キャプテン森崎 Vol. II 〜Super Morisaki!〜
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【そんなタイトルで】アナザー カンピオーネ1【大丈夫か?】
61 :
アナカン
◆w2ifIqEU72
:2010/10/25(月) 19:00:07 ID:???
>>60
乙感謝です、言って貰えるとやはり嬉しい物ですね。
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1-7)黒の男
この街でも手掛かりなし…。
そう結論付けるしかないと諦め、彼は大きな溜息を吐いた。
その男は全身を黒い服飾で覆い、顔面には手術の痕がクッキリと残っており…
さらにその継ぎ接ぎだらけの皮膚の色も半面が異なるという面妖だった。
彼の名はBJ、親友の消息を求めて世界中を旅しているところであった。
幼い頃、全身に火傷を負い瀕死となったBJ…手術には新鮮な皮膚が必要だった。
見舞いに来ていたクラスメイトらは、皮膚の提供を募られると、皆逃げ帰った。
だがたった一人、皮膚の提供を申し出た子供がいた。
それは肌の色が違う混血児の少年、タカシだった。
彼の臀部から剥がされた皮膚はBJの頬に貼り付けられ、手術は無事成功した。
BJ(…長いリハビリを終えて学校に戻った時、君は何処かに転向して連絡を取る事が出来なくなった。
だがこの皮膚は私の宝であり、君との友情の証だった。 それは今も変わらない…。)
62 :
アナカン
◆w2ifIqEU72
:2010/10/25(月) 19:01:29 ID:???
いつか医者になりタカシに対していっぱいお礼をする…
その幼き誓いを果たすため、BJは必死で医者の技術を求め…そしてそれが叶った今、
世界を渡り歩きながら友人の行方を探し続けている。 しかしその消息は一切掴めなかった。
ユーゴ連邦は世界でも類を見ないモザイク国家だ。
東欧、西欧だけでなく、トルコやムスリムとも繋がっている。
故に少しは手掛かりが掴めるのではと期待していたBJだが、今日までに何の情報も得られておらず、
当然ながらこの日ニシュの街でも聞き込みは全くの空振りに終わっていた。
BJ(南で何も掴めなければヨーロッパは全滅か…次はアメリカに渡ってみるか。)
帰路につきながら、もはや探す大陸を変えてみようと、大きなスケールで思案していたBJ。
ふと大きな歓声に気付いたのはその時であった。
・・・・・ワアアアアアアアアアアアアアアア
BJ(うん? 何だかやたら喧しいが………ああそうか、スタジアムが近いのか。)
63 :
アナカン
◆w2ifIqEU72
:2010/10/25(月) 19:02:51 ID:???
そう言えば聞き込みの時に話題が挙がったのを覚えていた。
何でも地元のチームが国内でNo.1のチームと対戦するとの事で、
やたらと興奮しながら話してくるオッサンの飛ばすオツユが不快だった。
BJ(サッカーねぇ……よく知らんが、こんな怒号みたいな歓声が挙がるもんかね?)
BJは興味なく帰路を急ぐ事にした。 と、その時 彼の肌が急にザワツキ始めた。
粘膜に血の匂いを感じる気がする。BJは立ち止まり、建物の陰に入って様子を窺う事にした。
…数分もしないうちに、人が駆ける足音が響いてきた。
これは何かある、という確信がBJを貫いた。
革靴と石畳が奏でる高音は徐々に音量を上げ、こちらに近付いてきた。
そして…姿を見せたのは頭から血を流す初老の男だった。
右腕をダラリと垂らし、逆の腕で何かを抱えている。
BJ(人……それも子供か…。 何があったか知らんが、あの爺さんそろそろ限界だな。)
64 :
アナカン
◆w2ifIqEU72
:2010/10/25(月) 19:03:55 ID:???
BJ(人……それも子供か…。 何があったか知らんが、あの爺さんそろそろ限界だな。)
無視することも出来ず、BJは陰から飛び出した。
初老の男はBJの影を認め、ギョッとした顔で急停止した
そして限界が来ていたのか、そのまま膝が崩れてしまう。
だが眼光だけは強く保ち、こちらを睨みつけていた。
ジョアン「そこを退け……この子は殺させんぞ…!」
BJ「殺すよりも治す方が好みなんだがね……。
それよりアンタ、その出血でこれ以上走ったら、それこそアンタの方が死んじまうぞ?」
その言葉で察したのか、男の態度は警戒から懇願へと色を変えた。
ジョアン「私はいい……! それよりもこの子を!」
65 :
アナカン
◆w2ifIqEU72
:2010/10/25(月) 19:05:09 ID:???
この言葉を普通に受け取れば、腕の中の子供がそれほど大切という事を示している。
だがBJは男の言葉の端々に、何かそう単純でない物が感じられた。
そう…この男から感じられる雰囲気は、自分の命を軽視している人間の“それ”である。
BJ「ふぅん、“自分は死んでもいい”ねぇ……気に入らないな。
すまんが私は天邪鬼なんだ、アンタの事も助けてやるぜ。」
男と子供を強引に抱え上げながら、BJの口からは思わず皮肉の言葉が飛び出していた。
それに対する男の返事を聞く事はなかった、安堵で気を失ったのかも知れない。
彼の心音が正常なリズムを奏でている事はすぐに判断された。
BJは一先ず安心し、しかし急いで夜の闇へと姿を消した。
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