のサイドアタックも通用しない。これにより
オランダのシュート数が増え、全日本の守備陣にかかる負担も増していった。



ボグゥヲォオオオッ!!

石崎「ぶふぇああっ…!も、もうダメだ…」

ドサッ…

葵「石崎さーーーん!!」

後半12分、脳震盪を起こした石崎が山森と交代。

455 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/03(土) 18:25:00 ID:G+D4BlBJ
レンセンブリンク「フン」

バッ!クルッ!

若島津「二度も同じ技でゴールさせるか!キェエエエエエエエエッ!!」

バッ!グワアアアッ!!
バキィイイイイイイイイン!!

レンセンブリンク「!?」
若島津「(しまった!このままだと弾ききれな…!)」

バィーーーーン!!

カイザー「ラッキー!ごっちゃんゴールいっただきィ〜〜!!」

バッ!
バシュゥウウウウウウウッ!!

中山「くそぉおおおおっ!!」

赤井「ゼー、ハー、ヒー…す、済みません。もう無理っす…」

バスッ!
ピィイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!

後半29分、負担が大きすぎた赤井が倒れるのと同時にカイザーのジャンピングボレーが入る。
代わりに入った高杉が出番を喜ぶ気になれなかったのは言うまでもない。



全日本ユース 1−4 オランダユース

456 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/03(土) 18:25:28 ID:G+D4BlBJ
松山「(頼む、せめてキーパーまで届いてくれ!)」

バゴォオオオオオオオオオオン!!
ヒュゥウウウウウウウウウウウ…

リブタ「おいおい、冗談きついぜ!」

バシッ!

松山「(くっ…何故だ!何故俺はこんなに無力なんだァアア!!)」

松山がやけくそにキックオフからの北国シュートを撃っても通用する訳が無い。



政夫「せめてもう一点取ってやる!」

和夫「くらえオランダユース!」

ドールマン「遠慮しとくぜ」

バッ!
ガシイイイッ!

政夫・和夫『そ…そんなァ!?』

ドールマン「残念でした。俺に通用する威力じゃないよーん」

運良くシュートチャンスまでこぎつけ、万感の思いで繰り出したデルタツインシュートですら
撃つ前に潰された時全日本ユースの闘志は遂に潰えてしまった。

457 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/03(土) 18:25:44 ID:G+D4BlBJ
イスラス「トドメだ全日本ユース自らの弱さを思い知れそれが敗北者の義務だ!」

ビュンッ!

若島津「あああ…」

後半37分、イスラスが無気力になった全日本の守りを突破しドリブルゴールする。



全日本ユース 1−5 オランダユース



葵「ハア…ハア…(い、嫌だよ、こんなの…)」

タッタッタッタッ…

ギニャーサ「スタミナは大したチビだがいい加減限界らしいな!」

バチイッ!

葵「(こんな…こんなにカッコ悪く負ける為に日本代表になったんじゃないのに…
翼さん達と一緒に世界を目指す為に頑張ってきたのに…こんな負け方、嫌だ…)」

バタッ…

ピッ、ピッ、ピィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!

最後まで走り続けた葵もとうとう倒れた時、屈辱に満ちた負け戦は終わった。
シュート数は3対15。支配率は16対83。点差と実力差が残酷なまでに一致した結果だった。

458 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/03(土) 18:26:54 ID:G+D4BlBJ
いったんここまで。
ジャパンカップ編もそろそろ終了が近いです。

459 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/04(日) 18:09:09 ID:hsT78phF
放送「ここで試合終了です。結果は1−5。全日本ユース、大敗を喫してしまいました。
ジャパンカップでの雄姿が今となってはまるで幻の様に思える程の惨敗です。
相手のオランダユースは現在欧州のユース代表としては最強と言われている程の強豪チームですが、
裏を返せば世界を狙えるチーム相手には歯が立たないと言う事でしょう。
第一回フランス国際Jrユース大会で予想外の栄光を手にしたこの黄金世代は
ワールドユースで栄光再びを期待されていましたが、それは叶わぬ夢となってしまうのでしょうか…?」

試合終了直後の実況は建前の中立性すら放棄した物悲しい語り口だった。
メキシコ五輪の銅メダル以外はまるで世界的な栄光が無い日本のサッカー界に
突然変異種の如く現れた黄金世代に魅せられたサッカーファンは多かった。

しかし今日の試合は実際に世界トップクラスのチームとぶつかるとどうなるかを残酷な程明らかにした。
主力が数人欠けていたと言う事実も慰めにならない程の大敗の前には
どんな楽天家でも夢を打ち砕かれずには居られなかった。

観客「そんな…こんな大差で負けるなんて…」「雨の中必死に応援した結果がこれかよ、くそっ!」
「オ、オランダって強いんだな…」「森崎や翼が居ても勝てなかったんじゃね?」「所詮日本サッカーなんてこんなモンだろ」
「ワールドユースに出ても今日みたいなチームが相手だとボロ負けするって事だよな…あ〜あ」

観客の反応は怒りよりも落胆が大きかった。これは日本がまだまだサッカー弱小国である自覚と
それ故に黄金世代と言えども高望みはしてはいけないと言う哀れみの産物だった。
逆に言えば、観客の思いを裏切っても激情される可能性は無い程度の期待しかされていなかったのだ。

選手達にはそれがなによりも辛かった。いっそ激しくブーイングされた方がマシだったかも知れない。

政夫「この程度…俺達って、この程度だったんだな…」

和夫「ハハッ…弱かったんだな、俺達…」

460 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/04(日) 18:09:27 ID:hsT78phF
葵「くそう、くそう、くそう!こんなの悔しすぎるよーっ!」

中里「無念どころではない…無様にも程がある…」

早田「クソッタレがーっ!今まで何をやってきたんだ俺は!」

次藤「…またじゃ。また、世界相手に何も出来んかった…」

中山「(ウジウジ悩んでいた結果がこれだ!何が森崎の力になりたいだ!)」

若島津「(昔と同じだった。俺はキーパーとしては世界を獲れない…)」

ベンチに戻る彼らの表情は惨めとしか言いようが無かった。過酷な現実に夢を打ち砕かれた
若者の顔はどんな芸術家でも描き表せないであろう程の悲哀に満ちており、
特にキャプテンマークを汚れた手で握り締める松山の顔は雨と涙と泥でぐしゃぐしゃになっていた。

松山「監督…皆…すみません!」

見上「…お前一人のせいではない」

松山「分かっています…でも、でも、こんなの!」

三杉「…オランダユースは僕たちより圧倒的に強かった…それ以上でもそれ以下でも無いさ」

松山「くそっ…!」

泣き濡れた松山と淡々と語る三杉の視線が自然とフィールドの逆側にあるオランダベンチに向かう。
距離がありすぎて会話は聞こえる筈も無かったが、彼らの明るく爽やかな雰囲気はとても忌々しい光景だった。
さして難しくもない仕事を予定通りに終えたからこれから祝杯でも上げよう…そんな表情だった。

461 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/04(日) 18:09:43 ID:hsT78phF
松山「…三杉」

三杉「なんだい?」

松山「やっぱり俺はあいつらが許せない…大敗したのはこっちが弱いからだ。それは俺達のせいだ。
だがあんなに強いのに!あんな凄い全員サッカーが出来て、しかもそれを個人技と両立させているのに!
わざわざ必要の無いラフプレイで相手をいたぶる様なサッカーなんて…俺は認められない!」

三杉「………」

松山「サッカーは奇麗事だけじゃ済まないのは分かっている。お前があいつらを責めていないのも、
ああいうやり方も一つの強さだって言うのも分かる。だけど…あんなサッカーに負けるのなんて、もう絶対に嫌だ!」

やがて松山は吼えた。涙を流し続けながら。そんな彼に注がれる三杉の視線は
どちらかと言えば冷ややかな物だったが、三杉が返答する前に岬が口を挟んだ。

岬「それで良いと思うよ、松山」

松山「岬…」

岬「小次郎とかを見ていると、オランダが間違っていると断言は出来なくなるけど…僕は奇麗事の方が好きだし、
奇麗事で勝ちたい。そう思う事も決して間違っていない筈なんだ(汚い事は他人にやらせるに限るしね)」

松山「ああ…!そうだよな、岬!」

三杉「…人にはそれぞれの道がある。君は君に出来る努力をすればいいさ。
僕は僕で力を求めるとするよ。結果的には僕たちの道の目標地も同じになるだろう」

松山「…そういう所も本当にお前らしいな、三杉」

その後三杉も淡々と相槌を打ち、彼らしい答えに松山も涙を止め苦笑する事が出来た。

*松山のクライフォートに対する感情が「許さない!」になりました。
*三杉のクライフォートに対する感情が「借り」になりました。

462 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/04(日) 18:10:01 ID:hsT78phF
そんな3人の輪を少し離れた所で眺め、疎外感を感じている者が一人居た。中山である。

中山「(結局俺が入っても、全日本は殆ど変わらなかったな…)」

日本代表となり3試合連続でスタメンフル出場、しかしそのパフォーマンスは「その他大勢扱い」程度。
中学生時代森崎と共に戦う事を渇望し続けた彼が描いていた想像とはかけ離れた様である。

中山「(この現状は自業自得だ。森崎の力になるには森崎と敵対する覚悟が必要かも知れない?
それは日向が歩んだ道だ。俺は日向じゃない。奴の様なFWではなくDFなんだ。DFとGKは敵対関係にはならない。
自分の本分を忘れた奴がいくら悩んだって無駄だ。だけど…だったらどうしたら昔の様に活躍出来るんだろう)」

現状に疲れた中山は遠い昔の栄光に満ちていた頃の記憶を掘り起こしていた。
南葛SCと言う地域の選抜チームでただの補欠だった筈の森崎がガムシャラに力と栄光を追い求め、
それに引っ張られる様に自分も何時の間にか眠っていた力を引き出していったセピア色の記憶を。

中山「(あの時俺も最初は森崎と同じでただの数合わせみたいな物だったんだよな…ん!?)」

そして中山は気付いた。一度再起不能になってから自分がどう変わったかを。

中山「(…今の俺の立場は同じじゃないか!南葛SCのその他大勢だった頃と!じゃあ…
今の俺とあの時の俺の違いは何だ…?決まっている!あの時の俺は失敗なんか恐れていなかった!
結果が出せなかったらすぐ次の挑戦を探していた!何も無かったから一から築き上げるしかなかった!
何時からだ!?何時から俺は過去の栄光に縋り失敗を恐れる様になっていたんだ?
そんなの俺じゃない!過去の栄光に縋りそれを取り戻そうとするのは俺じゃない!
自分の未知を探り続け、自分と戦い続ける!それがこの俺、中山政男のサッカーじゃないか!
昔の力を取り戻せばそれで満足するつもりだったのか?ああ、なんて道化だったんだ俺は…!)」

一度視野が開けると気が晴れるのも早かった。笑い出したくなる衝動を堪えなければならない程だった。
世界の壁と言う障害物に何度も突撃を繰り返した結果、中山はようやく己につけていた鎖の存在に気付いた。

中山「(…決めた。過去の力を取り戻すんじゃない、新しい力を得るんだ。俺の力を!)」

今は誰も気付いていなかった。この日の大敗が中山を過去の呪縛から解き放った事を。
全力で全日本を失意の淵に閉じ込めようとしたオランダユースは皮肉にも中山政男と言う一人の逸材を蘇らせた。

463 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/04(日) 18:12:07 ID:hsT78phF
いったんここまで。

464 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/05(月) 16:18:30 ID:dt3FqNV/
チームメイト達が悲痛な雰囲気に包まれていた頃、森崎はどうしていたかと言うと…

フライハイト「落胆しているヒマは無いぞモリサキ!正GKでありキャプテンでもあるお前は
誰よりも勇敢であり続けなければならない!それがチームメイトを復活させる最善の…」

森崎「分かってるっつってんだろ!いい加減落ち着きやがれ!(ウゼえ!最初の静かっぷりは何処に行ったんだ?)」

シュナイダー「フライハイト!日本人じゃないお前がわざわざ言う事じゃない!」

唾が飛ぶ程の熱弁をふるうフライハイトに絡まれて辟易していた。
彼のテンションは最早シュナイダーの注意にも耳を貸さない程高まりきっていたが、
試合終了後間も無く文字通り天の助けで森崎は彼から解放された。

サーサー…ポツポツ…ポツ…ポッ…

フライハイト「ああ…雨が、雨が行ってしまう…またもや雨と別れなければならないのか…」

森崎「…やっとか。こいつ二重人格か?」

シュナイダー「済まんな…雨さえ降らなければマトモなのだが…」

雨が止み、フライハイトが恋人と引き裂かれる様な痛みに満ちた表情で黙り込んだのだ。
今にも地面に手をつき泣き出しそうな彼を放置し森崎とシュナイダーは談話を再開する。

シュナイダー「ともあれ、今回日本に来たのは有意義だった。今の全日本の弱さをハッキリと見れたからな」

森崎「チェッ。お前だってオランダには1−4で負けたんだろ?」

465 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/05(月) 16:18:54 ID:dt3FqNV/
シュナイダー「そうだ。例えミューラーが居たとしても恐らく1−2か2−3で勝敗は変わらなかっただろうな。
中盤を完全に制されて俺は思うようにに攻撃出来ず、むしろ守備に走り回らなければならない程だった。
トップに上がってから壁にぶつかった事は何度もあったが、あれ程屈辱的な負け方をしたのは久しぶりだった…」

話題はやはりオランダユースについてで、己が味わった大敗を振り返るシュナイダーの
横顔は非常に読みづらい物だった。自分は出場していないとは言え全日本も
大敗してしまった以上それを茶化す訳にもいかない森崎は代わりに気になっていた事を聞いた。

森崎「なあ、その右足のケガってのはオランダと戦った時の物か?」

シュナイダー「いや違う。オランダとやった時は絶好のコンディションだった。これはむしろ
オランダに負けた後のオーバーワークが原因でな…まだまだ未熟だと思い知らされた」

森崎「そうか。負けた後のオーバーワークでケガってのは珍しくない事なのかもな」

シュナイダー「お前もツバサに負けた後そうなったのか…フッ、お互いバカをやってしまったな」

若気の至りで体を痛めてしまったと言う共通点を見出した二人は僅かな笑いを分かち合った。
だがそんな和やかな会話は差し迫った現実の前では長続きせず、二人は再び深刻な表情に戻った。

シュナイダー「…だが俺は二度とオランダに遅れを取るつもりはない。ヨーロッパ予選では
ドイツとオランダが同組になる事はまず無いだろうが、ワールドユース本大会できっちりと借りを返すつもりだ」

森崎「そうか…ん?今、西ドイツじゃなくてドイツって言ったな?まさか…」

シュナイダー「ああそうだ。既にFIFAは西と東のドイツの統合チームの参加を許可している。
つまりそこに居るフライハイトやハンブルグに居るポブルセンを始めとした東ドイツのメンバーも加わる」

フライハイト「…ドイツは今年中に再び一つになると言う見方が強い。そして長年の悲願であった
ドイツの統一を記念する栄光に、統一チームによるワールドユース優勝はうってつけのイベントだ」

466 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/05(月) 16:19:09 ID:dt3FqNV/
森崎「何時の間に復活してやがったんだお前。しかもあっさり優勝だなんて言いやがって。
政治的に大変な時期に悪いがよ、この森崎有三が居る限り日本以外の国の優勝は有り得ないぜ」

フライハイト「…出来るのか?今の日本で」

森崎「…出来るからやるんじゃねえ。やるから出来るんだよ。日本人ナメんなよ?」

シュナイダー「お前らしいコメントだ。願わくばその言葉通り強い全日本を復活させてくれ」

森崎「…じゃないと、倒し甲斐が無いってか?」

シュナイダー「その通りだ。今日の全日本には何の魅力も脅威も感じなかった。
俺はもう一度戦いたい。そして勝ちたい。俺を熱くさせてくれる全日本ユースをな…」

森崎「………」

フライハイト「シュナイダー、そろそろ戻ろう。万が一フライトを逃してしまったら面倒になる」

シュナイダー「おっと、そうだな。それではまたしばしの別れだ、モリサキ」

森崎「おう…」

A 「予選でコケんじゃねーぞ?そうなったら大笑いしてやるからな」
B 「今度戦う時は新技の一つでも見せないと承知しないぜ?」
C 「ワールドユースではお前が泣きたくなる程強い日本を見せてやるよ!」
D 「しかしお前クソ真面目だな。少しは軟派にならねーと女も出来ないぞ?」
E 「そういや日本来てどうだった?色々勝手が違っただろう〜」

      http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1267790375/l50にて
            ☆2010/4/5 18:00:00☆ から投票期間を設けます。
    そこから  15  票カウントし、一番多く票が入った選択肢で続行します。引き分けの場合は
   その次の票をタイブレーカーに使います。どれか一つに確定した場合はその時点で投票を
         止めて下さい。尚、投票はageた書き込みのみを採用しています。

467 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/06(火) 00:22:44 ID:0maQR48I
>C 「ワールドユースではお前が泣きたくなる程強い日本を見せてやるよ!」

シュナイダー「…では俺をそれを更に乗り越えよう。真のドイツの力でな」

森崎「ヘッ、俺達と当たる前に敗退したりするんじゃねーぞ」

グッ。

シュナイダー「お互い様だ。では…ワールドユースでまた会おう!」

グッ。

フライハイト「(この二人、口調や信念は異なる様だが…根は酷似しているな)」

最後にライバル達は互いの拳を突き合わせて別れた。再戦を心から望みながら。

森崎はシュナイダーとフライハイトの後姿を視界から消えるまで眺めていた。
初めて出会った世界の壁の象徴と、時代は変わったと言う生き証人。
彼らが去ってからしばらく経って、森崎はふとため息をこぼした。

森崎「ふぅう〜…倒さなきゃいけない奴らが多くて本当に大変だぜ。
まず腰を治さないといけないし、それが終わったらまた練習と訓練の毎日だ。
その間ずーっと根回しやらアメとムチやらに気を配らないといけないんだから
参っちまうぜホント。なんで俺はこんなに苦労してサッカーなんかしているのかねえ…」

独り言を呟きながら見上げる空は綺麗だった。割れた雨雲の隙間から
隠れていた太陽が顔を出し、光の筋が遠くの空に虹をかけていた。

森崎「…ま、決まってるよな。我ながらバカな疑問だったぜ」

468 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/06(火) 00:23:02 ID:0maQR48I
           虹に背を向けて森崎は歩き出した。これまでとこれからに思いを馳せながら。

                翼との再戦。若林との再戦。シュナイダーとの再戦。

         一つは叶わなかった過去。一つは勝ちとった現在。一つはあるかもしれない未来。

         徐々に彼の運命は加速していく。そして敵味方問わず彼の周りの者達の運命も。

            喪失。敗北。誓約。欲求。希望。策謀。信念。野心。責任。矜持。

         数え切れない思いが交差し、そのいくつかは日本を発ちいくつかは日本に留まった。

              次に互いの道が交わる時まで更なる力と戦いを求める為に。

               それぞれの挑戦が、試練が、躍進がここからまた始まる。

            森崎と全日本ユースはワールドユースと言う未知の領域に進路を定めた。



                  キャプテン森崎 ワールドユース編 第二部

                           ジャパンカップ編

                              完

469 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/06(火) 00:26:34 ID:0maQR48I
今日はここまで。明日またお会いしましょう。

ジャパンカップ編はこれにて終了、これからアジア予選編が始まります。
アジア予選が始まる前に多少NPCシーンがありますが、
NPC試合は無いのであまり長くはかからない…筈。



今日のキャプ森に関係ない事…は、こういう区切りでは野暮になりそうだし無しにしておきましょう。

470 :創る名無しに見る名無し:2010/04/06(火) 00:58:10 ID:Ov35gPy4
乙でした!

471 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/06(火) 16:44:02 ID:0maQR48I
皆さんこんにちは。
今日も今日とて続きを書いていますが、NPCシーンは
書き溜めた分を1レスずつに小分けにして出していく方が
読者としては楽しめるのかな?それとも今まで通り
書き溜めた分を一気に投下した方が有難いのかな?と
ふと疑問に思ったのでちょっとしたアンケートをとらせて下さい。
読者としてはどちらの方がより楽しめますか?

472 :創る名無しに見る名無し:2010/04/06(火) 16:59:38 ID:Ov35gPy4
個人的には一気に楽しめる今までどおりのほうが好きです

473 :創る名無しに見る名無し:2010/04/06(火) 17:09:34 ID:w8Zr/txy
今のままでいいと思いますよ。
同じようなことをやったことがありますが、後で訂正が必要になっても投下してしまったら後の祭りですから。
まあ私はめちゃくちゃミスが多かったので参考にはならないかもしれませんが…


474 :創る名無しに見る名無し:2010/04/06(火) 18:40:23 ID:03KdvBIS
小出しよりも一気に、の方が好きですねえ。
判定がないのならある程度まとまった量を読みたい性質なので。

475 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/06(火) 20:01:15 ID:0maQR48I
光陰矢のごとし。ジャパンカップが終わってからの森崎はパルメイラスの公認で
日本に留まり専門医の作ったリハビリプログラムをこなす日常に突入した。
周りに置いていかれるのではと言う不安と今はまだ焦ってはいけないと言う理性を
ぶつけあう日々はもどかしさは拒めなかったものの概ね平穏に満ちていた。

だが誰もが彼の様に悠長に構えていられた訳ではない。
日本だけでなく世界のあちこちで、彼と同年代のサッカー選手達が
波乱と苦難に満ちた数ヶ月を過ごしていた。
その内のいくつかにスポットライトを当ててみよう。



〜イタリア某所〜



ジェンティーレ「認めん!!俺は絶対に認めんぞ!!」



ストラット「……………」



ワールドユース欧州予選に向け合宿を始めたイタリアユースは初日からチームが分裂していた。

原因は一人のFWとそれに突き刺さる批判の視線、そしてそれを先導する一人のDFだった。
その渦中にて前者と後者が睨み合いを…否、前者が後者に一方的に睨まれていた。

476 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/06(火) 20:02:00 ID:0maQR48I
顔を苦渋、罪悪感、そして恐怖に引きつらせながらも必死に目だけは逸らさないでいるFWはチェザーレ・ストラット。
かつて誤って親友を負傷させ、その八つ当たりでライバル達まで負傷させ、母国イタリアのJrユース代表を
滅茶苦茶にしてしまった罪を背負うストライカーである。彼は今サンパウロFCユースから故郷の
ACミランユースに移籍と言う形で復帰し、更にイタリアユースに代表選手として選ばれていた。

彼に向ける敵意の雨の中でも一際際立つ程激しい視線をぶつけているDFはサルバトーレ・ジェンティーレ。
かつてストラットとライバル関係にあり、そして親友の負傷で荒れるストラットを叱咤激励しようとした結果
彼の八つ当たりで負傷させられ第一回フランス国際Jrユース大会を欠場せざるを得なかったスイーパーである。
ユベントスユースから選ばれイタリアユースの合宿所に直行した彼がストラットを発見した直後爆発したのは当然だった。

ジェンティーレ「良くものうのうとイタリアの土を踏めた者だな貴様!腐れ根性に磨きをかけたか?」

ストラット「……………」

バンビーノ「ジェンティーレ、ストラットを召集したのは監督とサッカー協会だ。彼にはここに居る権利がある」

降り注ぐ罵倒の嵐をただじっと黙って耐えるだけのストラットの代わりにバンビーノが喋りだす。
しかし今のジェンティーレにバンビーノの言葉など大した価値は持たなかった。

ジェンティーレ「人の話を聞け!そんな事は百も承知だ!だが俺は認めん!監督だろうと
サッカー協会だろうとFIFA会長だろうと、例え神が認めようとこの俺はこいつをアズーリとして認めんぞ!」

ランピオン「…俺もジェンティーレと同意見だ。ストラットをこのチームに加える事は災いをもたらすとしか思えん。
俺はストラットとコンビなど組みたくない。事はもうお前だけが奴を許せば済む事じゃないんだ、バンビーノ」

イタリアメンバー「そうだ!ストラットなんかチームに入れられるか!」「皆で協会に抗議しようぜ!ボイコットをちらつかせよう!」

バンビーノ「(…やはりこうなってしまったか。ヘルナンデスもストラットを弁護する気は無い様だし…)」

ヘルナンデス「……………」

477 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/06(火) 20:02:52 ID:0maQR48I
更にジェンティーレ同様ストラットに負傷させられたFWダヴィデ・ランピオンもバンビーノに反発し、
それに共感するチームメイト達も誰一人ストラットの弁護に回る事無く過激な意思を振りかざす。
唯一キャプテンのヘルナンデスだけは腕を組んで黙っていたが、彼の視線もまた明確にストラットを責めていた。

この時監督やコーチはまだ来ておらず、このままだとストラットへのリンチが発生していたかも知れない。
しかしそれは意外な方向から阻止され、ストラットへの助けが現れた。



アルシオン「何が問題なのか分からんな。誰か説明してくれないか?」



マルク・アルシオン。15歳になってからイタリア国籍を取り、その後ACミランで果たしたズバ抜けた活躍を
認められイタリアユースに選ばれたMFである。今回選ばれたメンバーの中で唯一既にクラブの一軍に
所属している男であり、マスコミは既にイタリアユースの10番は彼が予約済だと騒ぎ立てている。

バンビーノ「アルシオン?」

アルシオン「俺はJrユースの時はイタリア人じゃなかった。故にストラットが起こした問題も
伝聞でしか知らない。事実誤認をしていないか確認したいのだが、構わないか?」

ジェンティーレ「…良いだろう。どんな風に聞いている?」

アルシオン「俺が知っているのは格下クラブとの試合でホームタウンディシジョンに怒ったストラットが
誤ってバンビーノを重傷にさせ、それが原因でパフォーマンスを酷く落としてしまった事。そして
それを咎めたジェンティーレをランピオンをも巻き込んで負傷させイタリアJrユースから追放された事位だ」

ジェンティーレ「そうだ、それで合っている。何も間違えてはいない」

アルシオン「そうか、合っているのか。ならばますます何が問題なのか分からんな」

ジェンティーレ「なにィ!?」

ストラット「…え?」

478 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/06(火) 20:03:23 ID:0maQR48I
なんとアルシオンはストラットの加入が問題ないと言い切った。バンビーノですら殆ど弁護出来ないこの状況で。
全く予想していなかった援軍の登場にストラットは目を丸くし、彼に向けられていた怒りが今度はアルシオンに向かう。

ジェンティーレ「貴様!今まで何を聞いていたんだ、むしろ問題じゃないのは協会が認めている事くらいだぞ!」

アルシオン「確かに協会は認めている。つまり規律面の処罰はもう十分と判断された訳だ。
それなら選手達が頑固に反対し続け協会に楯突くのは新たな問題を不必要に作り出すだけじゃないのか?」

ジェンティーレ「協会はそれで良いかも知れん、だが現場の俺達はどうなる!
選手として最低限の信用すら置けない奴が居てチームとして機能出来るか!」

アルシオン「なるほど、チームとして機能するには信用が必要か。同感だ。それも大した問題では無いだろう」

ジェンティーレ「何故だ!ここでストラットを疑っていない者などお前とバンビーノだけだぞ!」

アルシオン「俺とバンビーノがストラットを信用していればそれで十分だろう。
試合にはもう1人か2人MFが出るだろうが、どうせゲームメイカーは俺だ。
ラストパスを出す俺がストラットを信用していればチームとして機能するだろう?」

イタリアメンバー「なんだと!?」「こいつ、ミランのトップでプレイしているからっていい気になりやがって…!」
「いや、監督の教え子だからだろ」「もうこのチームのゲームメイカーになったつもりでいやがるぜ!」

アルシオン「では、俺よりも上手くゲームメイク出来る自信がある奴は前に出ろ」

イタリアメンバー『うっ………』

アルシオン「どうした?さっきの威勢は何処へ行った?」

ストラット「(こ、こいつ…何処まで巨大な自信を持っているんだ…確かにこいつに勝るゲームメイカーなんて居やしないが)」

バンビーノ「(アルシオンだからこそ許されるセリフだね…流石にここまで言うとは思って居なかったけど)」

479 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/06(火) 20:04:14 ID:0maQR48I
ゲームメイカーの俺が問題視していないのだから問題ない。文句があるMFが居ればかかってこい。
アルシオンの主張は庇われている側のストラットとバンビーノですら呆気に取られる程自信に満ちた物だったが、
それを覆そうとする者は居なかった。代わりに横槍を入れたのはランピオンだった。

ランピオン「MFのお前はそれで良いとしても、FWの俺はどうなる?今のストラットの為にポストプレイをしろと
言われても俺は到底息を合わせられそうにない。そんな俺を未熟と切って捨てるつもりか?」

アルシオン「ふむ…確かにそれはお前のせいじゃない。多少問題ではあるな」

ランピオン「多少…多少だと?」

アルシオン「ああ、多少だ。お前のポストプレイはチームの武器になるが、仕方あるまい。
効率は少し落ちるが俺が絶対にカットされないパスを供給し続け、お前はシュートに専念すれば良い」

ランピオン「…お前、本気で言っているのか?」

バンビーノ「あ、アルシオン。今のは俺も流石にどうかと思うぞ…」

ジェンティーレ「…要はストラットの加入によって起きる問題は全部お前が解決すると言っているのか?」

ランピオンはストラットとは組めないと繰り返し、アルシオンはそれを認めた上で大した問題ではないと切り捨てた。
あくまで「俺が構わないのだから問題ない」と主張し続けるアルシオンに対し
ジェンティーレが新たな怒りを燃やすが、それでもアルシオンが怯む事は無かった。

アルシオン「そうだ。ストラットはそこまでする価値のあるストライカーだ」

ストラット「(何故そこまで俺の事を…)」

ジェンティーレ「馬鹿が。例えお前が今吹いたホラを全て実現させてみせても、それでもストラットが加害者で
俺達が被害者である事は変わらん。ストライカーはゲームメイカーにさえ信用してもらえれば
後はどうでも良いなどと言う極論が通るか!こいつは腐ったリンゴだ!一刻も早く除去しなければならないんだ!」

480 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/06(火) 20:04:49 ID:0maQR48I
アルシオン「今度は感情論か、それも良いだろう。ならば俺も感情論を使わせてもらおう。
この場で完全な被害者であり何の非も無いと言えるのは俺だけで、他は全員加害者だろう?」

イタリアメンバー「なんだって!?」「貴様、いい加減にしろよ!」「何様のつもりだ!」

アルシオン「事実だ。俺は昔の内紛には全く無関係だ。ただゲームメイカーとして安心して
ラストパスが出せるストライカーが居れば嬉しいだけだ。だがそのストライカーは過去の所業で、
そして他のチームメイト達はそれを責めて俺から頼れるストライカーを奪おうとしている。
この状況に置いて俺は被害者じゃないのか?お前たちは加害者じゃないのか?」

ストラット「(そうか…新参者だからこそ見える物もあるんだな…)」

アルシオン「もう一つ。俺は過去のストラットが加害者である事は否定しない。だが悪いのはストラットだけか?
叱咤激励に失敗しストラットを自棄にさせたと言うジェンティーレ、お前に責任は一切無いのか?
その意図が純粋な善意や正義感に基づいていたとしても、失敗と言う結果は結果だぞ?」

ジェンティーレ「 き、 さ、 ま… !! 何処まで屁理屈をこねれば気が済む!」

バンビーノ「…いや。今の主張には賛成だ」

ランピオン「バンビーノ!?」

バンビーノ「イタリアJrユースを滅茶苦茶にしたのはストラット一人だけのせいじゃない。
三年間かけてそう考えられる様になったからこそ俺はストラットを迎えにブラジルに行ったんだ」

アルシオン「そういう事だランピオン。お前もジェンティーレと同罪だろう」

ランピオン「くっ…!」

アルシオン「何よりも一番悪いのは…一番責任があるのは…」

イタリアメンバー『??』

481 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/06(火) 20:05:08 ID:0maQR48I
ここでアルシオンは今まで口を挟まなかったただ一人の男を指差し声高に非難した。



アルシオン「キャプテンのお前じゃないのかジノ・ヘルナンデス!!」



ヘルナンデス「……………」



アルシオン「Jrユースの時もそうやって黙って見て見ぬフリをしていたのか?
自分には関係ない事、自分が干渉してはいけない、自分は無言の圧力をかけるべき…
当時のお前がどんな判断を下したのかは知らんが、結果は見ての通りだ。
お前はまた同じ判断を下すのか?それでこの状況を解決出来るのか?」



ヘルナンデス「…キャプテンとはつくづく割に合わない役目だな」



アルシオン「俺が代わっても良いぞ。その事で俺はお前を責めたりはしない」



ヘルナンデス「いや、遠慮しておく。割に合わなくてもキャプテンをやる理由はあるからな」

482 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/06(火) 20:07:07 ID:0maQR48I
いったんここまで。

雑談スレも含め、一気読みの方が良いと言う意見ばかりで
小分けの方が良いと言う意見は皆無なので今まで通りで薦めます。

483 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/07(水) 00:32:26 ID:7WHCqVvl
チーム全体の敵意とアルシオンの意志力が衝突した結果
場には息苦しい程の重い重い沈黙が訪れた。
それを破ったヘルナンデスの声はとても固い物だった。

ヘルナンデス「俺はずっと悩んでいた。何が正しく、何をすべきなのかを」

イタリアメンバー『…………』

ヘルナンデス「行き着く答えは毎回同じ。イタリアユースをワールドユース優勝に導く事。
だがそこに辿りつく為の手段が真っ二つに分かれる。ストラットを呼び戻すか否かでな。
いくら考えてもどうしても分からなかった。だがもう俺に迷う時間は無い様だ」

ストラット「ヘルナンデス…」

ヘルナンデス「現実的な物の見方をすればアルシオンが正しい。だがサッカーは理屈だけじゃない。
チームの為に過去を水に流せ、それがプロ精神だと言う考え方も出来るが…最初にプロ失格の
振る舞いをしたのはストラットなのにそれを見逃すのがプロ精神か?と言う疑問にぶち当たってしまう。
チームメイトに納得の行かないまま試合に挑むのは弱点を放置したまま戦うのと同じ事だ」

アルシオン「では、どうするのだ」

ヘルナンデス「…俺達はジョカトーレだ。百の言葉よりも一のプレイが大事だ。
ストラットに示してもらおう。過去を償えるだけの力があるかどうかを。
お前が世界を制する力があるストライカーならば、再びイタリアを代表する資格がある」

ランピオン「それをどうやって判断するんだ?」

ヘルナンデス「ジェンティーレと俺相手にFKを撃ってもらう。それで良いだろう」

ジェンティーレ「面白いぞ!ストラットがアズーリに相応しくない弱者と
証明してしまえば下らん議論を繰り返す必要も無くなる!」

484 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/07(水) 00:33:07 ID:7WHCqVvl
バンビーノ「待ってくれ!それじゃあ2対1じゃないか!いくらなんでも…」

ヘルナンデス「それも考えてある。勝負は3回だ。その内1回でもゴールすればストラットの勝ちとする。
FKをたった3回防げない様では俺もジェンティーレもまだまだカティナチオを極めていないと言う事だからな」

ジェンティーレ「フッ、3回でも5回でも10回でも構わん!こんな奴にイタリアゴールを割らせるか!」

ストラット「…分かった。その勝負を受けよう」

ヘルナンデスの下した判断は「力を示せ」だった。考え方次第で善悪がどうにでも変わるこの状況では
これ以上議論を尽くすよりもストラットのプレイこそが彼の今までの生き様と未来を切り開く信念を否応が無く表せる。
そして自分とジェンティーレもカティナチオを背負う者達として自分達の全てをぶつければ納得出来る。

無論この勝負に負けたとしてもイタリアサッカー協会に召集された以上ストラットが即時追放される訳ではないが、
チームメイトの誰もが彼を信じなくなったら遅かれ早かれ監督や首脳陣もストラットを構想外とした
チーム育成方針に切り替えなければならなくなる。ストラットは負けたら全てを失うと言っても過言ではない。

こうしてストラットの一世一代の大勝負が始まろうとしていた。かつて自分が壊して脱走し、
今戻ろうとする自分の前に立ちはだかる祖国の鍵をこじ開ける事が出来るかどうか?
一度ルールが決められた後は言葉は要らなかった。ヘルナンデス、ジェンティーレ、ストラットの3人が
フィールドに向かいそれぞれの位置につきその他の選手達がフィールド外からそれを見守る。



一本目。

ダダッ!
グワァアアアアアアアアアッ!!

ヘルナンデス「右だジェンティーレ!」

ジェンティーレ「おう!!」

485 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/07(水) 00:33:25 ID:7WHCqVvl
ストラット「!?」

バッギャァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!

バッ!ブォン…
バキィイイイイイイイイイン!!

ジェンティーレ「ぐ…ぉ…お…!」

ギュンッ!

ヘルナンデス「必ず止める!」

バッ!
バシィイイイイイイイイイイイッ!!

イタリアメンバー『ぉおおおおおおおおおおお…!!』

バンビーノ「メ、メガロゾーンシュートが…!」

ストラットの一本目のシュートはジェンティーレのジャンピングボレーの形のブロック、
通称反転ブロックによって威力を弱められた後ヘルナンデスの黄金の右腕にキャッチされた。
それだけでも驚異的だが、ストラットをより驚かせたのは自分のシュートコースを完全に読まれていた事だった。

ストラット「(ヘルナンデスの奴…何時の間にあんな洞察力を…)」



二本目。

ダダッ!
グワァアアアアアアアアアッ!!

486 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/07(水) 00:33:54 ID:7WHCqVvl
ヘルナンデス「撃ち返せ正面だ!」

ジェンティーレ「ウォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!」

バッギャァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!

ダダッ!
ブォオオオオオオン!!

ストラット「なんだと!?」

ブワッグワッシャァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!

ギュワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!

ドガァアアアッ!!

ストラット「ぐわぁああああっ!!」

ドタッ!

バンビーノ「ストラット〜〜〜ッ!!」

アルシオン「(…どうした。その程度じゃないだろう?)」

どうせコースが読まれるのなら最短距離を突き進め、ジェンティーレの体でヘルナンデスの
視界がさえぎられる事も期待出来る正面に撃つ。そのストラットの判断は完全に裏目に出た。
ジェンティーレに撃ち返されたボールは彼を軽々と吹き飛ばしてみせたのだ。

487 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/07(水) 00:34:10 ID:7WHCqVvl
三本目。

ヘルナンデス「後一球だ!絶対に止めるぞジェンティーレ!」

ジェンティーレ「当然だ!俺達の守りは誰にも破らせない!」

ランピオン「(これがストラット無しでも世界を獲ると決意した二人が培った力だ。
ブラジルに逃げた挙句幼馴染と女に懇願されただけで戻ってきた腰抜けが勝てる相手じゃない!)」

ストラット「(強い…これこそが、カティナチオ…!今までの俺では絶対に破れない。
ならば一か八かアレに…この一蹴に俺の全てを賭けるしか無い!!頼む、上手く行ってくれ!)」

ダダッ!

ヘルナンデス「(!?これは…!)」

ジェンティーレ「(なんだこの震えは…この俺が!)」

追い詰められたストラットの最後のチャンスだった。





その後イタリアユースはヨーロッパ予選の第3グループを全勝無敗無分で突破する事になる。
予選通産失点は0。更にエースストライカーのチェザーレ・ストラットは全グループ規模での得点王となり、
また10番のマルク・アルシオンは同じく全グループ規模のアシストランキングの1位に輝いた。
クジ運に恵まれ格下しか相手が居なかったのも事実だが、それを差し引いても怪物チームである事は間違いない。
欧州はおろか来年のワールドユース開催国のブラジルのマスコミでさえそう褒めちぎったと言う。

488 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/07(水) 00:37:17 ID:7WHCqVvl
今日はここまで。また明日お会いしましょう。


ラスボスチームが何処かはワールドユース本大会の抽選が決まれば
おのずと明らかになりますのでそれまではたっぷりご想像下さい。

489 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/08(木) 20:49:51 ID:E6WP7Av8
〜西ドイツ某所〜

そして欧州にもう一つ、波乱の末に文字通り一つに纏まろうとしているユースチームがあった。
ただしイタリアユースと違ってこちらは至極あっさりと決着がついた。



バッグワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!

シュナイダー「…HA!!」

ポブルセン「ッギャァアアアアアアアアアアア!!?」

ボグワァアアッ!!
ドサッ!



カルツ「こうして皇帝は不穏分子を直々に鎮圧し帝国の治安を安定させましたとさ。まる」

カペロマン「おーおー良く飛ぶなあ。キック力の比べ合いだとよくある事だが」

メッツァ「あ〜やだやだ。FWもDFもGKもあんな事ばっかりしなきゃいけないなんて、パサーで良かった」

マーガス「お前の態度もどうかと思うぞ」

シェスター「噂通りの馬鹿だな、ポブルセンって。よりにもよってシュナイダーにケンカを売るなんて」

ポブルセンがシュナイダーにキック力勝負で挑みかかりあっさりと返り討ちにされた。
言葉にすれば僅か一行の出来事を遠巻きに眺める選手達はまるで風物詩を眺める様に落ち着いていた。

490 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/08(木) 20:50:18 ID:E6WP7Av8
無論当事者の二人はそうノンビリとしている訳にも行かなかった。
負けたポブルセンは勝負前よりも更に敵意の篭もった視線ををぶつけ、
それに応える様に勝ったシュナイダーも睨み返していた。

シュナイダー「…気は済んだか?と聞きたい所だが、愚問の様だな」

ポブルセン「当たり前だ…てめえは負けたらそれで納得するのか!」

シュナイダー「その反骨精神は評価出来るが、今後はそれを味方ではなく敵にぶつけろ」

ポブルセン「偉そうに命令するんじゃ…」

ギンッ!

シュナイダー「………」

ポブルセン「ぐっ…」

シュナイダー「お前は力以外の言語は理解できないのだろう?だからお前に合わせて
懇切丁寧に説得してやったつもりだが…まだ俺をキャプテンとして認められないか?」

ポブルセン「…けっ。もう良い、好きにしやがれ」

しかし希代のトラブルメーカーのポブルセンも自分から挑んだ勝負で完敗したと言う事実と
時としてマキャベリストとすら評される鬼キャプテンのシュナイダーの眼光には逆らい難く、
やがてポブルセンは悪態をつきながら遠ざかっていった。代わりにフライハイトが近づいてきて彼の苦労を労う。

フライハイト「ご苦労だ。よくやってくれた」

シュナイダー「なに、力で捻じ伏せれば良いだけなら簡単だ。他の東出身者はどうだ?」

フライハイト「他はポブルセンの様な気性の持ち主は居ない。お前の支配体制は万全と言って良いだろう」

シュナイダー「ああ…いや、もう一人居る。不敵な不届き者が」

フライハイト「?」

491 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/08(木) 20:51:23 ID:E6WP7Av8
ざわっ…

フライハイト「!」

シュナイダー「来たな…」

シュナイダーに心を休める暇は無かった。彼にとってはポブルセンより厄介で、
かつより頼りになる男がたった今周りを騒がせながら練習場に入ってきたからだ。

ドスドスドス…

3年前より更に成長し最早足を動かす度に地響きが聞こえてきそうな程の大男。
”鋼鉄の巨人””幻のGK”など多くの異名を持つデューター・ミューラーが
重厚ながら機敏な動きで彼の下にやってきた。

シュナイダー「遅刻ギリギリだ。感心せんな」

ミューラー「間に合ったのだから良いだろう。それともまたオランダに負けるかも知れんと怯えていたのか?」

シュナイダー「自惚れるな。あの試合はお前が居ても恐らく勝てなかった。
世界には強いチームがゴマンと居る。お前を持ってしても零封は望めない様なチームがな」

ミューラー「フン、面白い。お前こそ今度はしっかり点を取れよ」

シュナイダー「言われるまでもない…それと、マリーには手を出すな」

ミューラー「俺はお前の妹になど興味は無いと何度言えば分かる!」

シュナイダー「それなら良い。だがその言葉違えてみせろ、楽には死なせんぞ」

フライハイト「(デューター・ミューラー…初めて見たが、体格以上の威圧感だな。
それにしてもシュナイダーのシスターコンプレックスはなんとかならないのか…
変人が相棒だと苦労する物だ。妹などよりも雨の方が余程素晴らしいのに)」

492 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/08(木) 20:52:22 ID:E6WP7Av8
ピィーーーーーッ!!

ルディ監督「集合!これよりドイツユース合宿を開始する!」

こうしてある程度の不穏さを抱えながらも間近に迫ったドイツ統一を象徴するドイツユースの合宿が始まった。



彼らはその後予選第2グループでイングランドやスペイン等と同組になりクジ運に恵まれないと嘆かれたが、
抽選結果など関係ないと言わんばかりの圧勝試合を繰り返し見事予選を1位突破した。

ちなみに第1グループではオランダユースが前評判通りの強さを発揮しこれまた1位突破。
同組には彼らとトップ争いをすると見られていたスウェーデンユースが居たが、
何故かキャプテンが序盤で参加を辞退した為チームとして力を発揮出来ず2位に収まった。
最後の第4グループの1位はポーランドユースの猛追に苦しめられつつも何とか振り切ったフランスユースだった。



欧州では強豪と言われるチームが順当に勝っていたが、南米では開催国故ブラジルが
予選を免除されていた為事実上アルゼンチンとウルグアイの一騎討ちとなった。
天才ファン・ディアスを擁するアルゼンチンか、強力なツートップを武器とするウルグアイか?
南米予選は全チームの総当りで行われる為、彼らの結果は欧州予選に遅れて出てくる。

サトルステギ「よっしゃあ行くぜ我がライバルよ!遅れを取るなよ!」

ディアス「誰に言ってんだ!キャプテンは俺なんだから仕切るな!(そもそもこいつ誰だっけ?)」

ビクトリーノ「ウルグアイの力を見せてやろうぜ、相棒」

火野「ああ、何時までもブラジルとアルゼンチンだけにデカい顔はさせねえぜ」

493 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/08(木) 20:52:48 ID:E6WP7Av8
いったんここまで。

494 :創る名無しに見る名無し:2010/04/08(木) 23:07:17 ID:5XdfJbca
サトルステギがサトルキスギに見えたでござる
俺疲れてるのかな…

495 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/09(金) 00:02:44 ID:tE1CVYk1
己が与り知らぬドラマが世界中で起きている間も
森崎はハードだが地道なリハビリをこなすだけの日々を送るだけだった。
ジャパンカップのあった2月から3月、4月、5月、6月…月日が飛ぶ様に過ぎていく。

退屈な日々を紛らわすのに最適だったのは全日本の他のメンバーが
どう過ごしているか調べる事だった。これは骨川が定期的に調べ手紙で知らせてくれた。

森崎「どれどれ…葵と赤井はイタリアに戻った。他は当然日本に居る。皆母校の施設を使わせてもらったり、
社会人リーグや大学リーグに混ぜてもらったりしているのか。その他山篭りなどをしている者も…
山篭りって、格闘家じゃね…いや、若島津や中里あたりはやりそうだな。山森、新田、沢田の3人は
まだ高校で戦ってる…と。もうあいつらは他の連中とはレベルがかけ離れ過ぎてて勝負にならなさそうだな」



そして7月。森崎は遂に医師から腰が完治し、更に将来的な
ダメージを予防できる筋肉・骨格強化が完成したと太鼓判を貰った。

森崎「よっしゃあ!トレーニングと外出の許可が降りたぜ!
あ〜、退屈だった。さて、アジア予選が始まる10月まで後3ヶ月。
チームメイトに会いに行って根回しをしとくか、それとも自分の訓練に使うか…
悩み所だな。とりあえず今月はどうしようか?」

496 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/09(金) 00:03:42 ID:tE1CVYk1
現時点の各能力値の成長し易さは以下の通りです。

上がり易い:パス(65)・シュート(65)・タックル(66)・パスカット(64)・ブロック(64)
やや上がり易い:ドリブル(69)
やや上がり難い:せりあい(73)・セーブ力(73)

ドリブルフラグポイント:3/10(10を満たせば新必殺ドリブルを覚えます)

*成長判定をカードからダイスに変えました。同じ表現でも一部の成長率が上下しています。


初音「どーもー、作者の代理です。今回は7月、8月、9月で合わせて3回行動チャンスがあります。
誰かに会いに行く場合は後で全日本ユースメンバーの誰か1名を指定してもらいます。
頑張って育てて運がとても良ければ高杉くんだって世界一のDFになれる!…キッカケ位はつかめるかもね。
勿論そんなのは効率は悪いけど…無論、誰にも会わずに自分の強化に費やすのも一つの手です。
アジア予選の最中にもこう言った機会はあるから、あまり悩まずに決めてくださいね」


A 一人で自分の基礎能力を上げる。
B 誰かに会いに行き(指定はこの後)、スキル・必殺技開発を手伝って貰う。
C 誰かに会いに行き(指定はこの後)、互いの能力アップ(もしくはスキル・必殺技開発)に励む。
D 誰かに会いに行き(指定はこの後)、相手の能力アップ(もしくはスキル・必殺技開発)を手伝う。

      http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1267790375/l50にて
            ☆2010/4/9 00:30:00☆ から投票期間を設けます。
    そこから  15  票カウントし、一番多く票が入った選択肢で続行します。引き分けの場合は
   その次の票をタイブレーカーに使います。どれか一つに確定した場合はその時点で投票を
         止めて下さい。尚、投票はageた書き込みのみを採用しています。

497 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/09(金) 00:38:11 ID:tE1CVYk1
>B 誰かに会いに行き、スキル・必殺技開発を手伝って貰う。

森崎「コツコツ自分一人で頑張るのも良いが、それにも限界がある。
ここは誰かの力を借りるとするか。問題は誰に頼むかだが…」

全日本ユースのメンバーで助力を仰ぎたい選手の名前を一人書いて下さい。
翼・若林・葵・赤井は日本に居ないので頼めません。
相手によっては断られる事もあります。
具体的に何を頼むかはまた後で選択します。

      http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1267790375/l50にて
            ☆2010/4/9 00:50:00☆ から投票期間を設けます。
    そこから  15  票カウントし、一番多く票が入った選択肢で続行します。引き分けの場合は
   その次の票をタイブレーカーに使います。どれか一つに確定した場合はその時点で投票を
         止めて下さい。尚、投票はageた書き込みのみを採用しています。

498 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/09(金) 00:39:47 ID:tE1CVYk1
今日はここまで。また明日お会いしましょう。



今日のキャプ森に関係ない事。
日本代表何やっとんねーん!ヒデが泣くぞぉ!

499 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/09(金) 15:16:33 ID:tE1CVYk1
>三杉

森崎「よし、ここは三杉だな。本人も先生ヅラをするのが好きな奴だし、
なによりジャパンカップ前の合宿で契約した分の利益を回収しないと」

森崎は東京の三杉のツテを頼った。

三杉は大学リーグと社会人リーグのどちらにも参加せず母校の運動施設を
使って計画的な筋トレに励んでいた。勿論傍らにはサポート役の弥生も居る。
森崎が訪ねると彼は友好的に話しかけてきた。

三杉「やあ久しぶりだね。もう退院出来たのかい?」

森崎「退院はしてないが、外出許可が出たんだよ。
まだ10月の全日本合宿召集までは施設でトレーニングだ。
ただいかんせんマトモな腕の持ち主とボールを蹴りあえる機会がないんでな」

三杉「へえ、じゃあ今日は鬱憤を晴らしに来たと言う事かい?」

森崎「そういう事だ。と言う訳で俺の特訓に協力しろ。同盟なんだろ?」

三杉「特訓ね…まあ良いだろう、今度は僕が君に力を貸そう。何を特訓したいんだい?」

覚えやすい:ドリブル技、一対一用技、飛び出し技、クリア技
普通:パス技、ダイレクトシュート技、タックル技、パスカット技
覚えにくい:地上シュート技、ブロック技、セービング技

      http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1267790375/l50にて
            ☆2010/4/9 15:30:00☆ から投票期間を設けます。
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500 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/09(金) 16:31:38 ID:tE1CVYk1
>I 一対一用技

森崎「俺が練習したいのは一対一だ」

森崎が希望を述べると三杉はやや意外そうな顔をした。

三杉「一対一?既に君はその分野でも世界最高レベルに達していると思うけど…」

森崎「だが、カルツには抜かれた事がある。あの時枠外になっていたら
ハンブルガーSV戦は逆の結果になっていたかも知れん。穴は残しておきたくないんだよ」

三杉「その気持ちも分かるが、カルツも一対一に関しては世界最高レベルだろうから
彼相手でも楽勝と言うのはかなり難しいと思うけどね…まあ良いさ、やるだけやってみよう」

こうして三杉のコーチの下森崎の一対一特訓が始まった。
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【分岐】http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1267790375/l50にて
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先着(順番通りじゃない書き込みは無効)で
★森崎の努力→!dice★
★三杉のコーチング→!dice★
と書き込んで下さい。カードやダイスの結果で分岐します。

両者のダイスの和の分だけポイントが溜まります。5ポイントでフラグ、10ポイントで新技・スキル入手です。

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