キャプテン森崎 Vol. II 〜Super Morisaki!〜
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【もう昨日には】鈴仙奮闘記32【戻れない】

1 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/10/12(月) 23:24:34 ID:???
このスレは、キャプテン森崎のスピンアウト作品で、東方Project(東方サッカー)とのクロスオーバー作品です。
内容は、東方永夜抄の5ボス、鈴仙・優曇華院・イナバがサッカーで師匠を超えるために努力する物語です。
他の森崎板でのスレと被っている要素や、それぞれの原作無視・原作崩壊を起こしている表現。
その他にも誤字脱字や稚拙な状況描写等が多数あるかと思いますが、お目こぼし頂ければ幸いです。

☆前スレ☆
【楽園の未来】鈴仙奮闘記31【映す試合】
http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1440515816/
☆過去ログ・攻略ページ(キャプテン森崎まとめ@Wiki内)☆
http://www32.atwiki.jp/morosaki/pages/104.html

☆あらすじ☆
ある日突然幻想郷にやって来た外来人、アラン・パスカルと中山政男との出会いにより、
師匠、八意永琳に並ぶ選手になると決心した鈴仙・優曇華院・イナバ。

永遠亭ルナティックスがついに迎えた、全幻想郷選抜大会決勝戦・博麗連合との大一番!
友人との距離に悩みつつも依然幻想郷一のプレーヤーたる博麗霊夢、
コンプレックスに自身の力で打ち克ち、夢と共に散る覚悟を決めた霧雨魔理沙、
そしてあらゆる逆境をも笑い飛ばし、自身こそが最強と信じて疑わぬ狂王・森崎有三…
彼らを中心に、技術でも精神面でも優れた博麗連合メンバーに対し、しかしルナティックスも負けておらず、
鈴仙や永琳やカグヤファンなどの力により優位に攻め切り、前半20分で3−0と圧倒的なリードを得た。

一方、そんな中でも新たな計画は着々と進んでいる。
霊夢を倒し、幻想郷の秩序の変革を狙う『プロジェクト・カウンターハクレイ』。
八雲紫が企む『リアル・幻想・セブン』計画に、それを利用した内部改革を意図する紫の式・八雲藍。
そして鈴仙の親友・妖夢をも利用し覇権を握るべく暗躍する、豊聡耳神子を中心とした『アナザーカンピオーネ』計画……。
鈴仙はいずれ、その何れかに与し、あるいは敵対しなくてはならないだろう。

果たして試合の行方は。鈴仙の選ぶ道は。そして幻想郷と外の世界の未来は。
もう昨日には戻れないにも拘わらず、彼女達は何の為に、何を夢見て戦うのだろうか。

476 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/01(日) 22:29:59 ID:???
紫は今大会の準決勝戦後に起きた――いや、意図的に引き起こした出来事を回想する。
その時は確かに中山を中心とする団結によって、多くの妖怪の群れが倒されていった。
紫としては中山の危険性を対外的に主張する為に使ったパフォーマンスではあったが、
その際の団結の強さについては、紫の想像以上のものがあった。
これまでは些事として片づけていたが、もしもこの際にも、中山の力を増幅させる「何か」が存在していたとしたら。

紫「――単独ならば、益にも害にもならない存在。
しかし、特定のトリガー及びキーマンとの関係によって、存在意義を補強し、維持する存在。
……そんな存在が偶然――もしくは必然?――にも、二人の間に立っていた……と」

紫は自身の推測を述べる。それは藍が求めるべき結論と合致していた。

藍「……思えば、森崎有三との関わりが薄すぎるとして、彼への警戒を外した私達が間違っていました。
そして私達は森崎有三を手に入れ制御し、中山政男を御す事が出来ると考えた時点で、慢心していました。
彼が元々、外界において果たして来た役割を考慮すれば、危険性を把握する事は可能だったのですが……」

紫「…………」

そして、その内心はさて置き、藍は紫への報告を終えた。
紫は藍を責める気は無かった。自分のミスを悔いる余裕すら無かった。
今の彼女には、そこまでの活動を行う為の力は残されていなかった。
――藍が再び、大きく綻び始めた結界の修復に向かったのを確認して、紫はこう独りごちた。


紫「アラン・パスカル。……彼の存在が中山政男を、鈴仙・優曇華院・イナバを支え、より強くした。
彼がかつて、サッカーが得意だった自分の親友を、アルゼンチンの至宝にまで至らしめたように。
――成程。この異変に真の黒幕が。エキストラボスが居るとしたら……間違い無く、彼しかあり得ないわね」



477 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/01(日) 22:31:01 ID:???
〜モリヤスタジアム・フィールド〜

――バシュウウウウウウウウウウウウウウッ、ズバアアアアアアアアアアッ!!
……ピピィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッ……!!

……シュウウウ〜ッ……。

森崎「あ………が…………!」

ドサリ。

全体力を注いだ、間違い無く森崎の最強最大のセービングは
……結果として、鈴仙達の『リフレクトバレット』に敗北した。
最後にやや右下に変化したシュートの軌道を森崎は捉えきれず、
ポストに頭から大きく激突し、全身から血を吹きだしながら倒れた。
鈴仙にもその際、般若の如き形相が見えたが、まさしくあれは狂王の最期と呼ぶに相応しかった。


鈴仙「……決まった。私達のシュート。本当に決まったのね……!?」

パスカル「ああ、間違い無く。――しかし情けないな。
俺のねじ込みだった筈が、殆ど完全にレイセン頼みのゴールになってしまった」

鈴仙「いやいや、そんな事無いわよ。パスカル君が一緒にコンビプレイを練習してくれなかったら、
私だってこの場じゃどうしようも無かったんだし」

パスカル「全く……。最初はどうかと思ったが、結局こっちでも俺は誰かの相棒扱いになるんだな」

鈴仙とパスカルはシュートを決めたという喜びよりも、森崎を制したという安堵感に包まれていた。
試合はまだ残り約20分で3点差。途中魔理沙や霊夢が決める可能性も残されてはいるが、
後は中盤を固めたパスワークを繰り返せば充分時間は稼げる。試合の趨勢は殆ど決していた。

478 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/01(日) 22:32:26 ID:???

永遠亭ルナティックス 4 − 1 博麗連合2015


大会得点ランキング(表記はメインキャラのみ):
15ゴール 鈴仙
13ゴール レミリア
9ゴール  フランドール、射命丸、魔理沙
7ゴール  勇儀
6ゴール  来生、屠自古、霊夢
5ゴール  星、諏訪子
4ゴール  森崎、神子、反町
3ゴール  早苗、謎の向日葵仮面
2ゴール  神奈子、ピエール、メルラン、天子、赤蛮奇、空、佳歩、岬、永琳
1ゴール  妹紅、咲夜、美鈴、サニー、リリーB、ぬえ、響子、萃香
       影狼、藍、幽々子、幽香、針妙丸、パチュリー、小田、椛、パスカル

大会アシストランキング(表記はメインキャラのみ):
6アシスト パチュリー、霊夢
5アシスト 小町
4アシスト てゐ、神子
3アシスト 早苗、ピエール、小悪魔、マミゾウ
2アシスト 森崎、反町、はたて、岬、空、お燐、霞、レミリア、アリス
1アシスト 鈴仙、影狼、大妖精、橙、諏訪子、佳歩、パスカル
       衣玖、針妙丸、リリーW、ルナサ、ぬえ、永琳、妹紅

479 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/01(日) 22:33:38 ID:???
…と、いったところで一旦ここまでです。

480 :森崎名無しさん:2015/11/01(日) 22:35:18 ID:???
藍「真犯人はお前だ、アラン・パスカル!ばっちゃん(紫)の名にかけて!」

481 :森崎名無しさん:2015/11/01(日) 22:37:44 ID:???
−−F−− F佳歩
−−−−− 
−−E−− E永琳
G−−−H Gてゐ H鈴仙(パスカル)
−−I−− I中山
C−B−J C霞 B妹紅 Jパスカル(鈴仙)
−D−A− D慧音  Aつかさ
−−@−− @輝夜

今のメンバーで一番ゴールの可能性がありそうな永琳をゴールに近づけて
後は一番怖い1対1対策でDF増やしただけ、単純すぎるけどこれでどうじゃー

482 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/02(月) 00:01:05 ID:???
萃香「森崎……。――森崎!?」

中里「……! 大丈夫でゴザるか、森崎!?」

天子「ちょっとこれシャレになんないでしょ!? 衣玖、何とかしてよ!」

衣玖「えっと、そう言われましても。私にはちょっと管轄外でして……」

アリス「貸して、私が見るわ!(――助けてあげたら後で友達度が増すかな……?)」

鈴仙達がある程度の安堵感に包まれる中、対する博麗連合は一転騒然としていた。
しかしそれは4失点を被り、いよいよ勝利は難しくなった事への絶望によるものではない。
――ポストに激突し、血だまりを作った森崎が、そのまま動かなくなった事への動揺が原因だった。

アリス「……これは酷い。腰の疲労骨折を起点に、全身の骨という骨が粉々に砕けているわ。
神経もグチャグチャになっているし、これは、助かったとしても、もう………」

魔理沙「――もう、サッカーは出来ない……か?」

アリスは深刻な表情で頷く。
病院務めの新しい友人との話題作りの為に齧った医学の知識が、こうした局面で役立つ事は一種の皮肉だった。

萃香「私にゃ詳しい知識は無いから分からんけど。
多分、森崎は割と早いうちから――腰かどこかで、限界を迎えていたんじゃないかな。
何故って前半終了前、鈴仙の『マインドスターマイン』を受けた時から、動きがちょっと普通じゃなかった。
それを持ち前の人間離れした根性で、無理やり稼働させてたんだろうけど……流石にもう、持たんかったか」

中里「――兎に角、もうプレーは続行不可でゴザろう。医務室へ運ぶでゴザ……」

アリスの診断と萃香の所見もあり、森崎がこれ以上サッカーを続ける事は誰もが絶望的だと思った。
だからこそ中里の提案に反対する者もおらず、一同は慌てて担架を用意させるのだが――。

483 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/02(月) 00:02:18 ID:???
――ムクリ。

森崎「――何勝手に殺してんだよ、ヤブ医者アリス」

アリス「あ、あれっ……? も、森崎……!?」

針妙丸「い、生きてる!? もしかしてゾンビ!? キョンシー!?」

森崎「ちょっと脳震盪で気を失ってただけだよ。身体もまだ動く。
――もっとも、まともなセービングに向かう程のガッツが無いのも確かだがな」

霊夢「(…………)――試合は一応続行、か。でも、本当に大丈夫なの?」

森崎「愚問だ。俺はFWあたりに置いてくれ。
多少質は落ちるが、小町よりかはマシなボールキープは出来る筈だ」」

小町「まーね。そんじゃあたいはサボってても良いかな?」

霊夢「ダメに決まってるでしょうが。あんたはタッパもあるんだし、DFでクリアでもやってなさい」

――しぶとい事に、森崎は生きていた。
アリスや萃香の診断を一笑に付し、相も変わらず自分の要求を淡々と述べて、傲慢な口は減りもしない。
博麗連合のメンバーの多くは再び驚き一部は呆れつつも、
しかし森崎が戻って来てくれた事に、ほっとしていた感情を抱いているという事実を否定できなかった。

484 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/02(月) 00:05:23 ID:???
魔理沙「……嘘だろ?」

――魔理沙だけは違った。森崎と同類で、森崎と同じ爆弾を抱えていて、
今現在、森崎と同じ痛みを共有している彼女だけは、FWへと向かう森崎に最後まで食い下がった。

森崎「嘘? 何のことだ?」

魔理沙「アリスや萃香の診断は間違っちゃいない。お前は今、死に体で動いている」

森崎「ああ、死に体さ。今の俺じゃ、もうパンチングも出来やしねえよ」

魔理沙「そういう体力的な問題じゃない。……お前はもう、選手として破綻しているんだ」

魔理沙は自分がもしも森崎と同じ立場になった事を考えた。
もしも重要な試合で、右脚が完全に潰れて動かなくなったら、どうするか。
答えは恐らく今の森崎と同じ――無理やりにでも動かす、である。

森崎「………ふん」

魔理沙の推論に根拠は全くない。しかし何故か確信はあった。
そして魔理沙の確信を裏付けるかのように、森崎はこう教えてくれた。

森崎「全身の骨という骨に釘を打ち付けられて、それに一遍にハンマーを打たれる痛みを想像してみろ。
それを想像したら、その痛みを百倍しろ。そしてその上で、今までの五倍の力で腕や脚を曲げ伸ばしてみろ。
あと一点、一瞬でも集中を切らしたら、意識が冷たい闇に沈んで行くから気を付けろ。
……お前は、それに耐えられる自信はあるか? お前の夢は、その痛み以上に重要か?」

魔理沙は何も答えなかった。しかし、その森崎の問いかけへの答えは揺らぐ事は無い。
森崎にも聞こえるよう、魔理沙はこう悪態を吐いた。

魔理沙「……お前が自分で、その問いへの回答を示してるじゃないか。
夢ってのは、ちょっとやそっとの痛みで、諦められるモンじゃない……ってさ」

485 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/02(月) 00:07:07 ID:???

霊夢「…………」

――そして必然、森崎の無残な姿を目にしても全く動じない魔理沙の意思は、霊夢にも聞こえていた。

霊夢「(魔理沙……。私はやっぱり、良く分からなくなって来た。
最初はあんたの夢を応援するのが、本当の友達だと思ってここまでやって来た。
だけど次第にそれは疑問に変わって来て……こうやって苦しむ森崎の姿を見て確信した)」

霊夢は冷静で暢気な風を装いながらも、心の中は今までに無くざらついていた。
今までは照れや外聞あって認めないでいた。魔理沙の夢を応援する為と自己を正当化させ、気に留めないでいた。
しかし今、その才能に見合わぬ大きすぎる夢を抱いた男の末路を見てしまった以上。
霊夢は自分の心の中に、こうした可愛らしい本音が残されている事を認めざるを得なかった。

霊夢「(――魔理沙。私はやっぱり……あんたをここで、失いたくない)」

自分の望みは恐らく、いや――間違い無く、魔理沙の夢にとって障害でしかない。
しかし霊夢は一方で、こうも考えていた。
だけどそれなら偶には、自分の夢を魔理沙に押し付けたって良い筈だ……と。
現状維持を嫌い、常に高みを目指し続ける森崎。魔理沙。中山政男。それに続く者達。
それらの者達と実際に会い、戦い、交流し、そして霊夢は気付く。

霊夢「(私には夢なんて全く無いと思ってたけど、あったわ。夢。それは――)」

――願わくば、これまで通りの穏やかな、何も変わりない平凡な生活を。
何かを失い、何かを切り捨てる事の無い、いつも通りの日常を。

霊夢の夢は、特別過ぎる博麗の巫女が考えたとは思えないまでに、平凡かつ陳腐なものだった。
だが、年頃の少女が、こうした平穏を夢として願う事は罪なのだろうか。
その是非は据え置いたまま、時間は進み、そして――。


486 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/02(月) 00:09:45 ID:???
――ピィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッ!!


実況「さあ、キックオフです。博麗連合は森崎選手の負傷が心配されましたが、
それは杞憂だったらしく、萃香選手をGKに据え、小町選手をDFに置く代わりに
高いドリブル突破力を誇る森崎選手を前方に置いて、攻めを継続させます!

そして対する永遠亭ルナティックスは全体的に下がり目の布陣を作り、
これ以上の攻めを許さないと共に、僥倖にも得た3点差を守るべく必死の様子!
まだまだ逆転の芽はある博麗連合、霊夢選手のキックオフで試合を再開させ〜……!?」


※※※これより先は、無判定の描写が多いイベント戦となります※※※

−−D−− D萃香
−ABF− A玄爺 B天子 F小町
−−−−−
−−E−− E衣玖
G−−−C Gアリス C中里 
−−H−− H魔理沙  
−−−I− I霊夢   
@−J−− @森崎 J針妙丸 
博麗連合2014:4−3−3
永遠亭ルナティックス:4−6−0
−−−−−
−−−−− 
−H−F− H鈴仙 110/980 F佳歩
G−J−E Gてゐ Jパスカル E永琳
−−I−− I中山
−CDB− C霞 D慧音 C妹紅
−−A−− Aつかさ
−−@−− @輝夜

487 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/02(月) 00:10:57 ID:???
霊夢「(……魔理沙にはシュートを撃たせない。私が独りで全部、異変を解決すれば良い……!)」

スッ。 ――フワアアアアアアッ。シュパアアアアアアアアッ……!

実況「霊夢選手、ここはエース自ら中央を正面突破! ですが少し様子がおかしい!
普段は周囲へのパスも必要に応じて行う霊夢選手ですが、今は仲間を一顧だにせず、
まるでドリブルをする機械のように真正面を突っ切っていきます!」

佳歩「た、大変……! 私もタックルに……!」

霊夢「――貴女は要らない」

――シュンッ!

永琳「――穏やかでは無いわね。巫女としての本能が目覚めてしまった?」

霊夢「うるさい……!」

シュパッ!

実況「霊夢選手、凄い動きだ〜〜! 佳歩選手と永琳選手を完璧に振り払い、
単身ルナティックスの中盤深くにまで一瞬で詰め寄りました!」

霊夢「……あんた達に恨みは全くないわ。だけど、ここでやられて頂戴。
巫女としての使命じゃなく。私の――個人的すぎる、つまんない夢の為にね!」

シュンッ! シュンシュンッ!

488 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/02(月) 00:12:07 ID:fd8vYlJY
中山「……自分の夢を、そう簡単に貶めるべきではないッ!」

ズザアアアアアアアアアアアアアッ!

実況「――ボールカットに向かうのは、中山選手!
この試合幾度となく霊夢選手を苦しめて来た、永遠亭ルナティックスのスーパーヒーローです!
ですが、タックルに向かうのは中山選手だけでは無い!」

パスカル「――折角だ。せめて守備では目立ってやる!」

実況「先程はツインシュートで鈴仙選手をサポートしたアラン・パスカル選手! そして……!」

鈴仙「――霊夢。私だって、夢があるんだから。
この試合に勝って、師匠とも肩を並べられる名選手になるっていう夢が……!」

霊夢「――そんなの知らないっての。皆我儘なんだもん、私だって、たまには勝手にやらせて貰うわ!」

――シュパァァァァァァァァァァァッ……!!

実況「先程は冴えわたるようなシュートを放った鈴仙選手が霊夢選手を止めに向かう!
奇しくも今大会で大波乱を巻き起こした選手トップ3が、王者たる博麗の巫女に対峙する格好です!
まさしくこれは、幻想郷サッカー異変のクライマックス!
霊夢選手は果たして、このラスボスに対し、一矢報いることが出来るのでしょうか!?」

489 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/02(月) 00:13:14 ID:fd8vYlJY
先着3名様で、

★霊夢→ドリブル 54 (! card)(! dice + ! dice)=★
★鈴仙→タックル 52 (! card)(! dice + ! dice)+(人数補正+1)+(ガッツ200未満ペナ-2)=
 パスカル→タックル 52 (! card)(! dice + ! dice)+(人数補正+1)=★
★中山→タックル 54 (! card)(! dice + ! dice)+(人数補正+1)=★

と書き込んで下さい。カードやダイスの結果で分岐します。

MAX【攻撃側】−MAX【守備側】
≧2→霊夢、ドリブル突破。
=1、0、−1→ボールはこぼれ球に。そして魔理沙がフォロー
≦−2→ルナティックスボールに。

【補足・補正・備考】
霊夢のマークがダイヤで「博麗幻影(+5)」が発動します。
霊夢のマークがハートで「ヒールリフト(+4)」が発動します。
霊夢のマークがスペードで「華麗なドリブル(+3)」が発動します。
霊夢はスキル・博麗の巫女により、ダイスで2が出た場合数値を12、3が出た場合数値を11とします。
霊夢のスキル・博麗の巫女はパスカル・中山相手には通用せず、正規のダイス目を適用します。
鈴仙のマークがダイヤ・ハートの時、「アイドリングウェーブ(+2)」が発動します。
鈴仙のスキル・狂気の瞳は霊夢のスキル・空を飛ぶ程度の能力により無効化されます。
パスカルのマークがダイヤ・ハートで「クリップタックル(+3)」が発動します。
中山のマークがダイヤで「アッシュタックル(+4)」が発動します。
中山のマークがハートで「バーニングタックル(+3、吹飛2)」が発動します。
中山はスキル・後天性ファンタジスタにより、ダイスが2の時数値を10、3の時9とします。

(以下、先のシュートに対する数値変動等です)
*試合の趨勢を決めるシュートを決めたため、人気度が上がります。92→94
*凄いシュートを見せ、永琳印象値が上がります。54→55
*永琳印象値が一定以上に達したので、永琳による特別練習イベントが発生します。
*幻想的な選手の証であるハットトリックを決めたため、狂気度が上がります。28→29

490 :森崎名無しさん:2015/11/02(月) 00:14:49 ID:???
★霊夢→ドリブル 54 ( スペード5 )( 1 + 3 )=★

491 :森崎名無しさん:2015/11/02(月) 00:15:12 ID:???
★鈴仙→タックル 52 ( クラブ4 )( 2 + 4 )+(人数補正+1)+(ガッツ200未満ペナ-2)=
 パスカル→タックル 52 ( クラブ4 )( 3 + 2 )+(人数補正+1)=★

492 :森崎名無しさん:2015/11/02(月) 00:15:40 ID:???
★鈴仙→タックル 52 ( スペード6 )( 6 + 6 )+(人数補正+1)+(ガッツ200未満ペナ-2)=
 パスカル→タックル 52 ( ハート8 )( 3 + 1 )+(人数補正+1)=★

493 :森崎名無しさん:2015/11/02(月) 00:17:26 ID:???
★中山→タックル 54 ( スペード6 )( 3 + 3 )+(人数補正+1)=★

494 :森崎名無しさん:2015/11/02(月) 00:18:21 ID:???
カグヤ カグヤ カグヤ カグヤ

495 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/02(月) 00:23:59 ID:???
森崎は鈴仙が制し、霊夢は中山が制し、その両方にパスカルは協力した。
……が、ボールは魔理沙に渡ってしまった!
……と、言ったところで今日の更新はここまでにします。
博麗連合戦はこれから数日かけて、イベント戦として終わらせようと思っています。

(今回のイベント戦の概要)
・細かい戦術、陣形に関する作戦選択はショートカット(こちらが自動で決めます)
・判定については要所要所のみ実施
・鈴仙の言動、行動に対する選択肢はあり(無い時もあると思います)
・敵チームにシュート、得点チャンスあり(逆転は(余程の事が無い限り)ありません)

もしも、「いや、残り時間も普通に作戦を練って戦いたい! もっとこのキャラを動かして点を取りたい!」
……などと希望が多くありましたら反映させますので、コメントを頂ければ嬉しいです。
>>481さんは折角陣形を考えてくださったのに、すみませんでした)

それでは、皆さま、本日もお疲れ様でした。

496 :森崎名無しさん:2015/11/02(月) 00:25:26 ID:???
乙です
個人的にはブルノさんを動かして点を取りたいです!(どっちの点とは言ってない)
反映してください!>>497がなんでもしますから!

497 :ロベルト(はだけかけ):2015/11/02(月) 01:34:04 ID:???
やめて! 私に乱暴する気でしょう? エロ同人みたいに!

498 :森崎名無しさん:2015/11/02(月) 07:18:16 ID:???
名前欄まで使ったネタにちょっと感動して盛大に笑ってしまったwww

499 :森崎名無しさん:2015/11/02(月) 14:30:43 ID:???
28スレの373で狂気29だから今回のハットで30じゃないですか?

>病院務めの新しい友人
勝手にアリスの友達にされてるw

500 :森崎名無しさん:2015/11/02(月) 17:55:05 ID:???
>森崎は鈴仙が制し、霊夢は中山が制し、その両方にパスカルは協力した。

藍「森崎を鈴仙が制し、霊夢を中山が制したのも」
真の黒幕パスカル「それも私だ」

鈴仙「GMが狂気度を間違えていたのも」
真の黒幕パスカル「それも私だ」

魔理沙「私の6ゾロシュートが決まらなかったのも」
真の黒幕パスカル「それも私だ」

アリス「私に友達ができないのも」
真の黒幕パスカル「それはお前だ」

501 :森崎名無しさん:2015/11/02(月) 18:35:11 ID:???
アリスに友達いないって、少なくとも霊夢と魔理沙とパチュリーと鈴仙
四人は友達いるじゃん、充分じゃないか!

乙なのです

502 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/03(火) 00:50:38 ID:???
こんばんは、今日は帰りが遅くなった上に少し疲れたので更新をお休みします。
明日は一日休みなのでいくらか更新できると思います。
>>496
乙ありがとうございます。
ブルノさん操作したら味方が失点し過ぎてゲームにならなくなるので、却下でお願いします。
>>497
はだけかけにエロスを感じますね(棒)
>>499
すみません、見落としがあったようです……。
次に直すだとまた忘れそうなので、レスの最後にでもアナウンスだけしておきます。
>>500
鈴仙のせいだと思っていたのはパスカルのせいだったんですね…
>>501
乙ありがとうございます。
霊夢→(知り合い)→アリス
魔理沙→(ご近所)→アリス
パチュリー→(賢者ファン)→アリス
なので、もはや森崎亡き今アリスさんには鈴仙しかいませんね。

皆さま、また明日宜しくお願いします。


*狂気度の上昇漏れを直した事により、狂気度が1上昇します。29→30

503 :森崎名無しさん:2015/11/03(火) 00:59:39 ID:???
乙です。合体シュート決めたせいで全部パスカルのせいになってるw

504 :森崎名無しさん:2015/11/03(火) 01:03:30 ID:???
紫「みんな、だまされないで!あれは鈴仙の変そうよ!」

パスカル?「ふっ、私の正体をよくぞ見破った!」ベリッ

鈴仙「それでは幻想郷の秩序は頂いていくぞ!ハッハッハッ!」




紫「という夢を見たのも鈴仙ってやつの仕業ね」

藍(この前夕飯にさかなだしたら肉が食べたいのに魚が出てきたことも彼女の仕業にされてたな・・・)

505 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/03(火) 23:03:26 ID:???
こんばんは、更新再開します。
>>503
乙ありがとうございます。
パスカル黒幕説が新しい流れとなるのか気になりますねw
>>504
今の紫は肉や魚を食べる気力すらないですね…。

506 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/03(火) 23:04:36 ID:???
★霊夢→ドリブル 54 ( スペード5 )( 1 + 3 )+(華麗なドリブル+3)=61★
★鈴仙→タックル 52 ( クラブ4 )( 2 + 4 )+(人数補正+1)+(ガッツ200未満ペナ-2)=57
 パスカル→タックル 52 ( クラブ4 )( 3 + 2 )+(人数補正+1)=58★
★中山→タックル 54 ( スペード6 )( 3 + 3 )+(人数補正+1)=61★
=1、0、−1→ボールはこぼれ球に。そして魔理沙がフォロー

霊夢「(抜く……早く抜いて、点を挙げなきゃ……!)」

タタタッ、シュンッ、シュパァァァッ……!

――友人として、魔理沙の破滅を見たくない。
そんな単純だが純粋な気持ちで行われた霊夢のドリブルは、
その想いの強さに反して空回り、明らかに精彩を欠いていた。

鈴仙「……うええっ……! な、何このドリブル!?」

パスカル「――信じられん。これが努力では到底追いつけない、『才能』というものなのか……?」

しかし、『精彩を欠いていた』というのは、世界中に残り1名居るかどうかであろう、
霊夢と互角の能力を持つ超天才選手の視点から見た場合の話である。
並以上のタックラーである鈴仙やパスカルにおいてすら、精彩を欠いた霊夢のドリブルには追いつけない。

中山「プレーに焦りが見えるぞ」

霊夢「…………!」

霊夢にとって不幸だったのは、彼女の眼前にたまたま、世界中に残り1名居るかどうかであろう、
霊夢と互角の能力を持つ超天才選手が居た事だった。
前線でのドリブル突破とパスによるゲームメイク、ミドルシュートを得意とする霊夢と異なり、
中盤でのボールキープとタックルによるボールカット、シュートブロックを得意とする中山。
それぞれ得意とする分野に違いがあれど、二人の総合力はほぼ同じ。
故に、少なくとも中山にとって霊夢の焦燥は大きな隙として映った。

507 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/03(火) 23:06:39 ID:???
霊夢「――何を言っているの。私は焦ってなんか……!」

中山「……そこっ!」

――ダダッ、ズザアアアアアアアアアアアアアアアッ!

霊夢「――ッ!」

中山の指摘に対し、半分意地でそう言い返そうとする霊夢だったが、タックルの勢いが激しすぎた。
摩擦により炎を発生させる『バーニングタックル』や、
それ以上の超高熱により、炎すら発生させずにボール以外の物質を焼き尽くす『アッシュタックル』のように、
恐ろしい威力を秘めるタックルでこそ無かったが、中山のタックルは確実に霊夢のボールを捉えていた。

霊夢「――だめ。このまま、じゃ……!」

グルンッ! ……バシッ!

中山「――しまった!」

そんな中で、霊夢が無意識的にターンを行い、咄嗟にバックパスまで行えたのは、やはり彼女の能力の高さを表していた。
しかし当の霊夢は、再びリターンを貰おうとボールを蹴った先を見て、大きく後悔していた。
いや、どちらかと言うと怒っていた。憤りを覚えていた。一発ぶん殴ってやりたいとか思った。
――その対象は勿論、自分自身である。

――ポーンッ、コロコロコロ……パシッ。

魔理沙「――霊夢。お前はきっと咄嗟の事だから覚えてないって言うだろうけど。
中山のタックルが来て、パスを出そうとした時。
――お前は間違い無く、私を見ると安堵しきった表情で、こっちにボールを蹴り出した」

霊夢「……最低。私って、ほんとバカ。時間を稼いでくれると思って、
わざわざ敵のパサーにパスを出しちゃうザルGK位には馬鹿だったわ、私」

508 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/03(火) 23:09:34 ID:???
――霊夢は、ボールを奪われるという自分の危機を救ってくれる人物として、霧雨魔理沙を選んでいた。
彼女は魔理沙を守りたいと思いながら、その魔理沙を心から深く信頼して「しまって」いた。
……その結果が、親友の破滅に繋がると重々承知していたにも関わらず。

魔理沙「――霊夢。今日は私にとって、本当に、本当に幸せな日だったぜ」

魔理沙は普段のような、いや、普段の数倍もカラッとした、太陽のような笑みを浮かべた。

魔理沙「お前は準決勝の途中から今までずっと、私の事を心配しながら、
それでもなお、私が私の夢を――霊夢と肩を並べてプレーする事を――応援してくれてた」

霊夢「……魔理沙。ボールを返して。私がドリブルゴールするわ」

霊夢は普段の冷静さを装いながら、暗にシュートを止めるよう要求する。
しかし魔理沙は話を聞かずにドリブルで前へ前へと進んでいった。

魔理沙「お前がそんな風にしてくれなきゃ、私は今頃夢より先に柳の河原に身投げして。
そんでもって辛うじて生還こそするが、復讐半分に魅魔様のノートから禁呪法でも勉強して、
『これが私の「フィンガーフレアスパークス」だぜ!』……とかほざいて。
それで、夢も叶えられずフィールドで惨めに野垂れ死んでただろうな。
――うん。ホントに柄じゃないけど。私は霊夢に感謝してるぜ?」

霊夢「感謝してるんなら、恩を返しなさいよ。――今なら賽銭 877 万円のところ、
今あんたが持ってるボールを私に返すだけで大目に見といてあげるから」

霊夢の口調が刺々しくなる。しかしそれは普段の妖怪退治のような無慈悲さによるものではなく。
どちらかと言うと、年相応の少女が友人と喧嘩をする際のそれに近いものだった。
そしてそれにも関わらず、魔理沙はドリブルを止めなかった。

509 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/03(火) 23:11:46 ID:???
魔理沙「霊夢。悪いがその恩、死ぬまで借りとくぜ」

霊夢「それは私じゃなくて、本来はパチュリーとかアリスとかに掛けてやるべき言葉でしょ。
あんたと私で寿命ネタなんてやったって、どっちが先かも分かんないし。面白くもなんとも無いんだから」

魔理沙「本なら最近ちゃんと返してるってば。ん? でも、そういや最近アリスからは本を借りてないな。
そろそろ「トモダチ料」とかでっち上げて、数冊魔導書でも徴収しとくかな」

霊夢「それはアリスが泣くから……いや、でも最近の人肌恋しげなアイツなら大丈夫かな。
むしろ泣いて喜ぶかも。じゃ別に良いか、どんどん借りパクっていきなさい――って、違うでしょ。話が逸れてる」

魔理沙「おっと、そうだった。悪いな」

こうしたシリアスで重たげな中でも、普段の世間話のような軽い会話が入る辺りは、
暢気な幻想郷の巫女とその相棒、という以上仕方ない所ではある。
しかし、今の彼女達にとってはこうした何気ない会話すらも重要だった。

510 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/03(火) 23:13:40 ID:???
***


霞「……ボールカット率、7パーセント! ですが行くしかありません!」

タッ、ズザアアアアアアアアアアアアッ……!

魔理沙「……どけ、今重要な会議中だ。ガキは引っ込んでな」

――グワッ、ブウウン、ドゴオオオオオオオオオオオオオオオッ!

妹紅「だったらこの『正直者の死』はどうだい!?」

タッ、グルンッ。ズザアアアアアアアアアアアアアッ!

魔理沙「私は嘘つきだから、関係無いぜ」

――グワッ、ブウウン、ドゴオオオオオオオオオオオオオオオッ!

――魔理沙の全力を相手にブロックはほぼ無意味、と言わんばかりにプレスを掛けるルナティックスのDFを、
最近開発した自慢のドリブル、『サングレイザー』であっけなく吹き飛ばすと、
魔理沙は霊夢の制止を振り切り、いよいよルナティックス側のバイタルエリアへと辿り着く。

霊夢「待ちなさい、魔理沙! 何度だっていうけど、あんたが今シュートを撃てば……!」

魔理沙「――私の右脚はコナゴナに砕け散って飛び散り、肉の破片となる。その位分かってるよ。
それでも、私は霊夢。お前と並び立ちたいんだ」

グワアアアアアアアアアアアアアアアッ……!

511 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/03(火) 23:16:17 ID:???
魔理沙は右脚を大きく振り上げた。
痛みに加え、先程のボールキープにより疲労が蓄積し、その額には玉のような汗が幾つも浮かんでいた。
白黒でリボンのついた、可愛らしい山高帽子からは汗と泥がしたたり落ちる。
彼女の肉体は既にボロボロだった。しかしそれにも関わらず、彼女の表情は変わらず晴れていた。

霊夢「もう充分並び立ってるってば。結果も多くの観客も幻想郷のサッカー評論家も、
全てがあんたが私に並ぶFWである事を証明してる! これ以上、何を望むって言うの!?
『ファイナルスパーク』なんて無くたって、あんたはレミリアや最近の鈴仙にも並ぶ屈指のFWだし、
これから先努力をしていけば、反動の無い『ファイナルスパーク』が開発できちゃうかもしれないじゃない!
どうしてこの試合で必死に終わろうとするの! ねぇ、どうしてよ……!」

魔理沙「……そうだな。確かに、そういう手もあったかもしれないな」

魔理沙の表情とは対照的に、霊夢は半分泣き崩れていた。
彼女は今まで、こうした表情を誰にも――実質的な親代わりだった紫にさえも――見せた事はなかった。

――博麗の巫女は中立。博麗の巫女は泣かない。博麗の巫女は怒らない。
      その代わりただ単純に、そして無慈悲に異変を解決し、幻想郷を守らなくてはならない――

幼少時よりそう教え込まれ、果たしてその通りに成長した筈の彼女は、
一体どこからこうも感情的に変わってしまったのだろうか。それは誰にも分からない。
とにかく重要なのは、霊夢は今、魔理沙の事を誰よりも強く思っているという事実だった。

魔理沙「――認める。今日の試合こそが私の最期であると決めた事は、確かに私の甘えだ。
私はこの機会を逃せば、もう二度と霊夢達に追いつけなくなる。
――そう思って焦っていたのは事実だし、逆に言うと、そう決めつけて、何もしようとしなかった。
森崎と会ってからは、自分のそうした弱さや甘えがより一段とハッキリ分かったつもりだったけど。
それでもまだ、私はアイツ程強くは無かった」

激痛に耐えながらも、今尚自分の将来が栄光に満ちていると信じて疑わぬ、
不屈の男の姿を見やりながら、魔理沙はそう告白する。

512 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/03(火) 23:17:29 ID:???
霊夢「だったら、その右脚を振り抜くのは止めて!
パスにして……そうだ、針妙丸よ! あいつったら色々偉そうな事言っときながら、
今日の試合は殆ど働いてないじゃないの。あいつにパスをするの!」

魔理沙「…………でも。無理だよ、霊夢。私は今日の試合、2発もシュートを撃ってる。
その時点で、私の右脚は間違い無く終わっちゃってる。
――私達はもう昨日には、戻れないんだ。それならせめて、今日を最高の一日で終わらせてくれ」

魔理沙にはそう言うと、精神をシュートに集中させる。
そうすると、後ろからの雑音は全く聞こえなくなった。
よし、と小さく頷いて――魔理沙は、轟音と共にボールを大きく蹴り放った。



 魔理沙「――一瞬でも、閃光のように。これが私の最後の夢。最後の……『ファイナルスパーク』、だ……!」

                      ―――グワアアアアアアッ!
             バッ……、――ゴオオオオオオオオオオオオオオオン……!!




513 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/03(火) 23:18:41 ID:4+eV1e1Y
***


つかさ「―――霧雨魔理沙さんが、……シュートに来ます!」

慧音「……本当か? 彼女はこれまでの試合、シュートのみならず、
守備においても献身的に動いていた。普通の『マスタースパーク』ならともかく、
さっきの『ファイナルスパーク』は、もう撃てる余裕が無い筈だが」

――対するルナティックスサイドも緊張感に包まれていた。
霊夢の制止を受けながらも頑なにシュート体勢に出た魔理沙を見て、つかさが動揺し、一方で慧音は訝しむ。

輝夜「……いや。アイツは。あの白黒は間違い無く、『ファイナルスパーク』を撃ってくるわ」

そんな中、輝夜が自信満々にDF陣に対してこう断言したのは珍しかった。
彼女は普段戦術やら戦略やらに興味を示す事は無く、現場に任せる(丸投げする)事が多かった為である。

つかさ「姫様。失礼ですが、どうしてそう断言できるのでしょうか?」

輝夜「なーに。簡単な事よ。なぜって、人間という種族は我々月の民やあんたら妖怪と違って弱いけど。
その代わり、戦うべき時には閃光の如く、キラリと輝くように出来てるモンだからよ。
そんで、あの白黒は私が今まで見て来た人間の中でも一番特に人間臭い。
……だったら、もうこの先の展開はキマリよ。
――アイツは、自分の体力の限界を踏み倒してまで。
それでいて、本来出せるべき威力よりも更に上のシュートを放って来るわ」

輝夜はそう言って、助けを呼ぶための腹式呼吸を始め、
(妹紅と霞がタックルに出た為)、つかさと慧音の二名しか居ないDF陣に出撃を命じる。
つかさはその時、若干腑に落ちない気分だったが、後にそれを後悔した。

――何故なら、輝夜の予言は見事に的中し。
霧雨魔理沙は自身の限界をも超えた、正真正銘の最期の閃光を放ったのだから。

514 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/03(火) 23:21:45 ID:4+eV1e1Y
☆どのセービングをしてもらいますか?
 先に2票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。
A:たすけてみんな!!(セーブ力に固定で+10されます)200消費
超必殺キャッチです。強力ですが、「(えーりんが)とめる!」は発動しません。
使用時獲得カリスマポイント:−1(0以下にはならず、ポイントが0でも使用可です)

B:たすけてえーりん!(セーブ力に固定で+8されます)150消費
必殺キャッチです。1/4で「(えーりんが)とめる!」(+3)が発動します。
成功(=こぼれ球以上)時獲得カリスマポイント:0

C:パンチング(セーブ力に固定で+4されます)80消費
ボールを弾きます。勝利しても自陣深くにボールが残ることが多いです。
1/4で「ブリリアントドラゴンバレッタ(+2)」が発動します。
成功時獲得カリスマポイント:1

D:キャッチング(セーブ力に固定で+2されます)40消費
ボールを掴みます。成功率が低い分、勝利時はこちらにより有利な判定となります。
成功時獲得カリスマポイント:3

E:カリスマセーブ(セーブ力に固定で+0されます)40消費
カリスマにワンハンドキャッチします。属性はキャッチと同じですが、成功したらカリスマ度が急上昇します。
また、JOKERが出た場合は数値差に限らず強制勝利となります。
成功時獲得カリスマポイント:5(失敗時でも+1)

F:ライフスプリングインフィニティ(セーブしません)100消費
輝夜が何か凄いオーラを発し、2/13(+JOKER)でシュートを防ぎます。吹き飛び判定はなく、ポスト判定は存在します。
成功時獲得カリスマポイント:4
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
輝夜セーブ力:53
魔理沙の『ファイナルスパーク』の威力:65+(不屈の主人公+2)+(ガッツ300未満ペナ-1)
輝夜のガッツ:400/730
輝夜のカリスマポイント:1/10(ポイントが溜まると難題が解放され、輝夜がパワーアップします。現在:LV2)

515 :森崎名無しさん:2015/11/03(火) 23:22:35 ID:fMai023Y


516 :森崎名無しさん:2015/11/03(火) 23:23:36 ID:kJa/BX7k
A

517 :森崎名無しさん:2015/11/03(火) 23:23:47 ID:s6KSQwEg
F

518 :森崎名無しさん:2015/11/03(火) 23:24:06 ID:yuRNmVc+
F
正直吹き飛ばされるとガッツが切れて最悪追いつかれる可能性もある。

519 :森崎名無しさん:2015/11/03(火) 23:24:27 ID:???
この展開で平然とブルノさんたちを召喚ってw

520 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/03(火) 23:28:50 ID:4+eV1e1Y
A:たすけてみんな!!(セーブ力に固定で+10されます)200消費

先着3名様で

★魔理沙→ファイナルスパーク 65 ( ! card )( ! dice + ! dice )+(補正合計+1)=★
★つかさ→ブロック 50 (! card)(! dice + ! dice)+(人数補正+1)=
 慧音→ブロック 51 (! card)(! dice + ! dice)+(人数補正+1)=★
★輝夜→たすけてみんな!! 63 (! card)(! dice + ! dice)=★

と書き込んでください。カードやダイスの結果で分岐します。

【シューター】−【ブロッカー】
≧5→シュートは邪魔される事無く放たれた!GKとの勝負へ。
=4〜2→シュートは放たれた。しかしこの数値差の人数分威力が落ちてGKとの勝負へ。
=1、0、−1→ボールはこぼれ球に。そして左から順に
(針妙丸がねじ込み)(妹紅がフォロー)(輝夜がフォロー)
≦−2→ルナティックスボールに。
【シューター】−【キーパー】
≧2→魔理沙の『ファイナルスパーク』がルナティックスゴールを消し去る!
=1、0、−1→ボールはこぼれ球に。そして左から順に
(針妙丸がねじ込み)(小町がねじ込み)(妹紅がフォロー)
≦−2→ルナティックスボールに。

【補足・補正・備考】
魔理沙の「ファイナルスパーク」には吹飛係数1があります。
魔理沙はスキル・閃光少女によりガッツ消費を踏み倒して必殺シュートを発動しています。
その際、シュート後魔理沙はプレイ続行不可となります。
魔理沙はスキル・不屈の主人公により、最大ガッツが300未満時全能力が+2されます。
つかさのマークがダイヤで、「ソウルブロック(+8、250消費)」が発動します。
つかさのマークがダイヤで、「顔面ブロック(+6、150消費)」が発動します。
慧音のマークがダイヤで「三種の神器 鏡(+4、100消費)」が発動します。
輝夜はスキル・蓬莱人により絶対に負傷しません。

521 :森崎名無しさん:2015/11/03(火) 23:29:22 ID:???
★魔理沙→ファイナルスパーク 65 ( ダイヤ8 )( 4 + 1 )+(補正合計+1)=★
マリーサ王女バイバーイ!

522 :森崎名無しさん:2015/11/03(火) 23:30:19 ID:???
逆転は余程の事が無い限りありませんと言ってたけど、
追いつかれる可能性はありそうだからガッツの温存も考えたほうがいいと思うけど。

523 :森崎名無しさん:2015/11/03(火) 23:30:47 ID:???
★つかさ→ブロック 50 ( ダイヤ6 )( 3 + 6 )+(人数補正+1)=
 慧音→ブロック 51 ( ハート9 )( 1 + 1 )+(人数補正+1)=★

524 :森崎名無しさん:2015/11/03(火) 23:31:37 ID:???
★つかさ→ブロック 50 ( クラブ4 )( 2 + 3 )+(人数補正+1)=
 慧音→ブロック 51 ( ハート4 )( 3 + 4 )+(人数補正+1)=★

525 :森崎名無しさん:2015/11/03(火) 23:31:47 ID:???
★輝夜→たすけてみんな!! 63 ( クラブQ )( 1 + 4 )=★

526 :森崎名無しさん:2015/11/03(火) 23:32:06 ID:???
★輝夜→たすけてみんな!! 63 ( ハート6 )( 3 + 2 )=★

527 :森崎名無しさん:2015/11/03(火) 23:33:33 ID:???
魔理沙がいなくなって森崎も守備では役に立たない
ボール回しでなんとかなるか?

528 :森崎名無しさん:2015/11/03(火) 23:35:59 ID:???
あらら、決まったか
引きが悪いな

529 :森崎名無しさん:2015/11/03(火) 23:40:16 ID:???
ブルノ(吹っ飛び中)「おれならとれたな」

530 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/04(水) 00:26:06 ID:???
魔理沙がとうとうゴールを決め、試合は4−2! しかし魔理沙はプレー続行不可!
……と、言ったところで続きが長くなりそうなので、今日の更新はここまでにします。

>逆転、同点の可能性について
 同点になるのは、余程守りが大失敗したとかクラブAが出たとかそんなレベルで、
 実際は最悪でも4−3に収まることになると思っています。
 4−3になった時点で、パスワークで試合を安全に流せるような選択肢を入れようと考えています。


それでは、皆さま、本日もお疲れ様でした。

531 :森崎名無しさん:2015/11/04(水) 01:36:24 ID:???
よかった、一応勝てるんだな
こっから逆転の可能性もあると思ってたから心配してたよ
・・・まぁ今回はどう見ても仕方のない失点だったね
基礎値が高いのにダイス低かったらら止められる気はしたんだけど

532 :森崎名無しさん:2015/11/04(水) 03:30:16 ID:???
まりーさ王女がスキル不屈の主人公をもってるなら
森崎も持ってそうな気がする。今はなくてもユースあたりで限界突破も合わせて

533 :森崎名無しさん:2015/11/04(水) 23:32:59 ID:???
魔理沙の足が爆死! 魔理沙「うわあああああ!!」ウンメイノー

紫「魔理沙の足が爆死したのも鈴仙って奴の仕業なんだ」
黒幕パスカル「それも私だ」

534 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/05(木) 00:08:43 ID:???
こんばんは、更新再開します。
>>531
これで逆転ありだったら、プレイヤー側にかなり不公平なので配慮しました。
今まで2回防いで来たのがかなりラッキーでしたね。
>>532
魔理沙が疲労時に強くなるのは考えてたのですが、森崎は実は考えてませんでした。
限界突破とこのスキルが合わさるとかなり強いですし、森崎が持ってても良さげですね。



535 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/05(木) 00:11:42 ID:???
>>533魔理沙が爆死したのは紫のせいですね…
―――――――――――――――――――――――――
★魔理沙→ファイナルスパーク 65 ( ダイヤ8 )( 4 + 1 )+(補正合計+1)=71★
★つかさ→ブロック 50 ( ダイヤ6 )( 3 + 6 )+(人数補正+1)+(ソウルブロック+8)=68*吹き飛び&減衰!
 慧音→ブロック 51 ( ハート9 )( 1 + 1 )+(人数補正+1)=54★*吹き飛び!
=4〜2→シュートは放たれた。しかしこの数値差の人数分威力が落ちてGKとの勝負へ。
★魔理沙→ファイナルスパーク 65 ( ダイヤ8 )( 4 + 1 )+(補正合計+1)+(減衰-1)=70★
★輝夜→たすけてみんな!! 63 ( クラブQ )( 1 + 4 )=68★*吹き飛び!
≧2→魔理沙の『ファイナルスパーク』がルナティックスゴールを消し去る!


    バギュウウウウウウウウウウウンッ! ドギュルルルルルルルルルルルルルルルルルッ……!
            ―――カッ!  チュドゴーーーーーーーーーーーーーーンッ!
           ビイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ………ンン!!
            ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド…!!

――その閃光は確かに不格好だったが、それでも一際大きく、美しく輝いた。
真っ白な中に、僅かな虹色を含みつつ、魔理沙の『ファイナルスパーク』は三度放たれた。
人間では間違い無く放てない、いや、鬼や天狗の類であっても撃てばその反動で身体を痛めるであろう
まさしく規格外のシュートを、人間の少女は僅か一時間の内に三回も放った。
その事実だけでも充分驚愕に値するものだったが、そのシュートの威力はそれ以上に恐ろしかった。

セルバンテス「グハァーーーッ!?」

シュタイン「オーノーーー!?」

メッテルニヒ「ニヒィーーー!?」

バギドゴグシャアアアアアアアアアアアアアッ!!

輝夜「わ、私のポスト達がぁぁぁ……ぜ……ぜん……め……めつめつめつ……」

536 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/05(木) 00:12:42 ID:???
今までは精々がバキリと二つ折りになっている程度のGK達は、
全生命力をシュート力に換えて放たれた最後の閃光の前に悉く燃え尽きる。
試合前は数千人単位で居たポスト達は、とうとうブルノさん一個のみとなってしまった。

輝夜「ギャアアアアアアア!? さ、サッカーでポスト……じゃなくて人が死ぬとか反則でしょ!?
はんたーい! 反則プレーはんたーい!!」

ブルノさん「そうだそうだー! 俺達は正々堂々と戦ってるんだー! 恥を知れ、恥を!!
勝つためなら何やっても許されると思うなよー、クソが!!!!
サッカーは俺みたいな紳士の為のスポーツなんだよ! ばか! ばか!! うんち!! おしっこ!!」

輝夜「そーよそーよ! ……てなわけで後宜しくね!」

ブルノさん「ハァ? 逆だろ!? お前が俺様の代わりに吹っ飛ばされろよ!!」

輝夜「なんでよ!? 本来これって私の技でしょうが!」

ブルノさん「俺の技だ!!」(驚きつつ手を前に出しながら)

輝夜「違うっての!? ……って、言ってる間にシュートが来たーーー!?」

カッ! チュドーーーーーーーーーーーーーーーン!!

――そして、ブルノさんは他のどのポスト達以上に役立たずだったため、
輝夜は間もなく他のポスト達と同じ運命を辿る事となった。
つまり、超高熱の熱線を受け、細胞すら残らないレベルで粉々に分解されてしまったのである。


バギュン! ――ゴオッ!           ――――……シーン。




537 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/05(木) 00:14:17 ID:???
慧音「あ……が……!?」

つかさ「そんな。触れられたと思ったのに……!」

……そして、ゴール前には誰も居なくなった。
渾身のブロックでシュートの威力を減衰したつかさと、僅かに出遅れたため為す術なく吹き飛ばされた慧音は、
二人とも等しく平等にフェンス前まで吹き飛ばされ、ポスト達は死に、輝夜は粉々になった。
残されたのはゴール後ろに空いたボール型の風穴と、真っ黒に焦げ付いた金属製のゴールポストのみ。


――ピィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッ……


審判はそれをもって仕方なく、「魔理沙がゴールを決めた」と認めて笛を吹く。
即ちそれは、博麗連合はこうも多大な犠牲を払って漸く、点差を3から2に縮めたという事を示していた。



永遠亭ルナティックス 4 − 2 博麗連合2015


538 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/05(木) 00:15:30 ID:???
大会得点ランキング(表記はメインキャラのみ):
15ゴール 鈴仙
13ゴール レミリア
10ゴール 魔理沙
9ゴール  フランドール、射命丸
7ゴール  勇儀
6ゴール  来生、屠自古、霊夢
5ゴール  星、諏訪子
4ゴール  森崎、神子、反町
3ゴール  早苗、謎の向日葵仮面
2ゴール  神奈子、ピエール、メルラン、天子、赤蛮奇、空、佳歩、岬、永琳
1ゴール  妹紅、咲夜、美鈴、サニー、リリーB、ぬえ、響子、萃香
       影狼、藍、幽々子、幽香、針妙丸、パチュリー、小田、椛、パスカル

大会アシストランキング(表記はメインキャラのみ):
7アシスト 霊夢
6アシスト パチュリー
5アシスト 小町
4アシスト てゐ、神子
3アシスト 早苗、ピエール、小悪魔、マミゾウ
2アシスト 森崎、反町、はたて、岬、空、お燐、霞、レミリア、アリス
1アシスト 鈴仙、影狼、大妖精、橙、諏訪子、佳歩、パスカル
       衣玖、針妙丸、リリーW、ルナサ、ぬえ、永琳、妹紅


539 :森崎名無しさん:2015/11/05(木) 00:15:53 ID:???
持っててよかった。スキル・ギャグキャラ補正。

540 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/05(木) 00:16:58 ID:???


魔理沙「―――――――」


そして、魔理沙は騒然とする観客を目にしたにも関わらず、
決して歓喜の雄叫びを上げる事も無ければ、静かにガッツポーズをして喜びを噛み締める事も、
仲間に対して檄を飛ばす事すらしなかった。

フラリ……バタン。

――彼女はシュートを撃つ直前の爽やかな笑顔のまま、横に倒れ込んだ。

霊夢「……魔理沙ッ!」

タタタタタッ……!

霊夢は魔理沙に駆け寄った。倒れる彼女を抱き留めたい思ったからだ。
しかしそう思ったのは霊夢だけでは無く、近くにいた針妙丸や、
友達が欲しいアリスは勿論、ものぐさな小町すら慌てて魔理沙へと駆け寄った。

魔理沙「……はは。シュートは……シュートは決まったか、霊夢?」

霊夢「――決まったわ。輝夜は十回位同時に死んで、今リスボーン中」

魔理沙「十回死ぬって何だよ。本当にあいつ等宇宙人は訳わからんな」

魔理沙はいつも通りの悪態を吐きながら、笑って霊夢の呼び掛けに応える。
今のシュートで本当に死ぬかもしれないと誰もが思っていた中、
こうして魔理沙が生きているだけでも奇跡なのかもしれない。

541 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/05(木) 00:19:09 ID:???
アリス「魔理沙。……本当に死ななくて良かった」

小町「で、でもさぁ。……そりゃ、命あっての物種とはよく言ったモンだけど。アンタ、本当に良いのかい?」

魔理沙「……良かったさ。サッカーがダメでも、生きてさえいれば、魔法の研究は出来るし、
箒に乗れば、弾幕ごっこだって続けられる。今までと、殆ど変わらないぜ」

針妙丸「で、でもさ! そんな事言っても……!」

霊夢「――魔理沙」

しかし、それでも魔理沙がこれ以上のプレー続行が不可能である事は、
誰の目から見ても明らかだったし、かくなる本人すらも、それを否定しないでいた。

霊夢「魔理沙。本当に……これで良かったのね」

魔理沙「……勿論だ。後悔なんて、どこにも無い」

霊夢「……! ――馬鹿。もう知らない!」

魔理沙は決然とそう言い放った事は、霊夢の心を逆撫でさせた。
――あんたが良くても、私が良くないのよ。そう言いたかったが、霊夢は結局言わなかった。
言う事ができなかった。魔理沙の、……その大きすぎる『シュートの代償』を直視した後では。

森崎「(……馬鹿だぜ。アイツ。――いや。俺も同じ穴のムジナか? ……まさかな)」

森崎は魔理沙の右脚を見て、他のどのメンバーとも違う反応を示した。
恐怖でも哀しみでも無い、理不尽ながらもどこか理解できる、納得できるような。
そんな同情の気持ちを抱きながら、もう一度倒れた魔理沙の全身を見る。


    ――彼女の右脚は、昔からそうであったかのように、きれいさっぱりと消滅していた。

542 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/05(木) 00:20:23 ID:???
*****


鈴仙「し、師匠ぉ……! もう試合続行不可ですよ! 早く魔理沙を治療しないと……!」

永琳「――この場においては、私が居たところで、医務室の天狗以上の施術は出来ないわ。
それに、彼女が命にも近い右脚を賭けて挙げた得点を、没収試合とする事で無に帰す事こそ、
霧雨魔理沙に対する愚弄となるのではなくて?」

鈴仙「そ、それは……」

――魔理沙はあの後、騒然とする観客の悲鳴をBGMにして、派手な退場を遂げた。
博麗連合に代わりに入ったのは名無しの妖精であり、
見るに何の特徴も無く、数合わせ要員である事が明らかに見て取れるが――今はそんな事は重要ではない。
鈴仙達ルナティックスメンバーもまた、目の前で起きたライバル選手の散り際を直視し、
失点以上に驚きと動揺を隠せないでいた。

中山「――サッカーは危険なスポーツだ。
力を欲した者はしばしば、彼女のような末路を辿る事は少なくない。……俺も、紙一重でああなっていた」

パスカル「……エイリンさんの言う通り。マリサが倒れたところで、試合は終わらない。
俺達は、前に進み続ける必要があるんだ」

鈴仙「な、中山さん。……パスカル君。わ、分かったわよ」

しかし、サッカーの厳しさを知る中山やパスカルは、鈴仙程には動揺していなかった。
あるいは、内心で動揺していつつも、そうする事の無意味さを理解していたのかもしれない。

543 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/05(木) 00:31:46 ID:SBjDZhCc
永琳「――試合は現在後半20分。試合は4−2で、私達のリード。
次のキックオフは当然に私達から。だから、私達には豊富な中盤と、
相手前線選手の退場及び負傷を活かして、ゆっくりとパスワークを続ける事ができる。
だから、博麗連合が攻撃チャンスを得られるのは後1回か……良くて2回程度。
私達がひたすら鳥かごを続けるならば、その2回目の攻撃チャンスすら、ままならないでしょうね」

鈴仙「…………」

そのため、鈴仙は依然変わりなく、これからの試合展開を決定する事を強いられた。
魔理沙の在り方に想いを馳せる事も、迷う事も許されずに。
しかし、それが強さと鈴仙は思う事にして、溢れる疲労感を堪えつつ、次のキックオフの大まかな動きを決定した。
それは――。

A:安定重視で、パスワークを主体に試合を構築していく。
B:追加点重視で、パスワークを主体としつつ、隙を見つけて攻勢に出ていく。
C:攻撃重視で、キックオフと同時に攻勢に出て、得点を狙っていく。
D:その他 具体的な戦術があれば極力反映します。

鈴仙のガッツ:90/980

先に2票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。

※選択肢について※
*Aの場合、博麗連合には1回のシュートチャンスが発生します。
*Bの場合、博麗連合には1回のシュートチャンスと1回の攻撃チャンスが発生します。
 その代わり、ルナティックスにも1回の攻撃チャンスが発生します。(攻撃方法は選択可)
*Cの場合、博麗連合には1回のシュートチャンスが発生します。
 その代わり、ルナティックスにも2回の攻撃チャンスが発生します。(攻撃方法は選択可)
 ただし、ルナティックスの攻撃が失敗した場合は、そのまま敵の攻撃チャンスとなります。
*いずれの場合も4−3となった時、(クラブAを引かない限り)安全に試合を流せるような選択肢が発生します。
*試合の勝敗よりは、「○○(キャラの名前)を活躍(覚醒)させたい!」「姫様を最優秀GKにしたい!」
 ……などのような感じで選んでくだされば幸いです。

544 :森崎名無しさん:2015/11/05(木) 00:33:41 ID:5LA9PjEs
A

サッカーって足が吹っ飛んでしまうような身体欠損の可能性のあるスポーツだったのか・・・!
(テニヌを見て)・・・何も可笑しくは無いか。

545 :森崎名無しさん:2015/11/05(木) 00:34:12 ID:KBdSdKws


546 :森崎名無しさん:2015/11/05(木) 00:34:36 ID:Im0kxiPI
A

547 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/05(木) 00:34:45 ID:???
…と、言ったところで今日の更新はここまでにします。
>>539
姫様が持ってるのはスキル・蓬莱人であって、断じてギャグキャラではないから…

それでは、皆さま、本日もお疲れ様でした。

548 :森崎名無しさん:2015/11/05(木) 00:35:34 ID:???
鈴仙とウサギD交代で合体パスカットで霊夢へのパスをぶんどるとか?
さすがに鈴仙はお役御免

549 :森崎名無しさん:2015/11/05(木) 05:59:42 ID:???
そういえばうどんちゃんの耳も1回無くなってたような気がする
サッカーとは過酷なスポーツなんですなぁ

550 :森崎名無しさん:2015/11/05(木) 08:07:07 ID:???
D 「ドールマンを覚醒させてドーベルマンにしたい!」「姫様とブルノさんを最優秀カップルにしたい!」
  「メオンの弱点のダイレクトシュートを治さず放置したい!」

551 :森崎名無しさん:2015/11/05(木) 10:35:07 ID:???
そんなまりーさ王女もヒューガーに任せれば
以前より強靭な足も生やすことができます!
こんな、広告がでてそう

552 :森崎名無しさん:2015/11/05(木) 12:10:38 ID:???
ヒューガースタッフ「また壊してもいいようにサービスで足を3本生やしました!」

553 :森崎名無しさん:2015/11/05(木) 13:45:06 ID:???
足なんて飾りです。偉い人にはそれが分からんのですよ

554 :森崎名無しさん:2015/11/05(木) 19:40:52 ID:???
キャタピラにするのもありかもしれない

555 :森崎名無しさん:2015/11/05(木) 22:49:55 ID:???
>輝夜「わ、私のポスト達がぁぁぁ……ぜ……ぜん……め……めつめつめつ……」
ブルーアイズ3枚持ってそう。融合カードも持ってそう。
そのうち、持ってるポスト全部を融合させてアルティメットポスト出そう。
ブルノアイズアルティメットポスト!

556 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/06(金) 00:45:13 ID:???
こんばんは、今日はあまり書けず、描写だけになりましたが更新再開します。
>>548
ああ、そう言う戦略の幅があっても良かったかもですね。
ただAの場合はイベント描写の後にシュート判定1回なので、
ぶっちゃけ鈴仙達のガッツやら能力やらはあまり関係ないです。
>>550
メオンは結局ダイレクト以外でもやられちゃってるんですが、それは…
>>555
ブルノアイズは場に召喚されたら強制敗北ですね。
>魔理沙の脚について
姫様あたりが死に過ぎてるせいで悲壮感がないかもですねw

557 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/06(金) 00:47:06 ID:???
A:安定重視で、パスワークを主体に試合を構築していく。

鈴仙「――これ以上攻める必要は無い……と思います。
私達以上に相手は疲弊していますし、何より戦意を喪失している。
そんな中でてゐや中山さん、師匠やパスカル君と言ったメンツでパスを繰り返すだけでも、
充分な時間を稼げると思います」

てゐ「まぁ、それが無難かねぇ。無理に攻めに行くにも鈴仙がガス欠で、
佳歩とかで攻めるにしても、伊吹萃香はかなりの実力者だし。
攻撃失敗でカウンターを食らって逆転されたら意味が無いもんね」

つかさ「……お恥ずかしいですが、私も少し消耗してしまいました。
多分試合終了直前まで待てば、また普段のパフォーマンスが出来ると思うのですが」

輝夜「私もダメね。ブルノさんと喋ってたらノドが枯れちゃって」

妹紅「いや、その位がんばれよ! というかブルノさんって誰!?」

慧音「姫君は私達とは似て非なる世界の住人だから。あまり気にしない方が良いと思うぞ……」

永琳「――決まりね。私も反対しないわ」

鈴仙「……ありがとう、ございます」

鈴仙の提案に永琳を始めとするチームメンバーは同意し、試合は再開に向かって動き出す。
しかしそんな中で、鈴仙だけはやはり魔理沙の姿が目に焼き付いて離れないでいた。

鈴仙「(師匠に並び立とうと努力して。その結果足を奪われたとしても……。
私は、魔理沙みたいに笑っていられるのかな)」

魔理沙は苦痛に顔を顰めるでもなく、自分の呪われた才能を恨む訳でもなく。
単純に、爽やかに笑っていた。……鈴仙には、それがどうしても理解出来なかったからだ。

558 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/06(金) 00:50:47 ID:???
……――ピィイイイイイイイイイイイイイッ!!

試合再開のホイッスルが鳴っても尚、鈴仙の思案は止まらない。

鈴仙「(――もしも中山さんやパスカル君が、今の魔理沙みたいな事が起きたらどうなるかな)」

中山ならば、笑うよりも先に、足を取り戻す手段を画策するだろう。
パスカルならば、色々と考えて、最初から足を失わず成功する手段を思いつくだろう。
では、鈴仙ならば。自分だったらどうするだろうか。

鈴仙「(……うん。やっぱり私は、そこまで割り切れない。
きっと途中で逃げ出すか、逃げる隙すら見失って。それからウジウジ後悔してそう)」

――そう考えて、鈴仙はこれまでの成長を経てもなお、自分は中山やパスカルのように強くないと思った。

鈴仙「(――そもそも私がここまで努力して来れたのも。
この大会においてここまで目覚ましい成績を挙げられたのも、全部他の誰かのお蔭だもの)」

鈴仙は魔理沙や森崎達のように、自分一人だけで強くなった訳ではない。
中山とパスカルに導かれ、てゐや佳歩達と共に成長した鈴仙は、
仲間との結束というある意味では大きな力を得るに至ったが、しかし仲間は永遠に鈴仙の傍に居るとは限らない。

鈴仙「(――プロジェクト・カウンターハクレイだとか、リアル・幻想・セブンだとか。
この大会が終わった後にも色々な道があるけれど……そのいずれを選ぶにしても、
今の永遠亭ルナティックスのメンバーでサッカーをする事はできない。その時に、私は――大丈夫なの?)」

鈴仙は強くなった。それは間違いない。
しかしその強さは、中山や森崎が伝え、魔理沙が実践しようとしていた強さとは少し異なっていた。
魔理沙の姿を見てそれをハッキリと悟った鈴仙は、自分の進むべき道を見失いかけていた。

559 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/06(金) 00:54:12 ID:???
――バシッ、バシッ、バシッ。

てゐ「これが最後だ。いくよ、『エンシェントデューパー』!」

バシュッ、ギュンギュンギュンッ!

アリス「……と、取れないわ!」

衣玖「やはり駄目……でしたね」

鈴仙がこう思いを馳せる間にも、パスワークは恙なく継続している。
途中アリスや衣玖によりパスをカットされる事も数度あったが、
その度に厚くした中盤の守備陣でボールを奪い返していたため、
ルナティックスが窮地に陥る事はほぼ全くと言って良い程無かった。

霊夢「…………」

また、魔理沙を失った霊夢のプレーが明らかに精彩を欠いていた事が、
ルナティックスのこうした状況を大いに支えている事も明らかだった。

バシッ、バシッ、バシッ……。

――そして、時間は流れて後半戦も残り僅かとなっても尚、
博麗連合は決定的なチャンス一つすら作れないでいる。
試合は既にクライマックスを終え、後は消化されるのみとなっていた。

560 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/06(金) 00:55:16 ID:???
――と、言ったところで非常に中途半端ですが、今日の更新はここまでにします。
明日はシュートシーンをやって、出来れば試合終了までやっていきたいと思います。
それでは皆さま、本日もお疲れ様でした。

561 :森崎名無しさん:2015/11/06(金) 18:54:36 ID:???
姫様、カグヤファンと遊びすぎて疲れるの巻

562 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/06(金) 22:00:02 ID:???
すみません、今日は早く帰ってこれたのですが、ちょっと風邪を引いたので更新お休みします(汗)
>>561
そういや実際姫様ってポストを呼ぶ以外ほぼ何もしてないですね…w

563 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/07(土) 23:36:44 ID:???
そして、ここまでの一連の流れを見た、試合を観戦していた多くの観客達はと言うと。

ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!
ブウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!!!

観客「なんだよ博麗連合!」「もっと頑張れよ!」「博麗の巫女って案外大したことなくね?」
「時代はやっぱり鈴仙とか中山さんとか……だな!」「おいおい、パスカル君忘れんなって!」
「俺達人間も、頑張ればああなれんのかな」「私達妖精も?」「頑張れば鬼とかに勝てる……?」
「ああ! サッカーに人間も妖怪も、種族の貴賤も関係ないって事だ!」「このまま勝てー! ルナティックスー!」

――耳をつんざく様な歓声と、耳をつんざくような罵声を交互かつ同時に行うのみとなっていた。
そして歓声の全てはルナティックスに向けられており、罵声の全ては博麗連合に向けられていた。
それも当然だった。
博麗連合は既にキャプテンの霊夢を始めとして、多くのメンバーが既に戦意喪失状態。
この中で唯一最後まであがきそうな選手である森崎は極度の疲労。
その一方で、ルナティックスの選手達は未だ高いモチベーションで精度の高いパスワークを行っている。


実況「試合は……間もなくロスタイムに入ります!
幻想郷のあらゆる勢力が結集し、そして力を競い合った全幻想郷選抜大会!
その決着が、もう間もなく、後5分足らずで決してしまうのです!
しかもその決着は恐らく前代未聞! なんと常勝・博麗連合では無く……永遠亭ルナティックスが!
博麗の巫女が率いないチームが、大きな大会において優勝の栄冠を勝ち得るという歴史的瞬間を、
我々幻想郷のあまねく人間、妖怪、妖精、妖獣、その他種族からなる観客達は見る事になるのです!」

――ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!

モリヤスタジアムに萃まった数千数万ものあまねく種族達は、
もはや感情すら置いてけぼりにして、歴史が、幻想郷が変わる瞬間を心待ちにしていた。

564 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/07(土) 23:38:03 ID:???
〜モリヤスタジアム・上空〜


藍「紫様、もはや結界の歪み、ズレ、破綻は無視できないレベルです!」

紫「……そう」

藍「無礼は承知で申し上げますが、紫様の計画は……完璧に破綻しました」

紫「…………」

観客達の熱狂は、幻想郷と外界とを隔てる結界にも干渉し始めていた。
そもそも幻想郷の結界というものは常識の境界。
外界において常識があるなら、非常識が幻想郷の理となり。
外界において否定された存在があるなら、それは幻想郷において肯定され存在し得る。
そして外界において、ある常識や存在の否定の度合いが強くなれば強くなるほど、幻想郷の境界は強くなる。

藍「異変の元凶である中山政男は当初、外界における常識――努力の概念や種族間の平等――を幻想郷に持ち込んだ。
鈴仙・優曇華院・イナバは中山政男が持ち込んだ常識を拡散・強化させた。
アラン・パスカルがこの二人を強化したという件については、今回は据え置くとして。
それら一連の行為は、幻想郷と外界との常識の均一化を図るという時点で、結界の弱体化に繋がりました」

藍は黙して動かぬ主に対し、これまでの現状を整理するかのように語りだす。

藍「また、中山政男の思想は、幻想郷の人間と妖怪の在り方についても変革を及ぼすものでした。
努力すれば、弱い人間でも、強い妖怪に勝てるという思想は、
人間は妖怪を恐れ、妖怪は人間を襲う。そして異変は巫女が解決するという、幻想郷における秩序に影響を来します。
そうなるといずれ人間は成長し、内側から結界の破壊を行う事になるでしょう。今の観客達のように……。
――結界そのものへの直接攻撃と、結界の内側に暮らす住人を介した間接攻撃。
この二つの力により、幻想郷の秩序と、それを支える結界には大きな負荷が掛かっております」

565 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/07(土) 23:39:30 ID:???
紫「藍。話が長い。……それでどうして、私の計画が破綻と言うのかしら?」

藍「――失礼しました。紫様の計画について、話を戻します。
紫様の計画は、先程に申し上げた二つの力を防ぐために設けられたものです」

紫の発言には普段の叡智に溢れる鋭さは無かった。
しかし彼女からの鈍い叱責を受けてもなお、藍は主への忠誠を失う事なく続ける。

藍「紫様は、中山政男の思想が陳腐なものであると認定するため。
そして『異変は巫女が解決する』という、幻想郷の秩序の形を再現するため、この、全幻想郷選抜大会を開催しました。
……いや、当初はもっと大きな計画だった筈です。
世界の強い人間を集めた大会を更に開き、それを霊夢率いる幻想郷選抜メンバーが倒す。
それにより、幻想郷の秩序を再確認し、結界をより強固なものにするという」

紫「……そうね。そうだったかしらね」

藍「――ですが、現実は違った。
中山政男の思想は受け入れられ否定されず、巫女は異変を解決できなかった。この試合展開が、全てを物語っています。
また、それだけではありません。私達の敵は、中山政男だけではありませんでした。
豊聡耳神子が中山政男の思想を一部利用し人間を煽り立て、
日向小次郎がヒューガーという企業を介し、幻想郷の資本主義化――外界の常識との同化――を助長した事実は、
中山政男程の影響力こそ無いにせよ、結界と幻想郷の住人に大きな影響を与えています」

藍は紫の衰弱は、乱心はヒューガーが原因であると断じた事もある。
彼らの高い科学技術が、幻想と現実との境界を誤らせ、恐怖を否定したのではないか――と。
確かにその側面は否定できないにせよ、今の彼女はそれだけでは説明が付かないまでに衰弱しているのだが。

566 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/07(土) 23:41:29 ID:???
藍「私の計算では、……幻想郷と外界とを隔てる結界は、この大会が終了した後、恐らく間もなく崩壊するでしょう。
そこから先、妖怪達は、人間達は……どうなるか、私には皆目見当がつきません。
外界の富を得て、新たな進化を遂げるか、新たな文化と常識に適応できず消え去るか。
――いずれにせよ分かる事はただ一つ。
紫様が愛し、私もまた愛した。そしてもしかしたら、他の皆が愛した幻想郷は、その形を大きく変える事になるという事のみです」

紫「……もう昨日には、戻れないのね」

紫は先程までよりは穏やかな口調で、藍の結論を一言で纏めた。
藍は静かに頷きつつ紫に近づき、彼女の自分以上に細い身体を静かに抱き寄せようとした。
そうでもしないと、彼女がどこかへ消え失せてしまいそうだったからだ。
主に対する無礼だとか、そうした事を考える余裕は今の藍には無かった。

――しかし。

紫「――藍、待ちなさい。貴女の発言はおよそ正解だけど……間違いが一つある事に気付いたわ」

藍「……!?」

その折、紫が下界を見下ろしながら、かつての煌めきを取り戻しつつそう言い放った。
唐突に覚醒したように、ビクンと体を震わせた彼女の姿に、藍は思わずたじろぐ。
動揺を見せた藍に対し、紫は上機嫌で――遥か下界のフィールドを指差した。

紫「貴女は私の計画が『完璧に』破綻したと言ったけれど。正確には――『半分は』破綻しただけだったみたいよ?」

紫が指差した先には――博麗の巫女が居た。
しかし彼女は魔理沙を失って以降プレーに精彩さを欠き、観客から罵詈雑言を浴びせられていた筈だ。
それにも関わらず何故、主は博麗の巫女を見て『半分は』成功したと言えるのだろうか。

藍「――こ、これは。彼女が放たんとしているシュートは、もしや……!?」

藍が抱いたその疑問への答えは、巫女の表情と――彼女が試合終了間際に放ったシュートが、的確に表していた。

567 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/07(土) 23:45:16 ID:???
藍「中山さんとか鈴仙とかパスカルのパワーで幻想郷がヤバい」

――と、いった所で短いですが今日はここまでです。
これまでのまとめ的な話も多かったですが、これだけ長く続いた(2年半以上)話だと、
適度にこうしたまとめシーンを入れた方が、展開が分かり易くなっていいかなと思っています。
それでは、皆さま、本日もお疲れ様でした。

568 :森崎名無しさん:2015/11/07(土) 23:50:46 ID:???
乙でしたー
分かってたけど妖怪側から見たら暢気で穏やかな幻想郷がなくなるのはなんか寂しいなぁ
どうなるかは鈴仙の行動次第だけどエンディングでは皆がハッピーになれたらいいな

569 :森崎名無しさん:2015/11/08(日) 17:03:48 ID:???
サッカーでみんなを……笑顔に……(ナス)

570 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/08(日) 20:55:39 ID:???
こんばんは、更新再開します。
>>568
乙ありがとうございます。
人間の側からしても、妖怪の管理下に置かれていたとしても、
ある程度自由に独立して生活できている分、完全なる不幸ではないのかもしれないですね。
正解が無い問いだとは思いますが、上手いところ落としどころを見つけていければと思います。
>>569
最後の最後は翼くんよろしくサッカーで世界平和的な感じになると良いなと思ってます。

571 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/08(日) 20:56:47 ID:???
*****


〜モリヤスタジアム・フィールド〜

鈴仙「(――もうすぐで終わる。私達永遠亭ルナティックスの、長い戦いが……!)」

試合時間がロスタイムを残すのみとなり、ルナティックスメンバーはいよいよ、
優勝の二文字が現実味を帯びて来た事に対し、静かに色めき立っていた。
試合は現在4−2。万一、ここで仮に失点をした所で次にボールが渡るのはルナティックス。
そしてその時、試合時間は恐らく3分と残されていない。

鈴仙「(最初はどうなるかと思った。純粋な強敵も居れば、搦め手を使ってくる敵も居た。
だけど、……そのどれにも、私達は結束して、辛うじてでも勝ち抜いて来た)」

サッカーにおいて、最後の1秒まで気を抜いてはならない。
そう知っている鈴仙でもこうしてパスを回している最中、脳裏にこれまでに対戦したライバルとの思い出が浮かんでくる。

初戦ながらも、大会トップクラスの実力を持つ風見幽香とレティ・ホワイトロックを擁する、雑魚妖怪チーム。
古明地さとりを中心に、尖りつつも団結した結束を見せルナティックスを苦しめた、地霊殿サブタレイニアンローゼス。
自らの進むべき道に思い悩み、最後には鈴仙と袂を分かつ決心をした妖夢が属した、西行寺亡霊連合。
帰って来た中山により勝利こそしたが、決して一筋縄では行かなかった、守矢みらくるず。
一芸特化の選手や場外戦術を活かし、ルナティックスを一度は敗北の窮地にまで追い込んだ、聖徳ホウリューズ。
そして――。

鈴仙「(――そして。私達は今、博麗連合にすら勝とうとしている。
博麗霊夢を中心とする圧倒的な中盤を制し、霧雨魔理沙による爆発的なシュートを二度も防ぎ、
森崎有三の超強力なセービングを掻い潜り4得点を挙げ――この大会に、優勝しようとしている!!)」

――これまで鈴仙が辿って来た道は決して平坦では無く、途中には数多くのスランプ、挫折、仲間への不信があった。
しかしそれでも、鈴仙は自分の力で、時には仲間の力を借りて、ここまでやって来た。
そして、一旦のゴールは……今、目前に迫っていた。大会優勝という、未だかつてない大きなゴールが。

572 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/08(日) 20:58:41 ID:???
パスカル「ヘイ、レイセン!」

バシュッ……パシッ。

鈴仙「ありがと、パスカル君! ……それじゃ、てゐっ!」

バシュッ……。

パスカルの巧みなパスを鈴仙は難なくフォローし、それを後方のてゐに渡す。
博麗連合はもはや満身創痍。疲労がまだ取れない鈴仙であっても、パスを通す事は容易だった。
――容易だった、筈だった。

シュンッ!

霊夢「―――――」

フワリ、――パスッ……。

鈴仙「!?」

鈴仙がこれまで辿り、そしてこれから辿るべき道。その一旦のゴールまでの僅かな距離。
――そこには、もう一つ大きな壁があった。

実況「――……!? れ、霊夢選手がここに来て俊敏な動きを見せて、鈴仙選手のパスをカットしてみせた!
魔理沙選手の退場以降今まで、ハッキリ言って精彩を欠いた動きの多かった霊夢選手ですが、
しかし今回に限っては異様なまでに正確かつ高速! ここに来て、無慈悲な巫女の顔を再び覗かせました!」

573 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/08(日) 20:59:44 ID:???
鈴仙「そ……そんな。どうしてよ。さっきまで、あんなに取り乱していたのに。どうして、そんなに突然――!」

これまで普通の少女らしく、魔理沙の喪失に涙していた霊夢の顔を覗き込んで――鈴仙は思わず息を飲んだ。
そこには一切の感情の類が抜け落ちていたからだ。
異変を解決する際、霊夢は時たま感情を希薄にさせる事を鈴仙は知っていたが、
あくまで希薄なだけで、ある程度の怒りだとか義務感だとか、そうした感情は充分に残っていた。
少なくとも今の、顔があるのっぺらぼうのような。そんな怖くて寂しい表情では無かった。

霊夢「―――――……!」

戸惑う鈴仙に対して何の感情を見せずに、彼女はまるで機械のように淀みなく、次の行動に出た。
だが、その行動の真意を掴める者はこのスタジアムには居なかった。

ガシッ。ポーーーーン! ……ギュルルルルルッ!

佳歩「な、なんですか……!?」

パスカル「ヒールリフト? ……だがしかし、どうしてこんな真上に飛ばす必要が?
しかも、今はまだ誰もプレスにすら向かえていないと言うのに」

永琳「只のヒールリフトじゃないわね。強烈なバックスピンが掛かっている。これは……?」

霊夢は両脚を器用に使って、ボールを真上に蹴りあげた。
それは永琳が言う通り強いバックスピンを伴いながらハイスピードで落ちて行く。
ルナティックスのメンバーは、博麗連合のメンバーは、その様子を棒立ちで眺める事しか出来ない。
果たして霊夢は――いや、感情を亡くした博麗の巫女は、……そのボールに対し、ドライブシュートの構えを取った。

574 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/08(日) 21:04:46 ID:???

         中山「(――ボールを蹴りあげた時の回転力。そのスピードと高さ。そして、ドライブシュートのパワー!
           これはもしや……!? いや、しかし……そんな事が……そんなシュートが、あるのか……!?)
                 皆、構えろ!! 試合終了前だがもう一発大きいのが――来る!」

                         鈴仙「!!? な、中山さん!?」
 
                         妹紅「えっ……? な、何!?」
 
               慧音「まさか……これが、博麗の巫女の奥の手だと言うのか!?」

                   つかさ「でも、ゴールまで距離が50メートル程……!」

           霞「データ計測します……! け、計測不可能! スカウターが全く反応しません!?」
 
                 てゐ「――ま、そうカンタンには勝たせてくれないってか。幸い、壁は多そうだし、
                   姫様も最近色々神がかっているから、多分大丈夫だとは思うけど……」


                             霊夢「……唸りなさい」

                           グワァアアアアアアアアッ!!

                      輝夜「……え? 何? またシュート……!?」
     
                       そして霊夢は、無感情のままに小さくそう呟くと
                ――足元に落ちたボールを、天生に従うまま、夢想の中に撃ち放った。


575 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/08(日) 21:06:27 ID:QDEnGUqU
☆どのセービングをしてもらいますか?
 先に2票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。
A:たすけてみんな!!(セーブ力に固定で+10されます)200消費
超必殺キャッチです。強力ですが、「(えーりんが)とめる!」は発動しません。
使用時獲得カリスマポイント:−1(0以下にはならず、ポイントが0でも使用可です)

B:たすけてえーりん!(セーブ力に固定で+8されます)150消費
必殺キャッチです。1/4で「(えーりんが)とめる!」(+3)が発動します。
成功(=こぼれ球以上)時獲得カリスマポイント:0

C:パンチング(セーブ力に固定で+4されます)80消費
ボールを弾きます。勝利しても自陣深くにボールが残ることが多いです。
1/4で「ブリリアントドラゴンバレッタ(+2)」が発動します。
成功時獲得カリスマポイント:1

D:キャッチング(セーブ力に固定で+2されます)40消費
ボールを掴みます。成功率が低い分、勝利時はこちらにより有利な判定となります。
成功時獲得カリスマポイント:3

E:カリスマセーブ(セーブ力に固定で+0されます)40消費
カリスマにワンハンドキャッチします。属性はキャッチと同じですが、成功したらカリスマ度が急上昇します。
また、JOKERが出た場合は数値差に限らず強制勝利となります。
成功時獲得カリスマポイント:5(失敗時でも+1)

F:ライフスプリングインフィニティ(セーブしません)100消費
輝夜が何か凄いオーラを発し、2/13(+JOKER)でシュートを防ぎます。吹き飛び判定はなく、ポスト判定は存在します。
成功時獲得カリスマポイント:4
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
輝夜セーブ力:53+(ガッツ300未満ペナ-1)
霊夢の『夢想天生』の威力:65
輝夜のガッツ:260/730
輝夜のカリスマポイント:0/10(ポイントが溜まると難題が解放され、輝夜がパワーアップします。現在:LV2)

576 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/08(日) 21:07:55 ID:???
※補足忘れですが、霊夢の『夢想天生』は距離補正が無効です。

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