キャプテン森崎 Vol. II 〜Super Morisaki!〜
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【RoadTo】キャプテン森崎39【Brazil】

1 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/10/28(木) 14:54:54 ID:EtOKNCQ2
キャプテン森崎は、高橋陽一氏作のサッカー漫画「キャプテン翼」の二次創作です。
大空翼に代わって主人公になった森崎有三を読者の投票によって操作していき、
他のキャラクター達と交流を深めながらサッカー選手として大成するのが目的の
読者参加型企画です。いわゆるゲームブックを想像して頂ければ分かり易いかも。

基本は毎回出る選択肢の中から読者が投票によってどれかひとつを選ぶ事によって
森崎の各数値が上下したり結果が分岐し、その結果によって森崎が活躍したり
しなかったりして物語が進んでいく…といった展開です。例えば敵にシュートを撃たれたら、
森崎の能力値+ある程度のランダム要素によってゴールを守れたり守れなかったりします。

投票や判定では2ch式(注:似ているだけで2chとは別サーバー)の掲示板で
ID付の投票書き込みを行ったりスクリプトでカードやダイスを引いてもらったりします。

過去スレのログはこちらのまとめページで見られます↓
http://www32.atwiki.jp/morosaki/pages/11.html

ミス指摘、質問以外の雑談は下のURLの雑談スレでお願いします。
本スレでも更新毎に30レス程度までの反応レスなら問題無しとしています。
尚、30レスを超え雑談スレへの誘導が始まったら速やかに誘導に従って下さい。それがルールです。
http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1277734341/l50
2ちゃんねるとは別の場所の板なので、ブラウザによっては外部板登録が必要です。
なんらかの理由で雑談スレが落ちている時は、本スレでも遠慮なく雑談をどうぞ。

【前スレまでの簡単なあらすじ】
第一回フランス国際Jrユース大会でMVPとなった若き日本サッカー界の星、森崎有三!
サッカー王国ブラジルに留学した彼は数々の強敵達と激戦を繰り広げ、宿敵・大空翼への大敗や
腰の負傷等の苦難に見舞われながらも見事復活し、今や全日本ユースキャプテンとして
日本史上初のワールドユースアジア予選突破を目指しているのだ。アジアでは突出した戦力を持つ日本は
予選リーグを圧倒的な戦果で突破したが、ワールドユース出場権を賭けた運命の決戦の相手は
守備力自慢のサウジアラビアユース。鉄壁の守りから虎視眈々とカウンターを狙う彼らの弱点は何処に?
…こんな感じで話は進んでいます。

200 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/08(月) 19:31:58 ID:h6UlLDdF
★ときめきメモリサキ→ ダイヤ7 ★

ダイヤ→ポッと頬を赤らめ、次いで憂鬱な顔になり、会場から退場していった…
-----------------------------------------------------------------------------
ポッ。

そんな効果音が聞こえてきそうな程陽子は分かりやすく頬を染めた。
その姿は普段の快活で人懐っこい彼女には無い可憐さがあり、思わず森崎も息を飲む程だった。

森崎「(うぉ!?もしかしてこれってホームラン?瓢箪から駒?…あれ?)」

だが陽子の恥らう乙女の姿は長続きせず、今度は憂鬱な表情になった。それはそれで別の儚い美しさがあったが、
彼女が踵を返しパーティ会場から出て行った為それが観賞の対象になる事はなかった。

しばし重い静寂が流れた後、森崎はどうしていいか分からないまま呟いた。

森崎「よ、陽子さん…?な、何なんだ今の反応は」

201 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/08(月) 19:32:15 ID:h6UlLDdF
石崎「知るかっ!畜生!」

早田「確かに分かり辛いけど、追いかけた方が良いんじゃねーの?」

松山「そ、そうだぞ森崎。ちゃんと話し合うべきだ」

森崎「そ、そうだな。追いかけてくる!」

今更その場のノリでした、等と言える筈も無い森崎は陽子の後を追いかけようとし…

ガシッ!

森崎「グゲッ!………あ」

片桐「……………」

片桐に襟首を掴まれて止まらざるを得なかった。

202 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/08(月) 19:32:27 ID:h6UlLDdF
片桐「森崎…」

森崎「は、ははははい!(こ、怖ェ!サングラスで表情が分からんから怖ェ!)」

片桐「悪いが、少し時間を貰おうか」

森崎「…はい…(なんてこった。どうなっちまうんだ俺…)」

ザッザッザッ…

賀茂「あ〜あ、やっちまったなアイツ」

見上「馬鹿者が。若さにも程がある」

全日本メンバー「(うわあ…どうしたらいいんだこれ)」「(まさかあの二人、殴り合いしたりしないよな?)」
「(さっきまで森崎が羨ましかったけど、今はやっぱり良いや)」「(こんな所であんな爆弾発言しちゃあなあ…)」

203 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/08(月) 19:32:39 ID:h6UlLDdF
数分後、森崎はホテル内の片桐と賀茂の部屋に連れてこられていた。
無論彼がこの窮地をどう切り抜けようかと悪知恵をフル回転させていたのは言うまでもない。

ところが彼の予想に反して、片桐の態度はとても穏やかな物だった。

片桐「まあ、座れ。あらかじめ言っておくが、私は別にお前に怒っていないぞ。
陽子本人が望むのなら、お前と交際しようと結婚しようと妨害するつもりはない。
無論、お前が女を弄ぶ様な屑だったら話は別だが今の所そうではない様だしな」

森崎「………へ?」

片桐「兄と言う物は妹に近寄る男を念入りに値踏みし選り好みするのが普通なのかも知れんが…
私やあいつの家庭環境は少々特殊でな。お互いそういう干渉は嫌う性格なのだ」

森崎「そ、そうなんですか…(良かった〜、本当に怒っていないみたいだ)」

プロポーズ紛いの事をぶちかました相手の兄と一線交える必要があるのではないか、と
身構えていた森崎は予想外に穏便な展開に胸を撫で下ろした。
だが片桐が一つ咳払いをすると森崎も再び背筋を正さずには居られなかった。

204 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/08(月) 19:32:52 ID:h6UlLDdF
片桐「だからその特殊な家庭環境をお前にざっと説明しておく。
お前とあいつが浅からぬ関係となりつつあるのなら、絶対に知っておいて貰わねばならん」

森崎「特殊な家庭環境…って言われても。一体何ですか?」

片桐「…片桐総合グループ。または片桐コンツェルン。名前位は知っているか?」

森崎「へ?ええまあ、時々新聞とかで名前を見る財閥ですけ…ど…へ?ま、まさか?」

片桐「そうだ。私はその財閥の跡取り息子であり、陽子も片桐財閥の令嬢と言う訳だよ」

森崎「………」

そのまま片桐があっさりと明かした事情は森崎の想像の範囲外の内容だった。
彼の中のお嬢様と言う存在のイメージと今までの陽子の言動はまるで噛み合わなかった。

205 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/08(月) 19:33:02 ID:h6UlLDdF
森崎「な、なんでそんな人達が日本サッカー協会に…」

片桐「一言で言えば、私も陽子も家出中なんだよ」

森崎「い、家出、ですか」

片桐「そうだ。私は若い頃からサッカーに魅せられ、家を飛び出す様な形で日本代表になった。
そして負傷で引退した後も諦め切れず、選手ではなくスタッフとして日本サッカーを発展させようと
ここまで我武者羅にやってきた。言い換えれば、家の事を顧みずに自分勝手にやってきたのだ」

森崎「はあ…」

片桐「そんな私の生き方は陽子にはとても羨ましく思えたらしい。あいつは私の代わりに
英才教育を施され、13歳の時点で大学の修士号を得る程厳しく育てられたが、
私以上に自由を渇望していたのだろうな…15歳の時私の所に逃げ込んできたのだ」

206 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/08(月) 19:33:12 ID:h6UlLDdF
森崎「…何て言うか、今までテレビドラマでしか見た事が無い様な世界の話で実感が湧かないです」

片桐「いきなり聞かされればそういう感想を抱くだろうな。だがこれは現実だ。
ハッピーエンド等保障されていないし、何時終わるかも分からない現実だ」

森崎「ええと…じゃあ、陽子さんには既に許婚が居たりするんですか?」

片桐「私の知る限りでは今の所そうではない。しかしあくまでも今の所、だ。
父とはもう十年以上まともに話をしていないが、何時までも私達兄妹を放っていてくれるとは思えん。
私達以外の後継者が上手くみつからない場合は、どちらかを強制的に連れ戻すかも知れん」

森崎「強制的って…そんな事出来るんですか?」

片桐「簡単だぞ?日本サッカー協会への金の流れに干渉すればいいだけだ」

森崎「なっ…!!」

207 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/08(月) 19:33:22 ID:h6UlLDdF
圧倒される森崎に意図的に構わずか、もしくは構う余裕も無いのか、片桐は次々と衝撃的な内容を口にしていった。
彼の顔にはサングラスでも隠しきれない苦悩とやり切れなさが溢れていた。

片桐「片桐総合グループの力を持ってすればそれ位の事は簡単だ。
実際にやらなくてもいい、それを匂わすだけで私か陽子は家を継ぎに戻らねばなるまい」

森崎「…なるほど。確かに」

片桐「…しかも、その場合連れ戻されるのは恐らく私ではなく陽子だ」

森崎「へっ?何でですか?こういう世界って、男尊女卑の傾向が強いんじゃ?」

片桐「だからこそだよ。私も陽子も放蕩なイメージが一生拭えない経歴となっている。
男である私が戻っても、今の年齢からでは帝王教育を受けても立派な跡継ぎになれる保障は無い。
陽子はまだ若いが、やはり世間知らずの小娘と見られてしまう。つまり…政略結婚に使われるんだ。
私の方が陽子よりも日本サッカー協会に置ける重要度が高いと言う事情もあるしな」

森崎「………」

208 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/08(月) 19:33:42 ID:h6UlLDdF
辛さを隠す様に淡々と語る片桐の様に森崎は怒れば良いのか哀れめば良いのか分からなくなり、
口をへの字に結ぶだけにした。それを見た片桐は森崎に背を向け、タバコを胸ポケットから取り出した。

片桐「もしかしたら父は我々をずっと放っておいてくれるかも知れん。母はどちらかと言えば
私と陽子の味方だったしな。だが…この先どうなるか、全く分からん。だから陽子は逃げ出したのだろうな」

森崎「…分かりました」

片桐「………話は以上だ。タバコを吸いたいからもう行ってくれ。ああ、いや。少し待て」

森崎「何ですか?」

片桐「まず…今話した事は内密だぞ。チームメイトには馬鹿兄貴にこってり絞られたとでも言っておけ」

森崎「はい。流石にこんな事軽々しく言えませんよ」



片桐「それともう一つ。そこのテーブルにある鍵は、陽子の部屋の鍵だ」

森崎「えっ!?」




209 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/08(月) 19:36:02 ID:h6UlLDdF
数分後、森崎は陽子の部屋の前に立っていた。「私は朴念仁だからこういう時女はどうされたら嬉しいのか分からん。
入るのも入らないのも自分で決めろ」と言う片桐のぶっきらぼうな言葉を思い出しながら。

森崎「全く、厄介な選択を押し付けやがって…どうしたらいいんだよ…」

彼の心底まいった呟きに答える者は居ない。廊下には彼以外誰も居ないのだから当然である。
こういう時はGKとしての度胸も判断力も、サッカー選手として成り上がる為の野心も悪知恵も全く頼りにならない。

森崎「…ええい、ままよ」

A 今は踏み込むのが正解だ。
B 今はそっとしておくのが正解だ。

      http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1287909116/l50にて
            ☆2010/11/8 21:00:00☆ から投票期間を設けます。
    そこから  15  票カウントし、一番多く票が入った選択肢で続行します。引き分けの場合は
   その次の票をタイブレーカーに使います。尚、投票はageた書き込みのみを採用しています。

210 :創る名無しに見る名無し:2010/11/08(月) 20:55:50 ID:eKC1D5oX
またまた、
陽子絡みのゲームオーバー分岐に
突入か…?
森崎、謎のスナイパーに気をつけろ。

211 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/08(月) 23:28:29 ID:h6UlLDdF
>A 今は踏み込むのが正解だ。

森崎「行かない訳ないだろ、常識で考えて」

森崎は自分に言い聞かせる様に呟いてから鍵を差し込もうとし…考え直してドアをノックした。

陽子「…え?誰?」

森崎「森崎だけど…」

陽子「えっ…あ、あの…」

当然と言うべきか、陽子は慌てふためいてロクな受け答えが出来なかった。
森崎自身精神的な余裕は無かったので、問答無用で話を進めたくなってしまう。

森崎「片桐さんから鍵を借りたんだが…入っても大丈夫か?」

陽子「えええっ!?に、兄さんそんな事をしたの!」

212 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/08(月) 23:29:25 ID:h6UlLDdF
森崎「…後、家の事情も聞かされた」

陽子「………そう」

森崎「入っていいよな?」

陽子「……………」

森崎「入るぞー」

ガチャ。
バタン。

森崎「おわ…」

213 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/08(月) 23:29:39 ID:h6UlLDdF
中に居たのはビール瓶を蓋を開けるまでもなく手で弄ぶ陽子の姿だった。別に泣いていた訳でなく、
弱弱しく微笑む程度の気力は残っていたが普段とのギャップのせいで逆に痛々しく見えた。

森崎「(こんなにか弱く見える陽子さんは初めてだな…なんか、色っぺえ)」

陽子「ね、森崎くん」

森崎「ん?」

陽子「さっきの…冗談よね?」

A 「ああ、ついその場のノリで言っちゃったんだ。ごめん…」
B 「…う〜ん、半々って所かなあ…」
C 「…分からん。俺にもわからないんだ」
D 「あんなタイミングで言うつもりはなかったけど、冗談じゃないぜ?」
E 「俺はああいう事で冗談を言う男じゃないぜ」
F 「……………」

      http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1287909116/l50にて
            ☆2010/11/9 00:00:00☆ から投票期間を設けます。
    そこから  15  票カウントし、一番多く票が入った選択肢で続行します。引き分けの場合は
   その次の票をタイブレーカーに使います。尚、投票はageた書き込みのみを採用しています。

214 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/09(火) 11:22:47 ID:jYJxC5GB
>D 「あんなタイミングで言うつもりはなかったけど、冗談じゃないぜ?」

陽子「本気…?」

森崎「ああ。なんて言うか、今更ながらいきなり過ぎたとは思うし、かなり階段飛ばしかも知れないが…嘘じゃないぜ」

多分に受け狙いの気持ちがあったのは拒めない。陽子さんなら冗談として受け流してくれると言う期待もあった。
だが今こうして二人きりで真剣に向かい合っていると、最早冗談にしてしまいたいと言う気持ちは無くなっていた。
かつてない程緊張しながらも何とかハッキリと言えた森崎を陽子はしばし見つめた後、おもむろに顔をそらして呟いた。

陽子「…そっか。森崎くんは私とそういう関係になりたいんだ」

森崎「あ、ああ。そうだよ」

陽子「…………」

215 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/09(火) 11:23:14 ID:jYJxC5GB
森崎「(いかん、なんちゅう重い沈黙だ…陽子さんの気持ちも確かめた方が良いか?)」

A 「でも陽子さんは、俺の事をそういう対象として見ていなかったのか?」
B 「陽子さんはどうなんだ?まんざらでもないんなら嬉しいんだが」
C 「陽子さんも、ある程度そういう気持ちだと思っていたんだが…」
D 「俺の事、もっと好きになって欲しいよ。俺ももっと陽子さんを好きになりたい」
E 「俺の女になってくれ!こんな気持ちになったのは初めてなんだ!」
F 「…………(やっぱり今は何も言わない方が良いか…?)」
G 「それだけ伝えたかったんだ。俺、もう行くよ」

      http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1287909116/l50にて
            ☆2010/11/9 14:00:00☆ から投票期間を設けます。
    そこから  15  票カウントし、一番多く票が入った選択肢で続行します。引き分けの場合は
   その次の票をタイブレーカーに使います。尚、投票はageた書き込みのみを採用しています。

216 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/09(火) 23:12:27 ID:jYJxC5GB
>G 「それだけ伝えたかったんだ。俺、もう行くよ」

陽子「………?」

森崎「(ダメだ、このままここに居るととんでもない事口走りそうだ。
それに陽子さんに考える時間も必要だろうし…ここは一旦時間を置こう。うんそうしよう)」

それは陽子を配慮した結果だったのか、それとも自分の気力が尽きた為か。
森崎は足早に立ち去っていき、後に残された陽子はぽつんとベッドに座っている事しか出来なかった。

陽子「…え?部屋にまで入れたのにたったそれだけ?そりゃいくら何でも
押し倒されたりしたら嫌だったけど、まだまだ話したい事はあったのに…」

しばし自分に話しかける様にぶつぶつと呟いていた陽子はやがて苛立たしげにビールの蓋を取り一気に煽った。

陽子「ぷはっ!…森崎くんのバカーッ!!」

*陽子の森崎に対する感情が「ヘタレ」になりました。

217 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/09(火) 23:12:38 ID:jYJxC5GB
片桐に鍵を返した後パーティ会場に戻った森崎を迎えた者達の態度は予想を裏切らぬ物だった。

早田「おお、我が兄弟。生還出来たか」
次藤「で、で、どがんしたとね?」
中里「具合は如何でござったか?」
中山「…上手く行ったのか?」
松山「お、お前、ちゃんと話しておかないと後悔するぞ…」

ある者は好奇心露に、ある者は善意から心配して森崎に詰め寄る。しかし片桐家の事情は勿論、
陽子の部屋に行った事も話す訳にはいかない森崎は肩を竦めるしかなかった。

森崎「馬鹿兄貴にこってり絞られただけだよ…妹と付き合いたいならもっとちゃんとしろだとよ」

山森「なるほど。やっぱり兄の立場からはそう言われますよね」

石崎「(それってつまり、拒絶された訳じゃなかったのか…ちくしょおおおおおお!)」

見上「プライベートに口を出す気はないが、日本代表としてスキャンダルを避けるTPO位は身につけておけよ」

森崎「はい(あーウゼエ)」

218 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/09(火) 23:13:08 ID:jYJxC5GB
いったんここまで。
まさかキャプ森でこんな展開を書くとは思わなかった…(笑)

219 :創る名無しに見る名無し:2010/11/09(火) 23:45:27 ID:WgbHks+S
さすが松山w

220 :創る名無しに見る名無し:2010/11/09(火) 23:51:32 ID:vcx/MQe0
本当にお疲れ様でしたー

221 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/10(水) 01:16:19 ID:PoNFZ/mE
こうして森崎のちょっとした大冒険はあっけなく幕を閉じた。選手たちも思い思いに会場に散らばり、
およそ一企業の長とは思えない暴食っぷりを見せる日向、食通紛いの料理評論をする三杉、
食い比べを始める修哲トリオ、シェフからレシピを聞き出そうとする早田、自棄食いに勤しむ石崎と高杉、
井出の為に色々な物を少しずつ取り分けておく岬など各自好きな過ごし方でパーティを楽しむ。
そんな事が十数分続いた後、賀茂がパンパンと手を叩いて注目を集めた。

賀茂「よーし、そろそろ腹ごしらえも出来ただろ。食いながらで良いから聞けや」

片桐「ここから今後の事について話す。まあかしこまる話ではないから楽にしろ」

森崎「(何時の間に戻ってきたんだあの人?)」

賀茂「今後の事っていやあ勿論、ワールドユースの事だ!」

全日本メンバー『!』

楽にしろと言われても出来ない話題の登場に誰もが賀茂に注目する。それに気を良くしたのか賀茂は上機嫌で続けた。

222 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/10(水) 01:16:35 ID:PoNFZ/mE
賀茂「今更説明するまでもねえが、今回のワールドユースは16ヶ国が出場する。開催国のブラジルの他に、
南米から3国、欧州から6国、北中米から2国、アフリカから2国、そしてアジアから2国だ。
ま、過去の実績からして妥当な所だろうな。んで、さっき出場を決めたお前らが当然アジアの2国の内の1つ。
他の大陸予選ももう大勢が決していて、残るは韓国と中国どっちが出るかって感じだな。どれから聞きたい?」

森崎「そうですね…欧州からお願いします。一番沢山強豪国が出てきそうですし」

賀茂「よし、欧州だな。まずは4つの予選グループを1位突破した4チームだが、それらは
オランダ、ドイツ、イタリア、フランスだ。フランスだけはかなり苦労していたが、他は圧倒的な1位突破だったな」

松山「(オランダ…当然来ているな)」

次藤「やっぱりドイツはごつかのう」

赤井「イタリアもかなり強くなってますよ」

岬「(チームメイトがアレじゃピエールの苦労は半端ないだろうなあ)」

賀茂「ちなみに2位は成績上位のイングランドとポーランドだぜ。正直言ってさっきの4つに比べると一段落ちるな」

223 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/10(水) 01:16:47 ID:PoNFZ/mE
三杉「…あまり聞きたくないですが、北中米はやはり…?」

賀茂「カカカッ、ご名答。お前が大嫌いなアメリカユースもちゃーんと勝ち上がったぜ」

全日本メンバー『うぇえええ〜…』

賀茂「ただ、奴らは2位で1位はメキシコだったな。メキシコはミラクルキーパーと呼ばれるエスパダス、
空中サッカーを得意とするアステカ五戦士、それから名パサーのエスパーニャを中心としたチームだ。
攻撃力ならアメリカも負けてなかっただろうが、守備力でかなりの差があったのが原因だろうな」

政夫「へ〜え、アステカ五戦士か」

和夫「どんな奴らか見てみたいな」

賀茂「続けていくぞ。アフリカは激戦区が多かったが、最終的にはカメルーンとガーナの2国に決まった。
2チームともそれなりに強い事は強いが、チームとしてのまとまりよりも身体能力と個人技任せな感は拒めないな。
カメルーンは”黒い稲妻”と呼ばれるチャンドラーと言うMF、”竜殺し”と言う異名を持つカマーチョと言うFW、
そしてマハラチーニと言う名GKの3枚看板が自慢のチームだな。一方ガーナだが、
こっちは特に目立った選手は居ない。正直、同じグループに引き当てられたらアタリの部類だな」

日向「…南米は?」

賀茂「南米は最初から最後までアルゼンチンとウルグアイの一騎討ち状態で、すげえデッドヒートが
続いているな。ちょうど今日最終節が行われているから、それで1位と2位が決まる筈だ。
3位はすったもんだの挙句エクアドルに決まったが、ガーナ同様これもアタリと言えるチームだな」

224 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/10(水) 01:19:42 ID:PoNFZ/mE
1時を過ぎてしまいましたが今夜はここまで。


尚、聞かれると思うので予め。スウェーデンユースについてですが、
純粋な戦力としては世界トップクラスに一歩及ばない事と、
それを埋める為のレヴィンシュートの扱いが難しすぎた為、
また他に対戦させたいチームの数などを考慮した結果登場させない事にしました。
設定としてはレヴィンが復帰せず予選敗退してしまったと言う事になります。

225 :創る名無しに見る名無し:2010/11/10(水) 01:26:40 ID:0snQsTeL
さらばレヴィン乙でした(泣)

226 :創る名無しに見る名無し:2010/11/10(水) 01:33:24 ID:Nkq0jppO
ブロック世界最強のブローリンさんも出番なしw

227 :創る名無しに見る名無し:2010/11/10(水) 01:39:13 ID:29/CRB88
>>224
スウェーデンの他に対戦しないチーム、確定ではないですが例えばカメルーンやフランスなどの
ボツチームの能力値公開などの可能性はありますか?

228 :創る名無しに見る名無し:2010/11/10(水) 01:41:50 ID:noafhkGh
>>226
サイクロンを止めてしまうロブソンさん忘れるなよ

229 :創る名無しに見る名無し:2010/11/10(水) 07:21:17 ID:iP7x1J8x
レヴィンェ…
あの凄いネーミングセンスのレヴィンシュートをちょっと楽しみにしてたけどまあしょうがないかw

230 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/10(水) 10:21:03 ID:PoNFZ/mE
やはりスウェーデン完全封印を嘆く声は多かったですね。
実の所、私にとっても苦渋の決断でした。
戦力としてもレヴィンシュートの危険性を忠実に再現すれば
トップクラスのチームを食える面白いチームであり、
レヴィンをキャプ森らしい性格にアレンジする案はいくつも浮かんでいたのですが…

まず、スケジュールに合わないのです。
ワールドユースは予選リーグ3戦と決勝トーナメント3戦になりますが、
日本だけそんなに強敵とぶつけまくるのもどうかと思いますし、
最終章のテンポをダラダラとした物にしたくなかったと言う事情もあります。
また長いトーナメントをレヴィンシュートでダイスの悪戯で壊される
危険性を考慮するとGMとしては頭を抱えてしまいますし、
NPCとやらせる場合も難産になってしまいます。

それなら遠征試合や練習試合でやらせればいい、とも思ったのですが…
アジア予選を勝ち抜いた後、既にもうひとつ大きな試合を用意してあるので
それ以上ワールドユースの前に手間取るとやはり冗長になってしまうんですよね。
何時かテキストゲームではなく本当のゲームを作れたら、
その時はスウェーデン他未対戦のチームとも試合を組みたいですが…

>>227
現時点では対戦しないチームがどれになるかは明かせません。
従ってデータの扱いもヒミツです。お楽しみに、としか言えませんね。

231 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/10(水) 14:04:26 ID:PoNFZ/mE
〜同時刻、アルゼンチン首都ブエノスアイレス〜

全日本ユースがひと時の安らぎを味わっている頃、アルゼンチン首都ブエノスアイレスにあるサッカークラブ
CAリーベル・プレートのホームスタジアム、エスタディオ・モヌメンタル・アントニオ・ベスプチオ・リベルティでは
ワールドユース南米予選ナンバー1を決める一大決戦が行われていた。

ディアス「よっしゃあ!」

バシッ!

ウルグアイメンバー「ああっ!?」「し、しまった!」

対戦チームは勿論、アルゼンチンユースとウルグアイユースである。

ウワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!

放送「と、取ったァ!ディアスくんがこの後半ロスタイムの土壇場でボールを自ら奪い返しましたァ!
そして湧き上がる大歓声!ここは絶対に決めてほしい、天才ファン・ディアス!!」

232 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/10(水) 14:04:39 ID:PoNFZ/mE
そしてこの試合はアルゼンチンのドラマティックな勝利に終わった。

火野「ハー、ハー…こ、この野郎!」

ザザッ!

ディアス「ご苦労さん!」

ヒョイッ!

火野「て、てめえ!」

ビクトリーノ「いい加減に…」

ディアス「するのはそっちだ!」

ガッ!
ポーン…

ビクトリーノ「げえっ!?」

233 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/10(水) 14:05:23 ID:PoNFZ/mE
引き分け以上でウルグアイの1位突破が確定するアルゼンチンホームの最終節。
この絶対に負けられない試合は互いに一歩も譲らず3−3で終わるかに見えたが…

ダダダダッ!

パスカル「ディアス!」

ビクトリーノ「や、やべえ!パスカルとのコンビネーションで来るぞ!」

ディアス「と見せかけてこっち〜♪」

バシュッ!

バビントン「ナイスパスディアス!」

ウルグアイメンバー「なんだとォ!?」「そっちかよ!」

観客『ディ・ア・スッ!!』『ディ・ア・スッ!!』『ディ・ア・スッ!!』『ディ・ア・スッ!!』『ディ・ア・スッ!!』

234 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/10(水) 14:05:38 ID:PoNFZ/mE
放送「上がる上がる!時間的にこれが両チーム最後の攻撃となるでしょう!
怒涛のディアスコールと共にアルゼンチンがウルグアイ陣内に攻め入るーーーっ!!」

サトルステギ「よーし来いバビントン!俺様が決める!」

バビントン「(悪いけど…今度はこっちだ!)」

バコォン!

サトルステギ「はれっ?」

放送「ここでバビントンくんのセンタリング!しかしファーサイドには誰も…居ました!
パスカルくんがオーバーヘッドキックを撃ちに飛び込んで居たァアア!!」

パスカル「いくぞ!」

ウルグアイメンバー「そうはさせるか!」「おらよっと!」

ガガッガッガッ!
ポーン!

235 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/10(水) 14:05:49 ID:PoNFZ/mE
パスカル「ぐっ!…おっ、ラッキー」

ウルグアイメンバー「よし!…へっ!?」「ウソだろーーー!!」

ディアス「やっぱり最後は主人公が決めなくっちゃな!」

放送「空中での競り合い!こぼれだま!ディアスだ!ディアスが駆け込んだーーーっ!!」

カノーバ「(ま、またこいつと一対一だと…?)う、うわぁあああああああ!!」

ディアス「もーらいっと!」

バババッ!
サッ!
バスッ…

ピィイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!
ピッ、ピッ、ピィイイイイイイイイイイイイイイイイ!!

236 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/10(水) 14:06:00 ID:PoNFZ/mE
カノーバ「あ…ああああ〜…」

ビクトリーノ「ち、ち、畜生ーーーっ!!」

火野「クソが!あの野郎〜っ!!」

ドゥワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!

後半ロスタイム。これ以上ないと言う程劇的なタイミングでヒーローが期待通りの決勝点を決めたのだ。

放送「ゴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオルルルゥウウウウウウウウウウウウ!!!
決まった!決まりました!決めてくれましたァ!天才ファン・ディアスがやはりやってくれた〜〜〜!
天国と地獄!地獄行きはウルグアイ!天国行きはアルゼンチン!4−3でアルゼンチンの勝利です!!」

バルバス「よぉおおおおおし!!」

マチルダ「ふがっ!?バ、バカな…」

237 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/10(水) 14:06:11 ID:PoNFZ/mE



ディアス「見たかァ!俺が天才、ファン・ディアスだ〜〜〜〜〜っ!!」

こうしてディアス率いるアルゼンチンユースは見事南米予選を1位で勝ち抜き、
自信満々でワールドユースに殴りこむ事が確定した。



サトルステギ「ちっくしょー、美味しい所を持っていきやがって!流石は我がライバルだぜ!」

ディアス「あのさあ…どうでもいいんだけど」

サトルステギ「ん?何だ?」

ディアス「お前、誰?」

サトルステギ「………え゛」

ディアス「何で俺の事ライバル扱いしてるんだ?対戦した事ないだろ?」

サトルステギ「……………」

多少の不安要素も無い事も無かったが。

238 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/10(水) 14:06:46 ID:PoNFZ/mE
いったんここまで。

239 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/10(水) 19:00:33 ID:PoNFZ/mE
〜ブラジル某所〜

全日本ユースには知る由も無い事だが、この日はもう二つ南米でドラマがあった。
後々彼らにとてつもなく巨大な影響を及ぼすドラマが。

その内の一つは本日始まるブラジルユース合宿にて起こった。



ジェトーリオ「愛しのネイく〜ん♪会いたかったよ〜♪」

ネイ「死ね。100回死ね。1回毎に1時間かけて死ね。毎回別の方法で死ね」

ジェトーリオ「あ〜ん、相変わらずいけずぅ♪」

ネイ「気持ち悪い声を出すな3m以内に近づくな息をするな今すぐ自殺しろ」

この合宿上で最初に交わされた会話は2番目にやってきたパルメイラス組を出迎えた
最初にやってきたフラメンゴ組のDFと、その人物と因縁がある前者のMFだった。
あまりにも予想を裏切らない交流の模様に両チームの選手達が頭を抱える。

240 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/10(水) 19:00:48 ID:PoNFZ/mE
サンタマリア「お前も毎回大変だな…」

トニーニョ「お互い様だろう。それにこれからはお前もある程度はネイの女癖に悩まされる事になるぞ」

カルロス「それはよろしくないな。ワールドユースを控えた身で雑念は控えて欲しい物だ」

キャプテンでエースナンバーを背負うと見られるカルロスを中心として輪が出来、
苦笑交じりの協調的な雰囲気が流れる。しかしそこは競争心が掃いて捨てる程ある
若きカナリア軍団の事、そんな和気藹々とした雰囲気はすぐに乱される運命である。

ザガロ「見ろよおい、堅物2人と優等生がよろしくやってるぜ」

ディウセウ「難しい話はオラ分かんねーぞー」

次にやってきたのはサントス組である。ここもエースが問題児で、しかも好戦的なので
指名された”堅物2人と優等生”はうんざりした表情を隠すのに苦労した。

241 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/10(水) 19:01:07 ID:PoNFZ/mE
ジェトーリオ「あーザガロだー。またあのケーキみたいな肉の匂いがする!」

ザガロ「鰻だ、いい加減覚えろ」

サンタマリア「…勘弁してくれ」

トニーニョ「頼む、ディウセウ」

ディウセウ「いやー、オラが止める時は腕ずくだし。ギリギリまでやりたくねえんだ」

ドトール「騒々しいな。喧嘩は感心しないぞ」

アマラウ「問題児ばっかりで、かつてのストラットが扱いやすく思えてくるな」

マウリシオ「(アンタも一種の問題児だけどな)」

レナート「こらお前ら。キャプテンとして命ずる、静かにしろ」

メオン「何時お前がキャプテンになった!寝言は寝て言え!」

242 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/10(水) 19:01:20 ID:PoNFZ/mE
更にサンパウロ組なども合流するといよいよ収集がつかなくなりそうになり、
焦ったサンタマリアに目配せをされたカルロスがパンと手を叩いて注目を集めた。

カルロス「そろそろ全員揃ったか?ざっと数えた所20人くらいみたいだが」

ザガロ「てめえ、何仕切ってやがる。キャプテンの座は確定とか思っているのか?」

ディウセウ「文句言うなよザガロ。おめえキャプテンなんて面倒だってオラに押し付けたじゃねえか」

カルロス「何でも良いからメンバー発表ボードを見に行こう。宿舎と練習場の境目に設置してあるそうだ。
ん?ああアーサー、多分君は載っていないよ。年齢制限に引っかかってしまうだろうし、
クラブチームに属していないと大騒ぎになるから…あれ?皆ー、待ってくれー」

サンタマリア「(計画通り…と言えなくも無い)」

243 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/10(水) 19:02:22 ID:PoNFZ/mE
いったんここまで。

244 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/10(水) 19:53:22 ID:PoNFZ/mE
FW
ザガロ カルロス オルヘス プラトン

MF
サンタマリア トニーニョ ネイ マウリシオ
リベリオ ゲレーロ リンコン コインブラ

DF
ディウセウ アマラウ ドトール ジェトーリオ
キーガン アレクセイ ミラ ソリーリャ

GK
ゲルティス メオン レナート

245 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/10(水) 19:53:44 ID:PoNFZ/mE
カルロス・サンタマリア・ジェトーリオ『!!』

いざメンバー発表ボードを見た時、フラメンゴの主力トリオはもしかしてと思っていた名前を本当に発見して目を大きく見開いた。

コインブラ

MFの欄の最後に彼らだけ知っている謎の男の名前が載っていた。
しかしその名に注目したのは彼らだけで、他の者は皆別の選手の名前に視線を集めていた。

メオン「ゲルティスだと…奴が来ているのか!?」

ゲルティス「呼んだか?」

その選手、”キーパーマシン”エウゾ・ゲルティスは計った様なタイミングで悠々と登場した。

246 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/10(水) 19:53:57 ID:PoNFZ/mE
トニーニョ「ゲルティス…イタリアから召集されていたのか」

ゲルティス「ああ。監督から呼ばれて応じた」

ジェトーリオ「うえ〜、僕こいつ嫌〜い!」

ザガロ「珍しく同感だぜ。ビー玉みたいな目しやがって」

マウリシオ「(凄え言われ様…でもホントにロボットみたいだ)」

ドトール「お前達、いくらなんでも言い過ぎだ」

アマラウ「いや、こいつの場合褒め言葉として受け取るんだろ」

ゲルティス「……………」

彼に降りかかる視線は良くて中立的、者によってはまるで化け物を見る様な視線だった。
だが本人は全くの無表情で眉をピクリとも動かさず、むしろそれに苛立った者が返って感情を露にした。

247 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/10(水) 19:54:21 ID:PoNFZ/mE
メオン「貴様…俺はずっと貴様と会いたかったんだ」

ゲルティス「なんだ」

メオン「貴様がイタリアに旅立ってから、俺はこの世代では名GKとして持てはやされた。
だが俺はそれを素直に喜ぶ事は出来なかった…全て貴様のせいだ」

ゲルティス「言いたい事は分かった。お手並み拝見と行こう
(メオンが俺以上の実力を身につけている可能性…極小)」



レナート「ハッハッハ、精々頑張ってこのリオカップ最優秀GKの地位を脅かすんだな二人とも!」

ゲルティス「…なんだアレは?」

メオン「気にするな、運が良いだけのただのお調子者だ」

248 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/10(水) 19:54:45 ID:PoNFZ/mE
いったんここまで。

249 :227:2010/11/11(木) 08:18:51 ID:UbBC4yIC
>>230
了解です、フランスの笑うしかない能力値を楽しみにしてます

250 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/11(木) 18:52:26 ID:hVGvVKus
ゲルティスに対する注目も静まった頃、とうとう監督のロベルトがユニフォームの束を持ってやってきた。

ロベルト・本郷。一昔前にサンパウロFCとブラジル代表でCFWとして鳴らした先年の名選手である。
眼の負傷で若く引退を余儀なくされた後指導者に転向し、最初は失敗したものの数年かけて
独自の指導術を編み出し成功を収め、今ではブラジルユースの監督を任される程の名将とされている。

これほどの英雄を前にしては曲者揃いの選手たちでも自ら一定の敬意を払い、
自主的に整列してからピタッと黙り込む。ロベルトはそれを満足そうに見てから口を開いた。

ロベルト「楽にしていいぞ。全員揃っているか?」

カルロス「今数えましたが、まだ22人しか居ません。1人欠けています」

ネイ「えっ、誰だ?リオカップの主だった面々は皆居るじゃん?」

マウリシオ「でも確かに22人しか居ないッスね」

サンタマリア「…コインブラと言うMFがまだ来ていません」

251 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/11(木) 18:52:52 ID:hVGvVKus
ディウセウ「コインブラ?誰だそいつ?」

アマラウ「ドトール、知っているか?」

ドトール「いや初耳だ」

一部を除いて全く聞いた事の無い名前の選手の存在が明るみになり、大勢が首を傾げる。
ロベルトもひとつため息をつき、腕時計を確認した所で彼は練習場のフェンスのドアを開けた。

ギィ…バタン。

コインブラ「すいません、道に迷いました」

ロベルト「まあいい。まだ集合時間の5分前だ」

これがアルツール・アンチネス・コインブラが歴史の表舞台に初めて出た瞬間だった。

252 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/11(木) 18:53:08 ID:hVGvVKus
ディウセウ「おめえがコインブラか?オラサントスのディウセウ。よろしくな!」

コインブラ「ああ」

トニーニョ「不勉強ですまないが、お前の所属クラブを教えてくれないか?」

コインブラ「俺は無所属だ」

ブラジルメンバー「ハァ!?」「な、なんだって!」「無所属!?」「ほ、本気かよ!」

この時コインブラは何処のクラブチームにも所属していない良く言えばフリーエージェント、悪く言えばアマチュアだった。
ブラジル程プロサッカーリーグが発達した国で何処のクラブでもプレイしていない無名選手が
代表選手になるなど考えられない事である。現にコインブラ以外の選手たちはその多くが既に
名門クラブの1軍で戦力として数えられている身分であり、彼らが驚き戸惑うのは至極当然の事だった。

しかし驚き以外の反応を示した者達も4人居た。

253 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/11(木) 18:53:21 ID:hVGvVKus
ジェトーリオ「(堂々と無所属だって言い切っちゃったよこいつ…何考えてんの?)」

サンタマリア「(只者ではないと思っていたが、無名クラブですらプレイしていないのか?)」

カルロス「(やはり…俺はずっと昔、こいつと何処かで会った事がある気がしてならない)」

例外の内3人はリオカップ時にコインブラと2度会話した事があるフラメンゴ組の3人。

ゲルティス「(…なんだこの男は。ミランのトップで今すぐプレイできそうなオーラを感じる…!)」

そしてもう一人は面識は無かったが一目でコインブラの脅威を悟ったゲルティスだった。
彼の脳裏には自分が所属する超名門クラブ、ACミランの一軍でプレイしている世界屈指の
名選手たちの姿と力が浮かんでおり、コインブラはそれと同じ物を感じさせたのだ。
過度とも言われる程冷静沈着が売りの筈の彼は今誰にも気づかれずに目を大きく見開いていた。

さして時間がかからずにコインブラからロベルトに注目が移り、暗黙の疑問が投げかけられる。
何故こんな場違いな奴を呼んだ?と。しかしロベルトはそれに答えずに咳払いをした。

254 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/11(木) 18:53:34 ID:hVGvVKus
ロベルト「これで全員揃ったな。ではただ今より合宿のスタートを宣言する。
改めて言うまでもない事だが、諸君にはブラジルを代表するに相応しい規律、
パフォーマンス、そして結果を見せて欲しい。この場合の結果とは勿論…世界一だ」

ブラジルメンバー『………』

ロベルト「ブラジルとて敗れる事はある。それでもブラジルは最強かつ世界一でなくてはならない。
何故か?ブラジルだからだ。まるで謎かけの様な物言いだが、これが伝統的にセレソンに求められる覚悟なのだ。
かつて私もセレソンとしてこれを意識しながら戦い、志半ばに倒れ、今度は指導者として
世界一を狙っている。諸君もこの覚悟を胸に今から配るカナリアのユニフォームを着てもらう」

そう言いながらロベルトはユニフォームの束を解き、近くのベンチに並べ始めた。
たちまち選手達に緊張感が走る。誰がエースを象徴する10番を貰えるのか?と。

ロベルト「FWから始める。まずはザガロ、お前は11番だ」

ザガロ「…はい(やっぱりカルロスの野郎かよ…)」

最初に呼ばれたザガロは与えられた11番を不満そうに受け取った。11番はFWとして
主力選手の一人に数えられていると言う証ではあるが、10番の様な特別の背番号ではないのだ。

255 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/11(木) 18:53:46 ID:hVGvVKus
ところが次に呼ばれたカルロスに与えられた番号を知った時、ザガロの機嫌は急回復した。

ロベルト「次はカルロス。お前は9番だ」

カルロス「…はい」

ザガロ「(マジか!へっ、ざまあみろ!)」

ブラジルメンバー「(えっ、カルロスじゃないのか?)」「(となると、司令塔になるサンタマリアか?)」
「(監督の構想ではネイが攻撃の軸なのかも…)」「(中盤の要のトニーニョも有り得るな)」
「(大穴で将来性を見込んでマウリシオとか?)」「(流石にDFのディウセウは無いよな…)」

カルロスに渡された背番号は主にエースストライカーを意味する9番だった。
やや驚いた顔でそれを受け取るカルロスの背後で他の10番候補に向かって視線がさ迷う。
続いてオルヘスが12番、プラトンが14番をそれぞれ与えられた後MFの番になった。

256 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/11(木) 18:53:59 ID:hVGvVKus
ロベルト「続いてMFだ。サンタマリア、お前は5番だ」

サンタマリア「はい(5番か。まあ悪くはない)」

ロベルト「トニーニョ、お前は8番だ」

トニーニョ「はい(これは本当にネイが…?)」

ロベルト「ネイ、お前は7番だ」

ネイ「えっ?はい…(えーっ!俺でもないのか!?)」

ロベルト「マウリシオ、お前は17番だ」

マウリシオ「はい(ま、俺じゃないよなー…ってじゃあ誰だ?)」

257 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/11(木) 18:54:19 ID:hVGvVKus
ディウセウ「(え…?まさかオラ?オラなのか?)」

ところがMFの番になってもカルロス以外に10番候補と思われていた選手達は悉く別の背番号を与えられ、
もしかして守備的な選手には滅多に与えられない筈の10番がディウセウに行くのかと選手達の顔に驚きが走る。



ロベルト「コインブラ、お前は10番だ」

コインブラ「はい」

ブラジルメンバー『な…なにィイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!?』



しかし実績が皆無のコインブラが10番を受け取った時に走ったショックはその比ではなかった。

258 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/11(木) 18:54:30 ID:hVGvVKus
ロベルト「静かにしろ!次にDF…」

ザガロ「これが静かにしていられるかァ!何考えてやがるんだ!」
ジェトーリオ「そーだよそーだよ!いくらなんでも納得できないよ!」
ドトール「か、監督、これはあまりにも…」
アマラウ「流石に何の弁護も出来ねーぞこりゃ…」
トニーニョ「説明を求めます、監督!」
ネイ「10番を何だと心得ているんですか!」

そして当然選手達は大爆発した。何処の馬の骨かも分からない男を招集した挙句、
よりにもよって10番を与えるとは何事だ!と異口同音の抗議が雨の様に降り注ぐ。
それに対しロベルトは舌打ちをしてからコインブラに目配せをし、彼はそれに頷いてからチームメイト達に振り返った。

コインブラ「かかってこい」

そのシンプルな一言で批判の視線はロベルトからコインブラに移った。

259 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/11(木) 18:54:42 ID:hVGvVKus
ザガロ「言ったな?てめえからその10番を剥ぎ取ってやるぜ」

コインブラ「俺に勝てれば文句はない」

ネイ「よーし、やってやろうじゃないか!」

ディウセウ「ヘヘッ、オラワクワクしてきたぞ!」

サンタマリア「(とうとう奴の実力を確認するチャンスが来た!)」

カルロス「(ここで勝負しない手は無いな)」

コインブラ「……………」

10番を欲していた者達もそうでない者達も、10番を受け取って当然だと言う態度のコインブラに詰め寄る。
だが一人だけコインブラに挑もうとしない者も居た。

260 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/11(木) 18:54:53 ID:hVGvVKus
ザガロ「手っ取り早くシュート力で勝負だ!GKども、正GK争いのアピールチャンスだぞ!」

メオン「勝手に決めるな。まあいいだろう」

ゲルティス「俺はやらんぞ」

メオン「何!?」

腕組みをしたままフェンスに寄りかかり、一人観客を決め込んだゲルティスだった。

トニーニョ「…良いのか?ザガロの肩を持つ訳ではないが、正GK争いに不利になると思うぞ」

ゲルティス「構わん。この先いくらでもチャンスはある(それよりも奴の力を見る方が有益だ)」

コインブラ「誰が相手でも何の勝負でも良い。早く始めろ」

ブラジルメンバー「なんて態度だ…!」「思い知らせてやるぜ!」「俺たちをナメるなよ!」

261 :創る名無しに見る名無し:2010/11/11(木) 18:56:47 ID:MKdDP3s8
wktk

262 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/11(木) 18:58:45 ID:hVGvVKus
いったんここまで(必殺・焦らしプレイ!)

263 :創る名無しに見る名無し:2010/11/11(木) 19:43:36 ID:33bEOKZS
く、くやしい… でも感じちゃう!

264 :創る名無しに見る名無し:2010/11/11(木) 20:10:43 ID:f2YRQXLx
2さんの大きい(容量)の(更新)が…早く欲しいよう… ビクンビクン

265 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/11(木) 20:28:02 ID:hVGvVKus
余談だが、ロベルトはこの日の合宿風景を一切の取材禁止にしていた。
勿論コインブラ絡みでこの様なトラブルが起きるだろうと予測していた為である。
十数分後、彼は心底そうしておいて良かったと安堵していた。



ブラジルメンバー「ゼエ、ゼエ…」「ち、畜生…」「ば、化け物だ…」

コインブラ「……………」



驚愕、疲労、屈辱、そして絶望感に打ちのめされた選手達を冷たい目で見下ろすコインブラ。
こんな絵がマスコミにすっぱ抜かれていたらブラジル全土が蜂の巣を叩いた様な騒ぎになっていただろう。

266 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/11(木) 20:28:15 ID:hVGvVKus
ザガロ「う、ウソだ。有り得ねえ…有り得ねえ…」

サンタマリア「(こんな…こんな実力の持ち主が、ユースレベルで存在するなんて…)」

トニーニョ「(何なんだ奴は!何故ここまでの選手が無名なんだ!)」

ネイ「…は、ハハ。悪い夢かよ、これ…笑えないぞ…」

マウリシオ「何コレ…一体何が起きてるの…?誰か教えてよ…」

ディウセウ「ま、まいったな。つええぜ…手も足も出ねえや」

アマラウ「信じられねェ…いくらなんでも信じたくねェ…」

ドトール「(一体監督は何処からこんな奴を…?)」

ジェトーリオ「おかしいな〜、何度頬をつねっても目が覚めないぞ〜…」

267 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/11(木) 20:28:26 ID:hVGvVKus
ドリブル。パス。シュート。タックル。パスカット。ブロック。競り合い。空中戦。スタミナ。
およそ思いつく限りのサッカーの実力の主な要素全てにおいてコインブラは
ブラジルユースに選ばれた猛者達の1番と同等か、それ以上を行った。
ほんの少し前コインブラに食って掛かって行ったフィールダー達は例外なくプライドを粉々にされていた。

メオン「……………」

レナート「こ、怖い…ボールが、怖いんだ…」

ゲルティス「(俺の直感は正しかった…奴は今すぐセリエAで、それもミランクラスで通用する。
一体奴は何者…?該当データが一切無いとはどういう事なんだ…理解不能、理解不能!)」

勿論GKも無事では済まず、メオンは何も言えない程のショックに四つんばいのまま硬直しており
レナートに到っては吹っ飛ばされた際の打ち所が悪く顔面に氷嚢を乗せながら呻いていた。
唯一被害を免れたゲルティスですら動揺しており、彼には非常に珍しく冷や汗をかいていた。

重く苦しい沈黙が練習場を支配する。それを破ったのはコインブラの無遠慮な一言だった。

コインブラ「…やはりこんなものか」

268 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/11(木) 20:28:37 ID:hVGvVKus
カルロス「くっ…!」

完全に見下したセリフに誰もが顔を歪める。しかし言い返せる者など存在せず、
誰もが薄く笑うコインブラの言葉を黙って聞く事しか出来なかった。

コインブラ「お前達でもなれる可能性があるのなら、さぞかし世界一とやらは価値が低いんだろうな」

ブラジルメンバー「(こいつ…!)」「(まるで他人事みたいに…!)」

コインブラ「それともこの世代のブラジル代表は世界的な恥さらしなのか?
確かリオカップのMVPと得点王はそれぞれ日本人とイタリア人だったな」

カルロス「(…なんだろう。笑っているのに…何か悲しそうだ)」

傷口に塩をなすりこむどころか硫酸をかける様な言葉を続けるコインブラの笑みは
何処か空しそうで不満そうだったが、それに気付けたのはカルロスだけだった。
他は皆絶望に押しつぶされているか、悔しさに歯軋りをしつつ復讐を誓っているかのどちらかだった。

269 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/11(木) 20:28:49 ID:hVGvVKus
ロベルト「ゴホン!…もうコインブラが10番を着る事に文句は言わせんぞ
(まさかこれ程までとはな…う〜む、喜ぶべきなのか悩むべきなのか…)」

ロベルトが咳払いをした所でようやくコインブラのワンマンショーは終わった。
その時殆どの選手がコインブラから目を背ける中、カルロスだけはコインブラの背中を見続けていた。

カルロス「(思い出せ、俺!あいつのプレイを何処かで知っている筈なんだ!
コインブラ…アルツール・アンチネス・コインブラ…ダメだ、コインブラなんて全く覚えが…
ん?アルツール?つづりは…Arthur………ま、まさか!?)」

コインブラ「………」

カルロス「アーサー?」

コインブラ「!」

ピクリ。

そしてカルロスがボソリと呟いた時、コインブラは肩を少しだけ震わせた。だがそれだけだった。

カルロスが引退後に語ったこのエピソードの為、ブラジルユースは信じられない程の
パワーアップを遂げる事になる。だがそれはもう少し後の話である。

270 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/11(木) 20:29:57 ID:hVGvVKus
リベリオ「(そんな事より読者の皆よ、ちょいと聞いてくれよ。スレとちょっと関係あるけどさ。
今日、ブラジル代表合宿参加したんです。ブラジル代表合宿。
そしたらなんか必殺技持ちキャラがテクモ版2より増えているんでスタメンになれそうにないんです。
で、よく見たらなんか顔無し台詞無しだった筈の連中が喋りまくっているんです。
もうね、アホかと。馬鹿かと。お前らな、どうせどんどん弱体化する分際で5では来れない
ブラジル代表合宿に来てんじゃねーよ、ボケが。弱体化だよ、弱体化。
なんかマウリシオとかもいるし。先輩後輩でブラジル代表合宿か。おめでてーな。
よーし俺ジョルトシュート撃っちゃうぞー、とか言ってるの。もう見てらんない。
お前らな、バナナシュートやるからその枠空けろと。
ブラジル代表合宿ってのはな、もっと殺伐としてるべきなんだよ。
自分を差し置いてシュートを撃ちやがった奴といつ喧嘩が始まってもおかしくない、
刺すか刺されるか、そんな雰囲気がいいんじゃねーか。別世代は、すっこんでろ。
で、やっと合宿が始まったかと思ったら、コインブラの奴が、かかってこい、とか言ってるんです。
そこでまたぶち切れですよ。あのな、かかってこいなんてきょうび流行んねーんだよ。ボケが。
得意げな顔して何が、かかってこい、だ。お前は本当に無双したいのかと問いたい。
問い詰めたい。小1時間問い詰めたい。お前、かかってこいって言いたいだけちゃうんかと。
ブラジル代表合宿通の俺から言わせてもらえば今、ブラジル代表合宿通の間での最新流行はやっぱり、
キーガン、これだね。オルヘス、キーガン、ゲレーロ。これが通の選び方。
キーガンってのはブロックが高めに設定されてる。そん代わりガッツが少なめ。これ。
で、それにオルヘスとゲレーロ。これ最強。しかしこいつらを選ぶと次から
オリキャラ厨としてマークされるという危険も伴う、諸刃の剣。素人にはお薦め出来ない。
まあお前らド素人は、ゲルティスでも使ってなさいってこった)」


初音「ただいま大変微妙で問題がありそうなネタをかましたのをお詫びします。
この物語のリベリオくんは出番の少なさ故ちょっとアレなので、生暖かい目で見守ってあげて下さい。
実際のリベリオくんはセリフも顔グラも無い無害な存在なので、ご安心の程を…」


271 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/11(木) 20:31:07 ID:hVGvVKus
沢山更新したので今日はここまで。
やっとブラジルユースを再登場させられた…

272 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/12(金) 19:23:58 ID:mpF7cUoO
〜ブラジルサンパウロ州、サンパウロ市〜

そしてもう一つのドラマの主役は翼だった。

今日彼は数日前出会った日本人学校の少年チームの下を再び訪れていた。
大喜びの子供たちは彼を質問責めにしたり指導を求めたり技の披露をせがんだりと大忙しである。

子供達「ねえねえ、好きな食べ物とかある?」

翼「う〜ん、これと言った好き嫌いは無いな。体に良い物なら何でも食べる様にしていたよ。
ああでも、生のセロリだけは苦手だなあ。サラダで出てくる度にウンザリしているよ」

子供達「中々スタミナがつかないんだけど、どうしたらいいかな?」

翼「それなら水泳がお勧めだよ。水の中で動くだけでもエネルギーを使うし、ケガをしにくいのも有難いんだ」

この何でも無い会話は翼にとって程よい心のリハビリとなっていたし、翼自身もそう認識していた。
だが一人の子供が発した何気ない一言が彼の運命を大きく変える事になる。

273 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/12(金) 19:24:09 ID:mpF7cUoO
子供達「翼さん、サイクロンやってみて!」「あ、見たい見たい!」

翼「へ…?サイクロン?」

子供達「知らないのー?ジャイロの必殺技だよ!」

翼「いや、ジャイロもサイクロンも知っているけど、俺は一度もそんな技使った事はないよ?」

ジャイロ。ペレより前の世代のサッカー選手であり、未公認記録も含めると20年近い
キャリアの中で1000近いゴールを入れたと言われる伝説のプレイヤーである。
当時まだサッカー強豪国と認識されていなかったブラジルの地位を向上させた功績を称えて
スーパーストライカーと呼ばれる彼の代名詞が彼が編み出した必殺シュート、サイクロンである。

子供達「えー?翼さんなら撃てると思ってたのにー」

翼「ジャイロは謎の多い選手でね。サイクロンも資料らしい資料が残っていなくて、どんな撃ち方をすれば
出来るのか誰も知らないんだ。現にジャイロ以外サイクロンを撃てる選手は未だかつて現れていないそうだよ。
以前聞いた話では、ドライブシュートみたいに上から急激に下に落ちるらしいけれど…」

274 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/12(金) 19:24:22 ID:mpF7cUoO
サイクロンを取れるキーパーは誰も居なかったとすら言われる。
しかし今では誰も撃てない幻のシュートと言われ、何時しか知られざる伝説となった。
翼もロベルトから”ブラジルでは半ばお伽噺さ”と雑談として聞いた事しかない。

子供達「う〜ん、サイクロン…どんなシュートなんだろう」「そもそもサイクロンってどんな意味?」

翼「暴風…つまり、嵐の事だね。ひょっとしたら竜巻みたいにグルグル回りながら落ちるドライブシュートなのかもね」

子供達「あ、じゃあ横回転をかけた浮き球でドライブシュートを撃ったらそうなるんじゃないかな?」
「おおー、お前頭良いじゃん!」「やってやって!翼さんやって!」

翼「えっ!?」

子供達からの突飛な発想から生じた可愛いリクエスト。ただそれだけの筈なのに。

ドキン。

翼の胸は急に高鳴りを覚えた。

275 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/12(金) 19:24:33 ID:mpF7cUoO
先生「ちょ、ちょっと!無茶な事を言って翼さんを困らせるんじゃないの!」

翼の動揺を無理難題を押し付けられたせいだと思った先生が慌ててやってくる。だが今の翼には彼女の言葉は届かなかった。

スクッ…

翼「横回転をかけた浮き球で、ドライブシュートを撃つ…」

先生「え?つ、翼さん?」

子供達「おおー、やる気だー!」「頑張ってー!」

この時翼を動かしていたのは彼が忘れて久しかった感情だった。
初めてオーバーヘッドキックやドライブシュートに挑戦した頃の懐かしい気持ち。
何時の間にか失くしてしまっていた感情が今一度翼の心の中で静かに燃えていた。

彼はごく自然に自分のボールの前に立ち、当たり前の様に足を振り上げていた。

276 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/12(金) 19:24:43 ID:mpF7cUoO
                               バシュン!!
                               ヒュルルルル!

                強烈な横回転をかけられたボールが翼の上空に上がり、勢い良く落ちてくる。
                  翼はそれを迷いなく渾身の力を込めたドライブシュートで撃ちぬいた!

                翼「…うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

             バッギャァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!

                   ギュォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!

                ズギュルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルル!!!

                  ヒュゥウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ…

                                翼「あ………」

       そしてボールは天高く飛び、いくつもの建物を超えながら視界から消えていった。螺旋状の軌道を描きながら。

277 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/12(金) 19:24:57 ID:mpF7cUoO
子供達「あー!凄ーーーい!!」「飛んでった!竜巻みたいに飛んでった!」
「でもあれじゃゴールに入らないじゃん」「コントロールがしっかりしてればちゃんとゴールに行くって」

好き勝手に騒ぐ子供達の声が何処か遠くから聞こえてくる様だった。

先生「あ…ああ〜、ボール、飛んで行っちゃいましたね…」

呆気に取られた様な先生の呟きもロクに耳に入らなかった。

翼「…すいません、ボールを回収しないといけないので今日はこれで失礼します!」

ダダダダダダッ!!

先生「あ………」

子供達「バイバーイ!」「また来てねー!」「今度は完成版サイクロン見せてー!」

その時の翼の表情は、どんな子供達の物よりも子供らしく見えたと言う。

278 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/12(金) 19:26:53 ID:mpF7cUoO
いったんここまで。

279 :創る名無しに見る名無し:2010/11/12(金) 19:35:28 ID:2FPDbd4K
元祖サッカー小僧を救ったのはまたサッカー大好きな子供たち。
胸熱ストーリーですな

280 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/12(金) 20:47:33 ID:mpF7cUoO
翼は走っていた。ボールを回収する為ではなく、チームの練習用グラウンドに向かって。
あのボールは彼のサイン入りだったので、痩せても枯れても名門サンパウロFCのプロ選手である
彼のボールはそれなりの値段で売れてしまう。故に翼は最初からボール探しは諦めていた。

それよりも早く、一秒でも早く、もう一度あのシュートを撃ちたかった。
息を切らせても、脚が震えても、翼は走り続けた。ただただサッカーを求めて。

翼「ハアッ、ハアッ…」

もどかしい時間の後練習場にたどり着いた翼は汗を拭く事すらせず
シュート練習に入ろうとしたが、既に先客が居た。チーム1のベテラン、ネルソンである。

ネルソン「ツバサ…?」

翼「どうも、こんにちは」

281 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/12(金) 20:47:46 ID:mpF7cUoO
挨拶もそこそこにさっさとボールを用意する翼の姿にネルソンは目を丸くするしかなかった。
これがあの日夜悲壮感と無気力に苦しむ若者と同一人物なのか、真剣に疑いたくなる程だった。

だが次に彼の目の前で行われた風景は更に信じがたい物だった。

翼「(ボールにスピンをかけて自分の真上に蹴り上げる!)」

バシュン!!
ヒュルルル!

翼「(そして落下するボールにドライブシュートをかける!!)」

グワァアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!

翼「(蹴り上げた時の回転力、ボールのスピードと高さ、そしてドライブシュートのパワー!
4つの力が1つになる時、ボールは無敵の力を秘めたサイクロンになる!!)」

バッギャァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!

282 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/12(金) 20:48:02 ID:mpF7cUoO
ネルソン「なにィ!!」

ギュォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!
ズギュルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルル!!!

ガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!

ヒュー…
ポトッ…
コロコロコロ…

翼「くっそ〜…ポストか…」

ドライブシュートの様に上空から急降下しながら、横倒しの竜巻の様に螺旋状に回転する。
そんな軌道の超高速シュート。非常識としか言い様が無い光景をネルソンは目の辺りにした。

283 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/12(金) 20:48:13 ID:mpF7cUoO
翼「もう一度…あれ?」

グラ、グラ…
ヨロッ…
バタン。

ネルソン「…当たり前だよ。高速で回転する物体はエネルギーが増す。あんな超高速回転をかけた
ボールを蹴ったらインパクトの瞬間に足首に伝わる衝撃は普通のシュートの比ではないだろう。
ましてや何があったか知らないが、長距離を全力疾走したらしい後で体力が尽きない訳が無い」

翼「ハ、ハハ…言われてみたら当たり前ですね…俺ってバカだなあ…」

ネルソン「湿布と水を取ってきてあげよう。休憩しながら話を聞かせてくれ」

翼「はい…」

284 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/12(金) 20:48:27 ID:mpF7cUoO
数分後、翼はネルソンにほんの少し前の経緯を話していた。

ネルソン「君がオフの度に何処に行っているのかと思ったら、そんな事があったのか」

翼「はい…あの」

ネルソン「何だね?」

翼「サイクロンって…あれで良いんでしょうか?」

ネルソン「…知らんよ。もし原理を知っていたら私だって挑戦していただろう」

翼「そうですか…ネルソンさんならひょっとしたら、と思ったんですが」

ネルソン「本当に知りたかったらジャイロに聞くしかないだろうが…あの方は引退後は世捨て人の様な
暮らしをしたらしい。そして数年前病気で亡くなった。今となっては真相を知る者は恐らく居ないだろう」

285 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/12(金) 20:48:51 ID:mpF7cUoO
翼「………」

ネルソン「ただ、私は今君が撃った物は本当のサイクロンにかなり近いと思う」

翼「えっ?」

ネルソン「ドライブシュートの様な落ち方と言う条件を果たしているし、サイクロンと言う単語から
イメージされる螺旋状の回転もある。なにより、足に尋常ではない負担がかかる事だ」

翼「足への負担が?何故ですか?」

ネルソン「ストライカーは誰しも必殺シュートによる体へのダメージに悩まされる。
当のジャイロも選手生活の晩年はサイクロンが撃てなくなり、それでかなり叩かれたらしい。
これは私が以前聞いた説なのだが…サイクロンの伝承者が一人も現れなかったのは
ただ単に撃つのが難しいだけでなく、撃ったらどんどん体を痛めてしまうからでは?と言う説だ」

286 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/12(金) 20:49:07 ID:mpF7cUoO
翼「そういえば…さっきからずっと冷やしっぱなしなのに、まだ足が痛いままです」

ネルソン「やはりな。そこで一つの疑惑が生まれてくる。サイクロンの撃ち方は誰も知らないのではなく、
知る者は皆口を閉ざしたのではないか?いくら数十年昔の話とは言えど、
不自然な位情報が残っていないのはそんな事情があるのでは…まあ、検証のしようもない話だ」

翼「……………」

ネルソン「いや、むしろ…本当のサイクロンは誰も撃てないのかも知れない。
サイクロンはジャイロが自分の選手生命を賭けて編み出した奇跡のシュートだ。
そんなジャイロの命とも言えるサイクロンを誰が真似など出来るだろうか?」

翼「ネルソンさん…」

ネルソン「だが君は偶然とは言え…いや、まるで運命に導かれる様に自力でサイクロンに近づき、
ついにスーパーショットを編み出した。それは君が編み出した新しいサイクロンなんだ。時代は代わった。
ジャイロの時代より人体は強くなり、医療技術も進歩し、サッカーも新しいステージに入っている。
サイクロンも墓の中から蘇り、新しい伝説を築いて良いのかも知れん。君がその使い手となってな」

287 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/12(金) 20:49:49 ID:mpF7cUoO
長々と熱弁をふるったネルソンはここで息をつき、じっと翼を見つめた。
彼と出会って以来まるで見せなかった炎を瞳に灯している翼を。

翼「…ネルソンさん。俺、やります。俺の新しいサイクロンで新しい伝説を作ってみせます。
今までサンパウロにかけた迷惑の分も…俺はやってみせます」

ネルソン「その言葉を聞ければ、喉が渇くまで長話をした甲斐があったと言う物だ」

翼「有難う御座います…色々と」

ネルソン「ならば早速恩返しをしてもらいたいな。さしあたっては、私だけペラペラ喋るのは公平ではない。
一度君とじっくり話し合いたいと思っていたし、君について聞かせてくれないか?」

翼「俺について?」

ネルソン「ああ。無礼を承知で言うが、サッカーに関しては論外だと思っていた日本人の君に
どうしてここまでの力を得たのかに興味は尽きない。はっきり言って突然変異の珍獣同然だ」

翼「珍獣って…酷いですよ」

苦笑と共に翼はゆっくりと語り始めた。自分の生い立ち。サッカー後進国である日本。
出会ってきた敵と友。今までの激戦。味わってきた苦難と栄光。そして自分がそれらをどう感じたかを。

288 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/12(金) 20:50:00 ID:mpF7cUoO
この時翼は気付かなかった。練習場のすぐ外に居たオリベイラとバモラが一部始終を見ていたのを。

バモラ「ん〜、何て言ってるのカナ。ここからじゃ聞こえないネ」

オリベイラ「あの顔を見れれば十分だ。もう行くぞ」

バモラ「ちょっとツマンナイけど、そうしようか。オリベイラの教育方針は上手く行ったみたいダネ」

オリベイラ「全く、手間をかけさせてくれた物だ。スーパールーキーはこれだから困る」

バモラ「そう思うんならネルソンさんに後始末押し付けるんじゃないヨー」

オリベイラ「俺は鞭担当だ。飴はネルソンさんに任せるさ」

バモラ「物は言い様だネー」

289 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/12(金) 20:51:13 ID:mpF7cUoO
いったんここまで。

>>279
キャプ森でもたまには(たま、と言う程でもない?)王道があっても良いと思うのです。

290 :創る名無しに見る名無し:2010/11/12(金) 20:58:23 ID:045r9X2U
森崎にもこういうイベントありますか?

291 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/12(金) 20:59:58 ID:mpF7cUoO
>>290
別タイプのイベントを用意してあります。ただし選択や乱数に
影響されるので、どうなるかはまだ私にもわかりません。

292 :創る名無しに見る名無し:2010/11/12(金) 21:55:37 ID:znJ8SUTA
dです
これは慎重に行かないといけませんね

293 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/13(土) 07:13:22 ID:S7luakBp
翼「…そして、今に到ります」

翼の話は小一時間にも及んだ。ネルソンは時折相槌を打ちながら熱心に耳を傾けていたが、
終盤に近づくにつれ段々呆れた表情になっていき、終わった時に深々とため息をついた。

ネルソン「君は実に馬鹿だな」

翼「うっ」

ネルソン「愛妻家の私としては、君がそのサナエと言う少女にした事は許されざる事だ。
自分自身が作り上げた問題を助けてくれようとした想い人に罪をなすりつけるとは何事だ。
タイミングが悪い失言だったとしても、彼女が言わなければ別の誰かが言っていただろう。
もう君は彼女の前に立つ資格は無い。謝罪すらしない方が良い。彼女が早く忘れられる様にな」

翼「…返す言葉も、ありません…」

ネルソン「確かに何も言えんだろうな。愛する女性を失い、更にサッカーまで
自ら手放そうとしていたのだ。これを愚かと言わずに何と言おうか」

294 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/13(土) 07:13:35 ID:S7luakBp
容赦の無い言葉に翼は縮こまる事しかなかった。温厚なネルソンをしてこうまで言わせるのだから
第三者の目から見れば自分が早苗にした事は言語道断なのだろう。

ネルソン「だが…君は男としては言い訳のしようが無いが、サッカー選手としてなら同情の余地はある」

翼「…同情、ですか」

ネルソン「同情だ。哀れみとも言う。要は見下しているだけだが、拒絶よりはマシだろう?」

翼「具体的に、どんな所が同情に値すると感じたんですか?」

ネルソン「………」

ここでネルソンは一旦言葉を切り、空に目を向けてから物憂げに話を再開した。

295 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/13(土) 07:17:01 ID:S7luakBp
ネルソン「サッカーには嫌な事、苦しい事、醜い事が沢山ある。一つ一つ述べるのも嫌になる程な。
私自身失敗と後悔続きだよ。サッカーを止めたくなった事も何度もある。そこに同情した」

翼「………」

ネルソン「君はそう言ったサッカーの嫌な部分から目を逸らそうとして潰されかけていた。
パルメイラスのモリサキに勝てば何かが変わると信じて、実際に勝ったのに何も変わらなかった。
当然の話だ。プロサッカー選手のキャリアは長い…18歳でデビューしたとして、28歳で引退しても10年。
33歳なら15年。私の様に20年以上続けている者すら居る。たった一人のライバルに
たった一回勝つだけで燃え尽きてはプロは務まらない。どんなに特別な相手でもな」

翼「(何か言い返したいけど、何も言えないってこういう時なんだろうな…)」

ネルソン「だが…今の君の瞳には闘志が戻っている。辛くても、上手く行かなくても、
サッカーをしたい、続けたい、戦いたい…そんな気持ちが篭った良い目だ。
その気持ちを大事にしたまえ。そうすれば君はもう迷う事は無いだろう」

翼「………はい!」

そして彼の話が終わった時、翼は力強く頷く事が出来た。
ネルソンも優しく微笑む事が出来たが、内面では割と不謹慎な事も考えていた。

296 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/13(土) 07:17:15 ID:S7luakBp
ネルソン「(く〜…これだ。ダンディなベテランと悩めるルーキーの交流とはかくあるべきだ。
決まった。今の私はとてつもなく渋い!渋すぎて自分が怖い位だ)」

翼「ネルソンさん?」

ネルソン「(おっといかん、ダンディなナイスミドルはニヤニヤしたりせん)何だね?」

翼「そろそろ練習に戻ろうかと…」

ネルソン「いや、焦るな。今日はもう止めて、明日から怪我防止の準備を山ほどしてから習得に励みなさい。
あのシュートは君ですらコントロール出来ない程の超難度だが、本当に恐ろしいのは足に来るダメージだ。
なまじバランス良く恵まれた君の足首だと、気付かない内に巨大な爆弾を抱える事になりかねない。
時間をかけてサイクロンを撃てる技術だけでなく、サイクロンに耐えうる肉体を作り上げなさい。
さもなくば君は折角会得した超大技を封印するか、選手生命を削って戦うかの二択を迫られてしまうよ」

翼「なるほど、確かに。これからもご指導よろしくお願いします」

297 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/13(土) 07:17:26 ID:S7luakBp
こうして翼は幻のシュートを編み出し、それを切欠にスランプから脱出した。

これだけで終わっていれば美談なのだが、そうは上手く行かないのが人生である。



ジウ「ハアハア、ツ、ツバサー!ここに居たのかー!」

翼「へ?どうしたんだ、そんなに慌てて」

ジウ「どうしたも何も…クラブに警察が来てるんだよ!お前を探して!」

翼「えええっ!?な、なんで警察なんかが俺を!」

ジウ「だって、どっかの駐車場の道路に大穴が開いてるんだよ!そしてその穴の底にお前のボールがあったんだ!」

翼「……………え゛」

ネルソン「…君は、一体、何をしたのかね…」

298 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/13(土) 07:17:41 ID:S7luakBp
翌日、サンパウロのマスコミはこの珍エピソードをこぞって騒ぎ立てた。幸い人的被害は出ていなかった為
笑い話で済んだが、翼は相当な額の罰金と修理代を取り立てられたと言う。
無論クラブ幹部や監督から大目玉を食らったのは言うまでもない。

以下はサンパウロの人気選手3人のコメントである。

ネルソン「ルーキーはこれだから困る」

オリベイラ「サンパウロの恥さらしめ」

バモラ「危ないから街中でシュートしちゃダメだヨ!バモラとの約束ダ!」



翼「おかしいな…これじゃまるで俺がギャグキャラみたいじゃないか…グスッ」




299 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/13(土) 07:18:09 ID:S7luakBp
いったんここまで。

300 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/11/13(土) 07:25:53 ID:S7luakBp
宣伝です。

ただいま以下のURLにて、『キャプテン森崎外国人キャラクター人気投票』を行っております。
http://capmori.net/vote/vote13/bbs.cgi

○投票期間 2010/11/13(土)00:00〜2010/11/26(金)23:59
○一人一日、異なる項目に一票ずつ入れることができます。
 同じ項目に再度投票するには24時間空けてください。
○新しい項目は一人いくつでも追加することができます。
 対象は「『キャプテン森崎』本編に登場した外国人キャラクター名」のみです。
 日本人キャラ・未登場キャラは含みません。

沢山の人に投票して頂けると嬉しいです。また、今回は結果発表の形式の
提案なども受け付けます。上手く出来そうな物があったらそれを採用しますので、
ご遠慮なくここに書き込みをどうぞ。

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