キャプテン森崎 Vol. II 〜Super Morisaki!〜
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レス数が900を超えています。1000を超えると表示できなくなるよ。
【レイセン】鈴仙奮闘記33【アレアレオー】

1 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/03(木) 23:28:16 ID:???
このスレは、キャプテン森崎のスピンアウト作品で、東方Project(東方サッカー)とのクロスオーバー作品です。
内容は、東方永夜抄の5ボス、鈴仙・優曇華院・イナバがサッカーで師匠を超えるために努力する物語です。
他の森崎板でのスレと被っている要素や、それぞれの原作無視・原作崩壊を起こしている表現。
その他にも誤字脱字や稚拙な状況描写等が多数あるかと思いますが、お目こぼし頂ければ幸いです。

☆前スレ☆
【もう昨日には】鈴仙奮闘記32【戻れない】
http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1444659859/
☆過去ログ・攻略ページ(キャプテン森崎まとめ@Wiki内)☆
http://www32.atwiki.jp/morosaki/pages/104.html

☆あらすじ☆
ある日突然幻想郷にやって来た外来人、アラン・パスカルと中山政男との出会いにより、
師匠に並ぶ名選手になると決心した鈴仙・優曇華院・イナバ。
挫折や失敗を繰り返しながらも彼女は仲間と共に着実に成長を続け
とうとう大会で強豪・博麗連合を4−2で破って優勝。更にはMVP選手の称号を勝ち取った!

ところがその夜、これまでの物語の発端は鈴仙の師・八意永琳によるものだと明かされる。
その永琳の計画は今や、月に眠る大いなる厄災に魅せられた八雲紫によって狂いつつある事と合わせて。
永琳はこれまでの自身の行為を謝罪した上で、「純狐」とも呼ばれる大いなる厄災から、この世界を守る事を鈴仙に託した。

鈴仙は最初は戸惑いつつも、中山により自身の成長と覚悟を悟り、最後には永琳の願いを受け入れる。
そして鈴仙は、幻想郷の秩序の変革を狙う『プロジェクト・カウンターハクレイ』の一員となり、
この次のサッカー大会で劇的な優勝を遂げてみせると誓ってみせた。

『プロジェクト・カウンターハクレイ』としての出立の日まで、鈴仙には僅かな猶予を残されていた。
結界が綻び壊れ、急速にその形を変えようとしている幻想郷。
朽ち行く楽園の中で、鈴仙は、幻想郷の住人は、外界の人間達は。
最後に残された偏安を、どのように過ごすのだろうか。


……とか言いつつ、暫くはアレアレオーなノリになっちゃうと思います(爆)

521 :森崎名無しさん:2015/12/24(木) 00:22:34 ID:g52yspPw


522 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/24(木) 00:23:54 ID:Ve6E5zCY
すみません、間違えて中山が不在時の過去の選択肢をそのままコピペしてしまいました。
正確にはこちらの選択肢が正しいです。

A:永琳に会いに行く。
B:輝夜に会いに行く。
C:てゐに会いに行く。
D:佳歩に会いに行く。
E:霞に会いに行く。
F:ウサギCに会いに行く。
G:ウサギDに会いに行く。
H:つかさに会いに行く。
I:ウサギKに会いに行く。
J:中山に会いに行く。
K:パスカルに会いに行く。
L:自室でゆっくりする(ランダムイベントを起こせます)

先に2票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。


523 :森崎名無しさん:2015/12/24(木) 00:24:34 ID:Ncrjzuzo


524 :森崎名無しさん:2015/12/24(木) 00:24:50 ID:bn5T983w
E

525 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/24(木) 00:28:17 ID:???
Bが選ばれたところで、今日の更新はここまでにしようと思います。
皆さま、本日もお疲れ様でした。

526 :森崎名無しさん:2015/12/24(木) 18:30:26 ID:???
人気投票で1位にしてつるし上げるからチームに残って〜(カグヤファン的発想)

527 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/24(木) 22:39:07 ID:Ve6E5zCY
こんばんは、更新再開します。
>>526
姫様は今回、ネタ的にも実力的にも大活躍でしたね…

528 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/24(木) 22:41:18 ID:???
B:輝夜に会いに行く。

鈴仙「(折角だから姫様にでも会いに来ましょうか。
何だかんだで前の大会では大活躍だったし、一応私の師匠の上司だし。
明日でこの幻想郷ともお別れとも考えると、やっぱり挨拶くらいはしないとね…)」

スッ……。

鈴仙「姫様、入りますね」

輝夜「んー? その声はイナバね? 良いわ、入りなさい」

そう思い立って鈴仙が輝夜の控える奥の間に入ると、彼女は何やら書き物をしていた。
最近の輝夜は、外界由来の機械に向かって良く分からない単語を叫んでいる事が多かったが、
今日に限っては、往時のカリスマ溢れて慎ましやかな輝夜が戻って来たようだった。

鈴仙「姫様、何書いてるんですか」

輝夜「ああ……うん。ちょっと小説をね」

鈴仙「へぇぇ……! 凄いですね、姫様。して、どんな風流なお話を?」

輝夜「それは……そうね。アレよ。アレアレ。あの……異世界転生ファンタジー。
冴えない女子中学生が中世ファンタジーの世界にトリップして、
実は五千年前に滅びた王朝のお姫様だったりするのが発覚するってヤツ。
ラストはモコーとかいう噛ませボスがわた…主人公に土下座してから爆死するの」

鈴仙「(往時の姫様は、一体いつになったら帰って来るのかしら……)」

輝夜「あ! 何よその「ケッ、ラノベか」的な軽蔑した目線!
大体落ち着いて考えてよ。竹取物語だってあの時代で言えばソートーなトンデモ小説だったでしょうが!!
例えば、ホラ! 月からの使者って何だよとか思わない!? 月にヒトなんて居る訳ないでしょ!!」

529 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/24(木) 22:42:30 ID:Ve6E5zCY
鈴仙「(――結局相変わらずな姫様は置いといて。どんな話題を振ってみようかな?
姫様はこう見えて割と活動的だし、外に出るってのも悪くは無い気がするけれど……)」

鈴仙は現実逃避をしながら、これから輝夜としたいことについて考えた。
そして――。

A:この前の大会の思い出について雑談したい。
B:練習をしないか誘いに来た。
C:輝夜と永琳の今後の予定について知りたい。
D:今から人里にでも遊びに行かないか聞く。
E:カグヤファンとの合コンを開いてほしい。
F:その他 自由選択枠

先に2票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。

530 :森崎名無しさん:2015/12/24(木) 22:44:08 ID:HppuX3Pw
C

531 :森崎名無しさん:2015/12/24(木) 22:51:44 ID:R33pJPLs
E

532 :森崎名無しさん:2015/12/24(木) 22:52:24 ID:wOQ0yXPs
C

533 :森崎名無しさん:2015/12/24(木) 23:10:58 ID:???
E選んでみてえw

534 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/24(木) 23:13:56 ID:???
C:輝夜と永琳の今後の予定について知りたい。

鈴仙「あの……姫様」

輝夜「……一応アニメ化と映画化、それと実写映画化までは確定してるんだけどね?
後はハリウッドからオファーがあった時に、どう返事するかを迷ってるのよねー。
ホラ、やっぱり竹取物語の繊細な世界観を、外人がどう捉えるかって気になるしー……ん?
今何か言った、イナバ?」

まだ6ページしか書けていない自作小説の展望について語る輝夜に割って、鈴仙がおずおずと声を掛ける。
自分の話を遮られた輝夜は明らかに不機嫌そうだったが、気にせず鈴仙はこう聞いた。

鈴仙「姫様と。そして師匠は……これから先、どうするおつもりなんでしょうか」

輝夜「……」

鈴仙「ひ、姫様……?」

しかし、鈴仙の予想とは裏腹に、輝夜はすぐには答えなかった。
彼女は暫く頭を振って、言葉に言い淀むように押し黙って……



輝夜「あー、やっぱりソレ、聞いちゃう?」

535 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/24(木) 23:16:07 ID:Ve6E5zCY
不機嫌の仮面を外して、輝夜は照れくさそうに頭を掻きながら、屈託なく訊き返した。
その笑顔には普段の適当さや軽薄さは微塵も無く。
ただ、彼女自身の本質を表す無垢な透明さしか見えなかった。
――要するに輝夜は、着飾らない「本心」で、鈴仙と言葉を交わす事を決意したようだった。
輝夜のそうした決意を察した鈴仙は、改めて主君に対してこう質問した。

鈴仙「――お師匠様……永琳様は、やはり全幻想郷の一員として戦うのでしょうか。
そして、姫様はあくまでも。……そうした永琳様に従って、どこまでもついて行くおつもりなのでしょうか」

輝夜「……それは、ほんの少しだけ難しい質問ね」

輝夜は笑顔のまま無言で鈴仙の顔に視線を合わせる。
こうすると、まるで覚り妖怪と対峙した時のような恐怖感を覚える。
彼女はあまりに美しく。そして、全てを見透かしているように思えた。
寒気すらする沈黙が永遠に、もしくは須臾に流れた後――輝夜はこう言った。


先着1名様で、

★輝夜と永琳→! card★

と書き込んでください。数値で分岐します。

JOKER→輝夜「フフフ…貴女は知らないようね。この私が、アンタ達の新チームの監督だという事を!!」
ダイヤ→輝夜「永琳は全幻想郷側につくけれど。私は……ぶっちゃけ、アンタらの方に興味があるのよね」
ハート・スペード→輝夜「永琳は全幻想郷側につくわ。私は……どうしようかな。考え中よ」
クラブ→輝夜「永琳は全幻想郷側につくわ。……私は、永琳の言う通りにしようかな」
クラブA→ブルノさん「俺はアンタらの側につくぜ」輝夜「私の貴重なシリアスシーンを潰してくるのやめろォ!?」

536 :森崎名無しさん:2015/12/24(木) 23:18:19 ID:???
★輝夜と永琳→ ハートQ

537 :森崎名無しさん:2015/12/24(木) 23:22:33 ID:???
クラブAでたら新チームのGKはカグヤさんとブルノさんのコンビか…w

538 :森崎名無しさん:2015/12/24(木) 23:29:33 ID:???
カグヤファン「カグヤ カグヤ カグヤ カグヤ」(行かないでコール)
輝夜選手兼監督だと妹紅干しそうw

539 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/25(金) 00:08:45 ID:???
★輝夜と永琳→ ハートQ ★
ハート・スペード→輝夜「永琳は全幻想郷側につくわ。私は……どうしようかな。考え中よ」

輝夜「永琳は全幻想郷側につくわ」

輝夜はまず、簡潔にそう告げた。

輝夜「私は……どうしようかな。考え中よ」

その次の一文は、前の一文と違って、熟慮の上にゆっくりと紡がれた。

鈴仙「……やっぱり。永琳様は全幻想郷に」

鈴仙はまず、最初の一文について聞き返した。
輝夜はゆっくりと頷いて、普段よりも落ち着きと気品のある声で詳しく説明を始める。

輝夜「誰か強力な力を持ってる奴が、八雲紫を監視しなくちゃいけないからね。
それに万が一、あんた達の計画が失敗した時。その尻拭いは永琳が当然に行うべきだもの。
彼女は私の為とはいえ、とんでも無いミスを犯してしまった。数千年もの封印を経てからの、「純狐」の復活……。
それは、絶対にあってはならない事だった」

鈴仙「姫様は、やっぱり全部を知ってるんですね……」

輝夜「私はただの姫よ。永琳みたく、全部は知っていないわ。強いて言うなら、貴女達が知らなすぎるだけかしら。
ただ――これだけは知っておいた方が良い」

まるで謎かけのように、輝夜はそう言葉を濁す。
しかしそれでは足りないと思ったのか、彼女は同時にこう付け加えた。

540 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/25(金) 00:10:20 ID:???
輝夜「――「純狐」は単なる自然現象だとか、そんな簡単な存在じゃない。
息子を殺した夫を恨み、その愛人の女すらも恨み。いつしか、その記憶すら喪って。
……そうやって生まれただけの、単なる神霊。
だけど、月の民はその単なる神霊に、数万年以上に渡って苦しめられて来た。
大地は枯れ、水は腐り、炎は消え、風は止まり――それでも尚、彼女は死なず恨み続ける。
――イナバ。あんたは……そして永琳は、そんなバケモノと戦おうとしているのよ」

鈴仙「……はい」

輝夜は鈴仙に、「純狐」という存在について詳しく語ってくれた。
その内容には永琳から聞いていない事すらも含まれており、輝夜もまた月の民として、
今、八雲紫を媒体に発現しつつある大いなる厄災に対し、興味を寄せている事が分かった。

輝夜「――でも。あんたが聞きたいのはそんな事じゃないんでしょ?
永琳は分かった。じゃあ私がどうするのか。……あんたが聞きたい事、知りたい事はきっとそれ。
きっとあんたは、「考え中よ」だなんて答えじゃ納得してくれないのよね?」

鈴仙「……………はい」

鈴仙は正直にもう一度頷いた。
永琳の動向にはついては何となく察しがついていたし、何より諦めがついていた。
プロジェクト・カウンターハクレイの一員になる。
そう決心した時点で、自分が永琳と肩を並べて戦う事は――当分無いと、何となく鈴仙は分かっていた。
そしてその一方で、輝夜の動向は全く読めなかった。

鈴仙「……姫様はこれまでも、表向きは明るく楽しく。
だけど裏ではこうやって穏やかに、私を助けてくれていました。
もし出来る事なら、プロジェクト・カウンターハクレイに行っても、私は貴女とサッカーがしたい」

鈴仙は本心からそう言った。輝夜は眼を細めて「そう」と微笑みながらも、凛とした表情は崩さない。

541 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/25(金) 00:11:36 ID:???
輝夜「ありがとね、イナバ。……でも、私はやっぱり……「考え中」なのよ。
何故なら――私は、アンタ達が起こす新しい風とやらにも興味があるけれど。
永琳と離れて。しかも敵対する事なんて、とても考えられないもの。
新しい物が好きなのに、古い縁を捨てられない。矛盾してるわよね?」

最後の方では、輝夜はからからと笑ってはいたが、目は笑えていなかった。
思えばこの方が心の底から笑う場面を、鈴仙は視た事があっただろうか。

輝夜「――ごめんね。やっぱりこうやって喋ってる間にも色々思いを馳せてたけど。
私はまだ、どうしようも無く判断が出来ない。ただ……こうも思うのよね」

鈴仙「………?」

鈴仙が返す言葉を見つけられないでいると、輝夜は――最後に小さく、こう独り言ちた。

輝夜「これまでの私だったら、何の迷いも無く、ただ永琳と一緒に居れる方法を選んでいたと思う。
だけど、今の私は迷っている。……これって、私が変わったからかもしんないわね」

*輝夜の評価値がやや上がりました。
*輝夜の思考が、少しだけ全幻想郷側から離れました。

542 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/25(金) 00:14:10 ID:1MrogxLo
〜大会20日目・午後〜

鈴仙「(――さあ! 泣いても笑っても、ここが最後の自由行動よ。
ここまで行ったらもういっそ練習でも良いかもしれないけど、なんか勿体ないような気もするし……。
正直コメントすべき事もあんまし無いんだけど、兎に角選ぶのよ、私!!)」

A:自由行動をする(自由行動フェイズに移ります。更に分岐)
B:練習をする(一人か仲間で練習したり、コーチングをします。更に分岐)
C:狂気度を使用する(更に分岐。一部を除き、この行動では時間を消費しません)鈴仙の狂気度:33
D:現在の能力値を確認する(この行動では時間を消費しません)(※1票決)
×:アイテムを使用する(この行動では時間を消費しません)
  ※「ボロボロのボール」など、練習用アイテムはCの練習の選択時に使用してください。

先に2票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。

(参考:大会20日目〜第二章終了までのスケジュール)
        午   前      午   後
20日目   休   み     休   み←今ココ
21日目   第三章へ……

※狂気度を使った成長イベントについては、20日目後に発生するので、
 今ここで「狂気度を使う」を選ぶ必要はありません。
※また、先のアナウンス通り、ドイツとの脳内試合は選択不可とさせていただきます。ご了承ください。

543 :森崎名無しさん:2015/12/25(金) 00:15:07 ID:V218jTgA


544 :森崎名無しさん:2015/12/25(金) 00:15:13 ID:qKtlOQts
A

545 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/25(金) 00:17:49 ID:1MrogxLo
A:自由行動をする(自由行動フェイズに移ります。更に分岐)

鈴仙「……勿論自由行動よ! 練習なんてやってらんないわ。
それに――何だか嫌な予感がする。明日になると私の知ってる光景が全部、変わってしまうような……。
だから、後悔の無い一日を過ごし切ってやるんだから!」

A:永遠亭に居る(さらに分岐)
  主に永遠亭に居るチームメイトと交流をします。
  評価値を上げたり特別なイベントを起こしたりできます。
B:外出する(さらに分岐)
  買い物をしたり、永遠亭に居ないチームメイトや、
  その他の幻想郷の住人と交流できるチャンスがあります。
C:気晴らしに玉兎通信でもしてみる。(さらに判定)
  ランダムで、色々な情報が入ります。運が良ければ必殺技フラグも入手できるかも…
D:現在の能力値を確認する(この行動では時間を消費しません)(※1票決)

<ショートカットキー>
E:永遠亭で、霞から全幻想郷選抜メンバー候補についての情報を聞き取る。
F:迷いの竹林で、妹紅と交流してみる。
G:紅魔館で、レミリアにシュートの練習を見てもらう。
H:是非曲直庁に行き、映姫に会って話を聞く。
I:その他 作者は失念しているがこうしたイベントがあった筈だ! ……などありましたら、一発で繋ぐよう配慮します(汗)


先に2票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。

546 :森崎名無しさん:2015/12/25(金) 00:18:32 ID:V218jTgA


547 :森崎名無しさん:2015/12/25(金) 00:21:56 ID:8Xs8VKQ2


548 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/25(金) 00:26:31 ID:1MrogxLo
B:外出する(さらに分岐)

鈴仙「――外出しよう。特に行く当ては考え付かないけれど、それは今から考えれば良いんだもの!
さて、今日はこれからどこへ行こうかしら……?」

A:人里(貸本屋や道具屋、慧音の住居等があります)
B:霧の湖(妖精大連合メンバーが居ます。プリズムリバー三姉妹の居る廃洋館もあります)
C:紅魔館(レミリアやパチュリーが居ます)
D:冥界(中西や幽々子が居ます)
E:迷いの竹林付近(妹紅やミスティアが居ます)
F:太陽の畑(幽香やメディスン、レティ等雑魚妖怪チームのメンバーが居ます)
G:妖怪の山(河童のバザーやスタジアム、守矢神社等があります)
H:地底(危険もありますが、旧都には様々な店があります、温泉もあります)
I:命蓮寺(星や白蓮が居ます)
J:香霖堂(霖之助がおり、アイテムが購入できます)
K:魔法の森(魔理沙やアリスが居ます)
L:博麗神社(霊夢や森崎が居ます)
M:無縁塚(危険もありますが、掘り出し物も発掘できます)
N:是非曲直庁(閻魔や死神等が仕事をしています)

先に2票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。


549 :森崎名無しさん:2015/12/25(金) 00:27:04 ID:V218jTgA


550 :森崎名無しさん:2015/12/25(金) 00:32:48 ID:qKtlOQts
N

551 :森崎名無しさん:2015/12/25(金) 00:32:51 ID:8Xs8VKQ2


552 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/25(金) 00:33:31 ID:???
Cが選ばれた!……と、言ったところで今日の更新はここまでにします。
>>537
その時は多分姫様に逆相互補正(−5)とかついてて、使いモノにならなくなってましたね…
>>538
某ポイズンスレの輝夜監督が結構好きだったので、そんなノリになれば良いなとか思ってましたw

それでは、皆さま、本日もお疲れ様でした。

553 :森崎名無しさん:2015/12/25(金) 14:05:18 ID:???
レティ、カグヤさん、パチュリーと順当なところを突いてきたね

アリス「そろそろ鈴仙が私をスカウトしに訪ねてくるころね。お茶会の準備は完璧よ!
……………鈴仙、まだかなぁ」

矢車兄貴「アリス、お前まぁだそんなこと言ってんのか」松山「ぼっちは最高なんだよ」

554 :森崎名無しさん:2015/12/25(金) 17:17:08 ID:???
反則芸人、ダイス芸人、ぼっち芸人、変態芸人
アリスって名前は呪われてるのかな

555 :森崎名無しさん:2015/12/25(金) 22:59:45 ID:???
しゃべるボール「カグヤ ダイヒョウハマチガッテイルヨ シンチームガ タダシイヨ」

人気90超えボーナスはメンバー集めに役に立つとか?まさか、ここまで上がるとは

556 :森崎名無しさん:2015/12/25(金) 23:25:52 ID:???
乙なのです。

たしか人気70に届かないとゲームオーバーだったっけ。
一章の頃は多少心配してたけど、いつの間にか余裕になってたなあ。

557 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/26(土) 00:18:32 ID:???
こんばんは、更新再開します。
>>553
アリスさんも地味に名選手なのですが、本編の岬君よろしく地味に名選手過ぎて選ばれない感じですかね…
>>554
二次創作において、色々な属性を付けやすいキャラなんですね(前向き)
>>555
人気90越えボーナスは勧誘じゃなく、鈴仙の能力とかスキルに関わるもので考えています。
>>556
乙ありがとうございます。
実は普通に投票して下さっていれば、ほぼ必ず人気度70位には行くように想定していました。

558 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/26(土) 00:22:20 ID:6HiAluJI
C:紅魔館(レミリアやパチュリーが居ます)

鈴仙「(――そういや、レミリアさんと前シュートの練習をするとか何とか話してたっけ。
他にも、パチュリーさんとのオフサイドトラップの勉強もまだ途中になってるし……。
明日から暫く、そんなコトやってる暇も無い生活になるでしょうから、今の内に行ってみようかな、紅魔館。
他の人達にも、会ってみたら意外と得るものがあったりして)」

A:レミリアに会いに行く。
B:パチュリーと小悪魔に会いに行く。
C:咲夜に会いに行く。
D:美鈴と陸に会いに行く。
E:フランドールに会いに行く。
F:その他 チュパカブラやホフゴブリンに会いたい方はこちらで

先に2票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。

559 :森崎名無しさん:2015/12/26(土) 00:25:01 ID:OgOyztAM


560 :森崎名無しさん:2015/12/26(土) 00:25:30 ID:DVnxVTIQ
B

Fでホフゴブリンを選べば……本当に会わせてくれるのか?

561 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/26(土) 01:09:05 ID:6HiAluJI
B:パチュリーと小悪魔に会いに行く。

鈴仙「――やっぱり、マスター……パチュリーさんに会いに行こうかしら。
賢者賢者ってめんどくさいトコもあったけれど、お世話になった事も多かったし。
最後に挨拶するっていう意味でも、顔を見せときたいしね」

鈴仙はそう思って空を飛んで竹林を越えて――やがて、湖の畔にある真っ赤な洋館に辿り着く。
午睡を楽しむ門番を通り抜け、慣れた様子で紅魔館の門を潜り、地下に広がる大図書館へと足を踏み入れた。

小悪魔「鈴仙さん。お久しぶりです! パチュリー様の所までご案内しますね」

鈴仙「あ、うん……悪いわね」

相変わらずだたっぴろい図書館の中は、司書の小悪魔の案内を受けて快適に。

パチュリー「……あら。また来たの」

そうして図書館のまさに最奥にて出会った彼女は、無表情かつ本に目を落としながらも、
どこか嬉しそうにしている風に思えた。

鈴仙「またって程は、頻繁に来てないですけれど。……ご無沙汰です、マスター・パチュリーさん」

パチュリー「……。お久しぶり、弟子の鈴仙」

無論人一倍面倒な彼女は、嬉しいなんて感情を表面に出したりはしない。
こっちの方から理解してくれるのを待っているのである。

562 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/26(土) 01:10:08 ID:6HiAluJI
鈴仙「(パチュリーさんったら、相変わらずね。……とは言え、機嫌はどうやら悪くないみたいだし。
今なら大体何を言っても聞いてくれそうなオーラを醸し出してるわね。
――さて、どんな感じの話題を振ってみようかな?)」


A:先の大会について振り返る。
B:オフサイドトラップの勉強をする。(現在:17/20)
C:プロジェクト・カウンターハクレイについて話す。
D:鈴仙が今後目指すべき選手像について聞く。
E:幻想郷を取り巻く異変について見解を伺う。
F:たまには小悪魔とも話をしてみる。(更に分岐)
G:その他 自由選択枠


先に2票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。

563 :森崎名無しさん:2015/12/26(土) 01:13:34 ID:OgOyztAM


564 :森崎名無しさん:2015/12/26(土) 01:15:00 ID:DVnxVTIQ
C

565 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/26(土) 01:55:27 ID:6HiAluJI
C:プロジェクト・カウンターハクレイについて話す。

鈴仙「(――今となっては、話しちゃっても良いわよね)……あの。
パチュリーさんは知っていますか? この次の大会に向けて、一つの計画があるという事を……」

パチュリー「……? 初耳ね。話して頂戴」

あくまで視線を本から変えずに、しかし内心は恐らく興味津々に耳を傾けるパチュリー。
鈴仙はそんなパチュリーの期待に応えるように、鈴仙が巻き込まれた計画
――プロジェクト・カウンターハクレイについて大まかに説明した。
元々この計画については口外しないよう、永琳から強く言われていたものの、
「純狐」に纏わる騒ぎもあって、もはや自身の胸だけに留めておくこともできず。
また、マスター――永琳に次ぐ第二の師であるパチュリーにはこの事を伝えておきたいという、鈴仙自身の想いもあった。

パチュリー「……ふーん。で、貴女はその新チームのキャプテン候補なのね」

鈴仙「そうです。……正直、私だって具体的な事は、サッパリ分かりませんけれど」

パチュリー「…………」

そして鈴仙の想いを無視するかのように、パチュリーは一言、二言質問をした以外は無言だった。
……いや。ここで雄弁に色々語りだしたらそれはそれで胡散臭いため、無言なのはある意味彼女らしいと言えるが。
ともかく、鈴仙とパチュリーの間には暫くの間の沈黙が流れるも――。

パチュリー「……あんたは、この私に新チームの一員になって欲しいって思ってる。
……そう思ってるからこそ、あんたは私に対してこの話題を挙げた」

薄紫色の少女は、虚ろな目で鈴仙を見据え、今回の訪問の真意について断言した。

566 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/26(土) 01:56:36 ID:???

鈴仙「……はい」

それは鈴仙にとって誤りでは無かった。
鈴仙は意識下であれ無意識下であれ、パチュリーのような選手がチームに居て欲しいと思っていた。

パチュリー「別に恥じる事じゃないわ。新チームでも新事業でも、何か新しい事を始めるには、
賢者の存在が不可欠なんですもの。……貴女はむしろ、正しい事を考えていたと言うべきね」

鈴仙「(ホントに正しいのかなぁ……)」

比較的上機嫌に滔々と語りだすパチュリーを尻目に、鈴仙は若干失礼な事を考えるも。
パチュリー・ノーレッジという規格外の選手を自陣に引き入れた暁には、計り知れぬメリットが発生する事は確実だ。

鈴仙「……パチュリーさん。貴女のおっしゃる事は正しいです。
私は、貴女が新チームの一員になってくれればとても嬉しいと思っています。
――だから。後はパチュリーさん次第だと思います。新チームについて、どう思っているか……!」

パチュリー「…………………」

ひとしきり話をして貰った後に、鈴仙は最後に念を押すように、パチュリーに対して強めの口調でそう投げかけると。
パチュリーは再びその顔を本に落として、鈴仙が辛うじて聞こえない位の小音量で、こう呟いた。
彼女は――恐らく、こう言っていた。

567 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/26(土) 01:57:47 ID:6HiAluJI
パチュリー「……新チーム。私としては――」

先着1名様で、

★パチュリーの想い→! card★

と書き込んでください。数値で分岐します。

JOKER→パチュリー「あら。知らなかった? 私、その新チームのコーチ兼選手だから。よろしく」
ダイヤ→パチュリー「……興味無いわね。全然誘って欲しいとか思ってないわ」チラッチラッ
ハート・スペード→パチュリー「興味ないわね。……今のところは」
クラブ→パチュリー「私は紅魔の一員よ。誘うなら、レミィを口説き落としてからにしなさいな」
クラブA→レミリア「残念だったな鈴仙。私達は独立新チーム・ネオ紅魔スカーレットムーンズを立ち上げるのさ!」

568 :森崎名無しさん:2015/12/26(土) 02:00:02 ID:???
★パチュリーの想い→ クラブ4

569 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/26(土) 02:01:41 ID:???
…と、言った所で今日の更新はここまでにします。
クラブであっても、事前交渉に失敗した(プラマイゼロ)というだけで、
正式な勧誘時に誘えなくなる訳ではありませんので、ご安心ください。
>>560
ホフコブリンをわざわざ選ぶ程のホフゴブリン愛がある方々なら、
きっと会っても上手くして下さるに違いので大丈夫です(他力本願)。

皆さま、本日もお疲れ様でした。

570 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/27(日) 01:09:29 ID:???
★パチュリーの想い→ クラブ4 ★
クラブ→パチュリー「私は紅魔の一員よ。誘うなら、レミィを口説き落としてからにしなさいな」

パチュリー「……私は紅魔の一員よ。そんなのに、ホイホイついて行く程落ちぶれちゃいないわ」

パチュリーが放った言葉は、鈴仙が想像するよりもつれないものだった。
しかし、ある意味では至極尤もである回答でもあった。

パチュリー「誘うなら、レミィを口説き落としてからにしなさいな。
私は賢者だし、貴女は私の弟子であるのは確かだけど……あのお嬢様とも、それなりの付き合いになるからね」

鈴仙「パチュリーさん……すみません」

パチュリー「――別に、気にしてないから。
……それよりも、そのシフォンケーキ。食べてしまいなさい。美味しいでしょう?」

パチュリーはそこから、再び視線を本に落として何も語ろうとしなかった。
しかしそこに居心地の悪さは無く。彼女は純粋に、鈴仙にその心情を語ってくれた事が分かる。
何時しか前にも食べた事のある、紅魔館の司書が焼いたシフォンケーキの味は、
その外見に似合わず、穏やかで安心できる甘さがあった。

*パチュリーの気持ちは変化しませんでした。

571 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/27(日) 01:11:16 ID:???
この1レスだけ更新して、今日の更新はここまでにします。
明日から第二章のラストにかけて、また文章が多くなりそうですが……読んで頂ければ嬉しいです(汗)

572 :森崎名無しさん:2015/12/27(日) 13:29:16 ID:???
〜事前交渉続き〜

鈴仙「新チームに入るとリグルと一緒に戦えるわよ!(話の流れからして固定枠よね?)」
翼「リ!グ!ル!」次藤「ワシもいくタイ」
三杉「次藤、君もリグルか」次藤「翼ほど狂ってはおらんタイ」

鈴仙「チャンコ用意しておきました」レティ「どすこい!」

ヒドラ(笑)「仕方ない、力を貸してやるか」鈴仙「いや、あんたはいらないから」

573 :森崎名無しさん:2015/12/27(日) 14:29:28 ID:???
エドモンド本田はやっぱGKかな

574 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/27(日) 22:15:02 ID:???
すみません。今日は付き合いがあって更新できません。

575 :森崎名無しさん:2015/12/28(月) 19:37:21 ID:???
年末ですからね、ごゆっくりー

576 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/29(火) 00:53:16 ID:???
すみません、文章がまだ書きあがらないので今日の更新もお休みします。
コメントだけ返信します。
>>572
交渉については、鈴仙とは別視点のキャラになる予定ですね。
基本的にはどのキャラも鈴仙との仲の良さ、そのキャラの選手としての格が難易度に絡んできます。
>>573
エドモンドは分かりませんが、レティさんはDF枠ですね。
JOKER引いたらSGGKになるかもしれません。
>>575
ありがとうございます。
年末年始は31日以外は割と休めそうなので、ゆっくり書かせて頂こうと思います。

577 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/29(火) 21:16:25 ID:???
〜大会20日目・午後・固定イベント〜
【新しい青】

――幻想郷の結界が崩壊して早2日が過ぎ、八雲藍は今も尚結界の修復に奔走していた。

幻想郷と外界を分ける「概念」による結界は、科学が進展し妖怪を畏れぬ外界の人間達から、
幻想郷に生きる妖怪や神々、妖精その他種族を守る為にも欠かせない。
紫はそう思ってこの結界を、この場所を。この幻想郷を数百年もの間守り続けていた。
そして彼女が実質的に不在の今、自分こそがその代役を務めなくてはならない。
そんな強い想いで、疲労を推して作業を続けてはいたが――。

藍「――こちらも駄目か。やはり、こうも根本から概念を崩されると……」

彼女の努力も虚しく、強烈な悪意によってこじ開けられた結界は、
既に取り返しの付かないまでに破壊されていた。
無論、途方も無い妖力を持つ上、紫によって「式」を設定された藍の演算速度は、
外界最先端のスーパーコンピューターにも劣りはしない。だが、それでも作業が追い付かないのだ。
藍の見立てでは、自分一人で結界を全く元の形に修復するまでに掛かる時間は――。

藍「ざっと見て、百年以上はかかるだろうか……」

苦々しげにそう呟く。彼女はあくまでも式であり、概念を統制し、抽出し、創造する力は少ない。
博麗の巫女の才能が、八雲の大妖の妖力がなくては、幻想郷の維持は不可能。
しかし、今はその両者は……もう、居ない。

578 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/29(火) 21:17:47 ID:???
藍「(私は分かっていなかった。これまでの平和が、如何に薄氷の上に立つ、儚いものだったかを。
そして、それを取り戻すには、私の力など取るに足らないものという事実を……!)」

鈴仙がプロジェクト・カウンターハクレイにつく事を決めて以降も、
藍は結界の修復の傍ら、当初の計画――リアル・幻想・セブンを利用した、チームの内部改革を進めていた。
しかし、その結果は今の結界修復作業以上に、実の成らないものに終わった。

藍「(……リアル・幻想・セブンに入りそうな有力選手候補にはおおよそ目星がつく。
しかし、その全員が私の計画にまで賛同してくれる保障は無い。
……中には、鈴仙と同じくプロジェクト・カウンターハクレイへの参加を表明した者すら居る。
私の方から別の選手をプッシュするにしても――ハッキリ言って、代表やその下部組織にも入らない者で、
鈴仙に準ずる程の人望、あるいはカリスマを持つ者はいない)」

藍は大きく溜息を吐く。そして、弱弱しくこう漏らした。

藍「(万事休す、か……)」

鈴仙がリアル・幻想・セブンの一員とならなかった時点で、藍の計画は破綻する。
純粋なる狂気に支配された八雲紫を変えるには、鈴仙の狂気の瞳が必要と言うならば、それは必定だった。
それを知りつつも彼女はあがいていたが――。奇跡は、当然にして起こらない。

スッ……。

紫「――八雲藍。……だったわね」

藍「紫、様……」

そして。与えられた範疇を越えた越権行為を繰り返す、無能な部下が罰せられるのは必然。
藍が自らの身を砕いてまで尽くした主に裁かれる時が、遂に訪れたのである。

579 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/29(火) 21:20:42 ID:???
紫「貴女が余計な事を繰り返しているのは、知っていますわ」

夜の闇に紛れて現れた彼女は、そのまま闇に紛れたままに藍を見つめる。
虚ろにして深淵を眺め渡すその眼は、藍が昔から知る主のそれに似ているようで大きく違った。
藍が押し黙るのを良い事に、八雲紫によく似た少女は歌うように続けた。

紫「……境界を操る能力なんて、下らない。そんなのが無くてもね、藍。
最近の私は全てを知る事ができるんだから。そう、私は未来すら見えるのよ。
私の可愛い霊夢が勝って、私達の幻想郷が再び帰って来るという明るい未来がね」

そんな未来はどこにも見えない。
嬉々として明るい未来を話す紫の瞳の底には、純粋なる狂気と破壊のビジョン以外は見えなかった。
……が、藍のそうした感想は今や問題では無い。

紫「――でもね。今日はそんな事を言いに来た訳じゃない。
今日は、いつも頑張ってる貴女に、ちょっとしたご褒美を与えようと思って来たのだから」

紫がそれを「ご褒美」と表現した事について、藍は面喰らった。
しかし結論としては、先ほど紫を見た時に覚悟していた内容と全く同じだった。

紫「……藍。貴女はこれより八雲の姓を名乗る事を禁じます。加えて、この私がかつて貴女に与えた式。これを解かせて貰います。
――要するに、貴女はクビよ。藍」

藍「……何故、とは聞きません。私は「今の」貴女の意に反する事を行い続けて来た」

だからこそ、藍は主より与えられた暇に対し、冷静に受け応える事が出来た。
ここまでは藍の予想の範囲内だったし、今や完全に豹変した主から離れる事に悔いはない。
リアル・幻想・セブンに関する計画は破綻したが、フリーランスとして、自分がやれる事はまだある筈だ。
また、紫はこれまで多くの業務を藍に任せていた。この中には雑務に加え、紫自身の行動にかかる部分もある。
つまり、自分が暇を出された事で、紫の行動はある程度制限される筈だ。

――藍は俯きながらも、そんな現実的な計算を働かせていた。……しかし、ここには二つの誤算があった。

580 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/29(火) 21:21:44 ID:???
紫「――そ。もの分かりの良い部下で助かったわ。……それじゃ、ちょっと失礼するわね」

ブウン……バシュウッ!

藍「――!?」

第一の誤算。八雲紫は豹変してはいても賢く狡猾な妖怪である事には変わりない。
そんな彼女が、そこそこ強力な力を持ち八雲の秘密を知る藍を、みすみす野放しにする筈が無かった。
紫が放った小さな気弾が藍の懐を貫き、彼女はよろめき地面にへばりつく。

藍「あ、ぐ……!」

紫「言ったでしょう。私は全てを知っているのだと。……ああ。そうだ。
折角だから今の内に紹介してあげましょうか。貴女の後任者を。……ラズリー、来なさい」

そうして藍が身動きできないでいるうちに、紫は優雅に微笑みながら小さく溜息をつき。
それから彼女は、第二の誤算――藍に代わって紫を補佐する、優秀な後任者の名を呼んだ。

カツ、カツ、カツ……。

??「……はいはーい。じゃ、今から地獄に持ってくわねー。
――大丈夫よ。魔術的なブーストを施すだけだから、死にはしないし後遺症も残んないわ。
……ちょっと、意識やら感情やらがブッ飛んじゃうだろうけど」

紫「お願いするわね、ラズリー」

今まで紫に呼ばれるタイミングを見計らっていたかのように、彼女は闇の奥から現れた。

ラズリー「貴女が私の前任者ね? 私の名前はラズリー、紫様の秘書を務めるしがない一般妖怪です。
以後お見知りおきを。……フフフッ」

581 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/29(火) 21:23:18 ID:???
ラズリーと名乗ったその少女を、藍は地面を這いながら睨みつけた。
炎のように燃えて肩まで掛かる、赤いセミロングの髪。
背丈は長身の藍より少し低い位で、概ね十代半ばか後半程度に見えるその少女は、
その瞳だけは深い深淵を湛える。人間では無い――いや、妖怪ですら無い「何か」だと藍は確信した。
純粋な容姿としては普通に可愛らしい、という印象までにしか過ぎないが、
彼女が纏う神秘的な雰囲気が、そうした陳腐な感想を否定していた。

藍「……ラズリ(Lazuli)の割には、私ほど藍(あお)くはないな」

外界でよく見かけるようなシャツを着こんだ少女を睨んだまま、藍は思わずそんな感想を呟く。
あまりに間抜けた感想だったが、満身創痍の上に攻撃を食らった彼女に、精神的な余裕は残されていなかった。

ラズリー「大丈夫よ。じきに青くなるわ。……もう、日が明けないうちには、ね」

ラズリーは髪を掻き揚げてそう薄く微笑むと、確かにその髪は赤から青に移り変わったような気がして。
……それが、藍が見た最後の光景となった。

藍「…………」

ラズリー「……さ、眠らせたわよん。――この子の式……だっけ? の、仔猫ちゃんはどうしたら良いかしらねぇ」

紫「放っておきなさい。野にかえれば、やがてその魔性を取り戻す筈よ」

ラズリー「あっそ。……それじゃ、明日から宜しくお願いするわねん、じゅ……じゃない、紫サマ」

こうして、幻想郷最後の夜は過ぎて行く。
金色に輝く少女と、それに付き従う不思議な少女は……再び、どこか深い闇の底へと消えて行った。

582 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/29(火) 21:24:23 ID:???
…と、言ったところで一旦ここまでです。

583 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/30(水) 01:11:54 ID:???
〜第二章・エンディング〜
【運命の子達】

――大会開会から21日目の朝。
それは全幻想郷選抜代表選手が決まり、プロジェクト・カウンターハクレイが本格的に始動し、
鈴仙がこの地を発つ手筈となる運命の朝。

佳歩「れ、鈴仙さま大変ですっ! そ、外……それに空とか海とか大地とか呪われし姫様とか……!?」

鈴仙「ふにゃ……え? 大地……? 姫様がどうかしたって……?」

暢気に熟睡していた鈴仙を起こしたのは、血相を変えた佳歩の報告だった。
全く要領の得ない単語を喚き散らす佳歩を尻目に鈴仙はゆっくりと起き上がり。
ふと縁側から外の光景を見てみると――。

鈴仙「え。 ……え? う、う、……うにゃぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」

584 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/30(水) 01:15:53 ID:???
〜永遠亭・外〜

ガヤガヤ、ガヤガヤ……。

アナウンサー「――こちらが、近日忽然と現れた長野県・幻想郷地区の一角です!
竹林に囲まれた豪華な和風建築に出入りするのは、兎耳……の、コスプレをした
幼稚園から小学生程の少女たちが居ます! これはどういう文化でしょうか!?」

永遠亭を囲う迷いの竹林は、今や無数の人間達によって四方を包囲されていた。
彼らはカメラやマイク――幻想郷では河童か鴉天狗以外は身に付けないであろう機材を持っており、
奇異の目線で外で働く名も無き兎妖怪を見つめている。

輝夜「くぉらぁ! 一体どーいう騒ぎよこれは! お蔭で親フラと勘違いされたでしょうが!!」

アナウンサー「あ! 家主らしき女性が出てきました! すいませーん、ここは一体、どういう施設なのでしょうか!?」

輝夜「え? まぁー、病院みたいなトコよ!」

アナウンサー「え、病院!? こちらではどういった治療を行っているのですか?!
貴女がドクターなのですか!? 医療法上の届出はどうなってるんですか?」

輝夜「うーん。詳しい事はえーりんに聞いて貰わないと困るんだけど……まぁ、アレよ。
最近はやりの水素水とかアーユルヴェーダとか。そんな系な治療よ、多分!!」

アナウンサー「そ、それは医師免許を持った医師が行っているのでしょうか……」

輝夜「大丈夫大丈夫! えーりんは天才だからそんな免許とかに縛られる器の小さい女じゃないし、
それに私、こう見えても「ブラックジャック」全巻読んでるから!!
後自分が死んだ時も自分で縫合とかやってるから、多分大丈夫っしょ!?」

アナウンサー「え、えーと。多分違法だと思いますが。その、えーりんというのは、どういう宗教用語で……?」

585 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/30(水) 01:16:59 ID:???
やがて周囲の喧しさに耐えかねた輝夜が外に出たらしく、
マスコミに対して幾つか受け答えをしているが……。

鈴仙「(良く分からないけど、姫様が永遠亭の恥を全世界に曝してるような気がする……。
――と、兎に角。そんな事言ってる場合じゃないわ!)し、ししょーっ!? 皆ー!!」

鈴仙はここで寝ぼけた状態から覚めた。異常事態を把握し、ドタドタと家内を駆け回る中、
途中で何度か他人とぶつかって転んでも気にせず永琳の部屋へと向かう。

永琳「……ウドンゲ。漸く起きたのね」

鈴仙「す、すみません。熟睡でした……。――それより、この騒ぎは!?」

この騒ぎにも関わらず、永琳は相変わらず冷静だった。
想定の範囲内だ、とでも言いたげな表情で研究室の患者データを見比べながら、
永琳は鈴仙に事態を説明してくれた。

永琳「当然の事が起きただけよ。あの日――全幻想郷選抜大会の決勝戦に幻想郷の結界が壊れ。
それにより我々の存在が外界の人間に感知され。
そして……今日になって漸く、外界のマスコミが特ダネを得ようと、幻想郷各地を嗅ぎ回っているだけ」

鈴仙「だけ、じゃないですよぉ。どうして人間達が、迷いの竹林を越えてここまで来ちゃってるんですか。
この竹林は特別な進み方をするか、空でも飛びさえしないと、永遠に同じ所をグルグル回るだけなのに……」

永琳「それも自明の理。結界の崩壊に伴い、今まで密閉されていた大気中の魔力や妖力が、
外の世界にも漏れ出した。よって、竹林自身の自衛作用が働かなくなった……。
――ウソだと思うなら、一度空を飛ぼうとして見ると良いわ」

鈴仙「え。ひょっとして……」

永琳に促されて、鈴仙はその場で飛ぼうと精神を集中させるも……。

586 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/30(水) 01:18:19 ID:???
……シーン。

鈴仙「そ、そんなァ。私、飛べなくなってます!?」

永琳「……あんたクラスの妖怪が飛べないんだったら、今頃一大事ね。
きっと今頃、妖怪の山の下級天狗達は謎の転落事故に四苦八苦してると思うわ」

この私ですら、今は連続1200時間程度、最高時速400キロメートルでしか浮遊できないのに…等と、
自虐風の自慢をかます永琳をよそに、鈴仙の頭はますますパニックになっていた。

鈴仙「あの。今日は全幻想郷選抜選手の発表とか、プロジェクト・カウンターハクレイの計画始動日とかでしたよね。
大丈夫なんでしょうか? あ。あと中山さんとかパスカル君とかはどうすれば良いでしょうか。
今のが外の世界の人達だったら、私達、未成年者誘拐とかで、しょっぴかれたりとかしませんでしょうか……?」

永琳「……ウドンゲ。安心なさい。私は既にある程度の策は練ってある。
まず、中山君とパスカル君については、それぞれ事情を知った本国のサッカー協会関係者に引き取らせるわ。
プロジェクト・カウンターハクレイについては、私達が責任を持って、あんた達を送り出すわ。

そして、全幻想郷選抜選手の発表については――そろそろよ。空を見なさい!」

鈴仙「そ、空??」

永琳が不意に人差し指を天にかざした。鈴仙はそれにつられて窓越しに青空を見ると――。
鈴仙の慌ただしい朝はここにピークに達した。


――ブウウウ……ン。



587 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/30(水) 01:19:25 ID:???
空中に映像が投影された。機械によるものなのか、魔術的な何かによるものなのかは分からない。
兎に角、鈴仙が空を見ると、空には雲の代わりに幻想郷のどこかの屋内であろう映像が映された。

ざわざわ、ざわざわ……!

恐らく鈴仙と同時にそれを見上げているであろう、外界の報道陣のざわめきが一層大きくなる。
神経を映像に集中させるよう鈴仙が意識していると、やがて一人の女性が空に映し出された。
……無論、それはおぞましくも胡散臭く。内に狂気を抱えた様子の八雲紫その人だった。

紫「……皆さま。御機嫌よう」

紫は恭しく礼をした。報道陣の一部には早くも彼女の人間離れした美しさに目を惹かれたようで、
窓越しに男が「ほう……」と息を漏らす声が鈴仙にも聞こえた。

紫「外界の皆さまも、本日は沢山遊びに来て下さり光栄です。
私、この幻想郷を取り仕切る、八雲紫と言う者ですわ。宜しくお願いいたします。
さて。今日ですが……この間発表した、『幻想スーパーJr.ユース大会』について、一つ告知をしたく思いますわ」

「ガヤガヤ、ザワザワ……」「え? なんだって?」「幻想、スーパー……?」「取り仕切る? 市長か何かか……」

そして紫が説明を進めるにつれ、報道陣のざわめきは具体的な声となって広がっていく。
もはや映像に集中しようと思っても出来ない位に、永遠亭の外からの音は大きくなっていた。

588 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/30(水) 01:20:33 ID:???
鈴仙「これは……八雲紫は今から、この投影放送でメンバーの発表をするつもりなんですね!?」

永琳「――全幻想郷選抜メンバーの発表には、おあつらえ向きの舞台ね。
幻想郷の住人のみならず、外の世界……と、もはや表現して良いのか分からないけれど。
少しでも多くの人に、大会の概要を告知できるいい機会だわ」

鈴仙「(八雲紫は、より大きい大会で霊夢を優勝させれば、かつての秩序が戻ると信じている。
そして、より大きい大会にするには……幻想郷の住人や外国のサッカー選手だけでなく。
その他の外界の人間達を巻き込んだ方が良い、と判断したのね……)」

永琳の皮肉交じりの考察を聞き、鈴仙は紫の目的を思い出しつつ考察を深める。
その間、紫はメンバー発表に先立って、もう一度大会のルールや概要について説明を行っていた。
具体的には、以下のとおりだった。

589 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/30(水) 01:22:27 ID:???
※『幻想スーパーJr.ユース大会』 ルール

○出場チーム
 かつてのJr.ユース大会に出場した12か国に、追加枠としてブラジル等3か国の選抜チーム。
 それに全幻想郷選抜チームを加えた計16チームが優勝を競います。
 チームメンバーについては各チーム最大23名。大会中のメンバーの変更は可能です。

○予選リーグ
 4チームずつ4ブロックに分かれてリーグ戦を行います。
 上位2チームが決勝トーナメント進出となります。

 前後半30分ハーフで行われます。
 勝利は3点、敗北は0点、引き分けは1点として扱い、3戦した際に最も多くの点数を獲得したチームが優勝となります。
 なお、同点のチームが複数いた場合、得失点差、得点数の順番で順位を決めます。
 延長戦やPKはありません。
 反則についてですが、レッドカード、もしくはイエローカード累積2枚で退場した場合、
 次の試合には出場出来なくなってしまうので、ご注意下さい。
 『3』人まで選手交代可能です。

○決勝トーナメント
 予選通過の8チームで再度抽選を行い、組み合わせを決定します。

 前後半35分ハーフで行われます。
 同点だった場合、前後半15分ハーフ、Vゴール形式での延長戦を行い、
 それでも決着がつかない場合はPKで勝負を決める事になります。
 予選リーグのイエローカードの累積はリセットされます。
 『3』人まで選手交代可能です。

○その他
 上記ルールについては、今後変更の可能性があります。

590 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/30(水) 01:24:23 ID:???
紫「……さて。私達はこの大会を実行するにあたって、
全幻想郷選抜メンバーを選定するべく、一度選考大会を行いました。
そして本日まで厳正な審査を重ねて、今! そのメンバーを発表いたします!!」

紫が大会のメンバーを発表したのは最後の最後だった。
流石の外界の報道陣も幻想郷における有力者の名前までは把握しておらず、
日本に残された最後の未開の地に興奮する事に疲れたのか反応は薄かったが、
鈴仙達幻想郷の住人にとっては、一部は順当に。しかし一部は少し意外な選手が
選ばれていた事もあり、それなりに興味深かったのは事実だった。

紫「……私からの発表は以上。大会は今から6カ月後の4月某日、
幻想郷にあるサッカースタジアムにて行われますので、こうご期待を……」

――スッ。

そして、映像は途切れた。

鈴仙「――幻想郷選抜メンバー、決まりましたね。師匠……」 

永琳「そうね。私もきちんと入っていて良かったわ。ウドンゲは残念だったわね」

鈴仙「いえ……私と師匠がどうなるかはうすうす分かってたので、大丈夫です……」

にわかに静まった永遠亭の実験室で、鈴仙と永琳は二言三言の会話を交わす。
鈴仙は永琳に大丈夫とは言ったものの、今回のメンバー発表を聞き、
改めてプロジェクト・カウンターハクレイの一員として動く覚悟が出来たのも事実だった。

鈴仙「私。もう行かなくちゃいけないんですね……」

永琳「そうね。……安らかなゆりかごの眠りはもう終わり。
貴女はこれから自ら立ち上がり、真実を見つけなくてはならないわ。
そして、世界の嘘を。闇を――払い尽くす事を私は望んでいます」

591 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/30(水) 01:31:42 ID:???

残る懸念は一つだけとなった。
……鈴仙の幻想郷からの出立。プロジェクト・カウンターハクレイのキャプテン候補としての巣立ち。
これからどうなるかは分からないにせよ、目的を果たすまでこの永遠亭には戻って来れないのは確かに思える。
永琳が言った通り、鈴仙は自ら立ち上がる時を今ここに迎えたのだ。

永琳「……さようなら、鈴仙。次に会うのは――運命の時。即ち……大会の決勝戦よ」

鈴仙「……………はい」

永琳「では、気を付けて……。――と、言いたいところだったけれど」

そして手を握り、一時の別れを交わすその直前に――永琳はふと部屋の入口を覗き込んだ。
染み一つ無い襖張りのその空間に何があるのか。そう思った鈴仙が倣おうとすると――。

永琳「ウドンゲ、右に避けなさい」

鈴仙「えっ!? ……!?」

――パァン!

耳をつんざく大音量が部屋を駆け抜けた。
永琳の指示を受けて即座に右へ飛び出した鈴仙は、その音の正体に覚えがあった。
襖に空いた黒い穴、そしてその直線の先に埋まったものを摘む。それは――

鈴仙「……銃弾」

永琳「どうやら。招かれざる客はマスコミだけじゃないようね。
……ウドンゲ。出発する前に死んだらカッコ悪いから、気を付けなさい」

永琳は冗談っぽく笑うも――鈴仙は心底冗談じゃないと思った。

592 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/30(水) 01:33:02 ID:???
…と、言ったところで今日の更新はここまでです。
皆さま、本日もお疲れ様でした。

593 :森崎名無しさん:2015/12/30(水) 05:57:41 ID:???
>上記ルールについては、今後変更の可能性があります。
やっぱりチーム数の変化かな。自分たち、ハイパーカンピオーネ、イヌカマッセ王国etc
乙です

594 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/31(木) 00:00:37 ID:dummy0o2
こんばんは、書いてる途中ですが長くなったので一旦切って更新します。
>>593
乙ありがとうございます。チーム数については16のままにして、
新チームやハイパーカンピオーネは、既存の国枠(カナダ、マレーシア等)を後から買収したという形で登場させようと思っています。

595 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/31(木) 00:02:13 ID:???
鈴仙「一体、今度は何なんですか!?」

永琳「……あんたがプロジェクト・カウンターハクレイに合流したら困ると思っていて。
なおかつ、銃器を持った私兵を雇える余裕のある勢力の仕業ね」

鈴仙「そ、その位は推測できます。それがどこかが……って、きゃわわわっ!」

パァン、パァン!!

永琳「考えるのはその位にして、あんたは早く姫様と合流しなさい。
姫様が、ここからあんたを送り出す手段を持っているから!」

鈴仙「は、はい……! 師匠は……!」

永琳「私はここを守る。中山君達やウサギ達の安全は保障するわ。
……さあ。いち、にの、さんで出るのよ。銃なんてそう簡単に連射できるものじゃないからね。
タイミングを掴めば被弾は避けられる筈――と、この程度の説明は不要だったかしら?」

鈴仙「――私だって、伊達に兵士やってませんでした。きっと無事に出発しますよ! ……それーーーっ!」

バッ! ダダダダダッ!

――パァン、パン、パン! ババババババッ!

鈴仙「(めっちゃ連射してるじゃないですか、師匠……! ていうか、一杯居る……軍服を着た兵士が!
これは一体、どういう事なのかしら……!?)」

永琳との別れを済ませた鈴仙は、永遠亭の廊下を駆け抜ける。
そこでは現代風の軍服に身を包んだ私兵と思しき兵士たちが、拳銃やマシンガンを手に鈴仙を着け狙っていた。

596 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/31(木) 00:05:39 ID:???
兵士A「いたぞ! あれが鈴仙・優曇華院・イナバだーっ!」

兵士B「生死は問わん、必ず捕まえろ!!」

パン、パァン!

鈴仙「よ、容赦ないわね! それっ!」

シュンッ、スカッ。パン、パァン!

兵士C「こっちか!」

鈴仙「甘いわ。鈴仙キックを食らいなさい!」

ブン、ドゴオオッ!

兵士D「ならば――」

兵士E「三人掛かりだ!」

兵士F「三人に勝てる訳ないだろ!!」

鈴仙「それなら……私の瞳が、アンタ達の認識を歪めるわ!」

ブウウウン……グラリ、バタン。

男たちは容赦なく鈴仙の心臓や頭部を狙って銃を連射する。
物理的な銃撃のみでは、玉兎たる鈴仙を絶命させるには足らぬ筈であるが……。
それは常識を否定する、幻想郷の結界があった事も大きい。
結界が破れ、妖怪と人間の境界が曖昧になりつつある今、銃撃をまともに受けたらどうなるか。
――脳裏に浮かぶ「死」の恐怖を抑えながら、鈴仙は卓越した身体能力を駆使して逃げ切った。
(窮地の際、鈴仙の「狂気の瞳」が役立った事も大きかった)――そして。

597 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/31(木) 00:06:53 ID:???
〜永遠亭・玄関口〜

ワアアアアアア……!? ガヤガヤ……!

アナウンサー「て、テロが発生しました! 我々の侵入に呼応して、現地の警察が動いたのでしょうか!?
しかし彼らは我々に匹敵する程高度な文明機器を手にしており、幻想郷地区の政治体制の謎が、ますます深まりました!
か、カメラマン。早く我々も避難を……ぎゃわーーーっ!?」

ボーンッ! パン、パン、パァン!!

ウサギD「うわーーん、つかさちゃーーん!」

つかさ「大丈夫よ、Dちゃん……あっ、こっちにも兵士が……!」

兵士「お前が鈴仙・優曇華院・イナバか!?」

グッ、パァン! ……ガシイッ!

輝夜「――おお〜っと。ウチのペットにオイタをするとはメチャ許せんわね。
あんたなんか……冥王星にブン投げてやるわ! それぇーーーーっ!」

ブン、ブンブンブンブン……バヒュウウウッ!! ――キラーン。

鈴仙「――姫様、相変わらずスゴイ馬鹿力ですね。……でも、凄いです!」

輝夜「おっ、漸く来たわねイナバ。アンタが来るまでにこっちは準備で忙しかったんだから!」

――輝夜が待つ永遠亭の外庭は、廊下以上に混沌としていた。
先程から輝夜をインタビューしていたマスコミ陣は物々しい乱入者に慌てふためき、
早々に逃げる者や報道を続ける者が滑稽に右往左往している。
そんな中、百はあろうかと思われる迷彩服の兵士達が永遠亭のウサギ妖怪を脅迫しつつも、
多くは輝夜の剛腕と見事な弾幕によって、バッタバッタと薙ぎ払われている。

598 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/31(木) 00:08:15 ID:???
鈴仙「師匠が仰ってました。姫様が私を送り出す手段を持っているって………!」

輝夜「ええ。えーりんは今日の展開すらお見通しだったからね。
ちゃーんと、永遠亭の倉に用意しといてたのよ。あんたを外へ送り出す手段!。
……てなわけで、後の現場は宜しくね、てゐ!」

てゐ「――チッ。折角人畜無害なウサギTちゃんのフリをしてたのに。
……ま。私もイナバ達を決して死なせたくは無いからね。頑張るよ」

輝夜達と合流した鈴仙は、後の防衛をてゐに任せて永遠亭の蔵へと向かう。
一見古臭い蔵であるが、ここには輝夜や永琳が持ち出した月の財宝が残されているというが――。
果たして、そこにあったのは月の財宝では無かった。

鈴仙「こ、これは……!?」

蔵の中に収められていたのは、近未来的なデザインのメタリックな自動車だった。
二人乗りと思われるその車は収容人数に反して巨大で、恐らくはさぞ立派なエンジンが備え付けられているのだろう。
メカメカしい流線型のボンネット。その先端には猛牛をあしらったエンブレムが飾られている。

鈴仙「も。もしかして……、姫様。これが外の世界でも高くて有名な、『ふぇらーり』って車ですか!!」

輝夜「――イナバ。あんたもしかして、高そうなクルマは全部フェラーリだと思ってるわね。
残念、これはランボルギーニのウン十周年記念車よ! 最大馬力は750馬力で、最高速度は時速365キロ。
僅か3秒足らずで時速100キロまで加速しちゃうんだから。
いやー、流石に300万ユーロ(現代の価値にして約4億円)は高かったけど、えーりんから買って貰ってて良かったわー」

599 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/31(木) 00:09:47 ID:???

鈴仙「(――師匠。永遠亭の財政はいつもカツカツって言ってたのに。姫様にどんだけ貢いじゃってるんですか……!)」

輝夜の説明を聞いて、正直言ってブン殴りたい衝動に駆られる鈴仙だったがここは敢えて堪える。
この車がどうやら、永琳が言っていた脱出の手段である事には違い無いようだったからだ。

輝夜「そんなワケで。イナバはこの私が責任を持って外まで送ってあげるからね!
コスタ・コンコルディアに乗ったつもりで安心して乗んなさい!!」

鈴仙「(コスタ・コンコルディアって。座礁して転覆した船じゃないですか……」)

果たして輝夜は車を運転できるのか、などと言う些末な不安を掻き消して、鈴仙はその高級車に乗り入れる。

鈴仙「(――あっ。やっぱり乗り心地良い……)」

そして、そんな暢気な感想を抱けたのは僅か3秒の間だった。

輝夜「うっしゃー、エンジン全開よ〜!」

ブロロロロロロロロロロロッ! ゴオオオオオオオオオオオオオオオッ!

鈴仙「ギャーーーッ、し、シートベルト付けさせてくださーーいっ!?」

車は直ちに、内部にいても耳をつんざくような悲鳴を上げて発進した。……後ろ方向に。

アナウンサー「あっ! イタリア製の高級車が蔵から飛び出して来ました!
時速百キロで兵士達のみを器用に跳ね飛ばしながら屋敷を後にします!!
しかし時価数億円もの高級車が蔵にあるとは。ますますこの屋敷の正体が分からなくなります!」

600 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/31(木) 00:11:03 ID:???
鈴仙「ひ、姫様ぁ……!? 私、先に交通事故で死んじゃいますう……!」

輝夜「人間も妖怪も、そんな簡単には死なないって! さぁ、今から外の世界に向かってゴーよ!」

ブロロロロロロッ、ギャリッ、ギャリギャリギャリッ!!

……鈴仙の永遠亭からの脱走劇は、時速365キロで竹林を駆け抜ける一台の高級車によって成功した。

〜迷いの竹林〜

ブロロロロロ……

輝夜「――さーて。これで追手どもは大体撒けたわね」

鈴仙「ひ、姫様ぁ。無茶しないで下さいよぉ……」

輝夜「まあまあ。イナバ達も永琳やてゐが居るから大丈夫に決まっているし。
それに中山さんとパスカル君も、それぞれサッカー協会の精鋭が保護に向かったって聞いているわ。
永遠亭は……ちょーっとぶっ壊れちゃったかもしんないけれど……形ある物いつか滅びるっていうし。
また全てが終わったら、新しく建て替えれば良いもの」

鈴仙「(このプラス思考、本当に凄いなぁ……)」

そしてプロジェクト・カウンターハクレイメンバーの集合場所である、
幻想郷と外界を隔てる集落に向けて、鈴仙と輝夜は路無きドライブに明け暮れていた。
途中でガタガタと竹を薙ぎ払い、あるいは薙ぎ払われて竹林も車もボロボロであるが、
もはやそこまでを気にする程の精神的余裕が鈴仙には無かった。

601 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/31(木) 00:12:34 ID:???
鈴仙「……でも。外の世界の報道機関はともかく。さっきの兵士は何だったんでしょうか。
永琳様は、私がプロジェクト・カウンターハクレイに合流したら困ると思っていて。
なおかつ、銃器を持った私兵を雇える余裕のある勢力の仕業と言っていましたが」

輝夜「んー、私はその辺詳しく分かんないけれど……、聖徳ホウリューズの連中の差し金かもしんないわね。
漁夫の利狙いのハイエナ集団だし、今まで幻想郷に姿を見せなかったし、外界との繋がりも強いっぽいし。
幻想郷と外界が接触するXデーに乗じて、武力で政権を獲得するつもりだったとか」

鈴仙「――な。そ、そんなの、あの八雲紫が許す訳が……! ――って、あっ……!?」

輝夜「幻想郷を愛する、かつての八雲紫だったらそうかもね。
でも考えてみなさい。今のあのスキマ妖怪はもはやスキマ妖怪ですら無い。
月の一罪人にひたすら粘着し続けるだけが生きがいの、迷惑女に取り憑かれてるんだから。
聖徳太子の一人や二人どうでも良い、みたいな発想になっててもおかしく無いわ」

鈴仙「確かに……そうかも」

半年後の大会に勝利する事を目標に捉える余り、過程を省みる事を忘れた八雲紫。
用意周到な神子の一派が彼女の変化をいち早く察知し、
それに取り入る術を事前に考えていたとしてもおかしくは無い。

鈴仙「(私達の敵は……八雲紫だけじゃない。
きっとこの先、豊聡耳神子が掲げる幻想郷乗っ取り計画――『ハイパー・カンピオーネ』計画を潰す事が必要になる。
そして。私は今度こそ――『あの子』を。妖夢を助けてあげなくちゃいけない……!)」

八雲紫を取り込みつつある純狐を止め、豊聡耳神子の私欲にまみれた計画を潰す。
そして――狂った計画に巻き込まれた親友を救い出し、鈴仙は自身のあるべき道を世界に示す。
これからの物語は、単に誰かの背中を追うだけでは進まない。
鈴仙自身が真なる意味で主人公となり、この世界を、親友を、仲間達を。そして自分自身を取り戻さなくてはならない。

602 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/31(木) 00:13:41 ID:???
輝夜「……イナバ。あんたビビってるわね。これからの自分を待ち受ける運命ってヤツに」

そんな風に考えていた鈴仙の内心を見透かしたように、
輝夜はハンドル片手に、助手席の鈴仙に身を乗り出し問いかける。
鈴仙がそれにゆっくりと首を縦に振ると。

輝夜「はぁー。若いわねぇ。若い若い。私より十億才くらい若いわー」

鈴仙「何ですか。その唐突かつ雑な年長者アピールは……」

輝夜はフロントガラスを見るのも忘れて鈴仙を見据え、こう言い放った。
最初鈴仙は、またいつもの面倒なノリが始まったと思ってつっけんどんに答えていたが。
やがて輝夜が真剣に鈴仙を案じて言葉を選んでいる事に気付いた。
輝夜はふうと溜息を吐くと、普段の飄々とした表情を保ちながらこう続けた。

輝夜「……運命なんて、気にするモンじゃないわ。
あいつ等は残酷に人を別ち、大切なモノを奪い、何ら悪びれる素振りも無い。
――そんなヒドい奴の事なんて考えてても、明るい気持ちになんてならないわ。
だから、ただ、自分の心で感じたままに。自分が楽しいと、自分が正しいと思えるように。
それだけを考えて行動するようになさい。――だってこれは、あんたの物語なんだからね!」

603 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/31(木) 00:15:15 ID:???
鈴仙「ひ、姫様……!」

輝夜「ちょっとちょっと、まだ泣いちゃダメよイナバ。まだカンドーのプレゼントも渡せて無いんだから。
……はい、これ」

感極まる鈴仙に追い打ちを掛けるように、輝夜は鈴仙に一つのプレゼントを渡してくれた。
それは――いつしか鈴仙が難題として輝夜に献上した「しゃべるボール」だった。

輝夜「ドタバタしてたから、お別れがテキトーになってたでしょ?
そうなると思ったから、永琳が事前にこんなものを書かせてたのよ。このボール君にね。
……生憎と、幻想の力が流れ出した今はもう、しゃべんなくなっちゃったけれど」

鈴仙「……見て、良いですか?」

輝夜「良いわよー。穴が開くほど見なさいな」

決して泣きはするまいと思いつつも、鈴仙はボールを覗き込む。
……そこには、達筆から乱雑で。大きな字から細かい字で、こんな事が書いてあった。

604 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/31(木) 00:19:26 ID:???

                  鈴仙 ありがとう! 永遠亭ルナティックス一同


    合格ね 八意 永琳

 お土産はPS4と3DSとWiiUと最新PCとスマホで4649 ←死ね! 鈴仙頑張ってね、応援してるよ! 妹紅
                                ぐや

                      本当に有難う。君のお蔭で成長出来た。
                             君達が紡ぐ歴史に幸あらん事を!   上白沢 慧音

    私と鈴仙は永遠亭のゴールデンコンビ ……ウサ
                          因幡 てゐ
                                 また古武術を教えて下さい! 頑張ります!! ウサギK
一期一会。君との出会いは決して忘れない A.Pascal
                                     ねたばれ れいせんさまのしゅ〜とりょくは67
 鈴仙さま、永遠亭を離れられると聞いて寂しいです。
 私は鈴仙さまの相棒として役立ちたいと思って頑張ってきましたけど、
 いつも迷惑ばっかりおかけして、本当にごめんなさい。
 でも、私にとっては鈴仙さまは永琳様にも霊夢さんにも負けない最高のヒーローです。
 鈴仙さまなら世界でも一番になれると思います。また一緒にサッカーしたいです!
 あと他にも書きたい事があるんだけど、ボールが真っ黒になっちゃうのでやめます。 因幡 佳歩

鈴仙さまが活躍出来る確率は100%とデータが出ましたよ! 霞

     れいせんさまだいすきです。つかさちゃんといっしょになかないでつよくなります!! ウサギD
               Dちゃんをいつも有難うございました。ご健闘をお祈り申し上げます。 つかさ



               書くべき言葉は無い。また会おう、鈴仙!  中山拝

605 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/31(木) 00:22:33 ID:???
鈴仙「………………!!」

普段のように、気の利いた皮肉が思いつかなかった。鈴仙の胸からは熱い物がこみ上げて来た。
……自分は改めて、仲間に、主人に、――家族に、恵まれていると実感した。

鈴仙「ししょうが……みんなが……なかやまざんが……!」

輝夜「……例えチームを離れようが、これまであんたが築いて来た絆は永遠に消えない。
だから、鈴仙。運命なんかに負けんな! どこに居たって、永遠亭ルナティックスは永遠に不滅よ! 文字通り、ね!」

鈴仙「は……はいぃ……!!」

今の自分が酷い声だと思ったが、それでも声が止まらなかった。
――独りじゃない。鈴仙は皆の想いが詰まったボールを胸に抱えて泣きながらそう思った。
そして――。

輝夜「――ねぇ、鈴仙………?」

鈴仙「は、はいいいいびっ……!」

輝夜「――ごめん。ボール渡したりしてたら、カーブ曲がり切れなかった。……今からガケ落ちるから覚悟しといて!」

鈴仙「は、ひ……? ――ぎゃ、ぎゃわわわわーーーっ!?」

ブロロロロ――バンッ! ドゴオオオオオッ!!

ガードレールをオモチャのように弾き飛ばして、時価数億円のランボルギーニは某県の山中へと放り出されて、
……これまでの展開を台無しにするかの如く、見事に落ちた。

606 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/31(木) 00:23:42 ID:???
……と、言ったところで一旦ここまでです。
続きは気力があれば今夜中。無ければ明日のお昼頃になります。

607 :森崎名無しさん:2015/12/31(木) 00:24:44 ID:???
乙です。サッカー協会の精鋭とはいったい…w

608 :森崎名無しさん:2015/12/31(木) 00:27:59 ID:???
一旦乙でしたー
一瞬素で「うん?寄せ書きにブルノさんがいないぞ?」と思ってしまった


609 :森崎名無しさん:2015/12/31(木) 00:31:47 ID:???
しゃべるボール「カグヤ カグヤ カグヤ カグヤ」
輝夜「こんなボール、イナバに押しつけてやるー!」

610 :森崎名無しさん:2015/12/31(木) 00:43:43 ID:???
じゃあ寄せ書きにブルノさん追加

新チームに俺を誘えよ、後悔させないよ(キリッ) ブルノさん
↑お笑い的な意味では後悔しないだろうな レッチェ一同
サイクロンでこいレイセン メオン  たいせんすることになったらおてやわらかに アモロ
カグロットのうさぎぃ? ブローリン  陽一神はどうして俺をザルにしたんだろう… ドールマン
話の展開的にアルゼンチンと当たるのでどうか手加減してください(土下座) ガルトーニ

611 :森崎名無しさん:2015/12/31(木) 01:57:44 ID:???
押し付けられたのも納得だなそれがあったら

612 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/31(木) 12:42:49 ID:???
こんにちは。第二章ラストの更新を始めていきます。
>>607
乙ありがとうございます。
サッカー協会なんでスゴ腕の兵士とか特別部隊くらい居てもおかしくないかなって思います。
>>608
乙ありがとうございます。一旦じゃなくなってすみません。
ブルノさんはあくまで姫様のサポーターであって、鈴仙とは無縁であってほしい存在だから…
>>609
しゃべるボール君を結局あまり喋らされなかったのは心残りですね。
>>610
姫様宛ての寄書かな?

613 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/31(木) 12:44:10 ID:???
〜某県・幻想郷地区手前の集落〜

ブロロロロロ……キキッ! ガチャッ!

輝夜「――さ。着いたわよ。……いやー、良いクルマ買っといて良かったわー。
まさか高さ50メートルのガケから落っこちても普通に動くなんてねー」

鈴仙「いやいや……。最後の方炎上してましたよ、あのクルマ! どうするんですか、もう……」

――そして。様々な紆余曲折を経験しつつも鈴仙は集合場所に辿り着いた。
プロジェクト・カウンターハクレイのメンバーが初めて顔を合わせる手筈となっている、
幻想郷と外の世界の地理的な境界に位置する村落。
その入口には、果たして当初の約束通りに十数名の見覚えのある顔が並んでいた。

??「やあ。お前さんが鈴仙・優曇華院・イナバだね?」

鈴仙「――は、はいっ」

その十数名のメンバーの先頭には、一人の女性が立っていた。
夜の帳のような色をしたローブを身に纏い、暗緑色の長髪を垂らし、
太陽をあしらった夜色の山高帽を被る彼女は、一般的な「魔女」に近いイメージだったが、
一点だけ一般的な魔女と異なる箇所があった。

鈴仙「(足が無い。……亡霊?)」

??「――そういや。直に会うのは初めてだったか」

奇異の眼で見つめられている事に気付いたのか。
魔女は深く静かなアルトでそう呟くと、簡単な自己紹介を始めた。

魅魔「あたしの名前は魅魔。……帰る所を忘れた、しがない悪霊さ。
――今はこの企画の一員として、スカウトマン及びあんたらの監督を担ってる」

614 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/31(木) 12:45:19 ID:???

魅魔……『監督』はそう事務的な挨拶を告げると、改めて鈴仙と背後に並んだメンバーを見比べてこう宣言した。

魅魔「――さぁ。これで全員が揃ったようだ。……今日、この場に集まれる連中については、な」

鈴仙が数えるに、そのメンバーは自分を含めて15名。最大23名まで登録可とされた大会ルールと比べると数は少ない。
しかしその一名一名が真剣な顔付きをしていて――彼、彼女らが如何な決意でこの道を選んだのかが伺い知れた。

鈴仙「(私が良く知っている顔が沢山ね………)」

そして、メンバー達の多くは意図されていたか否かは知らないが、
幻想郷の住人(一部そうでは無い者も居たが)でも、とりわけ鈴仙と近しい者が多かった。
そうやって周囲を見渡していると、魅魔は改めてプロジェクトの説明を行った。

魅魔「――改めて説明しよう。プロジェクト・カウンターハクレイは、
博麗の巫女を倒し、幻想郷の秩序に一石を投じる為に編成された選手、
そしてスタッフから構成される一大プロジェクトだ。
……だが、先に行っておくけれど。このプロジェクトはハッキリ言って無謀だ!」

鈴仙「…………」

魅魔が開口一番に放った「無謀」という単語に、鈴仙は心の中で同意した。
中山やパスカルから聞かされて。また自身がこの幻想郷で経験して来たとおり、
サッカーというスポーツで頂上を目指す事は、如何に厳しい競争である事を理解していた。

615 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/31(木) 12:46:36 ID:???
魅魔「このプロジェクトではまず、アンタ達は世界各国に散らばって、現地の進んだサッカーを吸収して貰う事になる。
世界にはあたし以外の優秀なプロジェクトスタッフが常駐して、アンタ達の教育環境を確保する手筈さ。
それで大会直前に集合して合宿を行い、調整試合を行った後に大会本番を迎える。
これだけ説明すると、何ともバラ色な素晴らしい計画だと思うけれど、そう甘いと思うなよ?」

鈴仙「……まず、私達が、幻想郷とも外の世界――日本とも違う『海外』という環境の中で、潰れず周囲と上手くやって行けるか。
上手くやって行けたとして、世界の実力にこのまま着いて行けるか。
そして。世界の実力に着いて行けたとしても、それは世界で勝てる事の証明にはならない……」

魅魔の説明を補足するように、鈴仙は思わず呟くと。彼女は口元を釣り上げて感心したように続けた。

魅魔「へぇ……? 分かってるヤツも居るじゃないか。――その通りさ。
簡単にカウンターだ、博麗の巫女に勝つんだ、とは言っても。現実はそう簡単じゃない。
アンタ達はこれから、海外修行の成功という大博打に勝ち続けないと、勝負の土俵にすら立てない。
勝負の土俵に立ったとしても尚、アンタ達はラスボスラッシュ級の猛攻に勝ち続けなくてはならない。
――あたしが言ってる「無謀」が、あながち暴言じゃないって事が。
……これだけ聞いて逃げ出すようなヤツをスカウトしたつもりは無いけれど。覚悟しておくことさね」

監督に対して反論する者はもはや不在だった。
この女性は初対面にして監督の威厳を示すと同時に、選手のうぬぼれを打ち消し、
また自身が単に厳格なだけでなく、広い視野を持った優秀な人物である事を証明してみせていた。

鈴仙「(――安らかなゆりかごの眠りはもう終わり。師匠はそんな風に言っていたけれど……その通りみたい)」

寄せ書きが書かれたボールを抱きしめ、鈴仙は覚悟を決めて新監督――魅魔の眼を見据える。
彼女の瞳にもまた、強い意志を示す緑の炎が宿っていたが。……鈴仙は、今の自分も負けていないと思った。


鈴仙「(――私は、負けない……! たとえ、どんな事が待ち受けていたとしても……!)」

616 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/31(木) 12:47:43 ID:???

魅魔「……さて。鈴仙・優曇華院・イナバ……だったかな。変な名前だねぇ」

鈴仙「は、はい。……変な名前ですみません」

魅魔「おや、悪い悪い。別に嫌味で言った訳じゃないよ。
……先程も言ったとおり、大会開催までの、お前さんの修行先を伝えたいだけさ」

――そんな鈴仙の強い意志を見越したかのように、魅魔は不意に鈴仙の名を呼んだ。
演説を終えた魅魔は事務的な口調で名簿と鈴仙の顔を見比べながら、
早速と言わんばかりに、鈴仙にプロジェクト・カウンターハクレイとしての第一令を告げた。

617 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/31(木) 12:48:59 ID:???




魅魔「――鈴仙・優曇華院・イナバ。お前さんにはこれから3カ月間、ブラジルへと渡って貰う!
   そこで来年1月に開かれるサッカー大会……『リオカップ』に優勝する事が、お前の使命だ!!」






618 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/31(木) 12:50:07 ID:???
                         ――かくして少女は、主人公となった。

                       これまでの物語は、言わば目覚めの物語。

                  それは少女を大人にして、やがて少年を導く為に造られた茶番。

                  あるいは嘘で固められた庭を壊し、真実の光を灯す為の序章。

           暗黒の大海に漕ぎ出す少女は、これから多くの善意と――そして悪意と出会うだろう。

            しかし、彼女は決して忘れはしないだろう。これまでに得た、多くの愛すべき者達を。

              これから得んとする、甘ったるい程に理想的で幻想的な、最高の結末を。

                        今ここに漸く――真実の物語は始まった。


                          鈴仙奮闘記 第一部 第二章

                            全幻想郷選抜大会編

                                  完

619 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/31(木) 13:04:11 ID:???
……と、言ったところで今晩は出かけるので今日の更新はここまでです。
これからの更新スケジュールとしては、

@鈴仙の狂気度を使った成長イベント
A第三章以降のスケジュール紹介、質問への回答
 ※AとBの間に各チームの能力値を公開予定
B第二、五章(魅魔視点でのPCHメンバー勧誘フェイズ)
C第三章開始!

……と、いう流れを考えています。
第三章開始前に、できれば人気投票やアンケート等のイベントが出来ればいいなと思っています。
それでは、本日もお疲れ様でした。

620 :森崎名無しさん:2015/12/31(木) 13:39:27 ID:???
乙です。
来年も楽しみにしています。

621 :森崎名無しさん:2015/12/31(木) 16:00:48 ID:???
ブラジルに選手派遣か、リグルもサンパウロに放り込んじゃえーw

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