キャプテン森崎 Vol. II 〜Super Morisaki!〜
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【激闘の】幻想のポイズン38【果てに】

1 :幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2010/07/05(月) 21:09:17 ID:???
全日本ジュニアユースのFW(?)、反町一樹が幻想郷のサッカー界に旋風を巻き起こすというスレです。
この話はキャプテン森崎のパラレル作品で、
東方Project(東方サッカー)とのクロスオーバー作品です。
もしかしたら他のアニメや漫画、小説などからもキャラが出たりするかもしれませんがご了承下さい。

本編のように、選択肢を選んだりカードを引いたりして物語が進んでいきます。

【前スレ】
http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1277548514/l50

[大まかなあらすじ。]
幻想郷の賢者、八雲紫に連れてこられた反町一樹。
秋姉妹らと出会いオータムスカイズを結成、幻想郷に混乱を巻き起こす為に今日も戦いに励むのだった!

[前スレのわかりやすいあらすじ。]
紅魔館主催で開催される不夜城カップに出場をしたオータムスカイズ。
初戦の地霊アンダーグラウンド戦を4−2で勝利し、2回戦のネオ妬ましパルパルズ戦も1−0で辛勝。
試合後、うどんげとてゐの二人を加え、更に波に乗ったオータムスカイズの次の相手は守矢フルーツズ。
前半は押せ押せムードで3−1で折り返すも、早苗や天子の猛攻の前に3−3に追いつかれ、終には逆転されてしまう。
しかし、最後の最後で反町が体を張ってPKを奪い、4−4の同点に。試合はVゴール方式の延長戦へと持ち越されるのだった。

早苗「奇跡の力で2点目!」
リグル「これが私のネオリグルキックだァ!」
萃香「甘い! 鬼パンチ!!」
リリーブライト「「初の出番なのにまるで活躍出来ません!!」」
天子「天人の力で3点目! 流石天人は格が違った!!」
超サナエ「奇跡の力で逆転!」
クラブA「だがPK!」
佐野「なんだかよくわからんが、目的地まで徒歩で行く事になった」

お互い死力を尽くす準々決勝、果たして勝利するのはオータムスカイズか守矢フルーツズか!? あ、佐野君もがんばれ!
そんな幻想のポイズン38スレ目、このスレでもよろしくお願いします。

841 :幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2010/07/16(金) 21:06:06 ID:???
一気に中盤を突破し、バイタルエリアへと進入した霊夢に向けてボールを奪いに向かったのは萃香。
その他の面々はゴール前に固まっており……万が一萃香が抜かれた場合に備えており。
一方で早苗は後半頭からも油断は出来ないと超サナエモードを発動させている。

ジリジリ…… ズモモモモモ……!

萃香「へへへへ〜。 霊夢〜、ボールおくれよ〜」
霊夢「酒臭っ……ったく、面倒ね……」
萃香「ん〜。 通さないよ〜♪ シュートブロックは十八番だからね〜」

ジョン「おっとぉ……霊夢選手! シュート体勢を取りましたが……!
    しかし、萃香選手打たせまいと、先ほどと同様! 巨大化をして壁となります!!
    霊夢選手! これは……どうしたァ!? 右足を振り上げるも、打ちません!
    これではシュートコースがふさがるばかりだ! 一体どうしたんだー!?」

霊夢の前に立ちふさがった萃香は、徐々に体を巨大化させながら壁を作り……。
それと同時に徐々に徐々に霊夢が撃てるシュートコースは狭まっていく。
しかし、それでも霊夢は打たない……ただ、何かを待つかのようにシュート体勢のまま体勢を維持するのみ。
観客席からも動揺の声が漏れ始め、守備に入っている萃香と超サナエも何かがおかしいと考えるのだが……。

萃香(霊夢……打ってこない? ん、もしかしてドリブルで抜くつもりか!?
   いや……でも、幾ら霊夢でも残ったメンバーで固めたPA内を突破するのは難しすぎる。
   そんな博打をするような奴じゃないし……これは……)

ダダダダダダダダダダダダダダッ!!

萃香「え!?」
霊夢「よしっ……魔理沙ァ!!」

クルッ……パシィッ!!

842 :幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2010/07/16(金) 21:07:07 ID:???
考え事をする萃香の横から聞こえてきたのは、何者かが高速で走る音。
一体何があったのかと目を向ければ……そこにはつい先ほど、ゴール前にいた筈の魔理沙が。
何故か霊夢の真後ろまで戻ろうとしており……。
そして、その位置目掛けて霊夢はボールを足で挟み込み、オーバーヘッドのようにバク宙をしながらボールをパス。
それをトラップした魔理沙は、完全にノーマークの状態である。

萃香「あっ……あーっ!!」
超サナエ「!? マークを……外された!?
     なっ、何をやってるんですか天狗さん達! 魔理沙さんをフリーにしちゃ……!!」
魔理沙「そいつらを責めるのは酷だぜ! この幻想郷最速の魔理沙さんをいつまでもマークしろなんて、無茶な話だ!!」
霊夢(自称・最速だけどね……ったく、ここまでお膳立てしたんだからしっかり決めなさいよ?)

萃香が目を丸くして驚き、超サナエが魔理沙マークを担当していたDFたちに声を飛ばし。
霊夢があきれたようにため息を吐く中……魔理沙はその足を大きく振りかぶり。
今日の試合2発目となる、自身の主砲を打ち放つ。

魔理沙「くらえ、守矢フルーツズ! こいつが私の……マスタースパークだァァァァァアッ!!!」

ドゴッ……バゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!!!!

萃香「くっ……くそっ!!」

霊夢に付ききりになっていた萃香はブロックに向かえず、辛うじてブロックに入った河童Aは無残に吹き飛ばされる。
先ほどはセンターサークルから放たれた、魔理沙のマスタースパーク。
しかし、今度はバイタルエリアから――完全にフリーの状態から打たれた、最強クラスの必殺のシュート。
守矢フルーツズの面々は戦慄をし、またもや失点してしまうのかと顔を青くするのだが……。

超サナエ「二度も同じシュートを決めさせて……たまりますかァァァァッ!!」

バッ! バチィィィイイイイイイイッ!!

魔理沙「なっ……なにィ!?」

843 :幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2010/07/16(金) 21:08:10 ID:???
その高威力、高速のシュートに対して、超サナエは極限まで高められた身体能力。
そして、驚異的な集中力と類稀なる俊敏性を生かし、全力でのセービングに向かう。
確かに威力は凄まじく、フリーの状況から打たれた魔理沙のシュートは的確にコースを狙っていた。
しかし、それでもなお――全力となった超サナエの、全力でのセービングには今一歩及ばない。
超サナエの手は的確に魔理沙の放ったマスタースパークを捕らえ。
ボールは大きく跳ね返されてしまうのだが……。

超サナエ「と、止めた……これで……!!」
霊夢「行くわよ、早苗!」
超サナエ「あっ……!?」
萃香「っ! こ、今度も止める! ミッシング・パープル・萃香ちゃんが相手だァッ!!」

ババッ! グルンッ!!

その飛び上がったボールに向けて素早く反応を見せていたのは、万が一魔理沙が点を取る事に失敗した場合を考え。
ゴール前に詰め寄せていた、霊夢である。
その天賦の才とも言える驚異的なジャンプ力を生かし、霊夢は高く高く飛びながら得意とするオーバーヘッドの体勢を取り。
しかし、そこにブロックに入ったのは先ほどの魔理沙のドラゴンメテオを防いだ萃香。
いかに空中戦を得意とする霊夢といえど、シュート力は魔理沙には劣る。
先ほどのドラゴンメテオを防いだからこそ、今度も止められると萃香は確信をするのだが……。

霊夢「ただのオーバーヘッドじゃないわよ、これも」
萃香「えっ……?」
超サナエ「なっ……ま……まさか!?」
魔理沙「……またかよ、畜生!」

得意がるでもなく、威張るでもなく、ただ淡々とただのオーバーヘッドではないと宣言をする霊夢。
それを聞いて萃香と超サナエは愕然としたように目を丸くし……魔理沙は悔しがるように芝を蹴る。

844 :幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2010/07/16(金) 21:09:19 ID:???
ただのオーバーヘッドキックならば、萃香でも間違いなく止められただろう。
そして、超サナエでも……幾ら体勢が悪かろうと、弾く事は出来た筈である。
しかし、霊夢の打ったそのオーバーヘッドは――宣言の通りにただのオーバーヘッドキックではない。
先ほど魔理沙が見せたドラゴンメテオ――オーバーヘッドの体勢から打つマスタースパーク同様。
オーバーヘッドの体勢から、夢想封印を放つ奥義――。

霊夢「夢想封印・瞬――!!」

ギュルルルルルルルルゥゥゥゥゥゥゥウウウウウッ!!

萃香「あっ……あああああああああああっ!?」
超サナエ「ゴッ……ゴールは……絶対に……! ぐうううっ!!」

ズッバァァァァァアアアアアアアアンッ!!

ピィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッ!!

萃香の股下を抜け、超サナエの頭上を大きく越えてゴールネット上へと突き刺さるボール。
練習などはまるでしてない――した事も無い、オーバーヘッドの体勢から打つドライブシュート。
それを一度で……ぶっつけ本番で、魔理沙が使ったのを見て使い、得点を上げた博麗霊夢。
この世にある全ての技は彼女の為にあるのかと思ってしまう程の才覚を見せる霊夢は……。
とりあえず、といった様子で片手を挙げ、大きなあくびをするのだった。

霊夢(魔理沙が決めてくれりゃこんな疲れる事しなくてよかったのに……はぁ)

守矢フルーツズ1−2博麗連合

########################################################################################

一旦ここまで。

845 :森崎名無しさん:2010/07/16(金) 21:15:30 ID:???
守矢の勝ちがグッと近づいてきたようで安心した

846 :森崎名無しさん:2010/07/16(金) 21:22:55 ID:???
乙でした。

自分の体力を省みずにGK続けたのが早苗の敗因だな(試合自体はまだ終わっていないが)。

これで早苗はまともに動けなくなった。
つまり守矢は攻めの枚数を増やせなくなった。これはかなり痛いだろう。
博霊も魔理沙・霊夢が消耗しているものの、DF陣に余裕があるから有利なはず。
秀才(努力家)は天才には勝てないと言われているようで、見ているだけのこちらも悔しい…。

847 :846:2010/07/16(金) 21:24:58 ID:???
博麗の字間違えてた……ナニシテンダヨオレorz

848 :幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2010/07/16(金) 22:01:09 ID:???
>>845-847
博麗の二人はこれであと1発ずつぐらいしか打てなくなりましたね。
逆に早苗さんは超モードで何度もセービングに行った為、もはや限界に近いです。
後は博麗の二人が更に突き放せるか、そして守矢の面々がそれを阻止し追いつき追い越せるかですね。

霊夢さんが魔理沙の技をパクった所で、本日はここまで。
明日には試合終了まで書けるかな……?それでは、お疲れ様でした。

849 :森崎名無しさん:2010/07/16(金) 22:04:29 ID:???
やっぱどう考えても・・・この試合が今までで一番面白い。
ちょっと、いやさかなり残念だが、参加者の俺らってポイズンさんの枷になってなくね?

850 :森崎名無しさん:2010/07/16(金) 22:20:59 ID:???
今までも面白い試合はあったよ
というかつまらん試合は無かった。ほとんどの試合がぎりぎりの戦いばっかだったからね

851 :森崎名無しさん:2010/07/16(金) 22:30:36 ID:???
ほんと、ギリギリの戦いの連続だったなあ。
いつもハラハラし通しでした。

自分的には、守矢が勝つ方に1票かなあ。
もちろん、試合の流れ的にもだけど、オールスターのときの霊夢と魔理沙のステータスを
考えると、ハナから博麗の勝ち目は薄い気がするんだよな。
てゐがいれば多少は違ったのかもしれないけどね。

852 :森崎名無しさん:2010/07/16(金) 22:35:21 ID:???
>>849には悪いが「この試合がベストバウト」とは思わないな。
そも、ランダム制の存在する試合とない試合を比べるほうがおかしい。


853 :849:2010/07/16(金) 22:37:35 ID:???
>>852
それはそうだけど、引きや投票がからむと
ハラハラしただけで納まること自体すくなかったじゃん
なんか今までポイズンスレになかった安心感があるんだよこの試合

854 :852:2010/07/16(金) 22:41:45 ID:???
>>849
うん、だから悪いけど「比べることがおかしい」。
お前さんが求めているものは、そもそも参加型でランダムのあるゲームでは
成立しえないものだ。「たまのスパイス」としては勿論ありだけどね。
そうだなあ、野球でたとえてみようか。
一年かけてペナントレース戦ってる中で一番のベストバウトを決めようというときに、
ペナントレースに関わらないオールスターゲームを挙げるのはちょっと変だと思わないか?

855 :849:2010/07/16(金) 22:47:08 ID:???
なんか勘に触ったのかな
別に一番の好試合がどれかなんて人の自由と思うが・・・

856 :852:2010/07/16(金) 22:50:54 ID:???
それをわざわざ口に出して、しかもゲームの本質を否定すれば、
なかなか「人の自由」だけではすまんと思うが・・。
まあ、場を荒らすようなことになってしまっているので、それは謝罪する。
必要な討論というわけでもないし、ちょっと頭を冷やすわ。では。

857 :森崎名無しさん:2010/07/16(金) 22:54:25 ID:???
>>855
たぶん849の二行目じゃないの

どの試合が一番面白かろうと
どの試合と比べようとそれは自由だと俺も思うよ

858 :849:2010/07/16(金) 22:55:10 ID:???
本質の否定・・・否定になるのかなあ
今まで、でひとくくりはまずかったかもしれないけど
こんなに試合中で、参加者の間で揉めたりもせず煽りもなく
中の人もすごくのびのびと書けて、平和に楽しめる気がする。だから一番いいと思ったんだ。

とにかく、このことでまた諍いにはしたくない。 こちらもごめんね。

859 :森崎名無しさん:2010/07/16(金) 22:58:29 ID:???
うん、参加者が枷になってる、とか言っちゃうと、じゃあ今までやってきた38スレでの他の試合はなんなのって話にもなるし
これまでゲーム作ってきてくれたポイズンさんにも失礼になるだろうしね

ただ、この試合が面白いというのは同意見だよ。
サンパウロVSハンブルガーSVばりに最後までわからない

860 :森崎名無しさん:2010/07/16(金) 23:02:59 ID:???
うむ、あれも名試合だった
並び称されるような激戦を、ポイズンさんには期待したいな…(チラッ

861 :森崎名無しさん:2010/07/16(金) 23:08:47 ID:???
多分それを想起している人自分を含めているんじゃないかな?
HSVはちょっと無理だけどサンパウロは
翼→紅白、ストラット→白黒、ドトール→コンガラ、アマラウ→キクリ、レナート→玄爺
と主要選手もやや無理矢理だけど照らし合わせれる


862 :森崎名無しさん:2010/07/17(土) 00:13:15 ID:???
まぁアレだ。
自動進行が一番と参加型の前提覆す意見が出ぬように
通常でもGMの書きやすい環境であるよう意識してこうぜ

863 :森崎名無しさん:2010/07/17(土) 00:27:00 ID:???
そだね。
参加型のゲームである以上、いろいろと意見は出るのは当然だけど、GMが
書きづらい状況は本意ではないからな。

でも、あんまし「書きやすい環境」ってのを参加者が意識しすぎるのも
不自然だし、書きづらくならない範囲で活発に意見を出せると良いの
だろうけどね。
それぞれに思い入れもあるし、なかなかさじ加減が難しいよね。


864 :森崎名無しさん:2010/07/17(土) 00:32:07 ID:???
参加者の声がGMのごはんでもある
て前に誰かいってた

865 :森崎名無しさん:2010/07/17(土) 12:07:56 ID:???
ば、ばあさん…温泉はまだかいの…

866 :幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2010/07/17(土) 12:51:03 ID:???
>>849-864
どうも。ひとまず、このNPC戦が飽きられていないようで何より……。
ぶっちゃけ判定が絡まない試合をかなり続けて書いているので、皆さんが飽きていないか心配でしたが。
杞憂に終わったようで一安心をしています。
ただ、ちょっと冗長になりすぎたかなという気もしますので、決勝戦はもうちょっと端折れる所は端折りたいと思います。
また、参加者さんの皆さんが枷になってるのではないかという意見もありますが、それは無いです。
今回は何とか書けていますが、こんな試合展開早々何度も書けませんw ネタがそんなに無いですからw
これからも皆さんには意見や投票、カード判定などやっていただこうと思いますので。
どうぞよろしくお願いします。

>>865
とりあえずこの試合が終わって、次の日に練習をしてから……となりますので。
恐らく次スレに持ち越しになるかもです。

867 :幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2010/07/17(土) 15:01:03 ID:???
ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!

ジョン「なっ……なっ……なんという事でしょうッ!?
    れ、霊夢選手……! オーバーヘッドから夢想封印を放つという大技……。
    夢想封印・瞬で、萃香選手、早苗選手の守るゴールから守矢フルーツズを突き放す1点を奪ったァァァッ!!
    さっ、流石は博麗の巫女! 博麗霊夢です!!」

観客「うわああああ、やっぱ霊夢すげぇ!!」「流石は天才だな!(キリッ」
「さ、早苗さんが……早苗さんが2失点……」「2試合続けて2失点……嘘だそんな事ー!!」

霊夢「はー……うっし、そんじゃ後は守るわよ」
魔理沙「……おい霊夢、さっきのはなんだよ」
霊夢「何って? ……別に、あんたがオーバーヘッドでマスタースパーク打ってるのを見たから真似しただけよ」
魔理沙「……ちっ」
霊夢「?」

後半開始僅か8分で、再び1点リードと守矢を突き放す事に成功をした博麗連合。
その立役者である霊夢は大きく伸びをしながら守備に力を注ぐと言いながら自陣に戻る。
博麗連合の者達はにわかに活気付き、戻ってきた霊夢に手荒い祝福をするのだが……。
それを見ながら、魔理沙は小さく舌打ちをしてから再び芝を蹴りつける。

魔理沙(何でもかんでも人の技を真似しやがって……。
    私がドラゴンメテオを会得するまでどんだけ時間がかかったと思ってやがんだ)

単純にオーバーヘッドの体勢からマスタースパークを打つといっても、その難易度は口で言ってのけるよりも格段に難しいのだ。
まず、空中でオーバーヘッドキックのまま全力で蹴り抜くという事自体、難しい。
地に足をつけて全力でけりぬくのとは違い、足に力を込めて踏ん張るという事が出来ないのだから当然である。
しかし、それでも魔理沙はこの大会に向けて懸命に修練に励み――そして、ドラゴンメテオを会得をした。
シュートコントロールが定まらなかったり、自身の自慢の脚力の全てをボールに伝わらせる事も難解を極めた。
だが、それでも繰り返し練習をする事で会得をした――全ては反町のシュート力に対抗をする為である。

868 :幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2010/07/17(土) 15:02:16 ID:???
しかし、そんな魔理沙を嘲笑うかのように、霊夢は一発、ぶっつけ本番で成功をさせてみせた。
魔理沙がまだその新技でゴールを決めていない今。
霊夢は空中で、オーバーヘッドの姿勢をとりながら、ボールにドライブ回転をかけるという荒業を成功させ。
見事にゴールを決めてみせたのだ。

魔理沙(私が一発で決めてりゃ良かった……理屈じゃわかるが……)

それでも、納得しきれない。
チームが勝利に近づいたとはいえ、ストライカーとしての意地が納得をさせない。
霊夢が類稀なるセンスを持ち、一度見ただけの技を放つのは今まで何度も魔理沙は一番近い場所から見てきた。
だが、それでも――今度の自分のドラゴンメテオは、早々簡単には真似はされないだろうと踏んで挑んだ大会で……。
霊夢はいとも簡単に、事も無げに技を模倣してみせた。
その事実は魔理沙を苛立たせ、焦燥させていた。

魔理沙(浮き球勝負じゃ霊夢には敵わない……私のマスタースパークは霊夢の夢想封印に比べ。
    破壊力は上だが威力に関しては若干だが下回る……。
    もっとだ……もっと威力の高いシュートを開発しないと……!)

幻想郷のサッカー界において、レミリアと共に頂点にFWとして君臨し続けた霧雨魔理沙。
新たな敵――反町一樹に対抗する為に開発した新たな技を、パートナーたる博麗霊夢に。
自分が開発をしたその技以上の威力を持った技に昇華され……。
彼女は今、少しずつではあったがかつて彼女の胸に秘められていた熱い心……。
何者にも負けたくは無いという、闘争心。
そして、博麗霊夢に対するライバル心を徐々に徐々に膨らませていた。

869 :幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2010/07/17(土) 15:03:16 ID:???
シュウウウウッ……

早苗「げふっ……かはっ……はぁっ……」
神奈子「さっ、早苗!」

博麗連合の者達が自陣に戻り始めていた頃、一方で守矢フルーツズのゴール前では。
主要たるメンバーたちが、地面に倒れ伏した早苗の元に群がっていた。
先ほど、全力でのセービングを連発した事により、もはや早苗は体力の限界に近づいており……。
既に超サナエモードは解かれ、姿は元通りに戻っている。
心配そうに一同が見守る中、早苗は荒くなった呼吸を整えようとしつつ……弱弱しく体を起こし。
額に滲んだ汗を拭いとりながら、霞む目でスコアが記載された電光掲示板に目を向ける。

早苗(2−1……また……また、突き放されてしまった……)

震える拳を握り締め、唇を噛み締めながら目に見えて悔しがる早苗。
今日の試合――魔理沙と霊夢とを相手に、どこまで戦う事が出来るか……。
この大会に向けて修練に励み、みらくるセービングを鍛え、みらくるセービング・改へとグレードアップさせ。
果たしてそうなった今、どこまで魔理沙と霊夢を封じる事が出来るか。
早苗は不安を抱くと同時に、自分の実力を試せる場だとばかりに楽しみとしていた。
しかし、試合を開けてみれば……相手はアタッカーが2人しかいないというのに何本もシュートを打ち込まれ。
結果、後半開始すぐに早くも2失点。
そして、自分はもはやセービングどころかまともにプレイする事すらも困難な状況である。

早苗(この試合……まだ、萃香さんがいるから相手も攻めにくい筈……ですが……)

もしも守矢フルーツズに萃香が加入をしていなければ……もう一人、鉄壁を誇るGKがいなければ。
果たしてこの試合はどうなっていたのだろうか?
……恐らくは、惨敗。早苗がいなくなったゴール目掛けて博麗連合は攻勢に出て、得点を量産した事だろう。

早苗(萃香さんがいなければ……私の責任で負けていた……。 くっ……)

870 :幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2010/07/17(土) 15:04:43 ID:???
萃香「……キーパー交代だ、いいね?」
早苗「はい……後は、お願いします……」

いつまでも項垂れる早苗に対し、萃香はポンと肩を叩きながら交代の旨を伝えると。
キーパーグローブを嵌め、ゴール前に移動をする。
それを見ながら、早苗は汗を拭いつつベンチに向かい、名無しの天狗と交代をしようとするのだが……。

神奈子「待ちな、早苗!」
早苗「え……な、なんでしょうか神奈子様?」
諏訪子「交代は無しだ……早苗、最後までフィールダーで出場をしてくれ」
早苗「え!?」

その早苗を呼び止めたのは、守矢の二柱である神奈子と諏訪子。
一体どうしたのかと早苗が振り向くと……二柱は早苗に交代は取りやめにしてくれと直訴。
それを聞いて早苗は目を丸くして驚きつつ……しかし、すぐに首を振って否定をする。

早苗「無理です……私はもう、ボールを蹴るだけの体力も無い……。
   出場し続けても、ただ、棒立ちするしかないんです……」
神奈子「何もプレイしろなんて言ってないんだ……早苗、フィールドで休め。 後半終了間際まで、じっとして体力を回復するんだ」
早苗「後半終了間際まで……?」
諏訪子「そこまでいけば、まだプレイが出来るくらいには回復するだろう?
    ……必ずそれまでに同点にする。 しかし、最後の最後……またお前の力が絶対必要になる。
    それを考えると、早苗はここで交代させたくないんだ……。 残り30分は休んでいていい、動かなくていい。
    だから、残り5分……最後の5分を戦えるだけの力を、フィールドで蓄えていてくれ」

871 :幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2010/07/17(土) 15:06:09 ID:???
キーパーとしての早苗は、霊夢と魔理沙の前にほぼ完敗に近い結果を残すだけに終わった。
しかし、まだフィールダーとしてならば……ドリブラーである早苗の能力は、必ず得点を取るのに必要となる。
諏訪子がそう呟くと早苗は迷いを見せながらも……やがて頷き、了承をする。

早苗「……40分まで、フィールダーは実質9人になる事になりますよ」
神奈子「覚悟の上だ。 そうまでしても、早苗にはいてもらわなきゃ困る」
早苗「……わかりました。 では……お任せをします」

早苗はそう呟くと、大きく深呼吸をしてから……フィールドの隅へと移動をし。
その場にしゃがみ込んで、体力の回復に集中をし始める。
それを見て、神奈子と諏訪子は満足そうに頷きつつゴール前に集まっていた者たちに向けて、口を開く。

神奈子「1点はリードされたが、まだ時間は残っている……そして、40分を過ぎれば早苗も動けるようになるだろう。
    それまでに何としても1点を取って、同点にするんだ……いいね!?」
諏訪子「博麗の二大エースも、既にかなり疲弊はしている筈だ。
    後はどうやってあのDFを攻略するかさえ考えればいい……さぁ、まだまだ試合はこっからだ!
    気合入れていくよ!」
守矢フルーツズ「「「おう!!!」」」

二柱の言葉に呼応し、気合を入れて掛け声を出してから一同はポジションに散っていく。
萃香がDFからGKに入った事で守備力は弱体化しており、更に動けない早苗を抱えている為実質フィールダーは9人。
おまけに疲弊をしたとはいえ、博麗連合の二人のエースも油断がならない相手。
何よりも鉄壁のDFを相手に、攻略をする算段は未だについてはいない。
しかし、それでも……守矢の二柱は勝つと言った。
この試合に負ければ早苗が再び常識に囚われなくなってしまうから……などという理由の為ではない。

神奈子(昨日の試合も、私達は殆ど何も出来なかった……全ては早苗と、他のメンバーの頑張りの為だ)
諏訪子(なら今日は私達が何としても勝利を手繰り寄せてやる……!
    これまで頑張ってきてくれた早苗を……負けさせてたまるもんか! 絶対に……絶対に優勝をするんだからね!!)

########################################################################################
一旦ここまで。

872 :幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2010/07/17(土) 17:50:51 ID:???
こうして試合は再び仕切りなおしとなり、守矢フルーツズのボールで再開される。
後半の時間はまだまだ30分以上残っており、1点差ならば十分覆せる……。
昨日の試合、脅威の粘りと執念で2点差をひっくり返し、一度は逆転劇を演出した守矢フルーツズならば。
今日もまた逆転をしてくれるものだと、守矢フルーツズの応援団は誰もが思っていたのだが……。

文「すいすいすい……っと、ここまではやっぱり運べるんですけど……」
コンガラ「もう二度と貴様は通さん!」
文「やっぱり〜!」

文の突破は先ほどのような失態はもう二度と見せないと意気込んでいたコンガラに阻止され。

天子「ブロックの数は……5枚でいい! これなら……」
キクリ「ブロックが5枚という事はそれだけ人数差を生かせるという事ですよ。
    そう易々と、ゴールはさせません!」
天子「おいィ……」

天子の渾身のシュートも、キクリのブロックで阻まれる。

反町「守矢は攻め手が無いな……」
リグル「昨日はあんなに私達を苦しめたのに……なんで?」
にとり「やっぱり早苗が動けないからだよ……昨日の私達との試合、その攻撃の起点になり。
    守備にも顔を出し、ゲームを作ってたのは早苗だ。 その早苗がいないから、どうしても守矢は攻め切れない」
静葉「文もドリブラーとしては早苗以上だけど……ゲームを作るタイプの選手ではないものね」
メディスン「ストライカーの天子の強烈なシュートも通用しない……。
      ドリブルゴールもあれだけPAを固められると無理……となると、やっぱり辛いわね」
穣子「前半みたいなチャンスは早々来ないでしょうしね……」

873 :幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2010/07/17(土) 17:51:53 ID:???
ジョン「さぁ〜、後半既に30分を過ぎるも、まだ守矢は反撃の糸口すらつかめていません!
    試合を押しているのは完全に守矢フルーツズですが……。
    しかし、有効打を打てず、未だスコアは2−1! 博麗連合が一歩リードをしている状況!!
    果たして守矢フルーツズ、このままなすすべなく敗退してしまうのか!?」

早苗「くっ……!」
萃香「行きたい気持ちはわかるが、しっかり体力の回復に努めな!
   今行ったって大した事は出来ないだろう!?」
早苗「わかってます……!」

今すぐにでも前線に赴き、攻撃に参加をしたいと考える早苗。
しかし、萃香はそれを諌め……早苗は爪が食い込む程にまで拳をギュッと握り締め、感情を抑える。
確かに萃香の言う通り、今、前線に行ってもドリブルを一度するのが精々といった所。
そんなことではチャンスを作れる筈も無く……今はただ、神奈子達を信じて同点に追いついてくれるのを待つより他に無い。

早苗(神奈子様達なら……それでも神奈子様達なら……なんとかしてくれる!!)

ジョン「おっとぉ、諏訪子選手のドリブルをまたもやコンガラ選手がカットォ!
    しかし、この零れ球には神奈子選手が詰め寄せているぞ!!
    これは守矢フルーツズ、久しぶりの得点チャンスか!? 出るか、神奈子選手のエクスパンデット・オンバシラ!!」

パンッ! ズパパパパパンッ!!!

神奈子「よし……! オンバシラァァァァァァアアアアアアアアアアアアッ!!!」

ドギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!

キクリ「……威力自体は先ほどの奇妙な口調のストライカーさんに劣りますね。
    しかも変化も特別かかっていないまっすぐな軌道……これなら!」

バコォッ! ぽいんっ

874 :幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2010/07/17(土) 17:52:53 ID:???
神奈子「!? くっ……私のエクスパンデット・オンバシラでも駄目かい……!!」
諏訪子「あーうー……」

基本的に遠い位置から打つ事を主眼とした神奈子のエクスパンデット・オンバシラの利点は。
センターサークル付近から放とうとも、決して威力が落ちないという点がある。
しかし、逆に言えばそれしか特色が無いものでもあった。
つまり、幻想郷全土で見れば見慣れた威力のシュート。
その程度のシュートならば、ここまで博麗連合のゴールを守りきっているキクリを通す事は不可能である。

ジョン「あーっと! 駄目です! 神奈子選手のシュートも通用しない!
    これまで天子選手の気炎万丈の剣! 諏訪子選手の空中神戦!
    そして、神奈子選手のエクスパンデット・オンバシラが次々と火を噴いていますが未だゴールは割っていない!
    なんと固い壁! 博麗連合キクリ選手、正に鉄壁のディフェンスです!!」

キクリ「さぁ、カウンターです! 駄目押しの3点目といきましょう!!」
諏訪子「ゲロォ!? しまった!!」

後半既に35分が経過し、未だ得点に結びつかない守矢フルーツズ。
再三にわたる攻撃にも、しかし、博麗連合のDF二人はまるで疲れる様子を見せておらず。
攻撃をする事に意識を向けすぎていたのか、全員が上がり気味の位置にいた。
そして、キクリは大きくボールをクリアーし、再び霊夢達にカウンターをさせようとする。
ここで博麗連合に3点目が入れば、当然ながら守矢フルーツズの勝利は絶望的。
一同は戦慄をするのだが……。

衣玖「空気を読んでパスカットに入りますね」
キクリ「なっ……!?」

パシィィィイイイイッ!!

875 :幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2010/07/17(土) 17:53:53 ID:???
ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!

ジョン「あっ……あああああ〜っとぉ! これは上手い!!
    衣玖選手、キクリ選手のクリアーボールをすばやくパスカット!!
    試合から殆ど消えていた衣玖選手、ここで面目躍如の活躍! カウンターのピンチを脱しましたァ!!」

衣玖(豊穣の神様程ではありませんが、私もパスカットにはそれなりの自信を持っておりますので……。
   さて、それではこのボールを……)

相手が全員前がかりになっている以上、悠々とパスを通せるとキクリは油断をしていた。
しかし、その一瞬の油断が命取り。
空気を読み、敵のパスコースを読み取る事を得意とする衣玖は素早くパスコースに入り込むとボールをカット。
霊夢が顔を顰めるのを見ながら、パスコースを探し……。

衣玖「天狗さん、どうぞ!」
文「あややややや、こちらですか!」

ジョン「おっとぉ!? これは衣玖選手、すぐさま持ったボールを右サイドを走る文選手に渡します!
    文選手、このボールを持って素早くサイドを駆け上がり……。
    いや、しかし! ここにはコンガラ選手がいる!
    ここまで文選手の突破を再三止めているコンガラ選手、文選手に素早く詰め寄ります!」

コンガラ「早々たやすく突破はさせん!」
文「突破はしません、負けますから♪」
コンガラ「なっ……パ、パス!?」
文「私はどこぞの橋姫や猫と違って、パスも出来るんですよ!! それとんでけー」

ビュウウウウウウウウウウウウウウウウウッ!!

876 :幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2010/07/17(土) 17:54:54 ID:???
この試合、完全に文を止め続けてきたコンガラ。
それに対して、何度も何度も諏訪子達の指示でドリブル突破を仕掛けていた文。
知らず知らずの内にコンガラは文を、「ドリブルしか能が無い選手」と判断をしていた。
そして、それこそが文が付け入る隙となったのである。
文は決してドリブルしか出来ない選手ではない。
当然、一番の武器はその俊足を生かした圧倒的なドリブル能力。
しかし、射命丸文は烏天狗という種族の才能を忌憚無く発揮した高い空中戦の技量――。
そして、全てのオフェンスでオールラウンドに動ける、卓抜したセンスにあったのである。

文の能力――「風を操る程度の能力」を使い、大きく飛び上がるボール。
不意を突かれたコンガラは反応する事すら出来ず、センタリングが上がり……。
そのボールに向けて飛翔をするは、センターフォワードの天子。
対してゴールを守るキクリは、今度はどっしりと構えてブロックに行く姿勢を見せている。

キクリ(フォームはただのヘディング……オーバーヘッドでは無い!
    それに、先ほどのシュートのような脅威も感じない……これならば!)
天子「お前それでいいのか?」
キクリ「え?」
天子「バックステッポォ!!」

パスッ

ジョン「あっ……あああああ〜っ!! こ、これは天子選手、ポストプレイだ!!
    キクリ選手、完全に裏をかかれたかカットにいけない!
    ボールはDFの裏へと落ち……こ、これは……!?」

諏訪子「来た来た来た来たァァァァァァアアアアアアアア〜ッ!!!!」
神奈子「決めるぞ、諏訪子!! こんなチャンス、もう二度と来ないッ!!!」

877 :幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2010/07/17(土) 17:56:00 ID:???
天子の落としたボールに向けて走りこんでいたのは、守矢フルーツズの二柱。
キクリは完全に裏をかかれマークに向かえず、他のDF達もブロックに行けない。
完全にフリーの、絶好機。
ポストプレイを成功させた天子はニイと笑みを見せてしてやったりの顔を浮かべ。
センタリングを上げた文は不安そうな顔を二柱へと向ける。

霊夢「玄爺、落ち着きなさい! その二人に低い球のシュートは無い!!」
神奈子「さぁて、そいつはどうかな?」
諏訪子「ゲロゲロゲロ……! こいつを見て驚けェ! いっくぞー、神奈子!」
神奈子「おう、諏訪子!!」

バッ! バッ!! ギュウウウウウウウウウウウウウウッ!!!

お互いボールに向けて走りこみながら、諏訪子は右足を……神奈子は左足を大きく上げ。
そのまま、二人同時にボレーシュートの体勢を取る。
そのシュートフォームは、この幻想郷にいる選手にも馴染みとなっているもの。

穣子「か、神奈子様と諏訪子様が……!」
静葉「ツインシュート!?」

神奈子・諏訪子「「これが私達の……諏訪大戦だァァァァアアッ!!!」」

ブギュッ! ブルウウウウウウウウウウウウウウウウウウッ!!!

お互いの脚力を合わせ、同時にシュートを打つ事で威力を増大させるツインシュート――。
お互いの息がピタリと合っていなければ成功しないこのシュートを。
しかし、神奈子と諏訪子は見事に成功をさせた。

878 :幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2010/07/17(土) 17:57:04 ID:???
そう、このシュートもまた、今大会に向けて開発をしていた二人の合体シュート。
ロングシューターである神奈子が前線まで上がる機会があまり無い為、自然と使う機会が無かったが……。
しかし、だからこそ奇襲としては見事に成功を果たしていた。
ブレながら回転し、ボールは枠の中に入るのだが……。

玄爺「真正面! これなら取れますぞ!!」

神奈子達の放ったツインシュート――諏訪大戦は、GKである玄爺の真正面に飛んでいた。
こうなってしまえば、如何な変化がかかりブレているボールであろうとキャッチは可能。
玄爺は大きく両手を広げ、体のどこかに当たってくれとばかりに飛び上がるのだが……。

ギュウウンッ!

玄爺「なんですとっ!?」

879 :幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2010/07/17(土) 17:58:10 ID:???
キャッチをする寸前……なんとボールは玄爺の手(というより前足)をすり抜け。
大きく横に曲がってその手から逃れてしまう。

神奈子「私と諏訪子じゃキック力が違う……!」
諏訪子「だから当然、ボールも大きく曲がるんだよ……ケロケロ!!」

カーン! ズバアアアアアアアアッ!!

ピィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッ!!

大きく曲がったボールはそのままゴールポストの内側に跳ね返り、逆サイドのネットに突き刺さる。
こうして後半38分……とうとう守矢フルーツズは同点に追いつく事に成功をした。
衣玖のパスカット、文のセンタリング、天子のポストプレイ……。
そして、ここまでひた隠しに隠してきた諏訪子と神奈子の合体技。
全てを駆使して得た、同点ゴール。

早苗「神奈子様! 諏訪子様……!! 皆さん……!!」

得点を告げる笛を聴きながら、早苗は歓喜に震える拳を大きく突き上げる。
既に疲労は取れ……あと1プレイ、2プレイ程ならば、超サナエモードを使わなければこなせる程。
早苗の体力は回復しつつあった。

守矢フルーツズ2−2博麗連合

########################################################################################

一旦ここまで。

880 :森崎名無しさん:2010/07/17(土) 18:34:59 ID:???
俺、守矢が勝ったら転職するんだ……

881 :森崎名無しさん:2010/07/17(土) 20:27:21 ID:???
守矢メンバーの猛攻で同点に追いつき、早苗の体力も回復しつつある。
だが、守矢の攻撃陣はガッツが切れた者が多くなっている。
そして、体力が回復しているのは霊夢・魔理沙も同じこと。
早苗主導の攻撃が失敗したら、萃香がカウンターを完全に遮断しないと勝ち目はない。
窮地に立たされたのは守矢の方なのではないか。

882 :森崎名無しさん:2010/07/17(土) 20:34:19 ID:???
奇しくもvs秋空と立場を逆転させてるわけだな、守矢。

883 :幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2010/07/17(土) 20:49:09 ID:???
本日はひとまずここまで。続きは明日以降書かせていただきます。
それでは、お疲れ様でした。

884 :森崎名無しさん:2010/07/17(土) 20:57:46 ID:???
お疲れ様でした

白黒のシュート力はどんなもんなんだろ
リグルや早苗の反応見る限り、
リグルのシュート(地上の流星?)>マスパ
ドラゴンメテオ>ネオリグル
らしいが

885 :森崎名無しさん:2010/07/17(土) 22:34:05 ID:???
乙です
>全てを駆使して得た、同点ゴール。
きっと西尾?さんも行間で大活躍してますよね

886 :幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2010/07/18(日) 15:50:48 ID:???
ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!

ジョン「ゴォォォオオオオオオル!! 後半38分! ここで、ここに来て!
    守矢フルーツズ、神奈子選手と諏訪子選手のツインシュートで同点に追いついたァァァアッ!!
    なお、先ほどのゴールは最後にボールにふれたのは神奈子選手という事で神奈子選手のゴール!
    諏訪子選手のアシストとなります!
    さぁ、これで博麗連合ももう1点を取らなければならなくなりましたッ!!
    果たして勝利の女神はどちらに微笑むか!? いずれにせよ、次の1点を決めたチームが決勝に駒を進める!
    それは間違いないでしょう!!」

反町「凄い……! 回転をかけたツインシュートか……!!」
にとり「確かに大柄な神奈子様と小柄な諏訪子様が同時に撃てば、ボールにかかる回転は変わってくる。
    ……ここまでこのシュートを温存してたんだねぇ」
静葉「温存をしていた……というよりは、ここしか使う機会が無かったんじゃないかしら?
   今まで神奈子様は下がり目の位置にいる事が多かったもの」
反町「どっちにしても、相手の意表がつけた……これで同点。 そして、早苗さんも復活したはずだ。
   まだまだ試合はわからなくなってきたぞ……!」

諏訪子「ゲロゲロゲロ! やったぁ! これで同点だァァァア〜ッ!!!」
神奈子「よしっ……! 後はもう1点を取るだけだよ!!」
天子「この天人のポストプレイがあったからこそなしえた技。 流石天人は格が違った!」

このまま2−1のまま博麗連合が勝利を収めるのかと観客達が思っていた時間帯。
その一瞬の内に守矢フルーツズは意表を突く形で得点を上げ、同点に追いついた。
観客達は熱狂したように声を張り裂けんばかりに上げ、両チームに応援の声を出し……。
得点をした神奈子と諏訪子はお互いハイタッチを交わしつつ、素早く自陣へと戻る。
得点は上げた……しかし、まだ同点……勝利は収めていない。
しかし、それでも……守矢フルーツズの面々は勝利が出来る筈だと信じていた。

887 :幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2010/07/18(日) 15:51:48 ID:???
神奈子「早苗! もういけるね?」
諏訪子「時間はかかったけど、ギリギリ同点に出来たよ! 後は……」
早苗「はい……後はもう1点……! もう1点、取るだけですね!」

立ち上がり、自陣深くから神奈子達を迎えたのは――守矢フルーツズキャプテン。
昨日のオータムスカイズ戦でも2ゴール、1アシストを記録し。
勝利に大きく貢献をした、奇跡の風祝――東風谷早苗。
彼女がいれば、必ずや勝利が出来る……。
神奈子達は知らず知らずの内、そんな安心感を抱くようになっていた。

神奈子(本当にたくましくなってくれた……やっぱりキャプテンをやらせたのは正解だったね)
諏訪子(早苗がいれば勝てる……! 早苗は……私が絶対負けさせない!
    今大会に向けてあんなに練習したんだ! あの麓の巫女にも白黒魔女にも、負けさせたくない!)
早苗「残り時間は7分……ですが、1点を取るには十分過ぎる時間です!
   延長に行かせては、一発一発の攻撃力が高い博麗連合が有利なのは明白!
   ここはこの7分だけで決着をつける気持ちでいきましょう!」
守矢フルーツズ「「「おう!!」」」

早苗の激昂に一同は呼応し、それぞれのポジションについていく。

早苗(あと1点……あと1点で、勝利が出来る!
   あと1点で決勝に進出出来る……! あと1点で……優勝に手が届くかもしれない!
   負けられない……負けられません!)

888 :幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2010/07/18(日) 15:52:49 ID:???
こうして守矢フルーツズの面々が改めて気合を入れていた頃。
博麗連合はというと、キャプテンの霊夢は頭をガシガシとかきむしりながら渋い顔を浮かべ……。
守矢フルーツズゴール、そして燃える早苗達を見てため息を吐く。
予想外の神奈子と諏訪子のコンビプレイにより、試合は再び振り出しに。
しかも早苗は体力を回復させており、更に守矢の攻撃は熾烈となるだろう。

霊夢(あーあ……こっちにも優秀なキーパーが欲しいわよ……。
   って、無いもの強請りしても仕方ないし……)
魔理沙「……おい霊夢、私にやらせろ」
霊夢「ん?」

どうやって攻めたものか……と霊夢が考える中。
そんな霊夢の肩を掴みながら、低く唸るように言ったのは魔理沙である。
その瞳は守矢フルーツズゴール前――酒をがぶ飲みしている萃香に注がれており。
何としても彼女からゴールを奪ってみせる、という熱意が魔理沙から伝わってくる。

魔理沙「最後は私が決めてやる。 お前が運んで私が決める……それがこのチームのやり方だろうが」
霊夢「んー……」
魔理沙「萃香相手だろうが、私が決めてやる……だから運んで来い、霊夢」
霊夢(カッカしてるわね……熱くなったり気合入れたりして点が入るんなら誰も苦労しないんだけど……。
   ま、実際魔理沙の……えーっと……ドラゴンメテオか。
   あれなら萃香相手でも十分過ぎる程通用する筈だし……とはいえ、一発勝負になるし……。
   ここは決定率を上げる為に……そうね……)

結局、霊夢は魔理沙の願いを聞き入れる事にした。
それは魔理沙の熱意に根負けしたとかではなく、純粋に勝率は悪くないだろうからという判断からである。
果たしてその判断が正しかったのか否か……魔理沙が萃香からゴールを割る事が出来るのか、否か。
その答えは、あと7分で出る事となる。

889 :幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2010/07/18(日) 15:53:49 ID:???
ピィイイイイイイイイッ!!!

ジョン「さぁ〜、試合再開! 残り時間は僅か7分ですが、果たしてここで決着がついてしまうのか!?
    博麗連合のボールで試合は再開され……おっと、ボールは霊夢選手がキープ!
    魔理沙選手はこれに対してすぐさま上がっていきます!」

霊夢「パスを回していくわよ!!」
コンガラ「了解だ!」
キクリ(そうですね……ここは絶対に相手にチャンスをやれない場面ですし……)

試合が始まるや否や、魔理沙は脇目も振らず守矢フルーツズゴール前へと走って行き……。
一方でボールを持った霊夢は、一旦DFラインまでボールを戻しパスを回していく。

反町「時間稼ぎか……」
にとり「最後の最後に攻めて、相手に反撃の余地を残さないようにって事だね。
    パルパルズが使ってきてた戦法だ」
静葉「ノーリスクで攻撃をしようという事ね……でも……」

ババムッ! ダダダッ!! ババムッ! ダダダッ!! パシッ!!

キクリ「よし……これを……」
諏訪子「あーうー! そうそう簡単にパス回しをさせてたまるかー!!」
キクリ「ああっ……!」

ポンッ コロロ……

パスを回し始めて数分……DF数人でパスを回していた博麗連合だが……。
しかし、そのパス回しはすぐさま守矢フルーツズの前線メンバーに打ち破られる事となった。
確かに人数が多く、一体誰にパスを送るか予測をしにくい博麗連合のパス回し。
だが、あくまでもその起点となっていたのはキクリとコンガラの2人なのである。
その二人を集中的に警戒すれば……前線での守備力にも定評のある守矢フルーツズがボールを奪えるのは自明の理であった。

890 :幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2010/07/18(日) 15:54:56 ID:???
ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!

ジョン「あっ、あああああ〜っとぉ!? これは諏訪子選手、見事にボールをカットォ!
    そして、このボールを拾ったのは……」

早苗「ナイスプレイです、諏訪子様!」

ジョン「早苗選手! オータムスカイズ戦、2ゴール1アシストの大活躍を果たし!
    大きく勝利に貢献をしたキャプテンの早苗選手だァ!!」

観客「うおおおおおお! いけ、早苗さん!!」「ここでゴールを奪えば一気に逆転だー!!」

コンガラ「くっ……そう易々と……!!」
早苗「通らせてもらいます! ハァッ!!」

諏訪子の零したボールをフォローし、体勢を整え。
そして、ボールを奪いに挑みかかってきたコンガラをヒールリフトで振り切る早苗。
既にバイタルエリアへと進入をしたが……既に疲弊をしきっているFW陣は使えず。
ここは自分が決めるしかないと咄嗟に判断をする。

早苗(ですが、PA内にはDFが多数存在……超サナエモードならまだしも、この状態では突破は難しい。
   逆にシュートならば如何にDFの数がいようと、キクリ選手がいない以上は決める事が可能!
   ここは……シュートです!!)

グワアアアアアアアッ!!

早苗「はァァァァァァアアアアッ!!!」

891 :幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2010/07/18(日) 15:56:05 ID:???
シュート力自体は決して高くは無いものの、それでも並のMFとしては十二分に通用をする早苗のシュート――ドライブシュート。
バイタルエリアからのシュートならば、玄爺を相手にすればまず決まる。
早苗はそう確信を持ちながら足を大きく振り上げ、必殺の技――ドライブシュートを放とうとするのだが……。

ビュンッ!

霊夢「ま、そう来るでしょうよ!」
早苗「霊夢さん……!!」

その早苗の真正面に飛び込んだのは、バイタルエリアまで戻ってきていた霊夢である。
その霊夢の姿を見た瞬間、早苗は一瞬驚きに目を見開くものの……。
しかし、すぐに大丈夫だと自分を言い聞かせながらシュートを蹴り放った。

早苗(霊夢さんは確かに強い……ですが、ブロックはその中でも若干苦手だったはずです!
   私のドライブシュートならば……いえ、このミラクルドライブなら! 絶対に通せる!)
霊夢「……はっ!」
早苗「えっ!?」

早苗の打ったドライブシュート――否、特殊な回転をかけたミラクルドライブは大きく飛び上がり。
霊夢の頭上をも越えてゴールへ向かおうとするのだが……。
寸前、霊夢は大きく飛び上がり再びオーバーヘッドの体勢でボールに食らいつく。
早苗にとって……その霊夢の行動は非常に不可解なものだった。
一体何をするのかと……オーバーヘッドでボールをクリアーするのだろうかと、一瞬そう思ったのだが……。

ギュイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッ!!

早苗「まっ……まさか……! まさか……!? そんなことが……ああああああっ!?」
霊夢「だああああああああああああああああああああああああっ!!!」

ギュウウウウウウッ!! バゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!

892 :幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2010/07/18(日) 15:57:05 ID:???
珍しい霊夢の咆哮と同時、霊夢は早苗の放ったミラクルドライブを――自分のドライブシュート。

夢想封印で"打ち返した"。

強烈なドライブ回転のかかったボール――しかも、シュート性のボールをダイレクトで。
しかも、自分もまたドライブ回転をかけながら打ち返すという離れ業。
天に愛された才能を持っているからこそ出来る、人間離れした必殺のカウンターシュート。
渾身のシュートを打ち返された早苗は思わず口を大きく開いて唖然とし……。
守矢フルーツズのDF陣は、その高速――否、音速で動き、鋭い回転がかかるボールに向けてブロック向かうも。
当然ながらかする事すら出来ず、そのままシュートは守矢フルーツズゴールを襲う。

反町「これは……!」
にとり「やっぱり霊夢は凄い……! この土壇場で……こんなことするなんて!!」
静葉(流石は博麗の巫女だわ……このシュート……一樹君のオータムドライブと同等かしら……?)

誰もがこのシュートは決まったと、そう思った。
それ程までに霊夢の跳ね返したカウンターシュート――カウンター二重結界は、完璧だった。
ボールは閃光のようにフィールドを駆け抜け、地面にバウンドをしてゴールネットへと突き向かう。
そして、そのままゴールに吸い込まれそうになり……。

萃香「そんなゴール前からのシュートを決めさせて……たまるかァァァアアアアッ!!!」

ビュゴオッ! バゴオオオオオッ!!!

寸前、巨大化をしたGKの萃香が弾き返した。

893 :幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2010/07/18(日) 15:58:05 ID:???
ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!

ジョン「あっ……あああああああああああああああっ!!!
    こっ、これは……これは……れ、霊夢選手!
    早苗選手のドライブシュートをカウンターで弾き返し……シュートを打ちましたが……。
    し、しかし! これを萃香選手がその豪腕を使って見事に弾いた!!
    流石は小さな鋼鉄の巨人、伊吹萃香! 決まってもおかしくなかったシュートを……しかし、弾いたァァッ!!」

霊夢にとって不運だったのは、カウンターシュートを放った位置が自陣深く。
バイタルエリアからのシュートだった為、萃香にパンチングに向かう時間を与えてしまった事。
そして、萃香が既に前回のオータムスカイズ戦にてドライブシュートには目が慣れており……。
更に、早苗の元々のシュート力自体が低かった為にカウンターシュートの威力も決して高くなかった事である。

早苗(よ、よかった……ここで決められたら、トラウマになるところでしたよ……!
   ですが、これで霊夢さんはもうスタミナが無くなったはず……これなら!)

萃香が霊夢のとんでもシュートを弾き返した事で、心底安堵をする早苗。
もしもここで決められてしまっていれば、きっと今後サッカーをやり続ける限り。
一生苛まれる事となるトラウマと化していただろう。
しかし、そのシュートは萃香が弾き、何とかピンチは脱出……。
しかも、これで霊夢のスタミナも切れた筈だと早苗は確信しながらオーバーヘッドの体勢から着地をした霊夢に視線を向けるが……。

霊夢「……決めなさいよ」
早苗「へ?」

霊夢は何故か落ち込んではおらず、息を荒げながら……しかし、未だ守矢フルーツズゴール前を見ていた。
一体どうしたのかと早苗が再びゴール前に視線を向けてみると……。

霊夢「萃香は体勢崩して、DFもいない! こんだけやりゃあ十分でしょうが!!」
早苗「な、なにを……あ、あああああああああああああああああああああっ!?」

894 :幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2010/07/18(日) 15:59:08 ID:???
グルンッ!

魔理沙「ナイスパスだぜ、霊夢! 後は私が……決めてやる!!!」
萃香「まっ……魔理沙!?」

萃香が弾き返したボールに向けてオーバーヘッドの体勢を取りながら飛び上がっていたのは、魔理沙。
そう、霊夢は何もこのカウンターシュートで萃香を抜けるとは考えていなかった。
ただ彼女が考えていたのは、如何にすれば効率よく得点を上げる事が出来るか……それのみ。

ただシュートを連発していては、萃香の牙城は絶対に突き破れない。
霊夢と魔理沙も残る体力はお互いシュート一発分程度ずつしか残っていないのだ。
ならばどうするかと霊夢は考え……霊夢は自身が魔理沙の決定率を上げる為の囮となる事を選んだ。
早苗にドライブシュートを打たせる事も、それを自分がカウンターシュートで打ち返す事も。
そして、それを萃香がパンチングで弾き返す事も全てが霊夢の計算通りのものだったのである。

ブロックに入る者も、クリアーに向かう者もおらず……萃香は体勢を崩している状況。
そんな中で、魔理沙は本日2発目……これが最後の1発となるであろう、渾身のシュート。
ドラゴンメテオを、思い切りボールに叩きつける。

魔理沙「こいつで終わりだ! うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」
萃香「ぐっ……くっ……おおおおおおおおおおおおっ!?」

ドガッ!! ギャオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!

フリーの状態から放たれた破壊力を込めた弾丸は、懸命に立ち上がった萃香の手をすり抜けてゆく。
魔理沙は勝利を確信し、ぐっと拳を大きく握り締めた。
万全の体勢の萃香から取った点ではないというのは決して誇れるものではない。
しかし、それでもこの試合を決定付ける得点を上げる事が出来たというのは、喜ばしい事実。

魔理沙(私達の勝ちだ!!)

895 :幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2010/07/18(日) 16:00:13 ID:???
にやつく笑顔を見せ、着地を決めようとする魔理沙。
博麗連合の者達も、それを見て一斉に沸き立ちそうになるのだが……。

霊夢「馬鹿魔理沙ァァァアアアッ!!」
魔理沙「なっ……なにィ?」
萃香「……ん?」

ギャオオオオオオオッ……バンッ!!

霊夢が激怒したかのような絶叫をすると同時、魔理沙は顔を顰め……。
それからゆっくりと、ボールの行方を目で追う。
そして、GKである萃香もまた……倒れこみながらも目で追った。
ボールは確かにゴールラインを割っていた……それは確かである。
しかし、確かにゴールラインを割っていたが……ボールはネットを突き破っていなかった。
……魔理沙の渾身のオーバーヘッド――ドラゴンメテオは、枠を捉えていなかったのである。

魔理沙「……馬鹿な」

信じられないものを見るかのような目で、枠から外れたボールが看板に突き刺さるのを見やりつつ……。
急に重くなった体を地面に下ろし、その場に座り込む魔理沙。
霊夢の冷たく、しかし、怒りのこもった視線が彼女の背中を突き刺し。
観客達の落胆をするため息が、フィールドを包み込んだ。

########################################################################################

一旦ここまで。

896 :森崎名無しさん:2010/07/18(日) 16:11:01 ID:???
これは西尾?の呪いじゃあ!

897 :森崎名無しさん:2010/07/18(日) 16:11:27 ID:???
たかだか早苗程度に躓いていられないって発言した時点で負けは確定してたでしょ

しかし白黒ひどいな
活躍って隙を突いてほぼブロックがいない状態で決めたマスパ(笑)ぐらいじゃね?





898 :森崎名無しさん:2010/07/18(日) 16:20:48 ID:???
この試合は静岡県人会によって操作されているっ!(ババーン

899 :森崎名無しさん:2010/07/18(日) 16:24:21 ID:???
>>898 な、なんだってー!?
ということは後半に試合から消えて体力温存していた
西尾?の超ロビングシュートのシーンがもうすぐ見れるのか!?

900 :幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2010/07/18(日) 18:05:32 ID:???
ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!

ジョン「あっ……あああああああっ! こ、これは枠外! 枠外です!!!
    魔理沙選手の渾身のドラゴンメテオ、またもや不発ゥゥウウッ!!
    ボールはゴールラインを割り、守矢フルーツズのゴールキックで試合再開です!!」

リグル「へへん! やったー、ざまあみろ白黒めー!」
チルノ「ふん、やっぱあんな奴大したこと無いわね! このさいきょーのあたいの敵じゃない!」
にとり(嫌われてるなぁ、魔理沙……うーん、大丈夫かなぁ。 ちょっと心配だよ……)
反町(……なんだかこれと似たような場面を俺は見たようなことがある気がするぞ)

絶好のチャンスを潰してしまった魔理沙を見て、リグルやチルノといった魔理沙を嫌う者は大喜びをし……。
一方で魔理沙と仲の良いにとりはこの絶対的な場面で大ポカをやらかした魔理沙を心配する。
そして、反町はといえばこのような場面を中学サッカー大会決勝の最後の最後で見たような気がするなぁ……などと考えており……。
そんな中、フィールドでは間一髪難を逃れた守矢フルーツズがゴールキックから試合を再開していた。

萃香「ふいー、危ない危ない……が、これで一気に勝機は出てきた! それ、いくよっ!!」
魔理沙「ぐっ……くっ、そ……!!」

新しくボールを受け取り、素早くセットしてボールを大きく蹴る萃香。
しばし呆然としていた魔理沙はそれを見て懸命に戻ろうとするも……。
既に足が痙攣しており、その戻る速度は遅い。

衣玖「よし……天狗さん!」
文「あやややや、これで一気に有利になりましたねぇ。 さぁ、それじゃあ1点取っちゃいましょう!」

901 :幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2010/07/18(日) 18:06:38 ID:???
萃香が蹴ったボールはボランチである衣玖を経由して、右サイドを走る文へとパスを送る。
既に後半は40分を過ぎており、これが守矢の最後の攻撃であるのは誰の目に見ても明らか。
霊夢は疲弊した体を懸命に動かしながら、苛立たしげにDFたちに指示を送る。

霊夢「コンガラ、文を止めにいって! キクリはゴール前を固める! 他の奴らもゴール前固めて!!
   いい? 人数かけていけば、あっちは決定打が無いんだからどうしようもなくなるのよ!」
コンガラ「了解した……!」
キクリ(確かにあちらの面々も疲弊はしていますからね……ここを凌げば、延長戦でVゴールを決めるのも難しくは無い……)

キャプテンである霊夢の指示を受けたDFたちは素直に動き。
コンガラは右サイドを上がってきた文に再度挑みかかるのだが……。

文「ですからドリブルはしませんって〜♪ それ、パスですよ〜!」
コンガラ「くっ……くそっ!!」

コンガラは完全に文に手玉に取られてしまい。

キクリ「今度はポストプレイなど……!!」
天子「生半可な天人には真似の出来ない……スルー!!」
キクリ「なっ……なにィ!?」

今度こそはポストプレイを阻止してみせると飛び上がったキクリは……。
しかし、空中戦ではやはり分が悪かったのか天子に軽くいなされ、スルーを許してしまう。
流れるような守矢フルーツズの最後の攻撃……。
ここまで堅守を誇ってきた博麗連合のDF達にも疲れが出たのか、それともこれが守矢の底力なのか。
完全に柱となっていた二人のDFを攻略された博麗連合は、スルーをされたボールの行方を見守るしかなく……。

ダダダダダダダッ!!

早苗「ナイススルーです、天子さん!!」

902 :幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2010/07/18(日) 18:07:39 ID:???
このスルーをされた高いボール目掛け、しっかりと合わせていたのは守矢フルーツズキャプテン・東風谷早苗である。
最後の最後、残り少ない体力全てをこの一撃に賭けるとばかりに早苗は体を反転させ。
この試合、霊夢や魔理沙が何度も見せていたシュートフォーム――オーバーヘッドの形を取る。

早苗(私にはぶっつけ本番でドライブシュートをオーバーヘッドで決める事の出来る才能は無い!
   ですが……このオーバーヘッドでも、十分決まる!)

ただのオーバーヘッドとはいえ、玄爺はスルーの効果で体勢を崩しており。
更に、キクリは壁として存在しない状況。
ここしかシュートチャンスは無いのだと早苗は大きく足を振りかぶるのだが……。

ブゥンッ!

霊夢「なんでこんなに簡単にピンチ作ってんのよ!」
早苗「霊夢さん!?」

その早苗の目の前に、同じくオーバーヘッドの体勢で飛び上がったのは霊夢。
ここを守りきり、延長戦に行く事さえ出来ればまだ望みは繋がる。
そう信じて霊夢はオーバーヘッドの姿勢を作りながらクリアーに向かい。
ボールをなんとしてもゴール前から引き離そうとするのだが……。

ビキィッ!!

霊夢(っ!!)
早苗(! いつもの霊夢さんに比べてジャンプ力が足りない……!? なら……!!)
霊夢「たぁぁぁあっ!!」
早苗「あああっ!?」

903 :幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2010/07/18(日) 18:08:42 ID:???
既に疲れが見えてきていた霊夢は、辛うじて早苗の放ったオーバーヘッドキックに触れる事が精一杯。
完全にクリアーをする事は出来ず、ボールは零れ球となるのだが……。

バケバケF「バケェ〜!」

ジョン「おっとぉ!? 博麗連合ゴール前での空中戦! 早苗選手と霊夢選手。
    両チームのキャプテン同士の対決は、決着がつかず! ボールは零れ球に!!
    しかし、これは素早くバケバケF選手がフォローをした!
    守矢フルーツズ、これは攻撃失敗! 勝負は延長戦までもつれ込むか〜!?」

早苗(これだけ霊夢さんが疲れていて……それでも勝てない……!!)
霊夢(くそっ、大きくクリアーするつもりだったのに……! これじゃあ……)

空中でもつれ込む早苗は、自分ではやはり霊夢には勝てないのかと悔しそうに歯噛みをし。
一方で霊夢は完全にクリアーできなかった事を悔いる。
ボールは確かに博麗連合の選手が確保した……後はそれを大きくクリアーすればいい。
理屈で言えば確かにその通りであり、バケバケFも迷わずボールを蹴り上げようとするのだが……。

西尾?「黒はんぺんカットじゃああ!!」
バケバケF「!?」

バスッ!!

そのバケバケFのクリアーしようとしたボールに食らいつき、カットに向かったのは。
前線まで上がり、チャンスを虎視眈々と狙っていた守矢フルーツズの外界からの助っ人。
自称・大友カルテットの一員、西尾浩司?であった。

904 :幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2010/07/18(日) 18:09:56 ID:???
ジョン「あっ……ああああああ〜っ!! だ、駄目です! 博麗連合、クリアーできない!
    ボールは西尾?選手がカットしてしまったァ! まだ守矢の猛攻は続きます!!」

反町「守矢は全員攻撃の態勢だな……ここまで来たら当然か」
にとり「カウンターのピンチは無いしね。 もう残り時間も……ロスタイムだけだ!」

コンガラ「くっ……ドリブルは……!」
西尾?「せんわい! そりゃあ!!」

素早くゴール前まで戻り、西尾?のドリブルを警戒してか再びタックルに向かうコンガラ。
しかし、それを察知すると同時に西尾?は素早くバックパス。
これまで堅守を誇ったコンガラも、パスにはどうしても弱く……。
自分から逃げていく方向に転がるボールは、どうやっても追う事が出来ない。
そして、そのボールを拾い、直後シュートフォームを作りゴールを狙うのは……。

パンッ! スパンッ!!

神奈子「オンバシラァァァァァァアアアアアアアッ!!!」

グッ!! ドガオオォンッ!!

前半戦あまり消耗をせず、未だ体力の有り余っていたMF――神奈子。
神奈子は大きく吼えると共に、空より御柱の山を飛来させて背中に装着。
大きく足を振り上げると、一気にボールに打ちつけシュートを放つのだが……。

キクリ「そのシュートは……さっき止めました!!」
霊夢「っ! どいつもこいつも……馬鹿ばっかだわ!!!」
早苗(これは……!)
キクリ「えっ……!?」

905 :幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2010/07/18(日) 18:10:58 ID:???
キクリはその神奈子のシュート――エクスパンデット・オンバシラのシュートコースに入り込み。
再度膜を作りながら、ブロックに行く構えを見せる。
しかし、それを見て嘆いて見せたのは……未だ空中で縺れている霊夢。
そして、対照的に表情を明るくしたのは……同じく空中で縺れている早苗。
二人のキャプテンが滞在する地点をすり抜けたエクスパンデット・オンバシラはそのまま直進し……。

諏訪子「ゲロォッ!!」
キクリ・玄爺「「なにィ!?」」

ガコォッ! ズバアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!

寸前に入った諏訪子のヘディングでコースを変え、ブロックに入っていたキクリの肩を掠め。
体勢を整えていた玄爺の脇を通り抜けてゴールネットへと突き刺さる。
昨日の試合――オータムスカイズ戦で見せた、諏訪子と神奈子のコンビプレイ。
相手の意表を突く事に特化をした、守矢を代表する選手の息のあったコンビプレイ。
試合を決定付けた、逆転ゴールがゴールネットに突き刺さった瞬間、着地をした霊夢は大きくため息を吐き……。

ピィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッ!!
ピッピッピィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッ!!

早苗「か……勝った……!!」

得点を告げる笛……そして、同時に鳴る試合終了を告げる笛を聴いた早苗は。
その場にガクリと崩れ落ち、その瞳には涙さえ浮かべるのであった。

守矢フルーツズ3−2博麗連合

試合終了!

########################################################################################

一旦ここまで。

906 :森崎名無しさん:2010/07/18(日) 18:12:32 ID:???
静岡県人会が祝勝会の準備を始めたようです

907 :森崎名無しさん:2010/07/18(日) 18:13:43 ID:???
静岡県人会大勝利!
希望の未来にレディ・ゴー!

908 :森崎名無しさん:2010/07/18(日) 18:16:01 ID:???
黒はんぺん大活躍の巻!

909 :森崎名無しさん:2010/07/18(日) 18:21:05 ID:???
この試合のMVPは衣玖さんと西尾?と白黒で決定
まさか枠外まで日向をコピーするとは
あなたのおかげで守矢が勝つことができました

910 :森崎名無しさん:2010/07/18(日) 18:24:15 ID:???
初めて白黒を愛せそうな気がしたww

911 :幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2010/07/18(日) 18:25:23 ID:???
という訳で長かったNPC試合シーンもようやく終わりです……いやぁ、考えるのがしんどかった。
ただ、あともうちょっとだけ試合後のシーンなどもやりますので再び反町達の視点に戻るのはそれからです。

>>909-910
実はそれ以外にも色々な本編の試合展開などをパク……もといオマージュさせてもらいました。
早苗さんvs魔理沙・霊夢の勝負では早苗さんの完敗のような形になりましたが。
チームとしてはギリギリ守矢の方が上でしたね。

912 :幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2010/07/18(日) 19:47:00 ID:???
ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!

ジョン「試合終了〜! 正しく激闘! 死闘! 熱闘!!
    激しい攻防の応酬となった準決勝、守矢フルーツズvs博麗連合の試合は……。
    すんでのところで守矢フルーツズが気合勝ちをし! 1点をもぎ取りました!!
    勝者は守矢フルーツズ! 決勝に進出するのは守矢フルーツズだァァァアッ!!」

観客「これが早苗さんの恐ろしい所なんですよ」「なんという大物食い……! 守矢すげぇ!!」
「オータムに続き博麗まで倒しちまうとか……」「こりゃ優勝も狙えるかもしれねぇぞ!?」

諏訪子「あーうー! やったー! 決勝進出だー!!」
天子「流石に天人のいるチームは格が違った! これは優勝も手にするに違いにい」
神奈子(決勝か……今まで、何度も大会には出場してきたが……決勝に進出したのはこれが始めてだねぇ)

狂喜に沸くチームメイトを見ながら、一人、感慨深げに腕を組み頷く神奈子。
守矢フルーツズは今まで何度も大会に出場し続けた事のある強豪チームではあるが……。
しかし、これまでに一度として優勝経験も無く、決勝に進出した事すらも無い。
その原因は、才能はあふれんばかりにはあるものの奇行を働く事の多かった早苗の。
自滅によるものが大半だったのだが……。

神奈子(その早苗に常識が戻り、実力を増した今の守矢フルーツズは最強だ……!
    これなら本当に優勝だって狙える……! 優勝出来る!)
早苗「やりましたね、神奈子様!」
神奈子「ああ! 後は決勝に全ての力を注ぐだけだ!」
早苗「はいっ!」

常識に囚われるようになった事で奇行に走る事を止めセーブ力だけならば幻想郷トップに並ぼうかという程まで成長した早苗。
そして、優勝経験もある百戦錬磨の緋想萃夢格闘一派の面々が加わった今の守矢のチーム力は非常に大きい。
神奈子は喜色を浮かべハイタッチを求める早苗と手を合わせ。
明後日の決勝戦に向けて、静かに闘志を燃やすのだった。

913 :幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2010/07/18(日) 19:48:00 ID:???
霊夢(くそ……どうやって勝ちゃいいってのよ……)

守矢フルーツズの面々が喜ぶ一方、博麗連合は……しかし、傍目から見れば大したショックには見舞われていなかった。
それもこれも、全てはキャプテンである霊夢が冷めた目で喜ぶ早苗たちを見ていたからである。
敗退はしたものの、かといってキャプテンの霊夢が大げさに悔しがるなどをしていない以上。
チームメイトであるバケバケ達も、キクリやコンガラも静かに歯噛みをするのみであり。
声を大にして絶叫をする者もいなければ、涙を流す選手もいなかった。

霊夢(魔理沙は糞みたいなポカするし、キクリとコンガラと玄爺も思ってた程役に立たない。
   こんなんで勝てる訳ないでしょうが……)

今日の試合、霊夢は決して早苗達にも負けない勝負を何度も繰り広げていた。
そして、試合展開は概ね霊夢の思い描くように運ばれていった。
その中で博麗連合は二度も守矢フルーツズからリードを奪う事に成功をしたのだが……。
最後の最後で魔理沙が枠外にシュートを飛ばし、霊夢と魔理沙がガス欠となって敗退。
最善を尽くし、自分は活躍を続けたにもかかわらず、敗北してしまったとなれば。
霊夢としても怒るよりもあきれるより他に無いのである。

早苗「霊夢さん……」
霊夢「ん……んー。 ま、頑張んなさい。 レミリアは強いけどね」
早苗「はい!」

そんな霊夢に声をかけたのは、勝者である守矢フルーツズのキャプテン――東風谷早苗。
満面の笑みを浮かべながら握手を求める早苗に対し、霊夢は然程気にした様子もなく。
決勝の相手――紅魔スカーレットムーンズのエースの名を上げながら、握手を交わす。
そして、早苗は続いて顔を俯かせじっと立ち尽くしていた魔理沙へと手を差し伸べるのだが……。

914 :幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2010/07/18(日) 19:49:08 ID:???
パシッ!

早苗「きゃっ……」
魔理沙「……フザけんじゃねぇ」
早苗「えっ?」
魔理沙「私は誰の下にもつかねえ……誰の下にもだ!
    今日は負けたが、次は絶対に勝ってやる……! 必ずだ!」

鬼気迫る、といった表情で早苗の手を払いのけ、控え室へと大股で歩きながら向かう魔理沙。
早苗は一瞬怯み、驚いたような表情を向けるが……それを見て霊夢はため息を吐き。
早苗の肩をポン、と叩いてからチームのメンバーを引き連れて控え室へと戻る。

反町(魔理沙さんは多分、勝てると踏んでいたんだろうな……。
   それで結局、最後の最後でシュートを外した……今、自分で自分が許せないんだろう)

観客席から見ていた反町は、そんな博麗連合の一同の様子を見て冷静に分析をする。
いつかどこかで似たようなものを見たような気がする、霧雨魔理沙の背中。
かつては届かないかと思っていたその背中が……反町には、妙に小さく見えた。

???(……勝てたわね)

一方、この試合を最後まで見守っていた巫女服の女性は、静かに笑みを浮かべてから観客席を後にする。
彼女が向かった先は、敗北した博麗連合の控え室だったのだが……。

A.なんだか気になる!(???と博麗連合の絡みを見る)
B.そろそろ主人公の反町にスポット当てようよ(NPCシーンを終了します)

先に3票入った選択肢で続行します。
age進行でお願いします。sageではカウント出来ません。

915 :森崎名無しさん:2010/07/18(日) 19:49:56 ID:za4gdJeo


916 :森崎名無しさん:2010/07/18(日) 19:52:27 ID:xvSo1Pb+
A

917 :森崎名無しさん:2010/07/18(日) 19:52:53 ID:BtJvdShc


918 :森崎名無しさん:2010/07/18(日) 19:58:24 ID:Q36p+ckE


919 :森崎名無しさん:2010/07/18(日) 19:59:12 ID:???
C.そろそろ(もう一人の)主人公の佐野にスポット当てようよ

920 :森崎名無しさん:2010/07/18(日) 20:00:14 ID:???
D.そろそろ真・主人公の西尾?にスポット当てようよ

921 :森崎名無しさん:2010/07/18(日) 20:10:07 ID:???
E.そろそろ小話の主人公の穣子にスポット当てようよ(魔法少女リリカル☆みのりこ第二話が始まります)

922 :森崎名無しさん:2010/07/18(日) 20:12:53 ID:???
違う世界の魔理沙さんならポスト枠外はまたかで済むんだけどね

923 :森崎名無しさん:2010/07/18(日) 20:15:30 ID:???
やさぐれとるのう。やはり白黒は変態の荒波に揉まれないと

924 :森崎名無しさん:2010/07/18(日) 20:23:54 ID:???
まずは地上シュートの威力でリグルに負けてるという現実を受け入れるべき


925 :森崎名無しさん:2010/07/18(日) 20:28:47 ID:???
多分切り札のドラゴンメテオも反町の強烈なヘディングより弱いんだろうなw

926 :森崎名無しさん:2010/07/18(日) 20:30:40 ID:???
多分反町は比較すべき対象じゃないw

927 :森崎名無しさん:2010/07/18(日) 20:33:28 ID:???
魔理沙的には反町って「最初から強い味方におんぶにだっこでシュートだけ鍛えてれば良かったチーター」認識みたいだしね

928 :森崎名無しさん:2010/07/18(日) 20:41:57 ID:???
いよいよ回想シーン…試合とは別に緊張するぜ

929 :森崎名無しさん:2010/07/18(日) 20:41:58 ID:???
ちょっと情報収集すれば、オータムにもともと実績のある選手が
加入したのは結構後になってからのことだとわかるはずなんだけどね。
どうやら「努力家」という設定は内向きの努力しかしない、ということであるようだ。

930 :森崎名無しさん:2010/07/18(日) 20:45:25 ID:???
俺としては白黒紅白のその評価が回想シーンで覆るのを期待してるんだがな
雑談スレにあったけれど、なんでこんな性格にしたんだとスレ主を叩くのはしたくない
そこに行っちゃうと面白いこのスレ出ていくしかないからな

931 :森崎名無しさん:2010/07/18(日) 20:48:05 ID:???
とりあえず出ていくとか書くと少し脅しっぽく見えるから自重してほしい

932 :森崎名無しさん:2010/07/18(日) 20:49:37 ID:???
自重はどちらも必要じゃない?

933 :幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2010/07/18(日) 21:53:11 ID:???
>A.なんだか気になる!(???と博麗連合の絡みを見る)
=============================================================================
コツ コツ コツ ……

魔理沙「………………」
霊夢(はーあ……もっと頼りになる仲間がいりゃいいんだけどねぇ……)

試合の熱気も冷め、既にスタジアム内も静寂に包まれつつある中……。
敗退をした博麗連合の面々は帰り支度を済ませ、帰路につこうとしていた。
既にこの大会の為だけに適当に集めたバケバケ達は退散しており。
コンガラとキクリといった者達も先に博麗神社へと帰った為。
最後に控え室を出たのは、キャプテンの霊夢とそのパートナーである魔理沙の二人のみ。
その二人も帰り支度をようやく終え、廊下に出たのだが……。

靈夢「お疲れ様、二人とも」

魔理沙「!?」
霊夢「……ちっ」

足音響かせながら、霊夢達が向かった廊下の曲がり角から姿を現したのは――。
今日の試合、最初から最後まで見守っていた、先代の博麗の巫女――博麗靈夢。
冷ややかな彼女の視線を受け、魔理沙は一瞬だが驚きに顔をゆがめるも……。
霊夢は逆に苛立ったような表情を浮かべながら小さくしたうちをし、靈夢を睨み付ける。

霊夢「ババアが説教でもしにきたわけ? なら、疲れてるから帰ってくれるかしら?」
靈夢「そういうわけにもいかないわ、霊夢……博麗の名に泥を塗ったあなたには、相応のお仕置きが必要よ」

934 :幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2010/07/18(日) 21:54:14 ID:???
かつて博麗の巫女と呼ばれた女と、今の博麗の巫女である少女。
彼女達は肉親――姉妹とは思えない程の冷たく、そして怒りと憎しみを込めた視線を向け合い。
絡ませつつ、霊夢はギリギリと歯軋りをし、靈夢はそれを見て眉を顰める。
彼女達の因縁を話すには……まず、霊夢の出生してからの来歴を話す所から始まる。

博麗霊夢――その類稀なる天性のセンスにより、将来を期待されていた少女。
しかし、彼女の不幸はその出生した時点で――彼女よりも類稀な天性のセンスを持ち。
彼女よりも何事をするにしても、抜群の能力を発揮したその当時現役の博麗の巫女。
博麗靈夢が存在をしていた、という事だろう。

幼少の頃より、霊夢は靈夢をも超える逸材かもしれないと、一部の者達にうわさこそされていた。
事実、幼少の頃の霊夢はその年ではまるで扱える筈のない結界術、陰陽術。
ありとあらゆる博麗の巫女として必要な術などを、事も無げに習得してみせたのだ。
もしも彼女が生まれるのがもっと過去――それこそ、百年二百年前ならば。
或いは彼女は稀代の天才として名を残していただろう。
だが、それはならなかった……なぜならば、現役の博麗の巫女――博麗靈夢の方が。
技術的にも精神的にも、圧倒的に霊夢よりも強大であり、強かったからである。

霊夢がやがて成長し、半人前ながらも妖怪退治の見習いをやっていた頃。
引率をしていた靈夢の方が、圧倒的な力を見せて妖怪たちを屈服させたというのも。
数少ないが、知る人ぞ知る事実であった。

両者共に、努力を知らずに育った、天才。

その天賦の才は……霊夢にとっては残念な事に。
そして、靈夢にとっては然程気にした事は無いがありがたい事に。
僅かながら、靈夢の方が大きく恵まれていたのである。

935 :幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2010/07/18(日) 21:55:21 ID:???
やがて博麗霊夢はこのままではいけないのかもしれない、と沸々と危機感を抱く。
否、それは危機感というのとはまた違う―― 一種のライバル心。
自分が一番になりたい……自分こそが優れているのだと証明したいと思う、強い反骨心であった。
それから博麗霊夢は懸命に努力を続けた。
博麗神社に古くから伝わる勉強法などで術を強化し、強くなろうとあり続けた。
靈夢もそれを生暖かい目で、妹を見守るような目で見ていた。

霊夢はやがて、自身の力で空を飛ぶ方法を見つけることが出来た。
これは靈夢には無かった数少ない才能のようで、霊夢はその事実にしても嬉しがった。
霊夢が自由自在に空を飛ぶ中、靈夢は玄爺に乗るより他に空を飛ぶ方法は無かったからである。

こうして数年が経ち……霊夢はめきめきと実力を伸ばしていった。
一部ではもはや霊夢の方が実力が高いのではないかと呼ばれる程にまで、強くなった。
元々才能があった霊夢が努力をしたのだから、それもまた当然の事である。
そして、二人はまたもや妖怪退治に向かうこととなる。
霊夢が始めて魔理沙と出会う事となったこの妖怪退治。
その折、霊夢が活躍を出来たかというと……答えは否。

数年間努力をし、実力を伸ばし、空を自在に飛べるようになった霊夢。

しかし、その霊夢は靈夢と共同で行った妖怪退治において活躍をする事が出来ず。

結局、目覚しい活躍をとげ……後に語り継がれる事となったのは靈夢であった。

数年間の努力では、才能を覆せなかったのである。

936 :幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2010/07/18(日) 21:56:21 ID:???
霊夢は悩んだ。
一体どうすれば靈夢に勝つことが出来るのか……どうすれば、靈夢と対等に戦えるのか。
靈夢のおまけという地位から逃れるには、果たしてどうすればいいのか。
悩んだ末――霊夢は幻想郷全土のルールを変える事にした。

即ち、妖怪退治の際には問答無用で妖怪を封印、或いは撲滅するのではなく。
スペルカードルール――弾幕ごっこで勝負をつける事を好しとしたのである。
これにより、人間と妖怪……多くの種族間にある絶対的な力の差というものが無くなった。
どんなに弱い者でも、強者に勝てるというルールを作り上げたのだった。

博麗霊夢はこのルールを作り上げると、早速とばかりに紅い霧を出していたレミリアを退治しに。
以前の妖怪退治の折に出会っていた霧雨魔理沙と共に向かった。
そして、霊夢と魔理沙はレミリアをスペルカードルールの下に倒し。
この異変は、見事に霊夢の初手柄となった。

それを見て、靈夢は微笑を浮かべながら博麗の巫女を退く事にしたのである。

靈夢「このルールなら、霊夢一人でもやっていけるわね」

命の奪い合いではない、敗北しても死にはしない弾幕ごっこ。
そのルールの下に戦うのならば、霊夢一人でもやっていけると判断しての退任。
こうして博麗霊夢は今の地位を手に入れ……博麗靈夢は隠居をする事となった。

結局、二人の間の因縁――というよりも、霊夢の一方的な劣等感は最後の最後まで収まる事は無かった。
なぜならば、博麗靈夢がこのような茶番――スペルカードルールというものは好かないとカードを作る事を放棄したからである。
そうして、霊夢はやがて元の怠惰な巫女へと戻っていった。
靈夢がいなくなった以上は自分が一番だという優越感と、靈夢に対する怒りを内に秘めながら。

937 :幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2010/07/18(日) 21:57:22 ID:???
霊夢「……で、そのお偉い先代の博麗の巫女様が私にお仕置き?
   馬鹿言うんじゃないわよ、あんたどんだけブランクがあると思ってんの」
靈夢「ブランクがあろうが、あなた程度には負けないわ……。
   努力を怠って、鍛錬を忘れちゃったあなたなんかにはね……」
霊夢「鍛錬した事が一度もないようなあんたに言われたかないわよ、糞ババア……!」

サッカーに関しても、二人は――というより霊夢は靈夢に対して一方的な劣等感を抱いていた。
天性のセンスのみで勝負をするのはお互いに同じ。
しかし、そのセンスにしても……靈夢は化け物じみた圧倒的な力量を持っていたのだ。
だが、そんな靈夢もボールを持たなくなって既に数年が経っている筈だと霊夢はほくそえむ。

霊夢「…………返り討ちにしてやる!」
靈夢「ふふふ……」

疲れた体に鞭打ち、珍しく激情に駆られながらボールを持って靈夢に突進をする霊夢。
幅は狭いがそれでも十分……博麗幻影で抜きされると、霊夢は判断をしていた。
傍から見ていた魔理沙も、靈夢が負けるものだとこの時ばかりは思っていた。
それ程までに霊夢のドリブル技術は鋭かったのである。

霊夢「油断してんじゃないわよ!」
靈夢「油断……? 違うわ……」

大きく飛び上がり靈夢の頭上を越そうとする霊夢。
しかし、靈夢はそのジャンプにあわせて大きく飛び上がり……。

靈夢「これは余裕と……いうものよ!」
霊夢「!?」

ズギャアアッ!! バアアンッ!!

938 :幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2010/07/18(日) 21:58:24 ID:???
足ではさんだ霊夢のボールを、靈夢はいとも簡単にヘディングで弾き飛ばした。
瞬間、体格で劣る霊夢は吹き飛ばされ……靈夢は転がったボールを確保。
その動きはブランクがあるものには到底見えず、魔理沙は目を丸くするのだが……。
一方で霊夢は地面にはいずりながらもすぐさま立ち上がり、今度は靈夢からボールを奪い返そうとする。

霊夢「うあああああああああああああああああっ!!!」
靈夢「ほら、熱くなるだけでボールが奪えたら誰も苦労しないわよ?」
霊夢「うるさい……! うるさいうるさいうるさいうるさい……!!!」

その勝負は、まるで大人と子供……否、赤子であった。
先ほどの試合で要所要所で活躍を見せていた霊夢の姿は消え……。
そこにあったのは、ただ、ボールを奪おうと顔を真っ赤にしながらボールに追いすがる少女。
そして、それを完全に手玉にとって遊んでいる天才の姿があるのみ。

靈夢「……それ、シュートよ」
霊夢「ッ!!」

やがてその勝負にも飽きたのか、靈夢は霊夢をあっさりといなして完全にフリーの状況を作ると。
ボールを蹴ってゴールに見据えた扉目掛けて直撃させる。

靈夢「……1点ね」
霊夢「ぐっ……くっ……!!」

939 :幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2010/07/18(日) 21:59:25 ID:???
先代の博麗の巫女――博麗靈夢は健在であった。
無論、彼女も最初からブランクというものがまったく無かった訳ではない。
しかし、とある試合を経験し、そこで試合勘を養った今――。
今の彼女に、敵と呼べるような存在というのはほんの一握りしかおらず……。
そして、その敵と呼べるような存在の中に、霊夢は存在をしていなかったのだ。

霊夢「ふざけんじゃないわよ……! また……私から全部を奪うつもり……!?」
靈夢「練習してなかったあなたが悪い。 練習さえしてれば……そうね。 一度くらいはボールを零せたんじゃないかしら?」
霊夢「ふざけんじゃ……ないわよ……!!!」

靈夢と霊夢――天に愛された者同士。
だが、より天に祝福を受けていたのは、博麗靈夢であった……ただ、それだけの話。
お互い才能のある者、才能だけで戦ってきた者の実力は……。
地面に這い蹲り、嗚咽を漏らす霊夢――そして、それを見下ろす靈夢。
二人の今の構図を象徴する如く、圧倒的な差としてここにあった。

霊夢「努力しても全部無駄……どんだけ勉強しても……練習をしても……。
   私の術はあんたを超えない……!」
靈夢「だから数年間だけの努力じゃ駄目なのよ……何十年と続ければ……いずれは私を超えるわ」
霊夢「ふざけんな……!」
靈夢「ふざけてはいないんだけどね……まあ、いいわ。
   それより霊夢……ちゃんとフランス国際Jrユースには出なさいよ?」
霊夢「何を……!」
靈夢「私も出るの。 あなたが出てくれないと、楽しむ事すら出来そうにないから……ね?」
霊夢「………………!!」

そして、ここでこの大会が終わった後に開かれる大会――幻想郷の外へと出て。
全世界の名だたる強豪達と戦う大会の話を聞き、目を見開く霊夢。
既に現役を引退した靈夢が、何故いまさらと考えるのだが……それを見透かしたかのように、靈夢は口を開く。

940 :幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2010/07/18(日) 22:00:31 ID:???
靈夢「お灸を据えるのよ。 どっかの怠惰な巫女さんが、これ以上情けない姿を見せないように……ね」
霊夢「……くっ」
靈夢「それじゃあ、用件は全て伝えたわ……」

地面をダン!と握り拳を打ち付けて悔しがる霊夢を見た後……。
靈夢は小さくため息を吐いてから、通路を通って再び来た道を戻ろうとするのだが……。

魔理沙「……待ちやがれ!」
靈夢「……………」

その靈夢の背中に向けて大声を出して呼び止めたのは、霧雨魔理沙。
ここまで待ち、靈夢と霊夢の再会を見守っていた魔理沙は……。
しかし、苛立たしげに歯軋りをしながら、靈夢に向かって吼える。
そう、この魔理沙もまた、靈夢とは親交のある仲。
かつては共に妖怪退治にも向かった事のある、友人といっていい者なのだが……。

魔理沙「霊夢が出なきゃ楽しめないってのはどういう意味だ……! 私なんかいてもいなくても同じだってか!?」
靈夢「実際今日の試合を見たら、誰でもそう思うでしょう」
魔理沙「〜〜〜ッッ!!!」

今日の試合、一番重要な場面で大きなミスをしでかした魔理沙。
その魔理沙の傷に塩を塗るような言葉を吐いた靈夢は、しかし、事も無げにそのまま去ろうとし……。
魔理沙はしばらく声にならない声を出していたが、すぐさま、持っていたボールを地面に下ろし。
その右足を大きく振りかぶって、靈夢の後頭部目掛けてシュートを蹴り放つ。

魔理沙「……そんなでかい口、利けなくしてやる!! マスタースパァァァァァク!!!」

魔理沙が放つは、自身の渾身の必殺技。
これまで幻想郷サッカー界で幾多のゴールを量産し、貫いてきた黄金の閃光。
一瞬やりすぎたかと自分でも思ったそのボールは、しかし、靈夢の背後に徐々に迫ってゆき……。

バシィイイッ!!!

941 :幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2010/07/18(日) 22:01:31 ID:???
魔理沙「なっ……なにィ!?」
靈夢「……でかい口を叩いてるのは、あなたでなくて? 魔理沙」

しかし、靈夢はそのボールを……振り向きざまに、ワンハンドキャッチしてみせた。
唖然とする魔理沙に、その光景を見て再び瞳に涙をためる霊夢。
それらを一瞥した後……靈夢はフ……と笑みを見せてから、懐から黒ずんだボールを取り出し。
魔理沙へとそれを投げてよこした。

ズシッ

魔理沙「!? ……な、こりゃ……」
靈夢「魅魔からの贈り物よ。 彼女も次の大会に参加をするわ……彼女を悲しませない事ね」
魔理沙「な……!? み、魅魔様が……!? お、おい! 待て!! 靈夢!!!」
靈夢「ノートの52Pらしいわよ、魔理沙」
魔理沙「!?」

黒ずんだボールはズッシリ重く……ゆうにその重さは普通のボールの3倍ほどはあるだろう。
魔理沙が一体どうしてこんなものをと靈夢に戸惑いの目を向ければ……。
靈夢から返ってきた言葉は、かつての魔理沙の師匠がそのボールを寄越したというもの。
そして、フランス国際Jrユースには……その師匠もまた、参加をするというもの。
魔理沙が目を白黒させ、混乱をするのを尻目に靈夢はその場を去り……。
こうして博麗連合の控え室の前は、再び静寂に包まれる事となる。

霊夢の胸に、幼少の頃失くした筈の闘争心を与え……。
魔理沙に大きな困惑と、更に大きな敗北感を残して。

                         TO BE CONTINUED

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