キャプテン森崎 Vol. II 〜Super Morisaki!〜
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レス数が1000を超えています。残念ながら全部は表示しません。
【どん底からの】キャプテンEDIT2【出発】

1 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/07(日) 18:30:02 ID:GE+4f6OQ
このスレはキャプテン森崎のスピンアウト作品に当たる、キャプテンEDITのスレです
森崎くんと同世代に生まれたサッカー少年・大前くん(オリキャラ)を操作し、彼を名選手に育てたり育てなかったりします
現在の目標は全国中学校サッカー大会出場
読者の皆さんに引いて頂いたカードや、投票していただいた選択肢に従い、物語が展開します

前スレ
【サッカー少年】キャプテンEDIT【奮闘記】
http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1266151951/

〜前回までのあらすじ〜
鳴紋中学サッカー部に入部してから、メキメキと実力を付け、練習試合ではスタメンに選ばれた大前
だが、試合では功名心からくるミスで途中交代を宣告され、更にそれを拒んだためにチームメイトからの信頼も失ってしまう
このことが原因で、入部以来の友人である雪村とも絶交状態に
失意のどん底に陥るが、マネージャー・菱野の叱咤を受け大前はなんとか自分を取り戻す
全国大会優勝を目指す先輩・早瀬、1年に残った最後の友人・比良山、何故か肩入れしてくる長池らに支えられ、再起を目指すことになった
そんな大前をよそに始まった県大会決勝戦。対戦相手のライバル校・清栄学園の奇策と大型新人・金成の実力に先制を許す鳴紋中
部長・小豆沢たちの奮闘ですぐさま同点に追いつくも、金成にはまだ秘策が……?

〜前スレのできごと〜
大前「能力と補正合わせて6〜7差なのに、シュートが入らない件」
国岡「大前の不幸でメシがウマい!」
長池「大前……俺の弟になれ……」
雪村「いっしょに帰って、友達に噂とかされると恥ずかしいし……」
菱野「私は一向に構わん!」
やす子「そんなことより特訓しようぜ!」
早瀬「ゲームオーバー寸前の大前くんに、『教えて! 早瀬さん』のコーナー!」
比良山「ラーメン屋の皮を被った悪魔め!」
金成「ねぇねぇ、今どんな気持ち? 1年生一人に先制されて今どんな気持ち?」
小豆沢「このかりは、かならずかえす!」
瀬川「ヒャア、がまんできねぇ、シュートだ!」

485 :TSUBASA DUNK:2010/03/14(日) 01:30:32 ID:???
★ファイナル練習の成果→  ダイヤ10 =★

486 :森崎名無しさん:2010/03/14(日) 01:31:07 ID:???
★ファイナル練習の成果→  ダイヤ7 =★

最後に絵札以上こいやーッ!!!

487 :森崎名無しさん:2010/03/14(日) 01:32:12 ID:???
ツバダンさん、ナイス!

488 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/14(日) 01:41:27 ID:/RNtMLCQ
★ファイナル練習の成果→  ダイヤ10 =★
10〜Q→必殺シュート経験値+5
---------------------------------------------------
手に持ったボールを上に放り投げ、落ちてきたところを様々な打点からダイレクトシュートへ持っていく。
そんな訓練を繰り返すうちに、やがて大前には閃くものがあった。

大前(……撃てる。今の俺なら、必殺のダイレクトシュートを撃てる!)

脳裏に、決め球を放つ自分のビジョンが浮かんだ。

※ 必殺シュート経験値が+5され、16になりました ※
※ オーバーヘッドキック、ダイビングボレーを習得可能な経験値を得ました ※
※ どちらかを習得できますが、必要分の経験値と、現在持つ浮き球シュートフラグを失います ※


先に『4票』入った選択肢で進みます。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。

A.オーバーヘッドキックを習得する:威力2、消費ガッツ120、高い浮き球、必要必殺シュート経験値15(発展性:高)
B.ダイビングボレーを習得する:威力3、消費ガッツ160、低い浮き球、必要必殺シュート経験値15(発展性:有)
C.まだだ、まだ上のクラスの技を習得したい! 今回は何も習得しない

489 :森崎名無しさん:2010/03/14(日) 01:43:41 ID:VMqefoH2
C

490 :森崎名無しさん:2010/03/14(日) 01:45:09 ID:F9YWQ/BU


491 :森崎名無しさん:2010/03/14(日) 01:45:56 ID:???
クリアボムまであと14か……

492 :森崎名無しさん:2010/03/14(日) 01:46:43 ID:LKuLbJYk
C

493 :森崎名無しさん:2010/03/14(日) 01:52:42 ID:GIfgn8NU
C

494 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/14(日) 02:01:09 ID:/RNtMLCQ
>>C.まだだ、まだ上のクラスの技を習得したい! 今回は習得しない
------------------------------------------------------------------
高い打点から、足が頭を超えるようにして打ち下ろすオーバーヘッドキック。
低い打点から、前方へ飛びこむようにして撃ち放つダイビングボレー。
そんな技が思い浮かんだが――

大前「……いや、駄目だ」

――地に落ちるボールを、微動だにせず見送った。

大前「俺が必要としているダイレクトシュートの必殺技は、もっと違う形のものの気がする。
……ここで構想を完全に固めてしまう、っていうのは時期尚早だな」

そう考え、ボールを片づけて夜のグラウンドを後にする。

大前「俺の、本当の必殺技……今はまだ形さえ見えないけれど、いつか必ずモノにしてみせる!」


※ 今回は必殺技を習得しませんでした ※
※ 練習をしたことでガッツが200減りました。現在のガッツ:120/620 ※

495 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/14(日) 02:04:23 ID:/RNtMLCQ
大前がオーバーヘッドとダイビングボレーを、華麗に隼したところで今回はここまでです
途中、判定の不具合のせいで投下が中断してしまったりして、申し訳ありませんでした。今後はこのようなことが無いよう努力します
次回は、順調にいけば夏合宿編終了までいけると思います
では、深夜までのお付き合い、ありがとうございました

496 :森崎名無しさん:2010/03/14(日) 02:06:21 ID:???
華麗なる隼スルースキルGET乙でした!

497 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/16(火) 22:19:45 ID:6PWV8nDY
どうも投下期間が開いてしまってすいません
合宿最終日の展開に詰まったのと、気分転換に書いたちょっと先のNPCパートの執筆で時間を取られるという、
バカみたいなコンボを発動してしまいました……
今回、いつも以上に頭の悪い話なのでご注意

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〜合宿最終日・海水浴〜

落田「海だーっ!!」

雪村「広いぞー! 大きいぞー!」

瀬川「イヤッホー!!」

真夏の青い海に目がけて、快哉を叫ぶ落田たち。

早瀬「やれやれ。興奮しすぎだろあいつら」

比良山「まあ、俺たちは内陸育ちですからね。あの二人が羽目を外す気持ちも、少しは分かります」

末松「あれ? 海の家は無いの? 浜茶屋は? 焼きそばとかき氷は?」

長池「輝く太陽。青い海。白い雲。……どれも今の俺には眩しすぎる……」

大前「なんでも眩しがりますね、長池さん」

やす子「ふっふーん♪ ここって結構田舎だから、この時期でも砂浜が空いてるのよねー。
海水浴場っていうにはちょっと狭いけど、この人数なら問題ないでしょう? 今日は思う存分羽を伸ばしなさいっ!」

498 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/16(火) 22:20:53 ID:6PWV8nDY
大前「……」

早瀬「……」

比良山「……」

そう言う飯地の姿を見た瞬間、部員一同は思わず黙り込んだ。

やす子「ん? どしたの、みんな?」

大前「監督……あなた、なんて格好しているんです?」

やす子「観ての通りの水着姿よ! どう? 似合ってる?」

髪を掻き上げながら、腰をくねらせてポーズを決める飯地。彼女が着ている水着は、なんというか……大変に際どい。
ストラップを兼ねた二本の布地だけで上半身を覆い、ボトムが切れあがった構造のY字型のワンピース。
――いわゆるスリングショットである。
当然、露出度は異様に高い。

大前「痴女の一歩手前って感じですよ……」

比良山「その……青少年を引率する立場であられる方としては、いかがなものかと思いますが……」

499 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/16(火) 22:21:57 ID:6PWV8nDY
目を泳がせながら苦言を呈する大前と比良山。

やす子「二人とも固いわね〜。早瀬くんたちはどう? 大人の魅力が分かるかな〜?」

早瀬「……」


先着1名様で以下の文の『!』の後のスペースを消してカードを引いてください。

★やす子「魅力ビ〜ムっ☆」→ ! card=★


カードの絵柄で結果が変化します
ハート→年上趣味の早瀬を直撃した!?
ダイヤ・スペード→早瀬は呆れている……
クラブ→早瀬「大人の魅力(笑)」 身体の一部に、憐れみの視線を寄越しながら失笑
JOKER→ポロリもあるよ! お色気アクシデント発生で、お子様な雪村と色気より食い気の末松以外、全員の低い浮き球が上がった!

500 :森崎名無しさん:2010/03/16(火) 22:23:47 ID:???
★やす子「魅力ビ〜ムっ☆」→  クラブ10 =★

501 :森崎名無しさん:2010/03/16(火) 22:23:53 ID:???
★やす子「魅力ビ〜ムっ☆」→  スペード6 =★

502 :森崎名無しさん:2010/03/16(火) 22:31:20 ID:???
胸無しスリングショット水着女教師……我々の世界ではご褒美です!

503 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/16(火) 22:34:37 ID:6PWV8nDY
>>502
ご褒美になりましたかw あ、蛇足ですが飯地監督はあくまで外から雇った監督ですので、教師じゃないです

★やす子「魅力ビ〜ムっ☆」→  クラブ10 =★
クラブ→早瀬「大人の魅力(笑)」 身体の一部に、憐れみの視線を寄越しながら失笑
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早瀬「大人の魅力、って言われてもなあ……」

可哀そうなものを見る目を飯地に寄越す早瀬。

やす子「な、なによう、その目は!?」

早瀬「いや、別に……大人と言い張るにはちょっと足りないなあ、とか思っただけッスよ」

やす子「なにィ!?」

早瀬は飯地の胸元に視線を寄越し、軽く鼻を鳴らした。
10歳近く年上の女性にしては、あまりにもささやかなふくらみに、憐れみすら催しているようだった。

やす子「お、おのれェ〜。貧乳はステータスよ! 希少価値よ!」

瀬川「フッ、早瀬も若いな……大きいだけが価値ではない。ささやかさこそが美しい女性もいるのさ……」

やす子「おおっ!? 流石は百戦錬磨の瀬川くん! 話が分かるっ!!」

大前「監督……それよりも着替えた方がいいですよ。その、なんというか、布地を押し留める物が無いから、ズレそうですし」

やす子「……は〜い。ついでに、菱野ちゃんも呼んでくるわね」

渋々と着替えに戻る飯地。

504 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/16(火) 22:35:38 ID:6PWV8nDY
落田「はっ!? そうだ! それよりも菱野さんだ! 今日は待ちに待った海水浴。当然、菱野さんも水着姿のはず!
その麗しい姿を、是非ともこの目に焼き付けねば!」

やす子「それよりも、って言い方はないでしょうがーっ!!」

比良山「落田もぶれないヤツだな」

本多「その熱意を、もっとサッカーに向けて欲しいものだ」

渡会「無理じゃね? 落田だし」

はしゃぐ落田を、呆れかえった表情で眺める一同。だが、大前の心境は複雑だった。

大前(菱野さんの水着姿、か。きっと綺麗なんだろうな。ちょっと楽しみな気がする。けど、このモヤモヤした感覚はなんだ?
すごく、胸がザワザワする……)

思わず胸を押さえる。

大前(今日、ここで菱野さんが水着姿を見せるってことは、俺以外のみんなも見るってことで……。
それを考えると、落ち着かないような、苛々するような気分だ。俺は菱野さんに、俺以外にそんな格好を見せて欲しくないのか?
……何を馬鹿なことを考えているんだ。俺と菱野さんは、ただの部員とマネージャー、それだけの関係じゃないか。
ただ、それだけの――)

そこを考えると、不思議に気分が沈むものを感じた。

大前(――くそっ、何を考えているんだ、俺は? ……きっと、合宿の疲れが溜まって、妙なことを考えやすくなっているんだ。
今日はゆっくり羽を伸ばして、そんなことは忘れよう……)

葛藤を払うように頭を振る大前。
それを見て、早瀬は考え深げに頬を掻く。

早瀬(あの様子だと、大前の方もちょっぴりだが意識し始めたっぽいな。さてはてどうなるものやら――お? 来た来た)

505 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/16(火) 22:36:41 ID:6PWV8nDY
菱野「か、監督っ! やはりこのような姿を殿方の目に晒すのは恥ずかしいですわ!」

やす子「大丈夫よ〜♪ 菱野ちゃん、スタイル良いんだから恥ずかしがるなってば〜」

菱野「そういう問題ではございません〜っ!」

などと抵抗しながら、飯地に引っ張られてくる菱野。
肩から羽織った、大きめのタオルの前をきつく合わせているため、一体どんな水着を着ているのかはわからない。

やす子「抵抗するんじゃない、いっちゃえよ! よいではないかよいではないか〜♪」

飯地が、菱野の身を隠すタオルを強引に引っ張る。

菱野「きゃっ!」

やす子「そ〜れ、御開帳!!」

夏の太陽の下、露わになった菱野の水着は――


先着1名様で以下の文の『!』の後のスペースを消してカードを引いてください。

★菱野「み、魅力ビームっ!! で、いいんですの?」→ ! card=★


カードの絵柄で結果が変化します
ダイヤ・ハート→ちょっと冒険して、ストラップレスでローライズのセパレートタイプ ダイヤのKで追加イベントあり?
スペード・クラブ→慎ましく可愛らしい花柄のワンピースタイプ。
JOKER→やす子「すりかえておいたのさ! 私と同じタイプだ!」 菱野「いやああああああああっ!!」

506 :森崎名無しさん:2010/03/16(火) 22:37:10 ID:???
ポロリもあるよ!?

507 :森崎名無しさん:2010/03/16(火) 22:38:23 ID:???
★菱野「み、魅力ビームっ!! で、いいんですの?」→  ダイヤK =★

508 :森崎名無しさん:2010/03/16(火) 22:38:51 ID:???
507! 507!

509 :森崎名無しさん:2010/03/16(火) 22:39:54 ID:???
俺は、俺は……やってやったでぇえええええええ!!!!!11

510 :キャプテン三杉 ◆ku3QkLRGJw :2010/03/16(火) 22:43:19 ID:???
507氏を私は讃えたい

511 :森崎名無しさん:2010/03/16(火) 22:59:01 ID:???
ここぞ、という特殊イベントにダイヤK様は光臨なさるようです

512 :南葛vs幻想 ◆W.No10nvrU :2010/03/16(火) 22:59:58 ID:???
良くぞやったとは思うが何もおかしい所は無い。

きょぬぅ! きょぬぅ!(手拍子つきで)

513 :森崎名無しさん:2010/03/16(火) 23:01:09 ID:???
いっっやっほーう!!

514 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/16(火) 23:05:26 ID:6PWV8nDY
>>512
1スレ目をご覧になればお分かりいただけますが、カードの判定では『ある』けど『大きくはない』です。申し訳ありません
……むしろ、このくらいの方がいいですよね?

★菱野「み、魅力ビームっ!! で、いいんですの?」→  ダイヤK =★
ダイヤ・ハート→ちょっと冒険して、ストラップレスでローライズのセパレートタイプ ダイヤのKで追加イベントあり?
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菱野(うぅ……監督の口車に乗せられて買ってしまいましたけど、この水着、やっぱり恥ずかしいです……)

彼女の選んだ水着は、保持するのに肩紐を使わないストラップレスのツーピース。必然、その肩は大きく露出されることになる。
加えてボトムは股上を浅くしているため、菱野の柳腰を隠すものは無かった。
こうした処理は着るものの足が短く見える恐れがあるが、元よりスタイルに秀でている菱野には何ら問題ない
しかも色は、艶めかしい白い肌を引き立たせる黒だった。
ビキニのような媚びは無いが、充分に扇情的なものである。

落田「ヒャッホー!!」

瀬川「ビューティフル……」

雪村「うわー、格好いいー」

大前「す、げえ……」

部員一同からは惜しげもない賛辞が寄せられる。

国岡「……何考えてんだか。中学生の着る水着じゃねーだろ」

本条「国岡、前見て言え、前」

国岡「けっ」

515 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/16(火) 23:06:30 ID:6PWV8nDY
あの斜に構えた国岡さえ、少しばかりたじろいでいた。

菱野「あ、あのですね、これはその――」

やす子「どうだー! 私の選んだ水着はーっ!? すごいだろー、カッコいいだろー!?」

部員一同「「はいっ! すごいですっ!」」

声を合わせる部員たち。この中で下心に無縁なのは、何も考えていない雪村くらいだろう。

早瀬「アホだ……俺の鳴紋中サッカー部が、アホの集団になった……」

比良山「ドンマイです、早瀬先輩」

早瀬「なんでそんなにいい顔しているんだよ、比良山。お前もか? お前も染まったのか?」

などと寸劇が始まったりもする。

やす子(ほれほれ、菱野ちゃん。有象無象はほっといて、肝心の本命から感想を聞き出さなきゃ!)

菱野(え? え?)

やす子(ほら、大前くんを見てごらんなさいな。あ〜んなに赤くなっちゃって、ウブなんだからもう♪)

そう言い、菱野を大前の方に押しやる。

菱野「きゃっ!?」

大前「え? あ? 菱野さん!?」

516 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/16(火) 23:07:32 ID:6PWV8nDY
菱野の思いがけぬ大胆な水着姿に硬直していた大前だったが、当の本人が目の前まで近づいてきて素っ頓狂な声を上げた。

菱野「あの、あの、……大前さん、この水着、ど、どうでしょう?」

大前(ど、どうと言われても、俺、女の子の水着をどう褒めればいいかなんて、知らないぞ!?
けど、黙ってるわけにもいかないし、なんか言わないと……)


先に2票入った選択肢で進みます。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。

A.「すごく綺麗だと思う」
B.「すごくセクシーだと思う」
C.「すごく可愛いと思う」
D.「すごく大人っぽいと思う」
E.自由選択です。大前に言わせたいことなどをご自由にお書き下さい

517 :森崎名無しさん:2010/03/16(火) 23:08:37 ID:Ifb2XWh+
A

いやあもうほんとに

    _  ∩
  ( ゚∀゚)彡 507!507!
  (  ⊂彡
   |   | 
   し ⌒J

518 :森崎名無しさん:2010/03/16(火) 23:09:11 ID:Gd7TDND6


519 :森崎名無しさん:2010/03/16(火) 23:10:48 ID:eqyyTczk


520 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/16(火) 23:40:47 ID:6PWV8nDY
>>A.「すごく綺麗だと思う」
----------------------------------------------------------------------
大前「なんて言っていいか分からないけど……すごく、綺麗だと思う」

のぼせ上がった頭のまま、そんな言葉を口にする。

菱野「い、いやらしいとか、変だ、とかお思いになりませんの?」

おずおずと問いを重ねる菱野。

大前「そ、そんなことないさ。菱野さん、元が美人だから……ちょっと大胆な着こなしの方が、格好良くて似合うよ」

菱野「……ありがとうございますっ!」

答えを聞いて、満面の笑みを浮かべる菱野。
対する大前は

大前「ど、どういたしまして(うわ……すごく胸がバクバクいってる……)」

ドギマギしたまま、情けない表情でそう言うのが精一杯だった。

やす子(大前くんにしては、気の利いた返事ね。下手に『可愛い』とか着こなしにあってない褒め方したら、大変なとこだったわ。
何はともあれ、よかったわね菱野ちゃん♪)


※ 菱野の好感度が上がりました ※
※ ダイヤのKを引いたので、追加イベントに移ります ※

521 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/16(火) 23:42:28 ID:6PWV8nDY
水着にまつわる諸々のハプニングはあったものの、その後はみな思い思いに夏の海を楽しんでいた。

早瀬「へへっ、そーれっ!」

瀬川「わーっ! また早瀬が来た! 豊橋、ブロックブロック!」

豊原「俺は豊原だ! くっ、サッカーとは勝手が――」

ビーチバレーに興じる者。

雪村「よーし、あのブイを目指して競争だーっ!」

渡会「雪村も元気だねー。よーし、お兄さんも頑張っちゃう」

本多「ふっ、ハードワークが信条のボランチに勝てるかな?」

泳ぎを満喫する者。

末松「ハムッハフハフッハムッ!」

落田「十二人前のバーベキューが全滅だと!? 三分も持たずにか!?」

やす子「はいはい、追加はまだあるから〜。夏はこれからよ〜?(グビグビっ)」

比良山「監督、引率中のアルコールは――うぐっ!?」

やす子「きゃはははっ! 比良山くんも飲めーっ!!」

食い気(?)に走る者。
十人十色だった。

522 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/16(火) 23:43:29 ID:6PWV8nDY
大前「みんな楽しそうにしてるな。俺もそろそろ、どこかに混じ――」

菱野「あの……」

大前「――え、あ、菱野さん?」

レジャーシートから起き上がろうとした大前を、菱野が呼び止める。

菱野「あの、よろしければ大前さんと一緒にいても、いいでしょうか?」

大前「お、俺と?」

菱野「はい。私、運動が苦手でビーチバレーや泳ぎにも混ざれませんし、かといってそれほど物も食べませんし……」

大前「そういえば、そうだったっけ」

菱野が部に加入する時、運動が苦手だからマネージャーを目指したというようなことを小豆沢から聞かされている。
それに、この細い体では大食漢の末松と大虎の飯地の陣取るバーベキューには混ざれないだろう。

大前「わかった。じゃあ、一緒にいようか(この水着姿にも、大分慣れてきたしな……って、意識するとまだドキドキが――)」

菱野「本当ですの!?」

飛び上がらんばかりに、無邪気に喜ぶ菱野。

523 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/16(火) 23:44:30 ID:6PWV8nDY
大前(大胆な水着で目を奪ったと思いきや、子どもみたいに喜んだりする……うーん、女の子って不思議だ。
さて、菱野さんと行動することになったけど、どうしよう?)



追加イベントの内容を決めて下さい
先に2票入った選択肢で進みます。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。

A.「じゃあ、泳ぎの練習でもしないか? みんなに混ざるのは無理でも、上達を目指すくらいなら問題ないよね?」
B.「あそこに貸しボート屋さんがあるな。行ってみようか?」
C.「せっかくの砂浜だし、童心に帰って二人で何か作ってみよう! 砂のお城とか」

524 :小田ジュニア:2010/03/16(火) 23:46:42 ID:3CfYr9V2
B


525 :森崎名無しさん:2010/03/16(火) 23:47:26 ID:fegQwJS6

お約束

526 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/17(水) 00:08:23 ID:2QeLakXg
>>B.「あそこに貸しボート屋さんがあるな。行ってみようか?」
------------------------------------------------------------------
大前「(といっても、海で出来て運動の苦手な女の子でも喜べるものか……お?)あれは、貸しボートかな?」

菱野「ああ、釣りに行かれる方が、よく使うようなものですわね」

大前と菱野の目に留まったのは、いかにも流行ってなさそうな貸しボート屋だった。
この一帯は交通の便が悪く、このあたりに好んで釣りに来る観光客がいるとは思えない。
おそらく、地元の釣り人を相手にしている、ささやかな商売なのだろう。

大前「そうだな、ちょっと借りて、海に漕ぎだしてみようか?」

菱野「ええっ!?(ふ、二人っきりで夏の海の上……ロマンチックかもしれませんけど、だ、大胆ですわ)」

自分の水着が中学生にしては大胆過ぎることを棚に上げる菱野だった。
もっとも、水着を選んだのは飯地なのだが。

大前「嫌かな?」

菱野「いいえ、お、お願いしますわ……」

大前「じゃ、決まりだね。すいませーん! 一艘借りてみたいんですがー!」

ボート屋のおやじ「あいよー……二時間で1000円ね」

大前(安っ。経営成り立ってるのかな、この店……)

ともあれ、ボートを借りることには成功した。
オールを持ち、ボートを海へ浮かべると、不思議とワクワクするものがこみあげてくる
おまけに、その同乗者が見目麗しい美少女となると、まるで自分が冒険小説の主人公にでもなった気分だ。

527 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/17(水) 00:09:23 ID:2QeLakXg
大前「それじゃあ、大海原へ出発進行ーっ!」

菱野「お、おーっ! ……で、いいんですの?」

二人っきりの、小航海が始まった。



先着1名様で以下の文の『!』の後のスペースを消してカードを引いてください。

★船長(キャプテン)・EDIT→ ! card=★


カードの絵柄で結果が変化します

ダイヤ→沖合の無人島まで辿り着いた! 長時間ボートを漕いで最大ガッツ+50、せりあい+2
     ……まさかここでもKはでないよね?
ハート→気が付いたら、日が沈みかけていた。
     長時間ボートを漕いで最大ガッツ+30、せりあい+1 & 海の上でロマンチックな気分に
スペード→二人で海の上ではしゃいだ! 楽しい気分に
クラブ→落田「菱野さんとなにしてやがる大前ェェェェッ!!」 落 田 乱 入 !
JOKER→沖合の無人島で海賊の財宝を見つけた!?

528 :森崎名無しさん:2010/03/17(水) 00:10:38 ID:???
★船長(キャプテン)・EDIT→  ダイヤ2 =★

529 :森崎名無しさん:2010/03/17(水) 00:14:38 ID:???
無人島……だと…

530 :TSUBASA DUNK:2010/03/17(水) 00:18:06 ID:???
突然の雨→「あんなところに洞窟が!」→雨宿り→「寒いね」→「くっついてもいい?」

こうですか、わかりません><

531 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/17(水) 01:03:10 ID:2QeLakXg
>>530
ダイヤのK「そうなるといいね」 JOKER「うんうん」 クラブのA「ククク……させるものか」

ダイヤ→沖合の無人島まで辿り着いた! 長時間ボートを漕いで最大ガッツ+50、せりあい+2
------------------------------------------------------------------------------------
大前「そーれっ! ほいっ! ほいっと!」

声を上げてリズムを取りながら、オールを漕ぐ大前。
せりあいに備えて筋力を鍛えた賜物か、ボートは波にも負けずスイスイと進む。

菱野「うわぁ……大前さん、すごいですっ!」

菱野も、二人っきりで海の上というシチュエーションのせいか、いつもよりはしゃいでいる。
そして、少女の歓声というものは、男の馬鹿な意地に火を点けるものだった。

大前「(へへへっ、菱野さんも喜んでるみたいだな。よーしっ、ここは一丁――)なぁ、菱野さん!」

オールを漕ぎながら声を出したので、自然と大声になる。

菱野「なんですの?」

大前「前に――俺から見たら後ろなんだけど――島みたいなのが見えるだろう?」

水平線近くに、ぽつんと見える黒い点。それを肩越しに確認して、聞いてみる。

菱野「はい。ちょっと大きいけど、人は住んでいなさそうですわ」

大前「じゃあ、ちょっとそこまで行ってみようか!」

菱野「――はい?」

菱野が小首を傾げた思った瞬間、大前は漕ぎ手に一層力を込めた。

532 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/17(水) 01:04:13 ID:2QeLakXg
菱野「きゃ……大前さん!?」

突然速度を上げたボートに、菱野が小さく悲鳴を上げる。

大前「しっかり捕まっていてくれよ!」

菱野「そ、それを早く言ってくださいまし……もうっ、強引ですのね」

大前「ごめんごめん」

そんなやり取りを菱野とかわしながら、大海原を行く。

大前(不思議だな……普段だったら、とてもじゃないけどここまで菱野さんに気安くは出来ないのに、今日は何だか違うや。
もっと驚かしたり、喜ばせたりして、色んな顔の菱野さんを見てみたい。……まったくどうかしてるよ、俺)

菱野(大前さん、今日はなんだか積極的ですのね。二人っきりでこうやって海に漕ぎだしてはしゃいだりして。
まるで、こ、恋人同士みたいじゃないですか。……私、自惚れてしまってもいいのでしょうか?
貴方が、私をただのマネージャーとして見ているのではなく、一人の女の子として見て下さっていると……)

遠いような近いような互いへの思いを抱く二人。そんな彼らを乗せたボートは、ゆっくりと沖合の島へ近付いていった。

533 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/17(水) 01:05:22 ID:2QeLakXg
〜無人島〜

大前「……よし、到着っと。流石に、この距離をボートで漕ぎ続けるのは骨だな」

菱野「もうっ。……無理をなさらないでくださいまし。大事なお身体なんですから」

大前「へへへっ、マネージャーには敵わないな。じゃ、帰りは少し加減しながら漕ぐかな」

菱野「そうですわね。ぜひ、そうしてくださいな」

互いに軽口をたたき合いながら、島に降り立つ。
合宿の前は、こんな気軽な会話が出来るとは思いも寄らなかった。
菱野にとって大前は片思いの相手であるし、大前から見た菱野は近づくのが躊躇われるほどの美人である。
それが今ほど気安く接していられるのは、この合宿中、一つ屋根の下で寝食を共にした時間のお陰だろうか。

大前「それじゃあ、無人島についたことだし、早速何かを探してみようか」

菱野「探検ですのね? 昔読んだご本を思い出しますわ。ロビンソン・クルーソーとか十五少年漂流記とか」

大前「そうそう、そんな感じ! 後でボートの前で落ち合って、お互いに見つけたものを見せ合おう!」

菱野「はいっ!」

二人とも、まるで子どもの頃に帰ったような気持ちで無人島の中に分け入っていった。

534 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/17(水) 01:06:23 ID:2QeLakXg
先着1名様で以下の文の『!』の後のスペースを消してカードを引いてください。

★無人島物探し→ ! card=★


カードの絵柄で結果が変化します
ダイヤ→ヤシの木を発見! 流れてきた実が育ったのかな?
ハート→瓶に詰められたラブレターを発見! こ、こっ恥ずかしいっ!
スペード→きれいな魚が群れる磯を発見!
クラブ→???「あれ? 泳いでいたらこんな所まで来ちゃった」 サッカー部員乱入!?
ダイヤのK・JOKER→アクシデント発生! イベント延長

535 :森崎名無しさん:2010/03/17(水) 01:07:16 ID:???
★無人島物探し→  ハート5 =★

536 :森崎名無しさん:2010/03/17(水) 01:07:29 ID:???
★無人島物探し→  スペードA =★

雨雨降れ降れ

537 :森崎名無しさん:2010/03/17(水) 01:10:17 ID:???
さあこっ恥ずかしがってる顔を見せてもらおうか

538 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/17(水) 01:14:40 ID:2QeLakXg
またまた妙な雰囲気になりそうなものを見つけたところで、今回はここまでです
忘れられないうちに言っておきますが、このスレは大前くんがサッカーで全国大会を目指す、スポ根物語のスレです
断じてラブコメもののスレではありません。本当なんです、山○隊員、信じて下さいよぉ!
いや、ほんと今日の一連の流れは大変でした。ジンマシンで身体のアチコチがかゆいです
……次回こそは、合宿を終了してサッカー物らしい展開を書きたいですね
それでは、今回も深夜までのお付き合い、ありがとうございました

539 :森崎名無しさん:2010/03/17(水) 01:26:20 ID:???
大前と菱野さんのラブコメは始まったばかりだ・・乙でしたー

540 :森崎名無しさん:2010/03/17(水) 01:26:48 ID:???
菱野「私は一向に構わん!」

541 :森崎名無しさん:2010/03/17(水) 01:33:03 ID:???
というわけで
これよりこのスレは
スポ根物語のスレから
ラブコメもののスレになりm

542 :森崎名無しさん:2010/03/17(水) 11:50:17 ID:???
うーむ、菱野さんとのイベントは怖いほどうまく行っているが・・・
あまりにうまく行き過ぎている
信頼関係が高ければ高いほど壊れた時が怖いと言うシステムだし、
落とし穴の予感を感じるぞ

543 :森崎名無しさん:2010/03/17(水) 19:04:28 ID:???
確かに感情面の選択は慎重に行った方がいいかもな
もうすでに大前舞い上がっちゃってちょっと別の人になってるし

でもなそれが青春だと思うんだ

544 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/18(木) 00:23:43 ID:HdLKyJYM
>>539-541
サッカーのスレです。スポ根物のスレです。ラブコメスレじゃないです。信じて下さいw
>>542-543
壊れた時が怖いですが、同時に壊れにくくもあるので、安心してください。4票選択肢で地雷を踏まない限り問題ないと思います
関係がブレイク寸前になったらアナウンスも出ますので、リカバリーの機会もありますし

★無人島物探し→  ハート5 =★
ハート→瓶に詰められたラブレターを発見! こ、こっ恥ずかしいっ!
----------------------------------------------------------------------
大前「海水パンツ一丁じゃ、島の奥には進めないな。浜辺の方を捜してみるか」

そう考え、海岸沿いに移動する。
打ち寄せる波に足裏を浸しながら、歩き続ける大前。
人手の入っていない無人島の海岸は、ノスタルジーを刺激する漁村といった合宿所近辺とは、まったく趣を異にしている。
白い砂。海の青さ。茂る草花。どれをとっても日本離れしている気がした。

大前「そういえば、この無人島の砂ってすごく白っぽいな。本土の方の浜辺は黒っぽかったんだけど。
聞いた話だけど、本州の砂浜は川伝いに山から流れてきた砂が溜まったから黒くて、
沖縄とかの砂浜は、貝や珊瑚の欠片から砂が出来るから白っぽいっらしいな。ここも本土から離れているから砂が白いんだろうか?
……ってなんでこんな時に、理科の先生のヨタ話を思い出してるんだろ。それより、何か面白いものが無いか探そう」

  … … …

元々が地図に載っているかも怪しい、小さな島である。
少し歩き回るうちに、たちまち海岸線を一周してしまう。
大前はそこそこに捜索を打ち切り、ボートへ戻ることにした。

大前「ま、成果は一応出たんだし、これ以上粘っても意味ないか。……お?」

菱野「あっ、大前さ〜んっ!」

ボートの傍では、既に菱野が大前を待っていた。

545 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/18(木) 00:24:48 ID:HdLKyJYM
大前「ありゃ、遅れちゃったかな」

菱野「いえいえ、私も今来たところですわ」

大前「(なんだか、漫画みたいなやり取りだな。俺が読んだヤツとは、男女が逆な気がするけど)そうか、じゃあ菱野さんの方にも、
成果はあったんだ」

菱野「はいっ! とても珍しそうなものを見つけましたの。無人島にこんなものがあるなんて、きっと大前さんも驚きますわよ」

よくよく見ると、菱野は収穫らしき物を、後ろ手に庇って隠している。
余程珍しいものを見つけたのだろう。大前を驚かせたくて、うずうずしているようだった。

大前(菱野さん、見つけたものの珍しさに自信があるみたいだな。
けどその体勢、手を後ろにしているせいで、水着姿を全開にしている気が……)

ボートに同乗している時は腕を前にしたりして隠していた肢体が、惜しげも無く晒されている格好である。
年頃の男子である大前としては、大変目に毒な姿勢だった。

菱野「? どうしましたの?」

思わず凝視してしまったせいか、小首を傾げる菱野。

大前「い、いやっ! 何でもない。それより、俺の方も結構珍しいと思うものを見つけたからさ。『せーのっ』で見せ合おっか」

菱野「……変な大前さん。まあ、いいですわ。では、いきますよ?」

一度、軽く肯きあってから、二人で声を張り上げる。

大前・菱野「「せーのっ!」」

546 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/18(木) 00:26:49 ID:HdLKyJYM
そして、同時に探し当てた品物を頭上に掲げ……二人して目を瞠る羽目になった。

大前「これは……」

菱野「同じ、ものですの?」

折り畳んだ便箋を詰め、コルクで蓋をしたガラス瓶。
二人の手には、そっくり同じものがあった。

大前「……こんなことって、あるのかな」

菱野「不思議なこともあるのですのね……」

瓶の中身を検めた二人は、再び仰天することになる。
中の便箋は、ともに地元の漁村の若者同士のラブレターだった。
それも、どういうわけか大前の方が男性の、菱野が拾ったものは女性の手によるものの様である。
内容も似たり寄ったりのものだった。

――通っていた学校の廃校による別れ。
――その前にこの恋心を形にして残したい。
――しかし、こうしてしたためた手紙を直接渡す勇気も無く……

大体、その様なものだった。

大前「どうやら、俺たちが拾った手紙の送り主と宛先は、互いに一対になってるみたいだな」

菱野「お互いに、相手に気持ちを伝えられないまま、自分の思いを手紙にして海に流したのですね……」

おそらく、文中にある廃校の決まった学校とは、合宿で練習に使ったグラウンドのある、あの廃校のことだろう

547 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/18(木) 00:28:22 ID:HdLKyJYM
大前「……」

菱野「……」

二人とも、何とはなしに押し黙ってしまう。
思いがけず、見知らぬ誰かの秘密を暴いてしまった後ろめたさ。
それが二つともこの島に流れ着き、自分たちに拾われるという、ありえない偶然に対する驚き。
手紙の内容から受けた幾ばくかの切なさ。
そんなものが、ないまぜになった沈黙だった。
……たっぷり五分ほどそのままでいただろうか。
やがて菱野が口を開いた。

菱野「あの、この手紙なんですが」

大前「え?」

菱野「……これは、私たちが手を出していいものではないと思います」

何年も前に村を去っただろう人々が残した、化石のような思いの残滓。
それは確かに、二人の手には余る代物だった。

大前「そうだな……今更送り主に届けるのも、宛先に送るのも、妙な感じだしな」

548 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/18(木) 00:29:24 ID:HdLKyJYM
菱野「ええ。きっと、この二通の手紙は、書いた人たちにとっては、自分の気持ちにケジメをつけるために書いたものなんですわ。
諦めきれない想いを、諦めるための儀式。その名残なんです」

大前「それを俺たちが暴き立てても……無粋なだけか」

菱野「はい」

菱野は肯くと、自分の拾った手紙を手に取り、丁寧に折り畳んでいく。
そうして出来あがったのは、瓶に詰められていた元の形ではなかった。
白い両翼を備えた、小さな紙飛行機。

菱野「――えいっ」

指先を離れたそれは、夏の潮風に乗って遠く運ばれていく。
大前も菱野に倣って便箋を折ると、無言でそれを飛ばした。
――二枚の白い翼が、青い海と空の間に溶けていく。
いつかは海に落ち、波に浚われ、この浜辺の一握の砂になるだろう。
何年も前の誰かが書き上げた、恋を忘れるための忘れ物は、そうしてこの世から消えていった。

549 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/18(木) 00:30:29 ID:HdLKyJYM
〜夕方〜

貸しボート屋にボートを返却して浜辺に戻ると――そこには混沌とした情景が広がっていた。

やす子「にゃはははははははっ♪ そ〜れっ、いっき! いっき!」

比良山「ング……ング……美味い……」

瀬川「ふっ、俺は酒の女神にも愛されている男だ! ゴキュ……ゴキュ……」

長池「世界が揺れている……足元の感覚が無い……俺は地獄へ落ちるのか……どぉせ俺なんか……」

篠田「ちくしょう〜! 誰だよ、俺のことを落ち目って言ってるヤツは〜!?」

国岡「オオマエシネオオマエシネオオマエシネオオマエシネオオマエシネオオマエシネオオマエシネオオマエシネツイデニユキムラモシネオオマエシネオオマエシネ」

本条「国岡ァ! 帰ってこい! そっちは踏み込んではいけない領域だぞ!?」

豊原「本条ォ……それ国岡じゃなくて郵便ポストだぞォ? ふははははっ!」

雪村「あはははははっ! 楽しい〜♪」

落田「菱野さんの手、スベスベしてて可愛いねっ。クックックーン♪」

末松「落田〜、それビール缶だよ〜……ヒック」

早瀬「どうしてこうなった……俺たちの鳴紋中サッカー部が……どうしてこうなった!?」

日が沈みいく浜辺に、酔漢たちの嬌声と早瀬の悲痛な叫びがこだまする。
散乱するビール缶。ブスブスと焦げるバーベキュー。スルメを炙るいい匂い。
色々と末期状態な宴会場がそこにはあった。

550 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/18(木) 00:31:32 ID:HdLKyJYM
大前「なんなんだこれ……」

菱野「一体、どうなっていますの……」

たった今戻ったばかりの大前と菱野には、なにがなにやら分からなかった。
ふと、大前たちが帰りついたのに気付いた早瀬が、力無く顔を上げた。

早瀬「お前ら……戻ったのか……」

大前「早瀬さん、どうなってるんですこれは?」

早瀬「見ての通りだ……あのバカントクが、やりやがったんだ」

そう言って目尻を擦る早瀬。

早瀬「最初に比良山があの馬鹿にとっ捕まって、飲まされた。それからだよ、地獄だったのは……。
比良山のヤツ、急に目が据わったと思ったら、瀬川に飛びかかって無理やりビールを口に流し込みやがった。
そしたら今度は瀬川は長池に、長池は篠田に無理やり飲ませ始めたんだよ。
飲んだヤツは別のヤツに飲ませ、そして、またそれを繰り返すんだ。それで残ったのは俺一人だ……ちくしょうっ!」

大前・菱野((うわぁ……))

早瀬の哀哭に、コメントのしようも無く立ち尽くす二人。
その背後に――ゆらりと影が立った。

やす子「おやぁ〜? ここにもまだ素面の子がいるじゃな〜い?」

この惨事の元凶・飯地やす子である。

551 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/18(木) 00:32:35 ID:HdLKyJYM
大前「ひいっ!?」

菱野「か、監督!?」

やす子「うふふふふ……誰かと思ったら、大前くんと菱野ちゃんじゃないのぉ〜。
さっきまでいなかったけど、二人してどっかにしけこんでたのぉ〜? もうパツイチかましたかぁ〜?」

ん? と握りこぶしの人差し指と中指の間に親指を挟んで、下品なジェスチャーを示す飯地。

大前「何言ってるんですかアンタは!? 酔っぱらうのも大概にしてくださいよ!」

菱野「お、大前さん! 私、監督が何を言っているのかサッパリ分かりませんわ!?」

大前「菱野さんはどうか分からないままでいてくれっ! と、とにかく、ここは逃げ――――」

やす子「ヒャッハー! 逃がすものかよぉ!」

大前「――――うわぁ!? 追ってきたァ!?」

552 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/18(木) 00:33:49 ID:HdLKyJYM
菱野「お、大前さんは逃げて下さい! 足の遅い私では、足手まといになりますわ!」

大前「駄目だ駄目だ! 菱野さんがここに残ったら、絶対になにか取り返しのつかないものを失くしてしまう!
逃げるなら、二人一緒だ!」

菱野「は、はいっ!」

やす子「最初っからどっちも逃がす気は無いわよぉ〜? うひゃひゃひゃひゃあっ!!」

手を取り合って逃げ出す二人。女として大切な何かを捨てながら追いかける飯地。
この果てしなくリアルな鬼ごっこは、早瀬の怒号によって止められた。

早瀬「 い い 加 減 に し ろ  っ ! ! 」



※ 合宿6日目が終了しました ※
※ 二人きりの時間を過ごし、菱野の好感度が凄く上がりました ※
※ 長時間のボート漕ぎでスタミナと筋力が付き、大前のガッツに+50、せりあいに+2されました ※
※ 貸しボート代に1000円消費しました。残る所持金は10000円です ※
※ 監督はこの後、早瀬に朝まで正座させられました ※

553 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/18(木) 00:34:53 ID:HdLKyJYM
〜翌日、帰りのバス〜

比良山「うぅ……頭がガンガンする……」

瀬川「昨日の記憶が無いんだけど、一体何があったんだ?」

大前「瀬川先輩は、昨日のことの前にまずチームメイトの名前から憶えていて下さい。それと、昨日のことは思い出さなくていいですから」

瀬川「ええ〜っ? 樽前くんのケチ〜。じゃ、早瀬が教えてよ」

早瀬「思い出すな。その方がお前の身のためだ」

長池「早瀬の目の中に闇が見える……お前も地獄を覗いたのか……?」

早瀬「思い出させるな。その方が俺の胃のためだ」

国岡「あ、頭が割れる……」

本条「み、水を飲め国岡。少しは楽になるみたいだ……それにしても、この頭痛は一体……」

雪村「みんな元気ないな〜? 僕、昨日はすごく楽しかった覚えしかないのに」

末松「俺も俺も〜」

554 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/18(木) 00:36:24 ID:HdLKyJYM
本多(←うっすらと記憶がある)「……嫌な事件だったな」

渡会(上に同じく)「そーだね……」

菱野「あの、少しぬるくなってますけど、お水ならありますわ。気分の悪い方は飲んで下さいまし」

落田「はいっ! とても気分が悪いです、菱野さん!」

篠田「元気じゃないか、落田……」

やす子「うえ〜んっ! 足がしびれるよぉ、膝が痛いよぉ……」

早瀬「『うえ〜んっ!』じゃねえ! それでもいい年した大人か!?」

行きの時以上にぐったりとした部員の多い車内。
ある程度元気なのは難を逃れた大前と菱野、早瀬、それと幾人かの上戸らしい部員。それと一番飲んでいたはずの飯地だった。

大前(やれやれ……最後の最後でとんでもないことになったな……けど、色々といいこともあったよな。
長池さんはスランプを脱出したし、チームメイトとの仲直りも大分進んだ。必殺技の完成にも大幅に近づいたぞ。
それと……菱野さんとも、いい思い出が出来た、かな?)

窓外の景色を眺めながら、そう振り返る。

大前(他に合宿の成果といえば――)

555 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/18(木) 00:37:27 ID:HdLKyJYM
先着5名様1ブロックずつで以下の文の『!』の後のスペースを消してカードを引いてください。
【ブロック1】
★国岡→ ! card=★
★本条→ ! card=★
★雪村→ ! card=★
【ブロック2】
★本多→ ! card=★
★渡会→ ! card=★
★篠田→ ! card=★
【ブロック3】
★末松→ ! card=★
★豊原→ ! card=★
★落田→ ! card=★
【ブロック4】
★瀬川→ ! card=★
★長池→ ! card=★
★比良山→ ! card=★
【ブロック5】
★早瀬→ ! card=★
★大前→ ! card=★

カードの数字で結果が分岐します
【チームメイト】
K→全能力+2
10〜Q→全能力+1
9以下→成果無し……
JOKER→全能力が+3。更に必殺技習得!
【大前】
K→高低の浮き球+1
10〜Q→低い浮き球+1
9以下→成果無し……
JOKER→高低の浮き球が+2

556 :森崎名無しさん:2010/03/18(木) 00:38:15 ID:???
【ブロック1】
★国岡→  クラブJ =★
★本条→  スペード2 =★
★雪村→  クラブ4 =★

557 :森崎名無しさん:2010/03/18(木) 00:39:09 ID:???
【ブロック2】
★本多→  クラブ8 =★
★渡会→  ダイヤJ =★
★篠田→  クラブK =★

558 :森崎名無しさん:2010/03/18(木) 00:39:51 ID:???
【ブロック3】
★末松→  スペード10 =★
★豊原→  ダイヤK =★
★落田→  ハート5 =★

559 :森崎名無しさん:2010/03/18(木) 00:40:17 ID:???
【ブロック4】
★瀬川→  ハート2 =★
★長池→  スペード4 =★
★比良山→  スペードQ =★

560 :森崎名無しさん:2010/03/18(木) 00:40:42 ID:???
【ブロック5】
★早瀬→  ハート4 =★
★大前→  ハート4 =★

561 :森崎名無しさん:2010/03/18(木) 00:40:52 ID:???
【ブロック5】
★早瀬→  ハート6 =★
★大前→  ハートJ =★


562 :森崎名無しさん:2010/03/18(木) 00:40:55 ID:???
【ブロック5】
★早瀬→  クラブK =★
★大前→  ダイヤ6 =★

563 :森崎名無しさん:2010/03/18(木) 00:43:36 ID:???
どのブロックも絵札があるな

…と思ったらブロック5だけ無かった
ってハートのカードで一致ですか

564 :森崎名無しさん:2010/03/18(木) 00:45:01 ID:???
菱野さんのイベントで大前の感情の変化はなかったんですか?

565 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/18(木) 01:22:31 ID:HdLKyJYM
>>564
大前は鈍感ですからね。まだ『一番気になる異性』というレベルは超えられていません
よって今回は変化無しです

★国岡→  クラブJ =全能力+1!★
★本条→  スペード2 =★
★雪村→  クラブ4 =★
★本多→  クラブ8 =★
★渡会→  ダイヤJ =全能力+1!★
★篠田→  クラブK =全能力+2!★
★末松→  スペード10 =全能力+1!★
★豊原→  ダイヤK =全能力+2!★
★落田→  ハート5 =★
★瀬川→  ハート2 =★
★長池→  スペード4 =★
★比良山→  スペードQ =全能力+1!★
★早瀬→  ハート4 =★
★大前→  ハート4 =★
国岡、渡会、末松、比良山が全能力+1! 篠田と豊原が全能力+2!
-------------------------------------------------------------

566 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/18(木) 01:23:33 ID:HdLKyJYM
国岡(へへへっ……この合宿でかつてないほど能力の高まりを感じたぜ! もう大前の野郎に出番は無ェ!)

渡会(メンタルを磨ける環境は好都合だったなー。キーパーとして、一皮剥けた気分だ)

篠田(かなりのレベルアップをすることが出来た。秋には、フォワードとして定着してみせる!)

末松(なんだか、凄く上達したような気がするな〜。そのうち、俺が鳴紋のストライカーになれる日も近いかも……)

豊原(ディフェンスに磨きをかけ、オフェンスもある程度向上した。ウチに守備のタレントは少ないし……秋も気張るぞ)

比良山(あらゆるテクニックに伸びを感じる……今回の合宿は成功の様だな……)

幾人か、合宿での成果に自信ありげな顔をする者たちがいる。

大前(みんな、すごく上達したみたいだな。特に同じフォワードの比良山と末松、篠田さんは要チェックだ。
これからポジションを争う相手だしな。……比良山と争うってのは気が進まないけど)

そうして、大前がチームメイトの実力向上を実感しているとき、

落田「あれ? 菱野さん、その瓶は何?」

落田が、菱野の荷物の中にガラスの瓶を目敏く見つける。

菱野「これですか? ……砂浜の砂を詰めたものですわ。この夏の記念に、と思いまして」

言いながら、愛おしそうに瓶を撫でる菱野。

落田「ふーん……なんでまた?」

567 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/18(木) 01:24:51 ID:HdLKyJYM
菱野「この合宿所、もしかしたら二度と来ることが無いかもしれないでしょう?
みなさん、来年の今頃には、全国の舞台で試合をしているでしょうから」

早瀬「へぇ……分かってんじゃん、マネージャー」

落田「な、なるほど! よ〜しっ、菱野さんを全国に連れていくために、俺、頑張るよ!」

本多「落田じゃ無理だろ」

渡会「ですよねー」

落田「何をぅ!?」

ギャーギャーと騒ぎ立てる落田たち。それを後目に、長池が怪訝そうに眉をひそめる。

長池「ん? マネージャー、その砂は少し変じゃないか?」

菱野「え?」

長池「合宿所近くの砂浜は、黒い砂ばかりだ。そんなに白い砂は無かったと思うが――」

菱野「あったのですわ」

躊躇いも無く言い切る菱野に、長池も引き下がらざるをえなかった。

長池「――そうか。まあ、マネージャーが嘘を言う必要も無いしな。……どぉせ俺の観察力なんか(ry」

568 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/18(木) 01:26:09 ID:HdLKyJYM
早瀬(はは〜ん……? さては昨日、二人っきりになった時の――)

早瀬が、何かを察したかのように口元に笑みを浮かべる。だが、その彼さえも菱野の心情を正確に察したとは言えなかった。

菱野(あったのですわ……私と、大前さんだけの秘密の場所が)

さも大事そうに、砂の詰まったガラス瓶を胸に抱く菱野。

菱野(その証があれば、きっと大丈夫。我慢できます。あの人に我儘を言ったり、困らせたりせずに、支えて上げられるんです。
マネージャーとして、サッカー選手の大前さんを――)

バスはやがて、慣れ親しんだ街へと帰り着こうとしていた。
短い旅は終わり、また日常が始まる。

569 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/18(木) 01:32:38 ID:HdLKyJYM
合宿編がようやく終わりを告げたところで、短いですが今回はここまで
なんというか、全編を通して菱野菱野菱野と菱野尽くしの章でしたね……
ただでさえ酷い遅筆が悪化しますし、しばらく苦手のラブコメパートからは遠ざかりたいです、本当に
次回はラブコメパートから逃避しつつ書きすすめていた、ある人物視点のNPCパートから始めたいと思います
ラブコメ臭がキツイ最近の内容と違って、こちらの方は大変野郎臭く仕上がっていると思いますw
今回も深夜までのお付き合い、ありがとうございました

570 :森崎名無しさん:2010/03/18(木) 01:37:33 ID:???
乙でしたー
ん?この路線で一向に構わんそう思うのは自分だけ?

571 :森崎名無しさん:2010/03/18(木) 07:15:35 ID:???
乙です
いやいや楽しませてもらいました
中の人をも脅かすダイヤの申し子恐るべし

572 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/18(木) 20:02:04 ID:???
>>570
作者としては、めちゃめちゃ構いますw
>>571
本当に恐ろしいですね……けど合宿も終わったので、しばらくは安全圏……と思いたいです

573 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/18(木) 20:04:25 ID:HdLKyJYM
〜埼玉県大宮市(現在のさいたま市大宮区)・大宮公園サッカー場〜

ここで時計の針を一旦巻き戻す。
大前ら鳴紋中サッカー部が、強化合宿に励んでいた頃、埼玉県大宮市では全国中学校サッカー大会の本選が開幕しようとしていた。

実況「全国から激戦を勝ち抜いてきた強豪たちのぶつかり合い、全国中学校サッカー大会の幕開けです!
今年の注目校は、なんといってもサッカー王国静岡代表・南葛中学!
日本有数の激戦区である静岡の代表ながら、県予選での戦績は断トツの一言に尽きます!
目を引く選手は、まずFWにオフェンスに定評のある池上くん。全国の大舞台で前評判通りのプレイを見せることが出来るのか?
そして、昨年の小学生王者・南葛SCのキャプテンを務めていた大空翼くんが、1年生ながら10番を背負いスタメン出場とのこと。
驚いたことにトップ下での登録です! FWからMFへの転向は志願してとのことですが、果たしてどのような効果を生むのか!?
いずれにせよ、サッカーの申し子が見せるであろうパフォーマンスには、否が応でも期待が膨らみます!」

観客「翼だ! 翼が出るぞ!」「1年で10番か、やっぱり翼はすごいなあ」「トップ下って何するところ?」

574 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/18(木) 20:05:25 ID:HdLKyJYM
翼(トップ下になってからこっち、絶好調だ。オフェンスもディフェンスも、小学校時代から格段に磨きが掛った気がする。
待っていてよ、ロベルト。俺は中学の3年間で最高の選手になって、ロベルトに会いにブラジルへ行くんだ!)

実況の賞賛と観客の歓声を浴び、フィールドに立つ少年・大空翼。
彼の目には、全国から集った強敵たちの姿は映っていない。ただ、自己の目標へと歩む道があるのみである。
そんな翼を不愉快そうに見る者がいた。小学校時代からのチームメイトである、森崎有三である。

森崎(ったく、実況も観客も見る目が無いぜ。去年の小学生大会で活躍した1年なら、俺もいるだろうが。
それにしても、気に入らないのは翼だ。あんちくしょう、これだけの声援を受けて当然ですって顔しやがって)

彼もまた、1年生ながら並居る上級生を押し退けて正ゴールキーパーの座を占めたのだが、この時点での注目度は低い。
一部では、相手のゴールを脅かすほどオーバーラップする変わり種キーパーとして、その名を知られている程度である。
だが――

森崎(まあ、いいさ。この大観衆の注目と声援は、すぐに俺が頂いてやるぜ! 天才キーパー・森崎有三様がな!)

――この年、全国は森崎の名を知る。

575 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/18(木) 20:06:37 ID:HdLKyJYM
実況「さあ、開会式も終わり、オープニングゲームです! 一回戦第一試合は、南葛中学VS清栄学園中等部!
南葛は言うに及びませんが、清栄学園も大会出場三年ぶり五回目と、なかなかの実力校であります。
奇しくもトップ下を努めるのは共に1年生ながらの10番同士!
南葛はご存じ大空翼くん。清栄は県大会決勝でハットトリックという衝撃的デビューを果たした、金成優くんがこれを務めます。
大会の幕開けに相応しい好ゲームを期待できるでしょう!」

金成「へへっ、一回戦目から標的の片方とぶつかれるのか。幸先がいいっていうか、あっけなくて肩透かし食ったというか……」

清栄キャプテン「(不本意ではあるが)頼りにしているぞ、金成」

金成「任せておきな。翼の野郎も、俺がきっちりと抑えておくからよ。ついでに点取りも、な」

清栄FW「口に見合った活躍、期待しているぜ」

自信満々に豪語する金成と、白けた表情ながら実力には信頼を寄せる清栄イレブン。
だが、対する南葛は冷ややかにそれを受け止めていた。

南葛キャプテン「金成、だっけか? 聞いたことあるか?」

翼「いいえ、全然!(どっちにしろ、俺より強いはずないから興味ないや)」

森崎「去年に当たった中にはいませんでしたね(大会中も名前を聞かなかったし、どうせ大したことないヤツだろ)」

南葛3年生「だよなー」

日本でも有数のサッカーレベルの高さを誇る、静岡代表の自負。加えて、昨年度小学生王者チームのレギュラー二人を擁する構成。
今更、他県の無名1年生の大言壮語を、真に受ける南葛ではなかった。

576 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/18(木) 20:07:48 ID:HdLKyJYM
金成「よう、大空翼くん」

翼「?」

ニヤつきながら、翼へ話しかける金成。

金成「いやあ、君と当たれて嬉しいぜ。前年度小学生王者のキャプテンにしてMVP。一度は戦ってみたかったんだよ」

翼「ありがとう! 光栄だよ!(ニコッ」

森崎(ちっ。見る目の無い野郎だ。お前が翼に勝っても、俺から点を取らなきゃチームが勝てねえんだぜ?)

金成「けど、君も運が無いなあ、翼くん。去年の小学生王者が、全国とはいえ一回戦敗退じゃあ……格好がつかないよな?」

嫌らしい声音の挑発。だが、翼はというと微塵も揺らがなかった。

翼「悪いけど、格好はつけさせてもらうよ! 俺も南葛も、そんなに弱いつもりはないからね!」

晴れがましい笑顔で、挑発を受け流す翼。熱血サッカー少年の見本のような表情と態度である。
だが内心、金成には冷え切った無関心しか感じていなかった。

翼(よくいるんだよなー、こういう出来もしないことを言う勘違いしたヤツって。県大会でも嫌ってほど見たよ)

金成「大した自信だ。これはますます手合わせが楽しみだな(ひひひっ、そのツラを後でたっぷりと歪ませてやる。屈辱で、な)」

言い捨てて、引き下がろうとする金成。だが、それを放っておかない男がいた。

森崎「待てよ。南葛を一回戦負けにするってことは、俺からゴールを奪える気なのか? あん?」

森崎である。

577 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/18(木) 20:09:32 ID:HdLKyJYM
金成「たしか元南葛SCの……モロサキ、とか言ったか?」

森崎「俺の名前はもりさき、だ。人の名前も憶えられないのか? オツムが弱いな、お前」

金成「悪いなあ、翼くんに比べて知名度がイマイチみたいでねえ?」

森崎「へえ? お前が、だろ?」

南葛キャプテン「お、おい森崎。揉め事は困るぞ?」

清栄キャプテン「金成! 必要以上に相手を挑発するな!」

慌てて両校のキャプテンが仲裁に入るが、それで止まる二人ではなかった。

金成「さっきの話だが、もちろんゴールは頂いていくさ。同じ年代なら、俺がゴールを奪えないはずはないからな」

森崎「はっ! 言うだけならタダだな。じゃあ、俺も宣言してやる。この試合は零封だ。お前らのシュートは、一本も通さないぜ」

清栄一同「「なにィ!?」」

森崎の宣言に、清栄一同はいきり立つ。

翼(また始まったよ……)

南葛キャプテン(まあ、県大会と同じだけの動きが出来れば、無理ではないな。あと、オーバーラップも慎めば)

金成「……お前、自分が何言ってんのか、分かっているのか?」

森崎「もちろん。お前が『同年代からなら絶対にゴールは奪える』って言うからよ。
お前なんかより遥かに格上の俺様は、お前だけじゃなく、その先輩方からのシュートも絶対に止めてやろうって言ったのさ。
だから、『せんぱぁい! 僕じゃゴールできませんよお! 助けてくださぁいっ!』って上級生に泣きついても、無駄だぜ?」

578 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/18(木) 20:11:39 ID:HdLKyJYM
滑稽な身振りで、金成の神経を逆撫でする森崎。『』の部分は金成の声色まで使う周到さだった。
たちまち、金成の表情に恥辱と怒りの朱色が差した。

金成「て、めえ……」

森崎(おうおう、軽く挑発を返しただけでムカっと来てやがるよ。よっぽどヌルいところでサッカーしてたんだなあ)

この程度のことは、奇行士・森崎にとっては『軽く』の範疇である。
だが、常に相手を嬲る側に立っていた金成にとっては、いたくプライドを傷つけられる行為だった。

金成「……よく覚えておけ。試合の後、全国から集まった選手と観客の前で、赤っ恥を晒しているのはてめえだからな!?」

憎悪の籠った眼差しで吼える金成。だが、それを受ける森崎は、平然として内心で舌を出していた。

森崎(ああいう、自分だけが策士で他人は全部エサ、って思ってる手合いが、一番扱いやすいぜ。
自惚れきっていて、自分が挑発された時に耐えられる我慢強さが、まったく無いからな。
ともかく、相手のエースらしいヤツは冷静さを失くしたし、だいぶやりやすくなるだろ。
……ま、こんなことしなくても勝てるだろうが、悔しがる相手を見下しながらの方が、何倍も勝利の喜びは増すってもんだしな)

剣呑な雰囲気を漂わせつつ、全国大会一回戦の第一試合が始まろうとしていた。

  … … …

実況「さあ、全国大会の最初の試合、南葛対清栄学園。早くも後半20分に突入しました。現在のスコアは――」

579 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/18(木) 20:13:11 ID:HdLKyJYM
金成「なんでだ……なんでこうなるんだ……?」

実況「――5−0! 南葛のリードです!」

ワァァァァァァァァッ!!!

南葛の圧倒的なリードに、沸き返る観客席。群衆が一丸になって歓声を上げる様は、ある種、美しい光景と言えなくもない。
だがそれは、対戦相手である清栄の選手にとっては、ブーイングに等しい効果を持っていた。
なにしろ自分たちの大劣勢が、大勢の人々に喜ばれている状況なのだから。

金成「……くそったれっ!!」

聞こえる音を遮るように一声吼えて、南葛の陣に切り込む金成。その前に、この試合中越せないままでいる壁が立ち塞がる。

翼「金成くん、ここは通さないよ!」

金成「うぐ……!」

試合の序盤こそ森崎の挑発で冷静さを欠いて、凡ミスを繰り返したが、今は終盤である。金成も普段の判断力を取り戻している。
そして、その頭脳と選手としての本能が、ともに最大限の警鐘を鳴らす。

――無理だ。
――格が違う。
――勝てはしない。

この試合中、金成は一度も翼の上を行くことが出来なかった。
パスは信じられないほど高いジャンプでカットされ、ドリブルで抜こうとすればいつの間にかボールの所有権が翼に移っている。
シミュレーションに引っ掛けようとするも見事にかわされて、逆に(ルール上では順当に)金成が審判から警告を受ける始末。
そして、ドリブルする翼は恐ろしく速く、反則覚悟で服を掴んで止めることも出来なかった。
かつて対戦を熱望した相手である、大空翼。それは今や、絶対に補足されることを避けねばならない相手へと変わっていた。

580 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/18(木) 20:14:35 ID:HdLKyJYM
金成(ぬ、抜けない。こいつだけは抜けない……! サイドにはたくしかない……くそ、この俺が対戦を避けるだと?)

翼「あれ? 来ない?」

屈辱に歯噛みしつつサイドにボールを流し、バイタルエリアでラストパスを待つ戦法に切り替える。

観客「あ、パスで逃げたぞ、アイツ!」「こらーっ!! ちゃんと勝負しろーっ!!」「そんなに翼が怖いのかーっ!?」

金成(うるせえぞ凡愚どもがっ!! サッカーには戦術ってもんがあるんだ!! くそっくそっくそっ!!!
俺は逃げていない! 勝つために最善の行動をしているんだ! 逃げてない! 逃げてない! 逃げてなんかいないっ!)

清栄MF「か、金成……俺に渡されても、南葛の守備を抜けるとは思えないぞ……」

金成(情けねえツラしやがって……俺だって、テメエなんかにボールを預けたかねえよ!!
これ以外に翼から逃げ――い、いや、確実に攻めこむ手がねえんだよ!)

森崎(お? サイドを突破して、中央の金成に渡す方向で来たか。だが、エースの金成からして挑発する意味さえなかったからな。
放っておいても止まるだろうが……)

明らかに南葛スタメンより格下の清栄選手と、汗みずくになって肩で息をする金成を見て、森崎はニヤリとほくそ笑む。

森崎「(ま、ここら辺で目立っておくか)先輩っ! ここはあえて通すんだ!」

南葛DF「……はいはい(この目立ちたがりめ)」

翼「森崎……また変なことをしだして……」

森崎の指示に面食らったのは、対戦する清栄の選手のみ。森崎の入学から4カ月、この手のことに慣れた南葛の選手は今更童子はしない。
また観客の耳には指示の声は届かず、ただ普通に抜かれたと思われただけだった。

581 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/18(木) 20:16:24 ID:HdLKyJYM
清栄MF「す、素通しだと? どういうことなんだ!?」

金成「(野郎、何考えてんだ!?)い、いいから渡せ! せめて一発、ぶち込んでやる!」

清栄MF「お、おう!」

指示に従い、金成にボールを戻す。

実況「おおっと!? ここで金成くんにボールが渡ります。清栄学園、最後の意地の見せ所です!」

金成「これが入っても、到底勝ちはねえが、森崎ィ……てめえの鼻っ柱は叩き折ってやる!」

グワァァァァ……
金成の右足が、鎌首をもたげる。

金成(去年の大会のVTRは、テープが擦り切れるほど観させてもらった! そして気付いたぜ。
森崎、てめえのセービングにはかなりのムラがあることをな! 体力に余裕がある時と無い時、敵のシュートが強い時と弱い時!
動き出しの速さや飛びの大きさに明確な差があった! つまり、お前の武器は体力を大きく消耗する本気のセービング!
この前後半、今まで俺たちの攻撃を零封してきたお前に、どれだけ体力が残っている? これを止める力が残っているか!?)

実況「金成くん、シュートに行く! これまで翼くんに抑えられていた格好の金成くんですが、この試合初めてのシュートです!」

金成「(もうほとんどスタミナは無いだろう? 無力を噛みしめやがれ、森崎……!)喰らいやがれェェェッ!!」

バコンっ!
ドシュっ!

金成が得意とする、ミドルレンジからのシュートが放たれた。
先月には県大会で輝かしくハットトリックを挙げた、必殺のシュート。
インパクトの瞬間、金成は自分のゴールシーンを甘美に夢想した。それほどまでの手ごたえを感じていた。
だが、それを防がなければならないはずの森崎は、まったくと言っていいほど動揺を見せない。

582 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/18(木) 20:18:46 ID:HdLKyJYM
森崎(インパクトの瞬間に、ボールを擦り上げるようにしたのが見えた……十中八九、回転を掛けてやがるな。
おそらくバナナシュートか。そんなもんが今更俺に通用すると思っているとは、とんだ田舎者だぜ!!)

ググググッ……
クンッ!
果たして金成のシュートは、森崎の看破したとおりに、弧を描いて曲がった。
そして、コースを読み切った森崎は、あらかじめ曲がるボールへ完全に手が届く位置取りにつき――

森崎「そらっ!!」

――事もなげに、拳で弾き返した。

金成「…………えっ?」

テン、テン、テンっ……。
我が目を疑う金成の耳に、自分の後ろでボールが跳ねる音が聞こえた。

実況「ああっと!? 金成くんの放ったバナナシュートが南葛ゴールを脅かしましたが、森崎くんが危なげなくパンチング!
流石は全国少年サッカー大会の昨年度優秀GK! 中学に入ってから、セービング技術に磨きが掛っています!」

観客「へえ、森崎ってキーパーもそれなりに凄いんだ?」「けど、大方のボールは翼が中盤で止めてたしな……」
「まあ、悪くは無いんじゃね?」「やっぱり翼は(ry」

森崎「ぬぎぎぎ……翼の野郎にMVPを掻っ攫われた時の称号で褒められても、嬉しくも何ともねえ……。
観客も翼評価一色かよ。清栄とかいう連中、歯ごたえが無さ過ぎるぞ。これじゃ、俺の株の上げようがないじゃねえか」

石崎(まだベンチにも入れない)「ちぇっ。試合に勝てて森崎のヤツだけに恥掻かせる、良いチャンスだったのに。あの10番、情けないぜ!」

高杉(この時点ではまだ森崎派閥)「DFを自分が目立つための駒みたいにしやがって……そろそろ潮時か?
もう森崎の下で我慢を続けるのも限界だし……」

南葛DF「一時はどうなるかと思ったが、なんとかなったか。それ!」

583 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/18(木) 20:19:55 ID:HdLKyJYM
実況「おっと弾かれたボールは前線へと大きくクリアー。一方、前掛かりになった清栄は守備が手薄だ!
しかし、大量のリードを守る南葛、ここは丁寧に攻めていきたいところ――」

金成はシュートを放った位置に立ったまま、動けずにいた。
場内に響くアナウンスの声も、観客の声援も、再び追加点を許しそうな戦況も、全てが思考の埒外にあった。
彼の脳裏には、今の森崎のセービングが、くっきりと焼きついている。
それが、何度も何度も反芻されていた。

金成(い、今のセービングは何だ!? 森崎のヤツに、完璧なポジショニングを取られていた……。
この試合に初めて見せたシュート、しかも変化が加えられているのに、どうして事前に絶好の位置取りを把握できるんだ!?
そ、それにあの動きには淀みも強張りも無かった……ま、まるで疲労させられていないじゃないか!!)

実況「――ボールを取ったのは、翼くんだ! そして、チェックに着くディフェンス陣も陣もなんのその、圧倒的な速度で突破――」

金成(も、森崎のスタミナが、去年に比べて改善されていたのか? だから全力のセービングも可能に――)

清栄MF「金成ィ!! 何をしているんだ! 戻れェ!!」

清栄DF「り、リトリートが間に合わない! 撃たれるとヤバいんだ!!」

金成(――いや、違う! さっきの動きには、VTRで観た瞬発力も何も発揮されていなかった!
アイツに全力のセービングを、……つ、使わせることさえ出来なかったというのか、俺はっ!?)

その事実に思い至った瞬間、金成の耳に音が戻ってきた。そして、それは彼に残酷な現実を告げる。

584 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/18(木) 20:21:30 ID:HdLKyJYM
実況「翼くん、バイタルエリアに切り込みパスを……ああっと、これはワンツーだ! 折り返しで高い球が上がる!
これは翼くん得意の――」

翼「いっけえ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!」

金成「あ、れは……」

実況「――オーバーヘッドキックだぁ!!」

喧騒に気付き振り向いた金成の目に、その名の通り大空高く舞う翼の姿が目に移った。
清栄の守備陣は県大会の鳴紋戦と同じく、5バックの陣形でガッチリとエリア内を固めてはいる。
間に合わなかったMFも巻き込んだリトリートには及ばないまでも、充分に堅固な布陣だった。
だが、あれほど高く跳ばれてはクリアーも覚束ないだろう。
そして、その名の通り頭を越えるようにして、呆れるほどに高い打点から打ち下ろされるシュート。
それは、まるであらかじめゴールすることが定められていたかのように、誰にも触れられないままネットに突き刺さった。

実況「決まったあァァァ!! なんと、ここで駄目押しの六点目です! そして、翼くんはこれでこの試合、ハットトリック達成!
MFに転向しても、その決定力は衰えません! やはり、この少年だけは物が違う! 正にサッカーの申し子だァ!!」

ウオォォォォォォォッ…………!!

観客「か、かっけえ……!」「翼っ! 翼っ!」「中学でも、翼がナンバーワンだ!」

翼「よぉし、やったぞ!(池上先輩の顔を立てて、あの人もハットトリックするまで我慢してたけど、ずいぶん待たされたよ。
こんな連中からなら、前後半合わせて五得点は固いのに。ま、義理は果たしたし、二回戦からはハナから本気でいいか。
観客もそれを期待してるみたいだしね)」

森崎「けっ。勝ちの決まった試合で、不必要に目立ちやがって。この俺のように、格下には加減する度量を身につけろってんだ」

あまりにも美しいゴールシーンに、会場が一丸となって沸き上がる。
金成はその大歓声に打ちのめされたかのごとく、ピッチの芝に膝をついた。

585 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/18(木) 20:22:49 ID:HdLKyJYM
金成(こ、これが……これが去年の小学生ナンバーワンの強さなのか? この戦いが、全国のレベルなのか?
お、俺たちが地元でやっていたサッカーは、何だったんだ……。
小豆沢を謀略で退場に追い込んでまで全国に来た結果が、これなのか?)

自問自答の中に沈む金成。

金成(そういえば、小豆沢も全国では勝てなかった……俺たちと鳴紋は、エース級以外の選手のレベルに、それほど差は無い。
なら……その小豆沢すら実力では倒せなかった俺たちに、最初から勝ち目は無かったということか?
ば、馬鹿なのか俺は!? どうしてそんなことに、初めから気付けなかったんだ!!)

小学校時代、チームに恵まれず全国で戦ったことが無かった。
周りには自分より優れたプレイヤーはいなかった。例外は、中学に上がるまで対戦機会の無かった小豆沢のみ。
それが彼に『自分が全国有数のプレイヤーである』という過信と、格下を苛め抜く邪道なプレイスタイルを植え付けたのだった。
だが、それは今日完全に粉砕された。

金成「ちく……しょう……」

中盤の攻防は、完全に翼に制された。
必殺であるはずのシュートは、完璧に森崎に防がれた。
清栄学園サッカー部10番・金成優。彼はこの日、サッカーを知ってから初めて、心から負けを認めた。

ピッ、ピッ、ピィイイイイイイイイイイイイイ!!!

試合終了を告げるホイッスルが鳴る。
虐殺試合を戦わされていた清栄イレブンにとって、それは解放を告げる福音にも聞こえた。
――ようやく終わった。
それが彼らの偽らざる心境だろう。

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0ch BBS 2007-01-24