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【ツバサハ】キャプテン森崎32【タダシクナイヨ】
[545]2 ◆vD5srW.8hU :2009/07/13(月) 13:31:30 ID:u5EQ8NDH ストラット「ミアータ…」 ミアータ「探したのよ…この三年間、ヨーロッパ中を…それでも全然みつからなくて、会いたくて…!」 涙。恨み。怒り。蔑み。ありとあらゆる負の感情に備えていたつもりだった。 彼女がまだ自分を求めてくれるなど、絶対に有り得ない筈だった。 ミアータ「ずっとずっとこうしたかった。もう一度貴方の腕に抱かれたいと泣かなかった夜は無かったわ… ただそれだけを考えて、他の何も目に入らなくて…やっと、ここで貴方をみつけたの。捜し求めた貴方を」 ストラット「………」 これは夢なのだろうか?都合の良い妄想に逃げてしまったのだろうか? まさか現実なのならば、一体どうすべきなのか? バラバラに千切れた思考が踊り狂い、ストラットは何も言えなくなる。 だが次のミアータの言葉が彼の心に光を差した。 ミアータ「もうこれ以上待てないわ!抱きしめて、ストラット!」 ストラット「………」 ギュッ。 何をすべきなのかではなく何をしたいか。ストラットは己の心に導かれるまま ミアータの小さな細い体を強く、だが優しく、抱きしめる。 ミアータ「ああ…!」 ストラット「ミアータ…俺は国を捨てた男…いや、違う。捨てたんじゃなくて逃げたんだ。 国だけじゃない。家族からも、友からも…君からも逃げた…」 ミアータ「ストラット…」
[546]2 ◆vD5srW.8hU :2009/07/13(月) 13:31:52 ID:u5EQ8NDH ストラット「そんな俺に戻ってこいと…ミアータ!そんな事を言ってはダメなんだ!」 ミアータ「どうして…?」 ストラット「もう俺の事なんか忘れてくれ!それが俺が君に出来る精一杯なんだ! 自分でも酷い男だと思う。だけどもう俺はイタリアに戻る事も君と一緒に居る事も出来ないんだ! 怖いんだ!もう俺は誰に憎まれても構わない、憎まれるのは怖くない! 大切な仲間達を、愛する君を!これ以上傷つけるのが怖くて堪らないんだ!」 ミアータ「…ウソよ」 ストラット「ウソじゃない!」 ミアータ「だったらどうして貴方の腕はこんなに強く私を抱きしめているの?」 ストラット「なっ…!?くっ!」 ストラットの腕は本人の意思を裏切り、ミアータの腰を手放そうとしなかった。 ミアータに指摘され自覚しても尚彼の腕は言う事を聞かない。 せめても抵抗に首と肩を反らし彼女から離れると、何かがちりんと音を立てた。 それは彼女が首から下げているネックレスに加工されたメダルだった。 ストラット「…これは…!」 ミアータ「ええ、貴方が14歳の時初めて全国リーグで得点王になった時のメダルよ」 ストラット「今でも…持っていてくれたのか…」 ミアータ「お風呂の時も寝る時も肌身離さずよ」
[547]2 ◆vD5srW.8hU :2009/07/13(月) 13:32:34 ID:u5EQ8NDH ストラット「何故そこまで…」 ミアータ「だって…約束してくれたじゃない。今は無理だけど、後5年以内にプロになって ガンガン稼ぐから前払いだって。最初の契約金でスイス旅行に行こうって…言ってくれたじゃない…」 ストラット「俺は…俺、は…」 時の流れを水に例えるのならば、その水にどれだけ晒されても錆びず色褪せない思い出もある。 ふとストラットは底なし沼の中からミアータの姿をした天使に手を引かれ、何処か高い所へ連れて行かれる感覚に陥った。 ミアータ「あの時の約束から、3年と9ヶ月…ワールドユースまで後1年と3ヶ月だよ…」 ストラット「!!」 暗闇しか見えなかった彼の目の前に細く小さい、だが強く輝く光が一筋差し込んだ。 彼は今、自分が何をすべきかを考えなくなった。代わりに、自分が何をしたいかを考える様になった。 ストラット「………まだ、約束は守れるんだな(もう、逃げなくて良いんだ。逃げちゃダメなんだ)」 ミアータ「ええ…!」 ストラット「分かったよミアータ。俺はイタリアに戻る。イタリアユースに参加し、ワールドユースで得点王になってみせる! そうすれば複数のビッグクラブが小切手を片手に俺の下に駆けつけてくる…間に合わせてみせるよ、絶対! (何を迷っていたんだ俺は。簡単な事じゃないか…俺は逃げない。逃げたくないんだ!)」 ミアータ「………お願いね。ブラジルに来るだけでも凄くお金がかかったから…」 ストラット「ハハハ、借りは多いな…」 二人は笑った。泣きながら笑った。やっとみつけた救いを得て。
[548]2 ◆vD5srW.8hU :2009/07/13(月) 13:34:07 ID:u5EQ8NDH いったんここまで。 我ながらキャプ森を書いたとは思えない…
[549]創る名無しに見る名無し:2009/07/13(月) 13:51:33 ID:KutpZpN6 ミアータの考えが読めんな・・・ これは1/3の純情な感情なのか・・・
[550]創る名無しに見る名無し:2009/07/13(月) 14:47:32 ID:mqRBVKjr ミアータ「(……計画どおり。ストラット、ちゃんと償ってね。そう、 一 生 懸 け て )」
[551]創る名無しに見る名無し:2009/07/13(月) 15:22:13 ID:5ZXPTOA4 ヤンデレのミアータに死ぬほど愛されて眠れないストラット
[552]2 ◆vD5srW.8hU :2009/07/13(月) 18:48:06 ID:u5EQ8NDH ここで場面をラウンジに居る翼たちに戻そう。翼は数分間沈黙した後、意を決した様に座り直した。 ちょうどアマラウとマウリシオがポテトチップスの袋を持ってきたタイミングだった。 ドトールはコーヒーを静かに啜り、バビントンはじっと座っている。 翼「…順を追って話した方が分かりやすいと思う。俺と森崎の出会いの前後から」 バビントン「うん。それがいいと思うよ」 マウリシオ「ドンドンどーぞ!」 翼は皆が座ったのを見計らい、ポテトチップを一枚食べてから口を開いた。 翼「ねえ、ワールドカップって何?」 バビントン「えっ…?本気で聞いてるんじゃないよね?」 マウリシオ「それってどういう引っ掛け問題なんスか?」 ドトール「質問の意図が分からないのだが…」 アマラウ「何って、そりゃお前…ワールドカップだろ!」 いきなり素っ頓狂で意味不明な質問をされたと感じた4人はそれぞれの反応を返す。 翼はそのどれもに”やっぱりな”と言わんばかりに頷いた。 翼「ブラジルやアルゼンチンじゃそれが当たり前だろうね。でもその質問、俺の母さんが監督に聞いた事があるんだ。 日本ではワールドカップを知らない人が知っている人より多いかも知れないぐらいだ。 それどころかサッカーのルールを知らない事だって珍しくない。想像できるかい?」
[553]2 ◆vD5srW.8hU :2009/07/13(月) 18:48:25 ID:u5EQ8NDH バビントン「うわあ…日本ってそうなのかい?」 マウリシオ「マジ!?ちょっと信じられないって!」 ドトール「理屈としては、サッカーが広まっていない国もあると分かるが」 アマラウ「ハッキリ言って全然想像できねえなあ」 翼「だろうね。でも実際にそうなんだ。そんな国で育った俺は、物心つく前からサッカーが大好きだったんだ。 両親の話では1歳の頃に車に撥ねられた時サッカーボールのお陰で助かったそうだけど…これは多分作り話だろうね。 とにかく、俺は11歳の時まで入るチームも無いままずっと一人でサッカーをやっていたんだ。 周りからはバカにされたけど、そんなのは気にならなかった。それだけサッカーが大好きだったんだ。何故なんて考えない程に」 ドトール「(まずは翼にとってサッカーとは何か、を説明しているんだな)」 翼「森崎と出会ったのはサッカーが比較的盛んな地域に引っ越して、国内の少年チームとしては 最強クラスのチームに入った時なんだ。そこで俺はエースだった。キャプテンにもなった。 逆に森崎は…今では信じられないだろうけど、居ない方がマシって言うレベルのサブキーパーだったんだ」 アマラウ「ハァ!?あの凄腕キーパーが足手まといレベルだったって言うのかよ!」 翼「そう。なんでチームに入れたのか不思議な程弱い癖に、常に自信満々で自分勝手。 それだけならまだしも、意味不明な事を繰り返してチームに迷惑をかける事もしばしば。 途中で正ゴールキーパーが負傷で抜けちゃって、あいつが正ゴールキーパーになった時は物凄く不安だったよ」 バビントン「…ごめん。フラメンゴとサントスを零封した今の姿と全然結びつかないんだけど…」 翼「気持ちは分かるよ。あいつとずっと一緒に居た俺でも未だに信じたくないんだから。 ただ…あいつは少しずつ強くなった。セコイ小細工もムチャな博打も純粋な暴力も使っていたけど、 同時に自分を鍛え、支持を集め、情報を得て…強くなる為には、そして勝つ為にはどんな事でもやった。 自分勝手で不愉快な所は全然変わらなかったから嫌いなままだったけど、確かに強くなったんだ」 マウリシオ「あー、そういえばサントス戦でドリブルなんかしてたッスね。なんかチームメイトに逆切れしてたみたいだし」
[554]2 ◆vD5srW.8hU :2009/07/13(月) 18:49:48 ID:u5EQ8NDH 翼「俺としては嫌いで鬱陶しい存在だったけど、同時に使えるキーパーならガマンするつもりだったんだ。 バカな事をしてチームをピンチに陥れるのは本当に腹が立ったし、その癖威張り散らしているのは 心底軽蔑したけど、他に実力のあるキーパーが居なかったからしょうがない…それで良かったんだ。 上の年齢のチームに移った時、俺じゃなくてあいつがキャプテンに選ばれるまでは」 バビントン「(あ、核心らしき場所に近づいた感がするぞ!)」 翼「信じられなかったよ…なんであんな奴が俺の上に立つんだ?ってね。 でも、段々分からざるを得なかった。あいつの劣等感に裏打ちされた我武者羅さが、 俺の下につく事を良しとしない反骨精神が、満たされる事の無いエゴイズムが 俺には無い強さを生み出しているんだって。これを認め、対抗手段を考えるには時間がかかったけどね」 アマラウ「その対抗手段ってのはなんだ?」 翼「俺も手段を選ばない強さを求める事にしたんだよ。具体的には、チームメイトをもっと 感情抜きに有効活用しようってね。あいつが俺を差し置いてキャプテンに選ばれたのは それが上手かったからだし。そしてそれを叶える為の手段は、俺がナンバー1の選手として 頂点に立ち勝利をもたらし続け誰もが認めるキャプテンとして君臨する事だった」 マウリシオ「丁度ウチでやってる事ッスね!…ってぇー、その言い方、上手くいかなかったんスか?」 翼「ああ…その後全日本Jrユースでフランス国際Jrユース大会に出場した時も、 キャプテンに選ばれたのは森崎だった。しかも俺は大失態を犯しチームを予選敗退の危機に 晒したのに対し、森崎は優勝の原動力となってMVPに選ばれた。GKなのにMVPだ。 俺は認めざるを得なかったんだ。実力で森崎に追いつかれた事を…」 ドトール「そしてそれからサンパウロに来て今に至る、と言う訳か」
[555]2 ◆vD5srW.8hU :2009/07/13(月) 18:50:25 ID:u5EQ8NDH 翼「サンパウロに来て、俺は本当に良かったと思っている。憧れ続けたレベルの高いブラジルサッカーに挑戦し、 俺は強くなった。結果も出し続けた。だけど、次第に強くなればなる程ある思いが大きくなっていったんだ。 本当に俺は強くなったのか?森崎はもっと強くなっているんじゃないのか?ひょっとして追い抜かれたんじゃ?」 ここで翼は一つ息を吐き、ムシャムシャとポテトチップを貪った。 他の4人は食べる手を止めてただただ聞き入っていた。 翼「サンパウロに来てから三年間、後になる程これしか考えられなくなった。そしてとうとう時が来た… 明日、全てが分かる。俺は本当に強くなれたのか。森崎を引き離せたのか。答えが出る! 俺は勝つ。勝って倒すんだ。本来俺の敵になんかなり得ない筈の森崎を!」 翼が再びポテトチップを噛み砕く。それでも4人は無言だった。 塩分の取りすぎで気持ち悪くなった翼は立ち上がり、売店に向かい歩き始めた。 翼「…こういう訳だよ。明日、俺は全力を尽くす。それだけは保障する」 言い残すと共に翼は去っていった。 彼の後姿が角を曲がり見えなくなってからようやく4人は口を開く事が出来た。 ドトール「パラノイア…だろうな。ツバサの自信はモリサキの存在に脅かされている」 アマラウ「モリサキに勝てなかったらこの3年間は全て無駄だったと思っているのかよ…」 マウリシオ「ナンバー1を目指すのは大いに結構だけど、なんか違くないかなあ?」 ドトール、アマラウ、マウリシオの3人がそれぞれの感想を述べ、最後にバビントンがポツリと呟いた。 バビントン「僕は嫌な予感がするよ。明日の試合、勝ってもツバサは得る物が無いんじゃないかって。 そしてもし負けたら…ツバサは、何か大きな物を失うんじゃないだろうか…」
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0ch BBS 2007-01-24