キャプテン森崎 Vol. II 〜Super Morisaki!〜
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【貴族の傲慢】異邦人モリサキ2【傭兵の意地】

1 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/25(水) 23:41:56 ID:bpgysf+M

本作は恋愛SLG『みつめてナイト』を基にした二次創作です。

騎士の時代が終わりつつある南欧は架空の小国、ドルファン王国。
戦火の迫るこの国に傭兵として降り立った東洋人、森崎有三の体験する
波乱万丈の三年間を描きます。



401 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/28(火) 00:36:03 ID:???

*D26.8月
フレーバーテキスト


◎イリハの傷

「ヴァルファ、シンラギ対陣続く……か」
『こんなこと言う日が来るとは思わなかったけど……シンラギ様々、だねえ』

ふわふわと飛ぶピコの言葉に、森崎が新聞から顔を上げて大きく伸びをする。
戦場で負った傷はすっかり癒えていたが、鈍った身体はまだ戻りきっていなかった。

「シンラギなんぞに救けられるたあ……ケッ、情けなくて涙も出ねえや」
『上海でもカフカスでも散々やられたからね』
「うるせえよ! ラダックじゃあ勝っただろうが!」
『南葛では戦うこともできなかったくせに』
「……」
『……ごめん』

シンラギ、正式な名称をシンラギククルフォンというその組織は、東洋圏に拠点を置く軍事結社である。
ちなみにククルフォンとはウズベク地方に伝わる猿の妖怪を指す。
軍事活動部門を右陣、テロ活動を行う部門を左陣、政治活動部門を本陣と呼び習わし、
右陣では紅東軍団、紫南軍団などが東洋圏の大きな戦役で勇名を轟かせている。
流浪の傭兵たる森崎もまた、何度も苦渋を飲まされた相手であった。
今回プロキアに雇用されたのはその右陣、紫南軍団と呼ばれる一団である。

「……ま、実際イリハはひでえ負け戦だったからな。連中がテラ北河を渡ろうとしてなけりゃ
 ヴァルファは取って返したりしなかったし、そうなりゃ追い討ちで俺らは間違いなく全滅してた」

402 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/28(火) 00:37:04 ID:???
森崎たち外国人傭兵大隊の活躍によりヴァルファ第三大隊を壊滅に追い込んだ
ドルファン軍右翼であったが、戦線を押し込むことはできなかった。
辛勝を収めた傭兵大隊には追撃の余力は残されていなかった上に、後詰の第三、第五大隊は
とうとう右翼に投入されることはなかったのである。
原因は、左翼である。
森崎たちの至近、即ちドルファン軍右翼に現れた大軍、トロサ騎士団。
彼らが本来担当していたのが、左翼であった。

「まさか担当正面をまるっきり放棄して転進してるなんざ、思わねえだろ普通……」
『あのまま街道通って帰っちゃったんだっけ、あの人たち』
「ああ……地元まで引き返して、『将帥の負傷により』だか何だかって言い訳の書面寄越したらしいぜ」
『何しに来たんだろうね……』
「さあな。おそろしく強かったのはこの目で見たが……何がしたかったのかは、正直さっぱりだ」

大穴の開いた左翼から雪崩込んだ敵軍により、ドルファン本隊である中央、第二大隊は
側面からの攻撃に対応しきれず、半包囲の窮地に陥った。
慌てて投入された後詰の軍勢では、一度傾いた形勢を覆すには至らない。
ほとんど総崩れとなった本隊は多数の死傷者を出しながら右翼の残存部隊とともに交通の要衝、
中部ウエールの北まで撤退を余儀なくされる。
迫るヴァルファの第二、第五大隊の勢いにウエールの陥落すら時間の問題と思われたとき、
もたらされたのは北部国境戦線の一報である。
シンラギ・プロキアの混成軍が、ヴァルファ本隊を迂回して国境であるテラ北河の渡河を企図し、
大規模に展開しているというものであった。
南北の二正面に兵力の大半を割いているヴァルファとしては、拠点である都市ダナンへの強襲は
絶対に避けねばならぬ事態である。
かくしてヴァルファの侵攻部隊は転進、ドルファン側は残存兵力の全滅とウエールの陥落を
辛くも免れたのだったが、局地戦での勝利を無に帰す、事実上の大敗であった。

403 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/28(火) 00:38:12 ID:???
「今、こうして生きてんのもシンラギと……あとはまあ、ヤングのおっさんのおかげ、ってか。
 あのとき向こうの傷が開いて槍が滑らなけりゃ、真っ二つになってたのは俺の方だったろうからな」
『……』

武骨にして口の悪かったハンガリア人の顔を思い出したのか、ピコが眉尻を下げて黙りこむ。
と、湿度の高い沈黙が降りかけた部屋の空気を吹き飛ばすように、森崎が笑ってみせた。

「暗い顔すんな! 俺たちゃ切った張ったで飯食ってんだ、おっさんや他のくたばった連中と
 俺らの違いなんざ、昨日死んだか明日死ぬかって程度のもんよ。
 んなこたあ、初陣の前に女奢られて腰振ってるヒヨっ子だって弁えてるぜ」
『うん……そうだね』
「しっかし、情けねえのは騎士団の連中だ」

うっすらと浮かんだ涙をこしこしと手の甲で擦るピコの頭をひと撫でして、森崎が話の向きを変える。

「指令は聞かねえわ、陣形も戦略もなしに突っ込んじゃあ無駄に死人を出して逃げ帰るわ……。
 ああクソ、敵として相手したかったぜ……馬も武具も選り取り見取り、おまけに貴族の子弟となりゃ
 捕虜にして身代金も取り放題だったのによ……」
『ヴァルファは大儲けしたんだろうねえ』

潰走した第ニ大隊の生存者は半数強。
右翼でヴァルファと交戦し壊滅した第四大隊に至っては参戦した兵の七割近くが死亡するという
凡そ考えられない被害を出していたドルファン正規軍であったが、その死者の殆どは歩兵や従卒といった
平民階級の者たちである。
騎兵、即ち騎士階級とみなされる者の多くは殺害されることなく拿捕され、多額の身代金と引換に
ドルファンへと帰還を遂げていた。

404 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/28(火) 00:39:35 ID:???
「俺たち傭兵は片っ端からぶっ殺されちゃあ身ぐるみ剥がれて捨てられるだけ、
 良くて奴隷として売っぱらわれるのが関の山だってのに、不公平な話だぜ」
『でもお金が払えなかった家の人は、捕虜にされてもやっぱり殺されちゃったんでしょ?』
「まあな……騎士とは名ばかりで、恩給暮らしをしてるような没落貴族も多いみたいだからな。
 腕もねえ、カネもねえのに気合だけで戦場に出た時点で、三途の川を渡るのは決まってたようなもんだ」
『ふ〜ん……それにしてもこの戦争、これからどうなるんだろうねえ……』

ふわりと飛んだピコが、森崎の手に腰掛けて新聞を覗き込む。

「さあな……プロキアとシンラギ次第ってとこじゃねえか」
『ドルファンの騎士にも頑張ってもらわないとね』
「まあ、自由騎士どもでなけりゃ少しはマシだと思いたいぜ。
 いつまでも俺らだけで孤軍奮闘ってんじゃ割りに合わねえからな……」

言って窓の外を見る森崎。
夏の陽射しは朝から真白く街を照らしている。

「さ……今日は、葬式だ」

首都城塞を覆う熱波は、収まる気配もない。


******

405 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/28(火) 00:40:36 ID:???

*D26.8 「気のいい話題の人」森崎有三
訓練所イベント

******


葬送の列は長く、足取りは重い。
幾十もの棺を担ぐ二百余の男たちが纏うのは例外なく黒衣である。

「……」

無言のまま歩む黒衣が担ぐ棺には、実のところ遺骸など入っていない。
撤退に撤退を重ねた負け戦に、戦死した者たちを後送する余裕などありはしなかった。
そしてまた、真夏のことである。
生き延びた者たちが再び戦場跡に赴いたとき、形を保っている骸などあるはずもない。
そもそもが鎧や剣など金目の物は敵兵や賊、付近の住民によって剥ぎ取られ、残った骸は
誰彼かまわず山積みにされている状況であった。
腐り融けた肉の山を掻き出して供養する習慣は、西欧にない。
代わりに棺に入っていたのは、死者たちが生前に使っていた形見の品々だった。
それはたとえば古びた銅貨であったり、僅かに中身の残った安酒の瓶であったり、
或いは馴染みの娼婦の肌着であったりと、形見といっても宿舎住まいの傭兵の身の上、
他愛もないものばかりである。

「……」

からり、からりと。
がらんどうの棺から、他愛もない中身の転がる、他愛もない音がする。
黒衣の男たちは、無言である。


***

406 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/28(火) 00:41:37 ID:???

「……終わった、な」

海を望む断崖の上、広い墓地の片隅にある古ぼけた石碑と、その脇の真新しい墓碑を見やって、
森崎が息をつく。
葬儀を終え、周囲には既に人の姿はない。
暮れなずむ夕陽に照らされた古い石碑は、戦死者の慰霊碑である。
個別の名を刻まれることもない、墓とすら呼べぬ古今合同の碑であった。
骸のない棺はようやく葬儀を終え、少し離れた場所に形だけ埋葬されている。
本来であれば土に還り骨だけとなるまでは静かに眠らせるものであったが、何しろ彼らは骸がない。
数日後には再び掘り起こされ、形見の品が納骨堂へと納められる手はずだった。

「……墓が作ってもらえるのはおっさんだけ、か」

慰霊碑の隣、新しい墓碑に刻まれる名はヤング・マジョラム。
正規軍大尉であった彼にのみ、遺族には恩給が支払われ、また隊葬としての経費も支給されている。
しかし、そのヤングとて骸が墓に眠るわけではなかった。
棺に入っているのは苛烈な追撃の中、辛うじて持ち帰れた彼の愛剣とマントのみである。
寡婦となったのであろう女性の、葬儀の間中そのマントを抱き締め震えていた背中を、森崎は思い起こす。

「……」

その悲しみを、推し量ることはできない。
共有することも、できない。
流れのいくさ働きを生業とする森崎が、轡を並べた男たちの死に抱くのは悲しみではなかった。
そうであってはならぬと、自らに任じてもいた。
故に、森崎はただ踵を返す。
その墓に勝利を捧げることも、復讐を誓うこともない。

「あばよ、おっさん」

407 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/28(火) 00:42:38 ID:???
それだけを告げ、歩き出した森崎の前。
歩を遮るように立つ、影があった。

「ユーゾー・モリサキさん、ですネ?」
「……?」

いきなり名を呼ばれ、森崎が眉根を寄せる。
立っていたのは壮年の男である。

「おっト、そう警戒しないでくださイ。怪しい者ではありませン」
「……」

そう告げた男の、しかし怪しさはこれ以上ない程である。
灰金色の頭髪を丁寧に油で撫でつけたオールバックに、几帳面に切り揃えられた顎髭と、
首から上はひとかどの伊達男といった風情。
しかし、その服装たるや惨憺たる有様である。
素肌の上に直接着ていると思しき、乱暴に二の腕までまくり上げられたシルクのシャツはまだ許せる。
ボタンを上からいくつ開けているのか、筋骨隆々たる胸元が大きくはだけているのも、
不快ではあったが男所帯の傭兵団ではまだ見慣れたものといえた。
が、そこに農夫の如き朽葉色の麻ズボンが合わされると、これは奇妙を通り越してひたすらに胡散臭い。

「……何者だ、あんた」
「オゥ、ひどい距離を感じマス……」

大袈裟に肩をすくめた男が、訛りの強い語尾でそう言うと、ため息をつく。
しかし森崎は警戒を解かない。
葬儀帰りのこと、帯剣こそしていなかったが、徒手空拳でまるきり戦えぬというわけではない。
黒衣の下、そっと固めた拳はいつでも繰り出せるように油断なく構えられていた。


408 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/28(火) 00:43:42 ID:???
そも、中継貿易の拠点として雑多な人種の入り混じるドルファン王都においては格別に
意識されることも少ないが、服装とはその人間の所属する組織や階級をも表すものである。
流行や文化を追う富裕層の若者であればともかく、人品卑しからぬ壮年の男性が、
どの層に身を置いているのかもわからぬような風体をしているのは、それ自体が
侮蔑と警戒の対象としてくれと大声で叫びながら歩いているようなものであった。

「……」
「マジョラム大尉のコト、残念でシタ。お悔やみ申し上げマス」
「……?」

唐突に頭を垂れ、そう言った男に森崎が戸惑ったような表情を浮かべる。
決して葬儀に参列しにきたわけではなかろう服装の男が、しかし弔辞を述べる。
その意図を量りかねていた。
そもそも内輪のこと、先の戦から日も経ったこの日に葬儀を行うことを知る者はそう多くはない。
傭兵大隊の関係者か、或いは、

「申し遅れまシタ。私、バウミール・ルーカスといいマス。陸軍外局編成部、階級はカーネル、デス」
「……陸軍? それもカーネル……相当のお偉いさんってことか? あんたが……?」

ルーカスと名乗った男の語る身分と、その風体の差異に森崎がじろじろと男を睨めつける。

「カーネルと言ってモ、傭兵の皆サンと同格でないとキチンとした話をしにくいという理由デス。
 今回の皆サンはフリーですが、傭兵団の単位で雇い入れれば、隊長サンは皆カーネル扱いですからネ」
「……」
「要はハクつけの階級デス。実権は全然ありまセン。HAHAHA!!」
「……」
「まだ疑ってマスか? 心配いりまセン、モリサキさん。アナタにはこれから、私と一緒に
 王城に来ていただきマス。正門顔パスなら、きっと信用してもらえマスね」

409 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/28(火) 00:44:48 ID:???
では参りましょウ、とやはり訛りの強い語尾でそう告げたルーカスが踵を返して歩き出すのを、
森崎が慌てて呼び止める。

「ちょ、ちょっと待て! 待ってくれ! 王城!? 軍の本部から呼び出しがかかってるってことか!?」
「ハイ、その通りデスが、何か?」

事も無げに言ってのけるルーカス。

「何か? じゃねえよ! 今更責任問題ってか!? 勘弁しろよ、おい!」

森崎が泡を食ったのも無理はない。
先の大敗を受け、騎士団では第二・第四大隊長が共に更迭の憂き目にあっている。
その段でいけば、分隊長という低い役職とはいえ部隊責任者である森崎が王城に呼び出されるということは
何らかの責めを負わされるものと考えるのも自然であった。

「責任? あー……責任といえば、責任デスが……」
「……!」
「ユーゾー・モリサキ。編成部はイリハ会戦の結果を受け、アナタに―――」
「アーアー、聞こえなーい!」

耳に手を当てて抵抗する森崎。
そんな森崎の様子に怪訝そうな顔をしたルーカスが、告げる。

「アナタに、外国人傭兵大隊の隊長就任を要請いたしマス」
「アーアー……へ?」

きょとん、とする森崎に、ルーカスが小さくため息をついて首を振り、
まるで幼子を諭すように繰り返す。

「ですかラ、アナタに新隊長を務めていただきたいのデス、モリサキ」
「……なにィ!?」


410 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/28(火) 00:46:25 ID:???
***



事務手続きは簡便なものであった。
予め用意されていた何枚かの書類に署名をした、それだけである。



******


※称号が『気のいい傭兵隊長』になりました。

スキル『部隊指揮』を獲得しました。
種別:パッシブ
消費ガッツ:-
効果:戦争パートで傭兵大隊の指揮ができるようになり、幾つかのパラメータが追加される。
   また訓練パートの項目が開放される。


******

411 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/28(火) 00:47:26 ID:35jxfBfg

*D26.8月
訓練選択

『今月は何をするの? これまでとは少し変わってるから、注意してね!』

森崎有三
称号:気のいい傭兵隊長

個人パラメータ:
ガッツ175
剣術68 馬術10 体術62 魅力78 評価69
(ATK78 DEF140 SPD72 ini14)

部隊パラメータ:
兵数239 騎馬53 練度30

所属隊員:
トニーニョ(威圧Lv1)
ネイ(鼓舞Lv1)
ジェトーリオ(撹乱Lv1)


剣術・馬術・体術・魅力・礼法・墓守・休憩・部隊訓練・陳情の中から『二種類』選んで下さい。
(※隊長就任により、部隊訓練・陳情が可能になっています)

412 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/28(火) 00:48:35 ID:35jxfBfg
※システムメッセージ※

新システム『陳情』について説明いたします。
これは軍上層部とかけ合って兵員の臨時増強や騎馬の優先供給を要請するものです。
評価値を消費して、それぞれの数値を増やす形式になります。
具体的なレートは以下の通りとなります。

兵数増強:兵100につき評価値20
騎馬供給:騎馬100につき評価値5

『陳情』を選ぶ際には上記を参考に、何をいくつ要請するのかを付記してください。
兵員と騎馬を同時に陳情することも可能です。

注意:
このコマンドを使用しなくても、兵員や騎馬は定期的に供給されます。
また本作において、戦争パート以外で評価値を得る手段は極めて限られていますし、
評価値は様々な判定において比重が大きく設定されています。

※システムメッセージここまで※


同じ訓練を二つ選んでも構いません。
また個人訓練の内、剣術・馬術・体術を選んだ場合は、所属する隊員の中から
共に訓練する相手を一人だけ選ぶことができます。
所持スキルの強化・変化や、イベントによる称号取得が起こる可能性があります。

その際【選択理由】を必ず付記していただくようお願い致します。
期限は『8/28 18:00』です。

413 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/28(火) 00:50:11 ID:35jxfBfg
>>412訂正です。
期限は『8/28 23:00』とさせていただきます。
申し訳ございません。

414 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/28(火) 00:55:50 ID:???
******

何だかあっさり隊長に就任してしまいましたが…? といったところで
本日の更新はこれまでとさせていただきます。
夜遅くまでのお付き合い、ありがとうございました。
それではまた、次回更新にて。


415 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/08/28(火) 01:17:08 ID:???
陳情で兵数や騎馬を補充した場合、軍からの定期的な供給はなくなるんですかね?

416 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/28(火) 12:17:34 ID:???
>>415
いいえ、陳情による補充は定期供給とは別の枠としてカウントされます。

417 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/08/28(火) 19:05:42 ID:???
馬術 陳情 兵数増員100 騎馬補充100
馬術が手付かずなのでそろそろ訓練した方が良いと思います。兵数が少しでも多い方が戦争に有利ですので増員したいです。
騎馬補充は先の戦闘で騎馬はかなり有効でしたので少しでも多い方が良いと思いました。

418 :◆W1prVEUMOs :2012/08/28(火) 19:10:37 ID:???
馬術・馬術
馬術が低いので補いたい
しばらく対人関係の判定が自動成功し続けそうな評価値を対価に『陳情』するのは勿体無いかな

419 :Q513 ◆RZdXGG2sGw :2012/08/28(火) 19:36:13 ID:???
馬術・休憩
隊長が馬に乗れないとしまらないので。それとガッツは高めにもっておきたい
すぐには合戦はないだろうけれど、個人戦はいつあるかわからないので

420 :◆9OlIjdgJmY :2012/08/28(火) 19:41:42 ID:???
馬術・馬術
訓練効果アップのスキルが発動中なので、訓練判定のあるものを。
その中でも低い馬術を一気に上げたいです。

421 :◆9OlIjdgJmY :2012/08/28(火) 21:34:09 ID:???
投票時は気づかなかったけど

>9月/収穫祭:豊作を祝うお祭りです。剣術大会や馬術大会、武闘大会が開催されます。

それぞれ剣術・馬術・体術に対応してそうですね。

422 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/28(火) 23:33:03 ID:???

皆様、ご回答ありがとうございます。
それでは早速、>>412の選択については……

>>420 ◆9OlIjdgJmY様の回答を採用させていただきます!
そうです、なにぶん前スレのことではありますが、夏至祭の『幸運の星』効果は
「来月(7月)から3ヶ月間」ですので、9月までは積極的な訓練推奨なのでした。
よくご指摘いただきました!
CP3を進呈いたします。

また次点としまして、同様に馬術訓練*2を推していただきました>>418 ◆W1prVEUMOs様にも
CP1を進呈いたします。


>>417
おお、早速の大胆な陳情ですね。
実際兵数100はかなりの戦力増強ですし、たとえ全滅しても66%は次戦で使えるので
戦力面だけで考えるなら終盤で行うより次の戦争パート前にやってしまう方が効率的です。
騎馬にしても歩兵部隊と比較して採り得る戦術の幅が大きく広がりますしね。
…ただここだけの話、来月には最初の定期供給がありますので、その数値を見ていただいてから
再度ご判断いただいても遅くはないかもしれません!

>>419
そうですね、まだ余裕があるといえばありますが、100を割ってしまうと
突然の戦闘に対応できなくなってしまう可能性もありますので、ご注意くださいませ。

>>421
鋭いご指摘、ありがとうございます。
その通り、収穫祭では「3つのパラメータの内、最も高いもの」に自動的にエントリーされます。
実は戦争以外で評価値を稼ぐ(……といっても、戦争と比べれば微々たるものですが)
数少ないチャンスでもありますので、積極的に狙っていくのも有効かもしれません。

423 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/28(火) 23:34:12 ID:35jxfBfg
***

*訓練ダイス

※訓練は前後半に分かれています。
★マークごとにお一人づつ、!と numnumの間のスペースを消してダイスを引いてください。
目標値【30】に対しプラスマイナス30以内で成功、プラス31以上で大成功、マイナス31以下で失敗となります。
大成功時は成果が1.5倍、失敗時は0.5倍となります。


前半(馬術)1
! numnum + ! numnum + ! numnum =

前半(馬術)2
! numnum + ! numnum + ! numnum =

後半(馬術)1
! numnum + ! numnum + ! numnum =

後半(馬術)2
! numnum + ! numnum + ! numnum =


424 :ノータ ◆JvXQ17QPfo :2012/08/28(火) 23:37:01 ID:???

前半(馬術)1
53  +  16  +  53 =

425 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/08/28(火) 23:37:48 ID:???

前半(馬術)2
26  +  34  +  42 =

426 :源氏 ◆rLDAH8Hy8Y :2012/08/28(火) 23:39:55 ID:???

後半(馬術)1
94  +  41  +  29 =

427 :◆9OlIjdgJmY :2012/08/29(水) 00:07:00 ID:???

後半(馬術)2
96  +  23  +  77 =

428 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/08/29(水) 00:13:13 ID:???
【数値加算】
424の右にEP10消費して+10、63にして大成功へ

429 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/29(水) 00:23:34 ID:???

>>428
今回は特に影響が小さいので認めさせていただきますが、【数値加算】は原則として
当該判定から15分以内にお願いしております。
期限後に結果が大きく変わってしまうと描写をやり直さなくてはならないという
GMの実際的な都合によるルールで恐縮至極ですが、何卒ご理解の程お願い申し上げます。


******


*訓練結果

前半(馬術)1
53  + 16 + 53(+10) = 大成功1 成功2 失敗0

前半(馬術)2
26  + 34 + 42 = 大成功0 成功3 失敗0

→大成功1 成功5 失敗0


後半(馬術)1
94  + 41 + 29 = 大成功1 成功2 失敗0

後半(馬術)2
96  + 23 + 77 = 大成功2 成功1 失敗0

→大成功3 成功3 失敗0


***

430 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/29(水) 00:25:00 ID:???

皆様、ダイスロールありがとうございます。
それぞれEP1を進呈いたします。
結果が出揃いましたところで、ひとつご報告を。

この後で個人訓練を共にする相手を選択していただくのですが、このシステムですと
「訓練選択→相手選択」で一日余計に時間がかかってしまうため、次回からは
訓練選択時に「誰と訓練するか」も含めて記載していただく形式とさせていただきます。
不手際をお詫び申し上げます。

それでは改めまして。


***

431 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/29(水) 00:26:02 ID:???
*D26.8月
訓練相手選択


訓練内容
前半:馬術
後半:馬術


所属隊員:
トニーニョ(威圧Lv1)
ネイ(鼓舞Lv1)
ジェトーリオ(撹乱Lv1)


前半・後半の訓練を共に行う相手を、それぞれ所属隊員から選んでください。
所持スキルの強化・変化や、イベントによる称号取得が起こる可能性があります。
前後半を通して同じ相手を選択することも可能です。

また共同訓練は行わないことも可能です。
その場合はその旨をご回答ください。

その際【選択理由】を必ず付記していただくようお願いいたします。
期限は『8/29 23:00』です。

432 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/29(水) 00:29:06 ID:aTaI8lmk
******

訓練効率に影響はありませんし、また失敗ペナルティなども特にありませんが
スキルの「変化」が困る場合などを考慮して共同訓練をしないという選択肢を
設けました…といったところで、本日の更新はこれまでとさせていただきます。
夜遅くまでのお付き合い、ありがとうございました。
それではまた、次回更新にて。

433 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/08/29(水) 00:31:17 ID:???
申し訳ない、以後注意します

434 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/29(水) 00:33:59 ID:???
>>433
いえいえ、細かいルールまで把握しているのはGMだけで充分です。
…それすらたまに怪しいくらいですので、何かあれば是非ご指摘くださいませw

435 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/08/29(水) 10:09:21 ID:???
前半ジュトーリオ
後半トニーニョ
ジュトーリオに関しては撹乱のスキルを教えて欲しいです。
トニーニョは、威圧が強化されたらどうなるのかってのも見てみたいです。

436 :◆W1prVEUMOs :2012/08/29(水) 21:24:36 ID:???
前半ジェトーリオ
後半ジェトーリオ
先の戦いでは撹乱に助けられたので効果範囲・確率を上げておきたい

437 :◆9OlIjdgJmY :2012/08/29(水) 21:25:24 ID:???
前半トニーニョ
後半ネイ

部隊の副隊長的ポジションになるであろうトニーニョとまず話しておきたい
その次はやっぱりネイかな、キャプ森的に考えて。

438 :森崎名無しさん:2012/08/29(水) 23:09:28 ID:???
前スレ埋まっていないけどどうしましょうか?

439 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/01(土) 12:02:03 ID:???

皆様、ご回答ありがとうございます。
それでは早速、>>431の選択については……

>>437 ◆9OlIjdgJmY様の選択を採用させていただきます!
まず関係の重い方から固めていく、というのは一つの手法ですね。
CP3を進呈いたします。


>>435
申し訳ありません、スキルの強化や変化は「隊員の所持スキル」に限ってのことで、
森崎のスキルには特に影響を与えません……。
ただ「撹乱」はパラメータを上げていけば取得できますので、そちらを目指しましょう!
隊員スキルは、今回の更新を見ていただければお分かりになるかと思いますが、
レベルが上がるとかなり明確に強化されます。
基本的にはLv3が上限となっていますが、場合によってはその先にも……?

>>436
はい、撹乱は狙いが絞れると一気に強くなりますね。
早めに強化してしまえば、状況次第では一方的な攻撃が可能です。


前スレについてはGMが適当に埋めておきますね。

440 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/01(土) 12:03:07 ID:???
***

//馬術1


「うわっと、と……と!」

演習場の一角に設けられた林の中、情けない声を上げたのは森崎有三である。

「ふう……相変わらず慣れないぜ、馬ってやつは」
「お前が怖がるからだ。馬は乗り手の怯えを敏感に読むからな」

鞍上、バランスを崩しかけた森崎に言うのはトニーニョだった。
共に腕を磨こうと、森崎の誘ったものである。
しかし馬とのコミュニケーションの初歩で四苦八苦する森崎に比べ、仏頂面の白人は
僅かな体重移動と手綱捌きだけでいとも容易く馬を操っているように見える。
こうも腕が違うと、共同訓練というより個人教授に近い。

「ちぇっ……要はナメられてるってことかよ」
「かもな」
「お前にゃそんな素振りも見せやしねえのにな……何かこう、特別な手綱とか使ってるんじゃねえか?
 桂剥きの人参でできてるとかよ」
「……」
「……? おい、トニーニョ」

お前の努力が足りないんだ。
馬鹿なことを言っていないで鍛錬に戻るぞ。
そんな、いつも通りの説教臭い返しを期待した森崎の軽口は、しかし無言によって粉砕される。
見れば、トニーニョはぼんやりと木々の向こうを見ているようだった。
常らしからぬ様子に眉根を寄せた森崎が声をかける。

441 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/01(土) 12:04:24 ID:???
「トニーニョ、おい、トニーニョって!」
「……ああ。すまん、聞いている」
「いや、聞いてるじゃなくてよ……まあ、いいや」

肩をすくめる森崎に、

「……」
「……」

トニーニョは、再び黙り込んでしまう。

「……どうしたんだって、聞いてもいいか」
「……」

ともすれば不機嫌に見られがちな仏頂面に、今は何か違う色が浮かんでいるように見えて
森崎が問うのへ、トニーニョは答えず馬の腹を軽く蹴る。
行け、の合図に歩みだしたトニーニョの馬が、すぐに速歩にまで加速した。

「お、おい……! 待てって!」

慌てて後を追おうとする森崎は、だがすっかり馬に見くびられている。
手綱を引けば首を振られ、腹を蹴れば振り落とされそうになり、その内に相手をするのが
面倒になったのか、仕方がないとばかりにのろのろと歩を進める馬に頭を抱えながら
どうにかトニーニョの消えた方へと鼻を向ければ、果たして仏頂面はすぐ茂みの向こう側にいた。
森崎たちを待っていたのかどうか、その悄然とした様子からは窺えない。

「俺は、」

442 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/01(土) 12:06:36 ID:???
トニーニョ、と声をかけるよりも早く、ぼそりと呟く声。

「俺は自分が赦せずにいる」

その声は独り言じみていて、ひどく聞き取りづらい。
森崎に向けて語っているのではないようでもあった。

「俺にもっと……もっと力があれば、隊長を、隊の皆を死なせずに済んだのではないかと、
 そればかりを考えている。あの日から、毎日、毎晩。ずっとだ」
「お前、それは……」

言いかけた森崎を遮るように、トニーニョが首を振って続ける。

「わかっている。俺一人の力で変わる戦況などない。百人、千人の敵を相手にできるはずもない。
 無駄で、無為で、無様な後悔だ。唾棄すべき思い上がりですらある。
 それでも考えずにはいられない。考えていなければ、忘れてしまうからだ」

ふと息をついて、トニーニョが天を見上げる。
木漏れ日が、その顔を斑模様に照らす。
ざわめく梢の向こうに何を見ているのか、森崎にはわからない。

「俺はな、モリサキ」

やがて視線を下ろしたトニーニョの、木漏れ日を集めて霞んでしまったような灰色の瞳が、
森崎を見やる。

「かつて毎晩のように見ていた悪夢を、最近、ほとんど見なくなった。
 見られなく、なったんだよ」

言って、口の端を上げる。
無理やりに作られたその笑みは、決して届かないどこかに向かって泣くような、ひどくねじれた笑い方のように、思えた。

443 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/01(土) 12:07:43 ID:efdvYoTg

※ガッツが20減少。
馬術が26上がりました。

現在のガッツ:155
剣術:68 馬術:36 体術:62 魅力:78 評価:69
ATK:104 DEF:140 SPD:98 ini:19



***

*チェック

トニーニョとの関係が一定値に達したため、スキルが強化される可能性があります。

目標値【10】 → ! numnum

※ ! と numnum の間のスペースを消して数値を出して下さい。
目標値以上の値が出れば成功しスキルが強化されます。
00が出た場合はスキルが変化します。

成功→ 威圧Lv2(周囲3マス以内にいる敵全部隊の士気を-10する)

00→ 追撃Lv1
(兵数ダメージロールに5か6の目が出た際、もう一度だけ1D6を振ってその数値を加算する。
 ただし【数値加算】による変更後の出目は対象にならない)


***

444 :源氏 ◆rLDAH8Hy8Y :2012/09/01(土) 12:50:35 ID:???
目標値【10】 →  89

445 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/01(土) 12:54:08 ID:???
***


トニーニョのスキルが「威圧Lv2」に強化されました。


***

446 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/01(土) 12:55:14 ID:???

//馬術2


「しっかし、あん時ぁ驚いたぜ。お前がいきなり変なおっさん連れてきたと思ったら、
 『このモリサキが皆サンの新しい隊長デ〜ス! そこんトコ、よろしくお願いしマ〜ス!』だもんな」

褐色の優男が、言って快活に笑う。
ネイが口真似をしてみせたのは、森崎の隊長就任を知らせたときのルーカスである。

「ああ……俺だっていきなりのことで、何がなんだかわかんなかったぜ。
 正直今も、実感は薄いんだ」

ややぎこちなく手綱を握りながら答える森崎。
戸惑いは、事実である。

「ま、ゴーカな式典も、御前会議! とか信任投票! なんてのも、なかったしな。
 隊長歓迎の宴会はやったけどよ」
「単に俺を口実にした飲み会だっただろ……」

宿舎の広間に買い込んだ安酒を並べただけの宴席を思い出して、森崎がゲンナリとした顔をする。

「ま、それは言いっこなしだぜ」
「いいけどよ……」
「ところで、隊長ってどんなことしてんだ?」

突然、ネイがそんなことを訊ねてくる。
情報収集に余念がない、というべきだろうか。
苦笑した森崎は、しかし首を捻るのだった。

447 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/01(土) 12:56:42 ID:???
「いや……それが、基本、まだ何もしてねえ」
「なにィ!?」

驚愕するネイに、森崎が困ったように告げる。

「人員と物資の確認、それからルーカス大佐の持ってきた書類にサインして……ってくらいでよ。
 他の教官たちは上の雇いだから、とりあえずヤングのおっさんの頃と同じように、つー感じかな。
 正直、隊長室なんて部屋だけあてがわれても、何していいのかわかんねえんだよ」
「……まあ、俺らもヤング教官が普段どんな仕事してたのか、よく知らねえからなあ」

しみじみ言う。

「ルーカス大佐もそこら辺、補佐してくれるヤツを寄越すとは言ってたけどよ……」
「まだ来てないのか?」
「……『こちらも色々てんてこ舞いデス! もうちょっと待っててくだサイ』だとよ。
 ま、俺ら外様が後回しにされるのは慣れてるけどな」

肩をすくめる森崎。
わかるぜ、とその肩を叩いたネイが、ふと続ける。

「ていうか、代わりの隊長ってのはてっきりまた騎士団から派遣されるんだとばっかり思ってたぜ」
「俺もそう思ってたんだけどよ」

頷いた森崎が、

「ルーカス大佐が言うには、イリハの件で上は相当揉めてるんだと」
「負け戦の責任のなすりつけ合いだろ?」
「まず、それだ」
「他にもあるのか?」
「いや、ドルファンと向こうさんじゃ、同じ一個大隊でも規模が違いすぎるってんでよ。
 平時ならそれでも誤魔化しは効いてたが、戦場に出ちまうと、な」
「あー……」

448 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/01(土) 12:58:55 ID:???
イリハ会戦の惨状を思い起こしたか、ネイが遠い目をする。

「ヴァルファの半分くらいだったもんなあ……」
「ああ。それで騎士団の大規模な再編成やら、退役騎士の招集、戦時増員なんかも検討してるらしい」
「なるほど……こっちに回すような指揮官の余りはいねえってことか」
「そういうこった。将校としての訓練受けてる騎士なんざ、ただでさえ少ないからな」

言った森崎に、ネイが得心したように首肯する。

「ならまあ、隊長のお鉢はお前に回ってくるわな、モリサキ」
「よせよ。ガラじゃねえ」
「何言ってやがる。前第二分隊長、それも八騎将殺しの英雄サマじゃねえか」
「あれは……ヤングのおっさんのおこぼれみてえなもんで、」
「知ってるよそんなこた!」

ぴしゃりと言い切られた。

「けどまあ、上は実際の戦場見てるわけでも、まして人柄見て決めるわけじゃないんだからよ。
 結果と実績からしてお前を選ぶに決まってんだろ」
「人柄見られたら選ばれねえ、みたいな言い方だな……」
「そりゃそうだろ、問題児!」
「ぐむぅ……」

大笑いしながらネイが言うのに、森崎は唸るしかない。

449 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/01(土) 13:00:14 ID:efdvYoTg
「ま、俺らとしちゃお偉い騎士様が派遣されてくるよりよっぽど助かるけどな。
 俺らの流儀を知ってる奴が上にいる方が色々やりやすい」
「おいおい、ヤバいことは勘弁してくれよ……何かありゃ、俺がひっかぶることになるんだからよ」
「いきなり日和ってんじゃねえよ!」

ゆっくりと歩ませる馬上、そう軽口を叩いてネイが笑う。
のどかな空気の中、森崎はふと、先日のトニーニョの様子を思い出すのだった。

(そういえば……トニーニョのこと、ネイなら何か知ってるかな)



*選択

A トニーニョのことをネイに相談する。

B それとなく聞くに留める。

C やっぱりやめておこう。


森崎の行動としてどれか一つを選択して下さい。
その際【選択理由】を必ず付記していただくようお願いいたします。
期限は『9/1 23:00』です。

450 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/01(土) 13:01:28 ID:???
******

といったところで、一旦これまでとさせていただきます。
それではまた、次回更新にて。

451 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/09/01(土) 13:12:29 ID:???
A
こういうのはきちんと話を回した方がいい。
ただ、ネイはすぐにトニーニョを問い詰めにいきそうなタイプでもあるから、
そこはちゃんと釘を差したいところだけど。

452 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/09/01(土) 14:20:25 ID:???
【ピココール】
トニーニョの事を相談するにしても、はっきりと相談内容を言った方が良いのか、それとなく聞いた方が良いのか、どう思う?


453 :ピコ ◆ALIENo70zA :2012/09/01(土) 15:35:52 ID:???
>>452
そうだねえ……ネイなら、トニーニョの深い事情も知ってるとは思うけど。
ただ個別に事情を聞いて判断する、っていう以上のこと……誰かに相談するっていうのは、
こっちの下駄を半分、相手に預けるっていうことでもあるんだよ。
それは……ある意味、対等の目線で話すっていうことだよね。

悪いこととは言わないけど、キミは隊長、彼らはそうじゃない……。
全部が全部、対等でいるのは……危険なことも、あるかもしれないね。

454 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/09/01(土) 18:07:24 ID:???
B確かに部下と対等だとまずいかも知れませんね。
でもトニーニョの事も放って置けないですのでトニーニョの事をよく知ってるはずのネイから情報を得たいと思います。
それに出来るなら隊長として傭兵仲間として力になれるものなら協力したいなと思います。

455 :◆9OlIjdgJmY :2012/09/01(土) 22:02:54 ID:???

空気読み&気配りのめっちゃ上手そうなネイなので
それとなくで大丈夫かなと。

456 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/07(金) 00:37:04 ID:???

皆様、ご回答ありがとうございます。
更新期間が開いてしまい申し訳ありません。
次の選択まで、と考えていたらテキスト量が膨れ上がりまして……などという言い訳はこの辺りで。
それでは早速、>>449の選択については……

>>454 さら ◆KYCgbi9lqI様の選択を採用させていただきます!
はい、集めた情報をどう判断し、どう動いていくのかはこの先の話ですが、
それが森崎とトニーニョにとって最善の方法になればいいですね。
CP3を進呈いたします。


>>451
それも一つの解決法ですね。
是非の問題ではありませんが、今回はこういった選択を採用させていただきました。
今後の立場によっては、明確な正解のない選択も増えていくかもしれません。
すべては皆様のご回答の説得力次第、というところでもあります。

>>455
はい、ネイは日常的な場面では色々と察してくれますね。
とはいえ、そう簡単に事情のすべてを話してくれるわけではありませんが。


457 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/07(金) 00:38:04 ID:???
***

B それとなく聞くに留める。


(……搦め手からいくか)

トニーニョの様子がおかしいのは明らかだった。
しかし同時にまた彼自身の言葉から分かるのは、それが精神的な部分に根ざした
ひどくデリケートな問題であるということでもあった。
情報の少ない現時点で彼と親しいネイに事情を明け透けにするのは、親しい人物であるからこそ
躊躇われるようにも、森崎には思えた。

「そういや……最近のトニーニョ、どうしたんだ?」
「あ? なんかやらかしたのか?」

遠まわしな訊ね方に、直球の返答が戻ってくる。
どうしたものかと思いながら、森崎は言葉を選ぶ。

「いや、そうじゃねえけどよ……ここんとこ、どうもボーっとしてるっつーか、な。
 アイツにゃ集中してもらわねえと困るわけよ、こっちも」
「ま、いい加減な隊長サマにはきっちりした女房役が必要だしな」
「うるせえ!」
「つってもなあ……あ」

と、何かに気付いたようなネイが、しかし眉根を寄せて手綱を引き、馬の歩みを止める。
珍しく考え込むような表情に、森崎があまり良い予感を覚えないままやはり馬を止め、重ねて訊いた。

458 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/07(金) 00:39:05 ID:???
「何か、あったのか?」
「もしかして、『また』……か」
「……?」

ぽそり、と口にしたネイの声音は苦々しい。
目を閉じて大きなため息をつく、そんなネイの表情を森崎は見たことがない。

「ったく……いい加減、慣れろっての……」
「何だよ、それ」

口の中だけで呟くような言い方に焦れた森崎が言うのへ、ネイが小さく首を振る。

「いや……まあ、なんつーか……トニーニョのヤツは、『ご主人様』を亡くすのが……。
 昔のコトで、ちょっとな」
「……」

あからさまに言葉を濁したネイの様子は、話せるのはここまで、と口以外の部分で雄弁に語っている。
今はまだこれ以上踏み込めないと判断した森崎が、口を真一文字に引き結んで天を仰ぐ。
しばしの沈黙の後、軽く頷いたネイがぽん、と森崎の肩を叩いて馬の腹を蹴る。

「まあ、俺の方でも気をつけとくよ。ヤバそうなら早めに報告、入れるからさ」
「お、おう。……よろしくな」

片手を上げて遠ざかるネイの後ろ姿を、森崎は見る。
鞍上の長い黒髪は、まるでその背にこびりついた過去という黒雲のように、ゆらゆらと揺れていた。

459 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/07(金) 00:40:06 ID:???
※ガッツ20減少。
 馬術が30上がりました。

現在のガッツ:135
剣術:68 馬術:66 体術:62 魅力:78 評価:69
ATK:134 DEF:140 SPD:128 ini:25


※ネイとの関係が上がりました。
 スキルLvの上昇確率は現在-30%のため判定は行われません。

******


※称号が『気のいい見習い騎兵』になりました。

スキル『チャージ』を獲得しました。
種別:部隊パッシブ
消費ガッツ:-
効果:指揮下の騎兵の兵種打撃力を+5する。


******

460 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/07(金) 00:41:07 ID:???

*D26.8月 「気のいい見習い騎兵」森崎有三
メインイベント


『overreach yourself』



「オウ、そこを行くのはモリサキさんではありませんカ!」
「げっ……」

石造りの白い町並みは、照り返しで道行く者をじりじりと焼く。
夏も盛りの昼下がり、汗を流しながらキャラウェイ通りを歩く森崎の耳に飛び込んできたのは陽気な声である。
ここ一週間ですっかり聞き慣れた感のあるその声の主を瞬間的に脳裏に浮かべて、思わず顔をしかめる森崎。
振り返れば、果たしてそこに立っていたのはバウミール・ルーカス。
軍部と傭兵大隊を繋ぐ役職にある男である。

「ちょうど良かったデス。これからそちらに伺うところでシタ」
「ルーカス大佐……今日は休みのはずだぜ」
『相変わらずヘンなカッコだね、このオジサン』

露骨に嫌な顔をする森崎の肩を親しげにバンバンと叩く男の服は、どこから調達したものか、
炎天下にもかかわらず長くぞろりとしたガウンのような上着を羽織っている。
大きく前の開いた上着の下には、どうやら軍服を着込んでいるように見えた。
ピコの漏らす通り、目にする度に頭を抱えたくなるような珍奇な服装のセンスは
今日も存分に発揮されているようだった。

「HAHAHA、管理職に休日なんてあってないようなモノですネ。それと、モリサキさん」
「……何だよ」

おそろしいことをさらりと言ってのけたルーカスが、森崎が身構えるのへ、ずいと迫る。

461 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/07(金) 00:42:10 ID:???
「ルーカス!」
「……?」
『うわあ……顔、濃いなあ』

唐突に自らの名を呼んだその意図がわからず、森崎が目を瞬かせる。
暑苦しいほどに近づいてきたルーカスが、続けた。

「ワタシのことはルーカスと呼び捨てにしてくだサイ、お願いしたはずデス!」
「……いや、そういうわけにもいかねえだろ」

そのことか、と半ば安堵しながら言う森崎。

「一応、俺らの雇い主なんだからさ。大体アンタだって俺のこと、さん付けじゃねえか」
「当然デス! 言ってみれば皆さんは大事なビジネスパートナーですからネ。呼び捨てなんてできまセン」
『……』
「……はは」
「オウ、オリエンタルスマイル! 東洋の奥義ですネ!」

もはや苦笑するしかない森崎に、屈託のない笑顔を向けるルーカス。
どこまでが本気なのか、皆目検討がつかない。

「……で、何の用だって?」

掴みどころのない親父だ、と辟易しながら、森崎が尋ねる。

「ハイ、そうでシタ。今日はモリサキさんに、もう一人のビジネスパートナーを紹介したかったのデス!」
「もう一人の……?」

首を捻る森崎に、

「―――もう、いいかしら?」

462 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/07(金) 00:43:11 ID:???
かけられる声があった。
ルーカスの背後、その大柄な身体に隠れるようにしていた影が、すっと歩み出てくる。
妙齢の女性である。
一目で東洋系であると分かる、服装と化粧であった。
襟とおくみのついた裾の長い帯留めの上着は夏らしく若草色と浅葱色でまとめられ、
足首までをゆったりと覆う空色のスカートには美しい刺繍が施されている。

『襦裙……? 珍しいね、中華のお客さんかな?』

ピコが言う中華、正しい国号を中華皇国というその国は、東洋圏に覇を唱える一大帝国である。
極東から欧州にまで流れてきた森崎としても、その文化様式程度は当然知っている。
襦裙とはその中華皇国の女性が纏う服のことであった。

『ていうかそうすると、ルーカスさんのヘンなカッコって、漢服なのかな……前、開いちゃってるけど』
(……まあ、あの上着にボタンはないからな。オビっつーベルトを締めるんだぜ、ルーカスさん)

ピコの呆れたような声に内心だけで返答した森崎が、改めて女性を見やる。
細面の整った顔立ちの、しかしその頂点に君臨するのは鋭い眼差しである。
アーモンド型の黒い瞳を彩るのは中華独特の鮮やかな紅。
燃えるような化粧に、決して負けぬ煌めきを放つ瞳であった。
己というものを世に誇れる者たちの持つ、特有の煌めき。
その自信は経験によるものか、あるいは実績に裏打ちされたものであったか。

『びっじ〜ん。キミ、気をつけてよね』
(確かに、一筋縄じゃいきません、って顔だぜ……)

肩に垂らした長い黒髪が、黄金色の繊細な耳飾りと共にさらりと揺れる。
甘く漂う香気は麝香だろうか。
ラインの出ないゆったりとした服装の下について思わず妄想逞しくしそうになる白く細い首が
微かに傾げられ、艶やかに紅をさした唇は上弦の月の形で笑んでいる。
美しく、そしてまた自分の価値を熟知しているであろう女性であった。

463 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/07(金) 00:44:15 ID:???
「この人、は……?」
「傭兵大隊の酒保商人、許商会の代表さんデス」
『酒保……って、いつも売店開いてる、あれ?』

知らず生唾を飲み込んで聞いた森崎に、ルーカスがあっさりと答える。
酒保商人とは、軍を相手取って総合的な商売を行う商人である。
行軍に随伴してその名の通りの酒や食料の販売、武器弾薬の補充や補修のみならず
芸人、詩人、娼婦といった娯楽の提供から炊事洗濯などの日常サービスまで
およそありとあらゆるものを取り扱う、いわば戦場における生命線であった。

「酒保……? 先月まではニコラ爺さんがやってただろ」
「彼は地元で雇った小売商よ。実際にドルファンの傭兵大隊で酒保を担当してるのは私たち許商会」

短い期間ではあったが何度か世話になった、人の良さ気な老爺の顔を思い浮かべる森崎に、
直接答えたのは女性である。

「ニコラさんが引退して田舎の娘夫婦と同居するっていうんで、これからは私が直接、
 貴方たちの面倒見ようってわけ。
 ようやく本格的な戦争が始まって、仕事もこれまでとは比べ物にならないほど大口になりそうだしね」

そう言って、白くたおやかな手を差し出す女性。

「徽商・許商会、許子先の娘、許陽子(スー・ヤンズゥ)よ。よろしくね」
「森崎有三だ。こちらこそよろしく頼む」
「期待してるわよ、八騎将討伐の隊長さん?」

握り返した手を離さずに言う女性に小さく肩をすくめて、森崎が話題を変える。

「で、徽商……てーと、やっぱ中華の商人か」
「見ての通りね」

微笑むと手を離し、長い袂を夏の風に揺らして、優雅に中華風の礼をしてみせる女性。

464 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/07(金) 00:45:16 ID:???
「父の商会は塩が本業。でも最近は本国の情勢が荒れ気味で、貿易のうまみが大きくなってきててね。
 色々手広く扱ってるんだけど、娘の私がドルファンでの名代ってわけ」

へえ、と頷いた森崎を、陽子と名乗った女性がじっと見つめる。
悪戯っぽく細められた目にどぎまぎとする森崎に、陽子がそっと耳打ちするように、言う。

「って言っても、子先は養父でね。……私、本当は貴方と同じ国の生まれなのよ」
「そう、なのか?」

驚いたように訊く森崎に、陽子が笑って頷く。

「ええ。ヤンズゥは中華の読み方。元の名前はヨーコ……っていうの」
「陽子……さん?」

何気ない一言である。
森崎としては、ただ相槌を打っただけのつもりであった。
しかし、陽子の反応は激烈だった。

「んー……! その発音、素敵っ!」
「ちょ、陽子さ……!?」

ぱあっ、と花の開くような満面の笑みを浮かべるやいなや、何と森崎に抱きついてきたのである。
絹の滑るような肌触りとその向こう側のやわらかく温かい感触、そして麝香の甘い香りが、
同時に森崎の顔を包む。

「ぐ、ぐむむ……!」
「オウ、許小姐は情熱的ですネー」

突然のことに、思わず唸ることしかできずにいる森崎。
他人事のように言うルーカスの声が、ひどく遠い。

465 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/07(金) 00:46:16 ID:???
「あ、ごめん、つい!」

ぎゅう、と胸に抱えていた森崎の頭を慌てて解放した陽子が、小さく舌を出す。
茶目っ気のある仕草が意外と似合っている。

「ほら、ちゃんと名前呼んでもらえるのってすっごく久しぶりだし、……やっぱり嬉しいから。
 お姉さん、調子に乗っちゃった」

もしかすると、それほど歳は離れていないのかもしれない。
そんなことを考える森崎の前で居住まいを正した陽子が、改めて礼をする。

「貴方の隊の酒保を任されたのも、素敵な縁ね。今後とも許商会をご贔屓に、森崎くん!」
「ああ……こっちからも頼むぜ、陽子さん」

答礼を返す森崎の前に、

「で、早速だけど」

どこから出したものか。
ぴらり、と陽子が差し出したのは紙の束である。

「え……?」
「はい、じゃまずこれ、目を通してみて?」
「あの」
「ちゃんとした数字は後で出すから、今はこんなざっくりした書面でごめんね」
「いや、その」

ざっくりした、というわりには異様に分厚い紙束を押し付けられ、目を白黒させる森崎。

「これがこっちでざっと出した、不足してると思われる物資のリスト。でこっちが見積り、
 ここからここまでが去年の納入実績で、こっちは大隊の予算と突き合わせた今後の提案書……」
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくれ!」

466 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/07(金) 00:47:17 ID:???
慌てて陽子を押しとどめる森崎。

「あら、どうしたの?」
「いきなり言われても何がなんだかわかんねえよ!」

悲鳴のような声音で抗議する森崎に、しかし陽子はしれっとした顔で言う。

「このくらいの書類仕事はサクッと片付けなきゃダメよ。
 これからはこういうこと、貴方が全部やっていかなきゃいけないのよ? 隊長さん」
「いや……でもよ、物事には手順とか、修練とか、な」

しどろもどろに言う森崎。
その様子にくすりと微笑んだ陽子が、森崎の手から紙束を取り上げた。

「うふふ。ま、新米隊長さんに免じて、今日はこの辺で勘弁してあげる」
「助かるよ……」

胸を撫で下ろす森崎に、しかし陽子の追撃が待っていた。

「じゃあ明日、改めて隊長室の方へお邪魔するわね」
「なにィ!?」
「再見、また明日♪」

わざとらしく中華風の別れを告げると、陽子は振り返りもせずに去っていく。
その迷いのない足取りは、雄弁に再訪を告げていた。

「オウ、待ってくだサイ、許小姐! 私もご一緒しマス!
 それではモリサキさん、明日から頑張ってくださいネ」

それまでニヤニヤと森崎たちのやり取りを眺めていたルーカスが言って走り去るのへ
適当に返事を返しながら、森崎は暗澹たる気持ちを抱えて歩き出すのだった。

467 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/07(金) 00:48:24 ID:???
******


「うう……明日っから数字の山が襲ってくるのか……。いきなり気が重いぜ……」
『あはは、まあ頑張ってね』

くるりと舞う相方に返事も返さず、とぼとぼと俯いて歩く森崎の目には周囲の光景が映っていない。
もしきちんと周りを見ながら歩いていれば、あるいは違う未来が待っていたかもしれない。
だが今この時、森崎に待っていたのは甲高い呼び声とふわりとした感触であった。

「―――お兄ちゃんっ!」
「うおぅっ!?」

唐突な接触に奇妙な声を上げて飛び退こうとした森崎だったが、しかし左腕に絡みつく
人肌の温もりは離れない。
視線を下ろせば、ふわふわと鼻先をくすぐる蜂蜜色の髪が目に入る。
その髪の主に思い至って、森崎が思わず天を仰いだ。

「ロリィ……。お前、いきなり何してんだ!」
「えっへへ〜。お兄ちゃん見つけたから、走ってきちゃった」
「そか……」

がっくりと肩を落とす森崎。
トニーニョと共にこの少女に振り回されたのは、戦の前だったか。
苦い記憶に眉根を寄せる森崎の様子を、それでも少女は斟酌しない。

468 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/07(金) 00:49:24 ID:???
「ねえねえ、聞いたよ! 戦争でいっぱい、カツヤクしたんだよね!
 すっご〜い! カッコいいねえ〜!」
「おう、ありがとな……」

大きな瞳をきらきらと輝かせながら賞賛の雨を降らせるロリィに適当な礼を返しながら、
森崎がふと辺りを見回す。

「そういえば、今日はレズリーは一緒じゃないのか?」
「え、お姉ちゃん? いるよ?」

あっさりと返される。
しかし、もう一度見渡してもキャラウェイ通りの人波にレズリーの姿は見当たらない。
これまでの経緯を鑑みても、ロリィがこうも積極的にスキンシップを求めていれば
罵声の嵐と軽侮の視線がセットで送りつけられていてもよさそうなものだった。
それが、ない。

「あれ? さっきまでいたのに……どうしたんだろ、おトイレかな?」
『……キミ、ちょっとこの子にキョーイク、してあげた方がいいんじゃないかな』
「……ロリィ、女の子がそういうこと言っちゃダメだぞ」

ピコの助言通り、頭痛を抑えるようにこめかみを揉み解しながら忠告する森崎に、
えぇ、と抗議の声を上げてロリィが尋ねる。

「じゃ、おトイレ行くとき、オトナはなんて言うの?」
「そういうときはな、ちょっとお花を汲みに……あれ、違ったか、花を踏みに……ってのも
 何かおかしいな、ええと……」
「―――お花を摘みに行ってきます、だ。ちゃんと覚えときな」

背後から響いたのは、呆れたような声である。

469 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/07(金) 00:50:25 ID:???
「あ、お姉ちゃん!」

ロリィが指差すのに振り返れば亜麻色の髪と、やや吊り上がった瞳。
レズリー・ロピカーナその人である。
しかし今日はなぜか、その鋭い瞳が右に左に泳いでいる。

「おう、レズリー。夏至祭以来だな」
「よ、よぅ、モリサキ。……無事だったみたいだな」
「ま、ちったあ怪我もしたけどな。おかげさんで、もう大丈夫だぜ」

むん、と力こぶを作ってみせれば、ロリィがわあいとはしゃいでその腕にぶら下がる。
その様子にまた一悶着あるか、と身構えた森崎の眼前、しかしレズリーは頷いただけである。

「そ、そうか。それは何よりだ。……ち、よりによって余計なときに出てきやがって……」
「……?」

目を逸らしながらぼそりと呟く、その声はよく聞こえない。

「ん? 何か言ったか?」
「な、何でもないよ! そ、それより一躍時の人って感じだよな、アンタ」
「はァ?」

いかにも唐突な話題変換に、森崎が片眉を上げる。
しかしレズリーはといえば、そんな森崎の態度を無視するように言葉を続けるのだった。

470 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/07(金) 00:52:34 ID:???
「戦争で大活躍だったんだってな、隊長にもなったって聞いたぜ、街の噂の的だよ」
「おい、レズリー……?」
「忙しそうだな、きっと忙しいんだろうな、うんそうだろ、この後も予定がびっしりだよな」
「いや、別に……」
「忙しいって言えよ!」
「いきなりキレんなよ……」

どうにも挙動が怪しい。
記憶の中のレズリーという少女はもっと大人びた、森崎自身にはやけに噛み付いてくるものの
どこか冷めた印象を与える存在のはずだった。

「お前今日、ヘンじゃないか……?」
「何がだよ!」

怒鳴り返すレズリー。
そういうところがだよ、と言いかけた森崎よりも早く、ロリィが口を開いた。

「お兄ちゃん、オトナはこれから『ヨルノマチニクリダス』んだよね!」
「はぁ!?」

予想外の単語に、脳内での変換が遅れる。
ヨルノマチニクリダス。
よるのまちに、くりだす。
夜の街に、繰り出す。

「なるほど……」

ようやく語意を掴んだ森崎が、見上げるロリィに肩をすくめる。

「……あのなロリィ。まだ日も高いし、そもそも今日は俺、別にそんな予定……痛ッ!?」

471 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/07(金) 00:53:35 ID:???
痺れるような激痛が、森崎の舌を止めた。
痛覚は、足先からやってきていた。
滲む涙を拭って見やれば、そこにはレズリーの履くアンクルブーツ。
どうやら踵で思い切り踏まれたらしい。

「お、お前な……」
「黙ってろ!」

針のような視線と刺すような言葉。
これでこそレズリー、と妙な納得をした森崎の目に、きらきらと煌めくものが映る。
手を組んでこちらを見上げる、ロリィの瞳であった。

「お洒落なバーかあ……」

その光は、燦々と降り注ぐ陽光を反射しているだけではない。
ある特定の年代にしか見えない、鏡には映らぬ憧憬という光を集めて煌めく、それは瞳であった。

「いいなあ、ロリィも行きたいなあ……」
「や、だから、何を言って……」
「ちょっと、アンタ!」

足を踏んだままのひどく近しい、体温を如実に感じる距離でレズリーが鋭く囁く。

「……頼む。話、合わせてくれよ」

目線は合わせようとせず、しかし切実な口調で言うレズリー。

「つってもお前、俺には何のことだかさっぱり……」
「いいから!」

言って森崎を突き放すようにしたレズリーが、ロリィに向き直る。

472 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/07(金) 00:54:36 ID:???
「ロ、ロリィはまだ子供だから酒場には入れないんだ。大人になってからな」
「そうなんだあ……でもお姉ちゃんとかお兄ちゃんは、いっつも行ってるんだよね?」
「そ、そうだよ。アタシらくらいになれば、もう顔パスさ。な?」

と、そこで言葉を切ってちらりと森崎に目線を送るレズリー。
額に汗の珠が浮かんでいるのは、暑さのためばかりではあるまい。

「……そういうことか」

ようやく合点がいったように頷き、小さくため息をつく森崎。
その間にも、ロリィの憧れに満ちた瞳は攻勢を続ける。

「じゃあ、じゃあ、もしかして、『いつもの』とか言っちゃうの?」
「と、当然だね」
「わあ! お姉ちゃん、カッコいい〜!」
「はは……そ、それほどでもないよ」

引きつったように笑うレズリー。

「ねぇねぇ、『いつもの』って言うと、何が出てくるの?」
「え!? ……そ、それはお前、アレだよ……お酒の、」
「お酒の?」
「えーと、ほら……」

口ごもったレズリーが、森崎にちらちらと目配せをする。

(……どうしたもんかな)

しばし逡巡した森崎が、やがて口を開く―――

473 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/07(金) 00:56:42 ID:qowjHo82

*選択

A 「ワインだろ。ヴァン=トルキア産の赤がお気に入りだって言ってたじゃないか」 助け舟を出す

B 「最近はアドヴォカートにハマってるって言ってなかったか?
   ……あれ? ところでアドヴォカートって何だっけ、レズリー?」 悪ノリする


森崎の行動としてどれか一つを選択して下さい。
その際【選択理由】を必ず付記していただくようお願いいたします。
期限は『9/7 24:00』です。


******


余談ながらGMは日本酒党、田酒・獺祭・酔鯨といったところがお気に入りです。
といったところで、本日の更新はこれまでとさせていただきます。
夜遅くまでのお付き合い、ありがとうございました。
それではまた、次回更新にて。

474 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/09/07(金) 10:20:12 ID:???
Aレズリーに恩を売りつつ、俺はワインも良いがビールの方が好きだがね、と自らの趣向を言っておきたいですね。

475 :◆9OlIjdgJmY :2012/09/07(金) 23:35:41 ID:???
A 以前トニーニョに釘を刺されてますし、あまりからかわないであげようかなと。

476 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/11(火) 23:37:01 ID:???
皆様、ご回答ありがとうございます。
それでは早速、>>473の選択については……

>>474 さら ◆KYCgbi9lqI様の回答を採用させていただきます!
森崎、何気に朝からビール呑んだりしてますからね。
もっともこの時代には気軽に使える氷も冷蔵庫もありませんから常温ですけど……。
今でも日本以外ではそういう呑み方をする国も多いと聞きます。
CP3を進呈いたします。


>>475
そうですね、人を呪わば穴二つと言いますし、あまり弱り目に祟り目状態を楽しんでいると
思わぬしっぺ返しがくることもあるかもしれません。

477 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/11(火) 23:38:12 ID:???
***


A 「ワインだろ。ヴァン=トルキア産の赤がお気に入りだって言ってたじゃないか」 助け舟を出す



「ワインだろ。ヴァン=トルキア産の赤がお気に入りだって言ってたじゃないか。
 ま、俺はビール党だからな。レズリーとはよく意見がぶつかるよ」

森崎がそう言うと、レズリーがぶんぶんと首肯する。

「え、あ、そ、そうだね。やっぱり赤だよ。ヴァン=トルキアの。夏だし」

そうだな、夏だな、といかにも適当に相槌を打ってやる森崎の呆れたような視線にも、
レズリーはまるで気付く様子がない。
この間の鋭さと勘の良さはどこかに置き忘れてきたのか、と内心で肩をすくめる森崎の前で
ロリィが瞳を輝かせて頷く。

「ふーん、やっぱりお姉ちゃん、オトナだね! でもケンカはダメ、だよ?」
「わ、わかったかい? じゃあ、アタシたちは行きつけの店に……」

と、森崎に目配せしてそそくさと立ち去ろうとしたレズリーの腕に、ぽすんとロリィが飛び込んだ。

「ロリィ、お店まで着いてってあげるね!」
「え……」

478 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/11(火) 23:39:12 ID:???
その引きつった表情を見るに、ロリィを煙に巻いた後は実際に店に入らずに
済ませるつもりだったようである。
この分ではそもそも、入る店の目星がついているかどうかも怪しい。
詰めの甘い少女に小さく首を振ると、森崎が率先して歩き出し、振り返って声をかける。

「ほら、それじゃ行くぜ。二人共」
「え、……あ」
「うん!」

夏空の下、ロリィの元気な返事だけが、高らかに響いた。


***

479 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/11(火) 23:40:18 ID:???

「……周りの目が白いんだが」

窓のない半地下の店内では、夕刻にもまだ早い時分から幾組かの客がグラスを傾けている。
客といっても仕事にあぶれ、酒に溺れるという類の酔漢ではない。
避暑に軽くアルコールを嗜む富裕層の婦人とその従者や、あるいは商談を交わしているらしき
異国の商人たちなど、落ち着いた佇まいの店に相応しい人々である。
陽が落ちれば雇いの音楽家による演奏が始まり、酒そのものや店の雰囲気を味わう客層も
姿を見せ始めるだろう。
キャラウェイ通り北、『砂丘の星』亭はそういった店だった。

「アタシだって、もう帰りたいよ……」
「つまらん見栄を張るからだ」

森崎たち腰掛けるのはカウンター席である。
振り返らなければ他の客の様子は見えないが、しかし背中越しに感じる視線は気のせいではないだろう。
原因は隣に座る少女、レズリーであった。

「はあ……」

大きなため息に艶はなく、ただ緊張と疲労が口から漏れただけという体である。
ぐったりと丸めた背中を唐突に伸ばしたかと思うときょろきょろと周りを見やり、
内装を睨み、わざわざ振り返って他の卓の客と目を合わせては慌てて向き直る、
そんなことを繰り返している。
まずカウンター席に座らせるまでが一苦労、座らせても一向に面倒が収まらぬ。

480 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/11(火) 23:41:19 ID:???
「いいからちょっと落ち着け」

ため息をつきたいのはこっちだ、と思いながら森崎が言う。
レズリーという少女、実際の歳よりも上に見える端正な顔立ちである。
もとより背も高く、発育もいい。
今日の服装とてアースカラーをベースにしてタイトなレザーのベストでまとめた、
強気な女性らしさを前面に押し出したものである。
堂々としていれば決して奇異の視線を集めるような外見ではないはずだったが、
何しろ挙動が不審なことおびただしい。
結果的に周囲の耳目を一身に集中させてしまっているのだった。

「うぅ……そんなこと言われてもさ」
「ったく……」

形のいい、少し薄い唇が今ばかりは力なく半開きになっているのへ眉根を寄せた森崎に、
カウンターの中から店主らしき男が注文を聞いてくる。

「何にしましょう」
「あー、そうだな……」

気分的には盛大に深酒をして憂さを晴らしたくもあったが、そうもいかない。
明日には執務机に積まれるだろう書面の山と、陽子の悪魔じみた笑顔が脳裏をよぎる。
そもそも隣の少女を、心ならずもエスコートせねばならぬ立場であった。

「それじゃ、」

適当に軽いアルコールを頼もうとした森崎だったが、それを制するように上がる声があった。

「―――い、いつもの!」

言わずと知れた、レズリーである。

481 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/11(火) 23:42:20 ID:???
一瞬で周囲の空間を制圧した沈黙の中、もしかしたらこの少女は極度に緊張に弱い質なのだろうか、
などとぼんやり思考した森崎が、困ったように視線を向けてくる店主に苦笑を返す。

「……何かソフトドリンク、出してやってくれ。俺にはエール」
「かしこまりました」


***


「……ロリィのやつが、あんなこと言うから。引きずられただけだからな」

グレープジュースの満たされたグラスを前にして、レズリーがぶすりとした顔で呟く。
森崎が何かを口にする前に先手を打ったつもりらしいが、さすがにその段は通らない。
首を振った森崎が、常温の麦酒で喉を湿らせながら言う。

「初めての店であんな注文、通じるわけねえだろ……」
「だから、わかってるよ! そんなこと! もういいだろ!」

語調は強いが、森崎を睨む目には力がない。

「……そういうアンタは、随分慣れてるみたいじゃないか」
「そうでもねえよ。普段来るのはこんな高い店じゃなくて、安い呑み屋だし。
 ま、それでも商売柄、色んな国の色んな場所に顔は出してっからな」
「……ふぅん」

482 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/11(火) 23:43:21 ID:???
しばらく、静かにグラスを傾ける時間が続いた。
陶器のカップではなくグラスを使う辺りは高級店の面目躍如といったところだったが、
レズリーという少女、そこには何の反応も示さない。
普段からグラスを使い慣れているのであれば、それなりに裕福な家庭に育ったのだろう。
豪農、商人、あるいは役人、高級軍人。
はすっぱな口調、手のかかった服装。
手がかりは少なく、正解を知りたいわけでもない。
単に、時間を潰したかっただけである。
そんな風に益体もない想像を巡らせる森崎の沈黙を破ったのは、カウンターに頬杖をついた少女だった。

「退屈」
「……お前なあ」

じろりと森崎。

「ガキみたいなこと言うなよ」
「ヘン、どうせアタシはガキ扱いされてるじゃないか。
 出されるのはワインやシードルどころかこんなジュースだしさ」

手がつけられない。
本当に、強気で尖った少女はどこへ消えたのかと、麦酒を口に含んで香りを楽しみながら
森崎が低い天井を仰ぐ。
もしかしたら、と思う。
普段ロリィという子供じみた存在と接している分、どこかで無理をしているのかもしれない。
今日の浅はかな背伸びなどその典型だろうし、あんなことを続けていれば疲れもしよう。
森崎の知る友人という概念とは随分と違う、奇妙な関係。
ふと、それが気になった。

483 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/11(火) 23:47:03 ID:wGdJhpqU

*選択

A「なあ、どうしていつもロリィと一緒にいるんだ?」 軽く聞いてみる。

B(……まあ、いいか) 黙っている。


森崎の行動としてどれか一つを選択して下さい。
その際【選択理由】を必ず付記していただくようお願いいたします。
期限は『9/12 23:00』です。


******


地中海性気候に加えてカミツレ山脈を抱え水資源の豊富なドルファン城塞では
子供がアルコールを嗜む習慣があまりないという設定で、といったところで
本日の更新はこれまでとさせていただきます。
夜遅くまでのお付き合い、ありがとうございました。
それではまた、次回更新にて。


484 :◆W1prVEUMOs :2012/09/12(水) 18:48:23 ID:???

二人の関係の背景に少し切り込みたいから

485 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/09/12(水) 19:49:05 ID:???
A ここまで個性が違うと疑問に思うのはおかしくないと思います。

486 :◆9OlIjdgJmY :2012/09/12(水) 21:12:05 ID:???
A 緊張をほぐすにもいい話題でしょうから。

487 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/13(木) 00:59:00 ID:???

皆様、ご回答ありがとうございます。
それでは早速、>>483の選択については……

>>484 ◆W1prVEUMO様の回答を採用させていただきます!
はい、レズリーとロリィ、いずれを知るにせよ二人の関係は重要になってきます。
なかなか通り一遍ではいかないかもしれませんが、若い子たちには寛容な態度で接してあげて下さいね。
CP3を進呈いたします。


また、>>485 さら ◆KYCgbi9lqI様、>>486 ◆9OlIjdgJmY様の回答も
本編に反映させていただきますので、それぞれCP1を進呈いたします。

>>485
そうですね、個性、価値観、その他にも色々なものが違う二人です。
森崎が関わることでそれらがどう表面化してくるか、がこの先のお話になります。

>>486
はい、いつものルーティンを行うことでいつものペースを取り戻すのは常套手段ですね。
尖った態度まで一緒に戻ってきてしまう可能性があるのは、森崎にとっては痛し痒しですがw

488 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/13(木) 01:00:03 ID:???
***

A「なあ、どうしていつもロリィと一緒にいるんだ?」 軽く聞いてみる。


森崎の問いに、しかしレズリーは不思議そうな顔で訊き返す。

「どうして、って……何さ」
「すげえ仲、良さそうだろ。友達っていうか、もうそれこそ姉妹みたいにさ。
 趣味とか、あんまり共通点もなさそうなのに」
「……」

少女の吊り上がった目が、一瞬だけ森崎を見てから中空へと視線を彷徨わせる。

「……さあ。わかんないね、いつの間にか懐かれてたって感じだし……」
「へぇ。いつ頃から一緒だったんだ?」
「あの子が学園に入ってきてからだから……って、なんでそんなこと、知りたがるのさ」

怪訝そうな、というよりは不審げな鋭い視線が返ってくる。
日常の光景を思い出すことで、若干いつもの調子を取り戻しつつあるようだった。
思いもかけない効果だったが、緊張を解くには適した話題だったのかもしれない。
言い繕っている風には聞こえないよう気をつけながら、森崎が続ける。

「いや、お前たちってこう、個性が全然違うっていうか……性格なんか正反対っぽいだろ。
 ちょっと気になっただけだよ」
「……ふぅん」

手元のグラスを弄ぶレズリーの目は、まだ白い。
矛先を逸らせる切り口を、森崎は探す。

489 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/13(木) 01:01:06 ID:???
「それにしたって、何で一緒にいるのか分からないってこた、ないだろ」
「そうだね―――」

ふと考え込むようにグラスを置き、カウンターについた手を顎の下で組んで、レズリーが言葉を切る。
僅かな沈黙を挟んで、レズリーが浮かべたのは苦笑である。

「アタシはほら、こんなだから」

と、肩をすくめた表情は、つい先程までとはうって変わって、ひどく大人びている。
一瞬ごとに違う顔を見せる少女という生き物に片眉を上げた森崎が、麦酒をぐびりと喉に流し込む。

「年下の子たちには、勘違いして熱を上げてくれる子なんかもいてね。
 けど、なんていうか……やっぱり壁があるんだよ。向こうが勝手に作る壁がさ」
「……」

首を振ったレズリーの肩が揺れ、隣に座る森崎に、微かに触れる。

「そういう子たちが見てるのは結局、アタシ自身じゃない……アタシと同じ顔をした、何かなんだ。
 近づいてよく見れば、違いがわかる。わかればアタシは、悪人扱いさ」
「悪人?」
「勘違いさせて、憧れてたアタシの、そうでなきゃならない振る舞いと違うことをして、
 心にきらきら輝いてた理想像をぶっ壊すんだ。これは、裏切りってもんだろう」
「……」

視線が、絡みつく。

490 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/13(木) 01:02:52 ID:TWs/dt2c

*選択

A 否定する。

B 肯定する。

C 沈黙する。


森崎の行動としてどれか一つを選択して下さい。
その際【選択理由】を、またAとBを選ぶ際は【どのように】否定または肯定するかを
必ず付記していただくようお願いいたします。
期限は『9/13 23:00』です。


******


久々の手段付記型選択肢ですが、まだまだ失敗のデメリットは小さいので
お気軽にどうぞ、といったところで本日の更新はこれまでとさせていただきます。
夜遅くまでのお付き合い、ありがとうございました。
それではまた、次回更新にて。

491 :◆W1prVEUMOs :2012/09/13(木) 20:12:08 ID:???
B
「確かに裏切りだ、でもこれで合点がいった
お前がいい女なのはその理想像を壊さないように努力してきたからなんだな」

否定して開放させてあげたいけどロリィとの仲が壊れるかもしれないので、よいしょもしつつ肯定を…
Bが地雷でこのまま決まってしまうのが怖いのでA案もどなたか

492 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/09/13(木) 20:35:52 ID:???
A 寄ってくる女の子達の理想を壊してしまう事に対して自分を悪人と思うって事自体悪人じゃないな。
本当の悪人はそんな事を気付きもしないし、気にもしないからな。
この商売の経験上から来るもんだがねと軽く言っといてあげたいと思います。

493 :見てる人 ◆S/MUyCtQBg :2012/09/13(木) 22:15:54 ID:???
A
裏切りだけど、同時に裏切られてもある。その点ではイーブンだね。
でもレズリーは努力して、相手の期待に応えようともしてる。優しい人だ。凄いよ。
ただ、たまには素直になることも大事。じゃないと疲れちゃうからね。
そーだ、たまには思いっきり悪人っぽいこともしちゃおうぜ。夜遊びとかさ。

494 :◆9OlIjdgJmY :2012/09/13(木) 22:18:57 ID:???
A 「そりゃあ勘違いする方が100%悪い。傭兵なら真っ先に死ぬタイプだな。」

まだ話の途中なので、軽い相槌程度に「お前は悪くない」と言いたいので。

495 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/14(金) 19:06:08 ID:???

皆様、ご回答ありがとうございます。
それでは早速、>>490の選択については……

>>492 さら ◆KYCgbi9lqI様の回答を採用させていただきます!
王道の返しながら、三行目、あえて印象を軽くするフォローが心憎いですね。
年上の機微、といった感じで今の森崎というキャラにぴったりハマります。
CP3を進呈いたします。


また今回は手段付記型選択肢、初の本格稼働ということで難しい部分もあったかと思いますが、
皆様しっかりと回答をご用意いただきましてありがとうございます。
それぞれCP1を進呈いたします。

496 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/14(金) 19:07:27 ID:???
>>491
今のレズリーは慣れない場の雰囲気に酔っているところがありますので、
関係が一気に進展してすぐにロリィとの仲が壊れるようなことは、まだないでしょう。
もし森崎が人物称号的にワル〜い男だったら、その限りではなかったでしょうが……。

こういった人間関係についての手段付記型選択肢では、選択自体にはあまり成功/失敗を
設定しないようにするつもりです(あからさまに見えている地雷を除いて、ですがw)。
それよりはやはり、内容が決め手になりますね。
相手が言われたがっていることを言ってあげるのもよし、あえて反対側から揺さぶって
リアクションを引き出すもよし、いずれにせよ重要なのは説得力になってきます。

>>493
さ、最後の一行に悪いオトナがいる……!w
現在の森崎はモラル値が高いのでちょっとそこまで踏み込めない部分はありますが、
「>努力して、相手の期待に応えようともしてる」は大変鋭いですね。
レズリーにとって重要なポイントで、この先の展開へちょっと先回りされた感すらあります。

>>494
はい、話の途中というのはその通りで、方向性としてはばっちりなのですが、
混ぜっ返しと取られてしまうとレズリーはまた機嫌を損ねてしまうかもしれません。
話を引き出すことに目標を絞るなら、沈黙するのも悪い手ではありませんでしたね。

497 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/14(金) 19:08:28 ID:???
***

A 否定する。(>>492


「悪人……ねえ」
「何だよ、その言い方」

カウンターの向こう、店主の手元で磨かれるグラスをぼんやりと見ながら言う森崎に、
レズリーが目を細める。気にした風もなく、森崎が続けた。

「俺からすりゃ、そうは思えない、って話さ」
「……!」
「理想を壊して、裏切って……だから悪人、ってか」

気色ばむレズリーを宥めるように、殊更ゆっくりと森崎が言う。

「……そういう風に見られるのは、仕方ないだろ」

呟いたレズリーが、森崎から視線を外してカウンターに目を落とした。

「それだよ」
「……それ?」
「仕方ない、ってのさ」
「……」

顔が映るほどに磨き込まれたカウンターばかりを見つめて俯く少女に、ため息を一つ。
森崎が手振りだけで店主に麦酒の追加をオーダーしてから、口を開く。

498 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/14(金) 19:09:30 ID:???
「自分が悪いと言われて、仕方ないと思う。それはお前、悪人の考え方じゃねえよ」
「……」

レズリーは、顔を上げない。
ほとんど空になったグラスの縁を指で何度もなぞりながら、黙っている。

「どうしようもねえクズ、救いようのねえ悪党……その手の連中は、そんな風には考えねえ。
 手前ぇのやりたいようにやることが当たり前、やらねえヤツが馬鹿なんだと、こうだ」
「……」
「連中はな、だから自分が悪いなんてこれっぽっちも思ってねえ。気付きすら、しねえんだよ。
 悪いと言われりゃ怒るか嗤うか、だ。仕方ない、なんて思えるのは―――」

思わせぶりに切った森崎の言葉を、

「……悪人なんかじゃない、って言いたいのかい」

僅かな沈黙を挟んで、レズリーが引き取った。
顔を、上げる。

「モリサキ」

背筋を伸ばして森崎の横顔を見据えるレズリーの目には、怒りに近い炎の色と
消沈と諦念を湛えた泉の色と、幾つもの感情がぐるぐると渦を巻いている。

「アタシを……慰めてる、つもりかい」
「いンや」

切り込むような声音に、森崎の即答は短く、軽い。
顔を向けぬまま小さく口角を上げたその表情は、少女の感情を容易くいなす。

499 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/14(金) 19:10:31 ID:???
「商売上の経験、ってやつさ。そうご大層なもんじゃねえよ」
「……」

いなされた感情の渦が、潮が引くように少女の瞳から消えていく。
それでも、視線だけは森崎の横顔から離れない。
じっと、見つめる。
森崎は、見返さない。

「……」
「……」

先に口を開いたのは、レズリーだった。

「―――ロリィの話だったね」

何かを振りきるように、視線を切って言う。

「あの子にはさ……ないんだ。そういう、アタシを通して、アタシじゃない誰かを見てるって感じが。
 だから、アタシにまとわりついて、アタシのことをよく知ったって、裏切られたとは思わないでくれる。
 今ここにいるアタシ自身を見て、だけどそれでも、懐いてくれてる。
 そういう子だから、一緒にいられる……のかな」

そこまでを言って、レズリーがふと息をつく。
僅かに空いた間に、店主が麦酒を満たしたグラスを、無言で森崎の方へ寄越した。
受け取ったその手でくい、と酒を流し込む森崎。

500 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/14(金) 19:11:32 ID:???
「だから……」

と、そんな森崎に何を言うでもなく続けたレズリーの声音が、ふと変わる。
低く篭った、しかしどこか熱に浮かされたような、独白じみた声。

「だからこそアタシは、あの子を裏切っちゃいけない。期待に応えなくちゃいけない。
 あの子が本当のアタシを見てるなら、アタシは、もっと、もっと―――」

そこまでを呟いたレズリーが、はっとしたように顔を上げた。
目線だけで回りを見回すと、森崎と視線が絡まる。

「と、とにかく」
「……?」

どこかバツが悪そうに顔を背けながら、レズリーがグラスを手に取った。

「あの子と一緒にいるのが、今のアタシたちには当たり前の形だってだけ。
 アンタにどう見えてるかは知らないけどね」

一方的に話を打ち切ると、僅かに残ったグラスの中身を飲み干した。
口の端から紫色の滴がつう、と垂れたのには、気づいていないようだった。


***

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0ch BBS 2007-01-24